皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
クリスティ再読さん |
|
|---|---|
| 平均点: 6.38点 | 書評数: 1647件 |
| No.1647 | 7点 | 幻想と怪奇4 吸血鬼の系譜- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 2026/09/03 13:24 |
|---|---|---|---|
| 伝説の方は歳月社「幻想と怪奇 吸血鬼特集」(1973/7)。こっちは牧原勝志企画編集の新紀元社。共通作品はアレクセイ・K・トルストイの「吸血鬼の一家」でこれは元の「魅入られた家族」の新訳。
トルストイの「吸血鬼の一家」は1839年のもので、吸血鬼小説としては大古典。セルビアの寒村に宿をとった主人公のフランス人外交官が、その一家が順に吸血鬼に取り憑かれて一家全滅・さらにはその村全体も破滅させる結果になるのに遭遇する話。ヴルダラク(Yourdalak)と呼ばれ、愛する家族を順に飲み込んでいくクラシックかつ土俗的な吸血鬼譚。ロマンティックな味わいがしっかり。 でこの新しい「幻想と怪奇」は翻訳小説が10本、2つの新作ショートショート(井上雅彦・安土萌)、エッセイなど4本という構成。目玉はトルストイの「吸血鬼の一家」新訳、それに「ぼくは吸血鬼になりたい」という作文を書く少年を主人公としたマシスンの名作「血の末裔」の新訳。それにウールリッチの珍しい吸血鬼小説「破滅を誘う唇」あたりかな。ウールリッチはウールリッチらしく「呪われた結婚」のモチーフで吸血鬼譚を描いているのが、らしい。吸血鬼に魅了されて新妻を捨てた男が、吸血鬼化しつつ元妻を...という愛憎をうまく絡めた佳作。ウールリッチらしさはまさに全開。 とはいえ文学畑だと吸血鬼は血を吸うよりも、相手から精気を抜き取る「吸精鬼」の形の方が心理主義的な妙味があるのは言うまでもない。メアリ・E・ウィルキンズ=フリーマンの「ルエラ・ミラー」やD・H・ロレンスの「妖しい婦人」はそういう周囲の人々から精気を吸い取っていつまでも若々しく生きる(依存的な)女性像を描いて文学とホラーの中間をうまく攻めてみせる。それに対して「死、またの名を吸血鬼」でロバート・ブロックならば、新聞記者を主人公とした軽ハードボイルド風の語り口で吸血鬼事件を語りきってみせる。これもなかなか剛腕。さらに幽霊船という海洋怪奇と合体させたヒュー・B・ケイヴ「ストラゲラ」も印象的。「ノスフェラトウ」の船のシーンを連想するなあ。 というわけでハイレベルな吸血鬼特集号。 |
|||
| No.1646 | 5点 | 鮫島の貌 新宿鮫短編集 - 大沢在昌 | 2026/09/03 12:42 |
|---|---|---|---|
| う~ん、短編だとやはりファンサービスっぽいところが出てしまいっているようにも感じるなあ。このシリーズ全体にキャラ小説として良い部分があるのだけど、短編だとそのキャラ小説性を「使ってる」感が強く出てしまう。既成キャラのキャラクター性を生かしたスケッチ風作品、ということではあるんだが、やはりそういう「偶々描かれた一断面」に萌える、というファン目線が不可欠なのだろう。
だから、さまざまな人が鮫島を見る視点をテーマにしてみました、というくらいの方が面白かったのかな。そういう見方をすれば、桃井課長視点での「区立花園公園」がいいのかな。個人的には後日譚っぽい「霊園の男」みたいなのは、作者としてのいろいろと考え込んでしまうような「迷い」みたいなものを感じてしまう。こういうのは苦手だなあ。 すまぬ評者は「外伝」は好きじゃないようだ。思い入れが足りないんだな(苦笑) |
|||
| No.1645 | 6点 | 決定版 鬼平犯科帳 (1) - 池波正太郎 | 2026/09/03 12:37 |
