皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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棄ててきた女 アンソロジー/イギリス篇 若島正編 異色作家短篇集 |
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| アンソロジー(国内編集者) | 出版月: 2007年03月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 早川書房 2007年03月 |
| No.2 | 7点 | クリスティ再読 | 2026/07/28 11:12 |
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| 「狼の一族」がアメリカ篇で、ややSF味のホラ話をひねった切れ味系だとすると、このイギリス篇でSFファンタジー風は確かにそうでも、やや心理主義的なブンガク味が出てくるあたり、国民性というものなのかな?で「棄ててきた女」に関しては、たとえばヒュー・ウォルポールとかジョン・メカトーフとかL.P.ハートレイとか19世紀生まれのやや古めの作品も収録しているあたりが特徴といえばそうなのかな。評者に言わせれば「奇妙な味」とは、戦前のアメリカのエンタメの主力がパルプに代表されるジャンル小説の形をとっていたのが、戦後のスリックマガジン(高級雑誌)にジャンル混合的なエンタメ短編のかたちに変化した現象みたいにとらえていたんだが、イギリスとなると出版状況が全然違うこともあって、こういうセレクションになるのだろうか。実際、雑誌初出を拾っているより、短編集からの収録が多い。
「トリフィド時代」で有名なウィンダムの「時間の縫い目」はまあ、うまくまとまったタイムトラベル物を、かつての貴族の没落に絡めて描いた技あり作。いいけどまとまりすぎると奇妙な味ではないかもしれない。SF。 カーシュ「水よりも濃し」は奔放でマスキュリンな伯父に虐められる情けない甥がアレルギーを使って復讐しようとする話だが、やはりネタの復讐よりもこの伯父甥関係の妙なリアリティに面白みがあるんじゃないのかな。犯罪小説? メカトーフの「煙をあげる脚」はコテコテな怪談をひねってナンセンスな味わいに転化させたようなもの。バカみたいな良さがある。ホラー? ジョン・キア・クロス「ペトロネラ・パンー幻想物語」は「赤ちゃんコンクールが人生を過ごす場所」になった女性の話。いやこれ個人的には皮肉と不気味なわけのわからなさで好きだ。ジャンル? ウォルポール「白猫」はまあ、飼い猫と女主人の関係でまあクラシックな味わいというべきか。ホラー。 ハートリー「顔」は理想の顔だけに執着する究極のメンクイ男と、その顔の女の微妙な関係性の話。「なぜ」が欠落したあたりに面白さがあるのかな。? エイクマン「なんと冷たい小さな君の手よ」は引きこもり気味の画家が電話でかかってくる女性の声に執着し続ける話。ホラー。 コッパード「虎」、サンソム「壁」、スパーク「棄ててきた女」と短めの作品が3作続き、これらはジャンル分化しないところに味わいがあるのかな。そういえば「壁」は「キートンの蒸気船」だねw ウィリアム・トレバー「テーブル」は、骨董商が売り主の複雑な事情を手玉に取るような話だが、事実上イギリスでのユダヤ人差別を扱ったシリアスなテーマを、奇譚風に描きなおした手腕を見るべきか。ジャンル? バージェス「詩神」はタイムトラベルならぬタイムトラベルで並行世界のシェイクスピアの真実をめぐる歴史SF。ハッチャけた味わいだあな。 でラストのリチャード・カウパー「パラダイス・ビーチ」は、完璧なイリュージョンを作り出す装置をめぐるSF風の話なんだけども、実はこれ読みようによって完全犯罪の話になるという凝ったもの。素晴らしい。 というわけで、アメリカ篇より落ち着いた雰囲気もあるかな。全体的に少しアメリカ篇より古めのセレクションかもしれない。 |
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| No.1 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2025/12/29 15:13 |
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| (異色作家短篇集19)
①時間の縫い目(ジョン・ウインダム) 7点 車椅子の夫人は窓辺で50年前のあの日を想った。恋人を待っていたが現れなかった日だ。まどろむと、恋人が昔の姿のまま現れた…夢?(SFファンタジー) ②水よりも濃し(ジェラルド・カーシュ) 7点 愛する女のため、偶然にも裕福な叔父を殺害する機会を得る…意気地なしと言われ(奇妙な味というより奇妙な展開の物語) ③煙をあげる脚(ジョン・メトカーフ) 5点 インチキ医者が水夫の脚を手術…埋めこめられた宝石(魔術による復讐) ④ペトロネラ・パン~幻想物語(ジョン・キア・クロス) 5点 30年間、赤ちゃんコンクールを開催する男。これほどの美しい赤ちゃんに見向きもしない…ある秘密(SFチック) ⑤白猫(ヒュー・ウォルポール) 4点 男は富豪の未亡人に求婚する…でも飼い猫が(まあ、予想通り) ⑥顔(L・P・ハートリー) 6点 理想の女の顔を描き続ける男。似た女と結婚するも死に別れ。また似た女が現れたと聞き…女性側の悲劇(普通の小説?) ⑦何と冷たい小さな君の手よ(ロバート・エイクマン) 5点 見知らぬ女性と電話で話すようになり…女性は男をじらす(電話中毒) ⑧虎(A・E・コッパード) 4点 見世物動物園に虎がやって来た。うまく調教できるか…横恋慕の結果(口のきけない黒人がアクセント) ⑨壁(ウィリアム・サン ソム) 7点 消防士らは5階建てのビルの消火に。すると壁一面が…4人の運命(オチは感心) ⑩棄ててきた女(ミュリエル・スパーク) 6点 仕事帰りのOL。何かやり残したことがあるような…最後の一行(伏線はあるが、驚けない) ⑪テーブル(ウィリアム・トレヴァー) 4点 売りに出たテーブルにまつわる話…家具商の想像力(売却先は愛人?) ⑫詩神(アントニイ・バージェス) 5点 宇宙にもう一つの地球がある。シェークスピアが本当に戯曲を書いたのか調べるため時空を越え…何人かが同じ調査をしていたようだ(宇宙人は宇宙人だね) ⑬パラダイス・ビーチ(リチャード・カウパー) 9点 美しい浜辺のホログラフィ。現実に存在する?…浜辺に入った夫人は(SFと思いきや探偵小説) |
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