|---|---|---|---|
| ミステリの文脈で触れやすい捕物帳と、そうでない捕物帳があるのは言うまでもないが、触れにくい捕物帳の代表格が「鬼平犯科帳」と「御宿かわせみ」なのは、これはもうどうしようもない話か(苦笑)なので、結構本作やるのも懸案だったんだ。やるからには第一作からやりたいしね。
パイロット版みたいな「浅草・御厩河岸」と連載開始の「唖の十蔵」から始まり「むかしの女」で終わる決定版文庫第一巻である。まあキャラの説明は不要だろうけど、評者何故か今まであまりご縁がなかったな。まあ評者の当時から「オール読物ってお爺さんが読む雑誌」というイメージは昔から強いからねえ(偏見すまん) でだ、シリーズが安定してくると長編もあるが、基本は短編。しかし、登場人物がかぶっていて、前話の盗賊のその後が次の話で描かれる事も頻繁。もちろん主人公は火付盗賊改方の長谷川平蔵。実在の人物であり、江戸中期の寛政の改革期に、天明の飢饉で江戸に流入した無宿人の取締りに辣腕を振るった人物である。それまでの南北町奉行の警察・裁判権とは別建ての、武装強盗に対する純軍事的警察権を振るった組織である。鬼平本人は若い頃は無頼の生活も送ったが、この頃には温厚篤実な性格と描かれている...というかさ、長期連載の主人公らしくあまり強い色の付いていないヒーローだね。だから事実上群像劇であり、その「まとめ役」といった役回りになっている。 だからそれぞれの話に登場する盗賊や密偵たちのキャラの方が立っている。第一巻では平蔵周辺の家族や同心たちはまだあまり個性が出ていない。友人の剣客岸井左馬之助くらいか。とくにこの岸井と平蔵が稽古した道場の家主の娘の転落を描いた「本所・桜屋敷」あたりが、ミステリ的な興味ゼロだが本シリーズらしい作品になるのかな。まあとはいえ、早い話が悪党パーカーやフレンチ・ノワールにも通じる「悪党ワールド」が舞台であり、盗賊たちが権謀術数を尽くして「仕事」をし、散っていくさまを楽しむ作品ということでもある。この本だと個人的には、平蔵が暗殺者につけ狙われる「暗殺白梅香」と、平蔵の無頼時代に縁があった年上の女の老後を描いた「むかしの女」がノワール小説と同じ味わいで面白い。 (でもさ「本格の盗賊」という呼び方が、「ミステリの本格」と変に混線してしまう本サイトでは、なんか居心地の悪いなw) |
|||
| No.1644 | 8点 | 仲のいい死体- 結城昌治 | 2026/08/29 11:17 |
|---|---|---|---|
| そういえば先日「天狗の面」をやったこともあって、昭和の田舎ユーモア・パズラーの二大名作だったのかな、とか連想したりもしたんだ。「天狗の面」のメタ要素はあまり効いてなくて、クスグリに近いものだったけど、本作のドライなユーモア感覚は、その動機に至って苦いブラックユーモアと化す。これが素晴らしいね。
突然ブドウ畑の真ん中に温泉が湧きだした田舎町。その泉源の所有者になった色っぽい後家が、なんと心中死体として見つかった。相手は...堅物既婚者の田舎巡査。心機一転、都会の四谷署から望んで移動した「ひげの部長刑事」郷原は、頼りにならない上司や同僚を叱咤激励しつつ、この不思議な「心中事件」に挑む...田舎寺の住職と小僧、田舎医師、旅館経営者の町議、出荷組合の理事、それに加えて温泉開発を当て込んで滞在中の華族のドラ息子、それに惚れたフリして東京に出たがる後家の娘、こんな色と欲と地縁が絡み合った事件を、郷原はどう捌く? この一癖も二癖もあるキャラたちがそれぞれの思惑で勝手なことをする。しかしその背景は、突如として湧いた露天温泉で、都会っ子の郷原部長刑事はその不潔さに辟易しながら、仕方なくその湯船に浸かる(苦笑)まさにこの田舎の「乱れたフーゾク」というべきものが、絶妙の脱力ポイントとしかいいようがない。しかしその脱力のウラにある田舎の計算高さとリアルが覗くのが、作者ならではの人間観察眼というべきなのだろうか。 その人間関係のウラに一転のスジで見いだされるフーダニットと、その動機。いやこの動機は実は今の日本にもいまだに蔓延している宿痾みたいなものだな。そういうあたり、なにげな社会派かもしれないよ。昭和の名作だと思う。 |
|||
| No.1643 | 7点 | 悪党パーカー/殺人遊園地- リチャード・スターク | 2026/08/28 14:27 |
|---|---|---|---|
| さて悪党パーカーの中でも名作、というイメージを持っていた作品なので、ずっと読みたく思っていた。うん、確かに冬季閉園中の遊園地に追われて逃げ込んだパーカーが、地元ヤクザの組織的マンハント作戦をかい潜りつつ反撃し、逃亡する小説だから、遊園地施設のギミック満載で面白いに決まっているよ。映画化しないかな...でも、実在の遊園地を舞台にすると、営業上のメリット・デメリットいろいろ考えちゃうだろうね(苦笑)
キーはいったん逃げ込んでから、ヤクザ側が汚職警官たちとの関係で6時間ほど無駄に費やして、パーカーに迎撃準備をさせる余裕を与えたこと。しかし、そのパーカーの抵抗が、ヤクザ組織との全面戦争に発展する...どうするパーカー、体力にも武器にも限界があり、一人で大人数を相手にするのも限界がある... という話。「ランボー」とか「パイナップルARMY」みたいなものだな。サバイバル的な興味が大きい。 まあ、大量殺戮をしてしまったら逆に逃亡が難しくなるから、ストイックなまで「効果的な襲撃」を厳選していくのと、自分の手持ちリソースの制限との間でのトレードオフを考え考え戦うパーカーの姿が興味深い。 まあだから、面白さのわりに地味な駆け引きが目立つな。そういうあたりをリアリティとして好意的にみるべきだろう。 本作の「名作イメージ」だけど、ちょっと調べると、「悪党パーカー」シリーズは1960年代後半に初期5冊がポケミスで紹介されて人気が出たけど、角川に新作を持っていかれて紹介が中断し、ミステリ文庫創刊で創刊当時から採用されて人気が再燃し、中間の作品紹介を飛ばして、本作が改めてポケミスで紹介されなおしたという経緯があるようだ。それで印象が強いんだな。異色作ではある。 |
|||
| No.1642 | 7点 | アンチクリストの誕生- レオ・ペルッツ | 2026/08/27 15:26 |
|---|---|---|---|
| 図書館の棚で見て衝動的に読むことにした。
いや最初は宗教学的な論考か、と思ったんだ(苦笑)でも短編小説集w皆川博子が解説書いている、というのでジャンルは、わかる。 でこのペルッツ、1882年プラハ生まれ1957年没、ユダヤ系。というわけで、ほぼ「裏カフカ」と呼んでいいくらいに共通点の多い作家。でもペルッツは戦前の大人気作家で戦後は忘れられ、最近また復活。 いやだけど「アンチクリストの誕生」だよ、タイトルでまずヤられる。でも話はシチリアのパレルモに流れ着いた靴職人と、その近郊の山村の司祭の家政婦が結婚して子供ができる話。しかし二人の過去、靴職人が見た「瀝青と硫黄とタール」を三人の「金の冠に金の靴、深紅のマント」の外国人がささげる夢、額に十字架を描くと泣き叫ぶ乳児...とこの迷信深い靴職人はこの子がアンチクリストではないかと疑い始める。いやこんな話。すごいなあ。まさに「オーメン」(苦笑) でもでも、があるのがペルッツ。これでも奇妙に牧歌的であり、それでも確かにアンチクリスト。困ったなあ....うん、大変に困る。そういう小説。 だから、まさに「異色作家短篇集」に収録したくなる作家。強烈な技巧派であり、読者の期待を空振りさせて、それでも満足させる手腕には強烈なものがあるな。 あるいは巻頭の「主よ、われを憐れみたまえ」では、ロシア革命の秘密警察チェーカーの創設者ジェルジンスキーが事実上の主人公。ジェルジンスキーに捕らわれた白軍暗号将校が、一目妻子を見てから死にたい、といったことで、ジェルジンスキーはその願いをかなえる。しかしこの暗号将校は律儀にモスクワに戻り、ジェルジンスキーは解読に難渋している暗号の解読を命じる...いや一目妻子に会ってから戦場に戻る「誓いの休暇」かいな。でもでも、その暗号解読と秋霜烈日なジェルジンスキー、そして「主よ、われを憐れみたまえ(キリエ)」の主題。辻褄があってないようで、深いところで合っている話。 だからオチがオチているのかオチていないのか、微妙なところを攻めた作家である。しかし、明白にオチていてびっくりが「ボタンを押すだけで」。交霊術の最中に、生きている人の魂を呼びしたらどうなるか?という謎(苦笑) いやはや、こんな「ヘンな作家」は世界にまだいたのだな。「カフカとクリスティの不義の子」という評言があるそうだ。 |
|||
| No.1641 | 7点 | 袋小路- ジョルジュ・シムノン | 2026/08/26 07:45 |
|---|---|---|---|
| ロマン・デュールの中でも「非ミステリ」系の名作だと思うよ。いや確かに事件もあって逃亡劇もあるんだが、本質的には「非ミステリ」だと思う。
というか、ミステリの論理では話が全く動いていない小説だね。近いタイプは「片道切符」とか「新しい人生」。なんだけども人間が犯す「悪」という視点では、「雪は汚れていた」に近いニオイを感じていたりもした。結構終盤展開は「雪は汚れていた」に近いんじゃない? 大金持ちの中年女性ジャンヌの愛人兼使用人として「囲われる」主人公ウラディーミル。ヨット「エレクトラ号」の船長待遇なんだけど、「自由」の象徴かもしれないヨットさえ全然出航もせずにメンテナンスと浜辺のビストロで飲んだくれる日々。そしてジャンヌの反抗的な娘エレーヌがヨットに居座って、ウラディーミルをあからさまに蔑視する。まあ「エレクトラ」って母を殺す娘の話なんだけどもねえ。ロシア革命から一緒に逃れてきた相棒のブリニはそのエレーヌと? で、かなり特徴的なのは多少の同性愛ニュアンスがあること。これは主人公のウラディーミルとブリニ、それにエレーヌと看護婦ブランシュにそんなニュアンスを感じるところがある。まあ事件の説明も論理的な動機でもないし、もちろん同性愛感情といった「わかりやすい」言葉で説明できる問題でもない。同性愛感情で説明するならば、逆にロシア人風来坊がコートダジュールの享楽的な環境への違和感で説明してもいいくらいだろう。「嫉妬」と説明するけども、どちらか言えば「平時に乱を起こす」ような脱出願望込みのしなくていい「反逆」の部類なんだろう。しかしその脱出願望もリアルか、といえばそうでもない。そういうラストなんじゃないのかな? という具合に、主人公の行動は小説がちゃんと説明していないし、またわかりやすい小説的辻褄もない。しかしその心理はシムノン読みとしては「腑に落ちる」ところがある。 (まあブリニくん、ラストシーンの後には迷惑っぽい感情を抱いたのでは?ちなみに評者はあの看護婦は苦手キャラ) |
|||
| No.1640 | 6点 | 天狗の面- 土屋隆夫 | 2026/08/22 16:53 |
|---|---|---|---|
| 今回は光文社「土屋隆夫コレクション」で。なので「『罪深き死』の構図」などの1956年までの初期短編やエッセイも。
土屋氏というと、やはり文学派ということになる。本サイトだとパズラー作家としての側面ばかりが話題になりやすいが、後年の社会派系作品に触れるまでもなく、全盛期のパズラー作品でも文学派カラーは濃厚なんだよね。この本収録のエッセイ「文学としての探偵小説」でも乱歩の「一人の芭蕉の問題」を引いて探偵小説文学論を述べているし、お気に入り作品は乱歩「心理試験」、木々「文学少女」、シムノン「黄色い犬」だとしているわけでもある。戦後派でも高木彬光を「トリックと骨格だけ」とケナしてもいる。 ではその作者の文学、って何だ、という話もなる。 処女長編である「天狗の面」については、まさに井伏鱒二調でもある。とくに特高に拷問を受けて発狂した青年には「遥拝隊長」の面影もある。さらにメタな語り口など、これ以降の沈鬱なロマン主義から見ると、異端的な処女長編ということにもなる。まあミステリとしては、トリックの骨格が見えやすいこともあるし、やはり筆致は達者でも戯作っぽいあたりが乱歩賞では嫌われたのかな。 やはり「そうり大臣を命ず」が哀切だね。東京裁判で発狂して東条英機の頭を叩いた大川周明のイメージが重なる。 でこの本に収録された初期の短編も、やはり「『罪深き死』の構図」を別にして、パズラーではない。若書きっぽい社会正義への志向が見えて、広義の社会派と見た方がいいんだろう。まあ「『罪深き死』の構図」だって濃厚な文芸味が未消化でパズラーの枠組みに押し込められているようなものだしなあ。そんな中では無邪気な犯罪として、のちの「危険な童話」に通じる「恐ろしき文集」がいい。 文学性とミステリを見事に総合したのは、結局、松本清張という怪物だったわけだけど、それが実は乱歩の「もう一人の芭蕉」だったようにも思うのだ。 |
|||
| No.1639 | 7点 | 感傷の終り- スティーヴン・グリーンリーフ | 2026/08/21 08:50 |
|---|---|---|---|
| さてタナー2作目。サンフランシスコ1980年代初め。デビュー作「致命傷」ではラルフ・ネーダーみたいな消費者運動から始まっていたけど、要するにこの人、「意識高い」系ハードボイルドなんだ。
同じようにリベラル系ハードボイルド作家で、モーゼズ・ワインで有名なR.L.サイモンと立場が似ている、といえば似ているが、サイモンがかなり「意識高い」を斜めに見て(自虐的に)バカにしているのに対し、この人はなんかマジメなんだよね(苦笑) まあ本作、大金持ちの老人の依頼で、その息子を探す話だが、この息子は過激派組織のリーダー格で放火の結果女子学生が焼死した件で指名手配中...でも老人はその息子に遺産を相続させたい!いやいや、周囲は猛反対、でもタナーは受けた依頼で誠実に息子の後を追跡する、といった話。 なんだけど、中盤からはガラっと「そう来るか!」的な展開でジェットコースター。ややびっくり。格段に前作「致命傷」よりも面白い。 R.L.サイモンは今や保守・リバタリアン系の政治評論家として、ガチのトランプ支持者に転向しているわけだが、そりゃモーゼズ・ワインがリベラルを見るシニカルな視線の当然の帰結なんだよ。本作の「失われた十年間だったんだ。七〇年代には、みんな何ひとつまともなことがやれなかった」というタナーの述懐もまさにそういうリベラルによる自己懐疑の表れなんだ。でもグリーンリーフはサイモンよりも明らかにスノッブな趣味であるから、そこらへんは「むかつく」(笑) 「きみは、親父さんが(抗がん剤副作用で)吐き気のひどいとき、何をのんでいたかわかるか?」「何だ?」「マリファナさ」「冗談だろう」「いいや」 まあこういう話なのさ。 |
|||
| No.1638 | 7点 | 秘書綺譚- アルジャナン・ブラックウッド | 2026/08/19 15:21 |
|---|---|---|---|
| ホームズ期三大ゴーストハンターは、カーナッキ(ホジスン)、サイレンス博士(ブラックウッド)、モリス・クロウ(ローマー)で大方の異議はなかろうが、やはりブラックウッドのホラーというジャンルへの貢献度は、サイレンスもの以外でも突出していることになろう。
この短篇集は処女短篇集「空家」(1906)収録作をメインにしながら、後年の作品を補った日本独自編集のもの。サイレンスものはなく、「空家」で幽霊屋敷探訪をメインとし、ジム・ショートハウスが狂言回しとなる作品をすべて収録。 サイレンスもの第一作「霊魂の侵略者」も幽霊屋敷だから、ブラックウッドはまさに幽霊屋敷のエキスパート、と呼びたくなるくらいのバリエーション。とくにブラックウッドはマジメなオカルティストだから、現象をリアルに丁寧に描写する良さが目立つ。やはり相方は大事だね。「霊魂の侵略者」のお供は犬と猫だが、「空家」はシッカリ者のジュリア叔母。この叔母の反応が、何というかとてもイイ。「窃盗の意図をもって」では幽霊屋敷に慣れているはずのショートハウスが、若者の「わたし」から描かれれる。ショートハウス自身が取り込まれかける大失態で、これがなかなかリアル。この2作がショートハウスものでは断トツにいい。「約束」は秋成の「菊花の契り」だなあ。洋の東西を問わない話だ。 で「秘書奇譚」はホラーとしては不条理な雰囲気のもので、怪現象が起きているか微妙な話。再読だが以前創元の「怪奇小説傑作集1」で扱った時も「見ようによってはコメディ」と書いているけども、一種パロディ的な印象を受けるなあ。「怪物くん」みたい? 「炎の舌」は怪現象を絡めた道徳的教訓譚みたいなものか。いやXとかにぜひ機能を導入してもらいたいものだ(笑)「野火」は怪異譚というよりも汎神論的傾向のある詩人の内面を描いた散文詩的な作品。これはこれで作者の真情あふれる作品じゃないのかな。「転移」は「オド(生体精気)イーター」系の吸血鬼譚。人間でも吸血鬼な叔父vs吸血鬼的な土地のガチンコ対決! というわけで、バリエーションが広く、それぞれ独自の味わいのある話を多数収録。気軽に楽しめるが、中身はなかなか本格ホラーでしっかり描かれている。 |
|||
| No.1637 | 6点 | 闇の奥- ジョゼフ・コンラッド | 2026/08/18 13:36 |
|---|---|---|---|
| そりゃジャンルはさあ「ホラーだ、ホラーだ...」だからホラーだよ(苦笑)
で、やはり一種の実存的ホラー小説だと読むべきだなあ。とくに光文社古典新訳文庫ではそういう解釈を採用しているようにも感じるんだ。 まるで地球がすさまじい速度で宇宙の中を飛ぶ音が、不意に聴こえ始めたかのようだった。 とかねえ、文明(社会)から切り離された緑の「魔境」での孤独と実存の問題として、一種のコズミック・ホラー的な含意を出しているように感じるんだ。だから「地獄の黙示録」でのカルト的狂気の支配ではなく、原作ではそのような立場にたまたま置かれてしまったクルツという男の恐怖と衰弱の物語であるかのように読めてしまう。いやこの物語を「西洋人には理解できないアフリカの闇」ととらえること自体が、オリエンタリズムの産物だ、とも批判できるわけだ。 コッポラの「地獄の黙示録」には「予防接種を打った子供たちの腕をベトコンが切り落として積み上げた」とカーツが語るきわめて印象的な残虐場面がある。しかし、この話は実のところベトナム戦争でのアメリカ側の都市伝説的なプロパガンダでしかない。おそらくは「闇の奥」の舞台であるベルギー国王の私有である「コンゴ自由国」で横行した、天然ゴムの採取ノルマ未達の黒人の手足を切断した非人道的刑罰にも影響を受けているのだろう。そして、この刑罰自体はこの小説で描かれているわけではない。 アフリカには闇はない。西洋人の心の中に闇はある。それが「ホラー」なのである。 |
|||
| No.1636 | 7点 | 死の扉- レオ・ブルース | 2026/08/16 11:44 |
|---|---|---|---|
| 現代推理小説全集で紹介されて、初期の創元文庫に収録されたから、意外に知名度のある作品。1950年代のイギリス新本格、と言われたらそれだけで納得してしまうタイプの作品でもあるね。雰囲気的にはエドマンド・クリスピンをもう少し軽いユーモアにして静的なパズラーにした感じ。いやこういうタイプの方が、今のマニアにはウケやすいんじゃないのかな。
本作だと現実の事件への言及もあり(解説だと珍しいそうだが)、リアリティのある事件をスモールタウンにうまくはめ込んだような印象が強いな。まあだから推理難度は低いけど、そのぶんゆったり楽しめるようなもの。浮上してくるキャラがそれぞれちょいとした悪徳を告白しちゃうあたり、どっちかいえば「のんびりとした悪徳」といった感覚で、逆説的だが妙に楽しい。 会話にウイットがあるのがいいなあ。パブリック・スクールで歴史を教えるキャロラス先生が素人探偵を買って出るわけだが、「しっかり~」とかヘンに応援されていたりするのがノンキというものだ。相方になる複雑な家庭出身の生徒のルーパートくんが素敵。ちょいヒネてワルぶっているあたりにキュン! いやね、被害者の老婆が裏社会ともつながった悪婆なんだけども、ちょいピカレスクっぽいといえばそうか。不良青年のうち一人はテディボーイだから、頭はリーゼントかしらねえ。ペットショップ経営の女性二人はビアン夫婦かしら。毛深い牧師とか、耳の大きな校長とか、巨人女看守とか、かなり登場人物の多い小説だけど、キャラはそれぞれ工夫があって楽しい。ミステリマニアの農場主とかちょいメタ風味。 というわけでリーダビリティ高く、そつなく面白い。 |
|||
| No.1635 | 7点 | おかしな死体(ホトケ)ども- 海渡英祐 | 2026/08/15 15:12 |
|---|---|---|---|
| 吉田茂警部補ってちょっと不遇の名探偵かもしれないなあ、と思って取り上げたいんだ。1970年代前半というと、都筑道夫が「退職刑事」やら「なめくじ長屋」やらキリオン・スレイやら、様々な名探偵を創造していた頃のわけだけど、呼応する動きは意外に乏しかった。だから吉田茂警部補が唯一の都筑派名探偵だったのかもしれないよ。その後の亜愛一郎もこの系譜で理解するのが正しいんじゃないのかな?
とは言え、確かにロジックもあるけども、吉田警部補はやや直感的すぎるきらいはあるかな。それ以上に「おかしな死体ども」と総括される、「動きまわる死体」「浮気する死体」「酔っぱらった死体」「仰天した死体」「気まぐれな死体」「下痢をした死体」「迷いこんだ死体」「怪獣好きな死体」といったタイトル(とそのファンタジックな他殺状況)について、合理的な回答を出してみせるという力技をやっている。この志向はクイーン的というよりカー的と見るべきだろうね。 というわけで本作って一種の「本格ミステリのミッシングリンク」みたいなものだよ。もう少し知られてもいいと思うんだ。 どうかな、ロジック的には「酔っぱらった死体」がいいかな。アリバイトリックとして興味深い視点があるのが「動きまわる死体」。話としては中編の「怪獣好きな死体」が長い分面白い。 |
|||
| No.1634 | 4点 | 華麗なる醜聞- 佐野洋 | 2026/08/14 16:47 |
|---|---|---|---|
| 協会賞受賞作。社会派、と言えばそうなるかもしれないが、某国大使が女性スキャンダルを起こした「ハイ・ホステス」という謎の職業と、秘密厳重な「壮年病クリニック」、連続爆弾(というより焼夷弾に近い)事件を起こす「是政小僧」の謎...といった要素を組み合わせて、政財界の暗部を中央日報の記者グループが追跡する、という話。なんだけどもねえ、追跡プロセスはそれなりに興味深いところもあるが、意外な真相とかそういうことはない。読んでいてかなり不完全燃焼感が強い。一応メタフィクション的な仕掛けがあると言えばあるが、効果的とも言えない。
今年は最後に佐野君の実績賞といったところで、意見がまとまった。「華麗なる」だけでは貫目不足というわけだろう。 と日影丈吉の選評が全てみたいな気がする。いや予選には「三重露出」とか「虚無への供物」とかあるんだよ。それでも候補作は佐賀潜「恐喝」、星新一「夢魔の標的」、中島河太郎「日本推理小説史」。なんかよくわからない。選評を見ても作品の話をしている選考委員が少ない。 ぶっちゃけ本作、賞に値しないと思う。最後に提案されるスパイ小説的な解釈も辻褄は割と合っていても、随分いかがわしい話でもあるなあ。 (社会部記者たちがやたらと世間師的なのに、昭和感が強い) |
|||
| No.1633 | 7点 | 三人のこびと- フレドリック・ブラウン | 2026/08/13 17:21 |
|---|---|---|---|
| さてエド&アム・シリーズの第二作。ブラウン大好きサーカス話...と思うと、細かいことを言うと違う。作中では「カーニー(Carny)」と「カーニバル」の略で呼ばれている。ギョーカイでは同じような移動型娯楽施設であっても、アクロバット芸中心の曲馬団のサーカスと、こういうCarnyと呼ばれる移動型遊園地とは区別されていることが、少しだけだが触れられている。要するに夜店の香具師の大規模なグループのようなものだな。「シカゴ・ブルース」の後、エドくんはアム伯父とともに、アム伯父の身過ぎ世過ぎの稼業であるこの業界に飛び込む。
香具師でも昔はよくお化け屋敷や見せ物小屋があったように、このカーニイでも小人がいたり、チンパンジーが芸をしたり、キレイな女の子が踊って見せたりするわけだ。そんな中で、降って湧いたように小人の他殺死体がこのカーニイに出現する。しかしカーニイの小人である「モート少佐」は全然知らない小人...そして移動した先では病気になってたチンパンジーが水死体で発見、さらに黒人少年ダンサーが...と「なぜ小人(小さな人間)ばかりが殺されるのか?」というミッシングリンクものとして話が展開する。 いやノリはねえ有名な「笑う肉屋」と同タイプの、「確かに説明つくけど、誰も想像しないよ、そんな真相!」というもの。いや実は「復讐の女神」の中にちょいと似た話は確かにあるんだけどもねえ...う〜ん(苦笑)やられた、というのが正直なあたりかな。 とはいえドラマ部門の充実感があるのがイイあたり。カーニーの「ポーズ・ショー」でお色気を振りまく女子二人に想いを寄せられる果報者のエドくんの「青春の惑い」がしっとりと描かれ、それに対してまさに「世間師」と呼ぶべきアム伯父の酸いも甘いも噛み分けた肖像が対比される。ナイスなコンビであるのはいうまでもない。 いやイイねえ、このシリーズ。シリーズ全体のファンになりそうだ。 |
|||
| No.1632 | 6点 | 女体愛好クラブ- ミッキー・スピレイン | 2026/08/12 11:39 |
|---|---|---|---|
| タイトルがまあモノ凄いので、評者も持ち歩く時にカバーをかけたよ(苦笑)
タイトルがそうだし、豊満な美女が奇抜な死に方(特殊な毒・鞭打ち)で見つかるとかさあ、ネタは秘密クラブなのはお約束というもの。だからそういうあたりは期待しすぎると肩透かしになるんじゃないかな。 それ以上に、ハマーの捜査が手堅くて、初期作品だと捜査の方がお約束ぽかったのが、ちゃんとリアルに感じられていい。色々な筋にアタックしては途切れ、再度アタックしては...というプロセスを楽しく読ませていく。本作だとファッション業界とか外交官とかそういう世界も関わるから、ハマーだってタキシード着て、美女をエスコートして、レセプションに出たりするんだよw 本人も柄じゃないとはわかっているさ(苦笑) 復活後はヴェルダ姉さんが出たり出なかったりだけど、なぜか登場しない「ねじれた奴」の次作の本作では、ちゃんとヴェルダ姐さんは出る。「味見した」と明言されているので、ヴェルダ姐さんと結婚カウントダウンなくせに、捜査途中で出会う女性2名と浮気。両方ともイイ女度がなかなか高い。ゴージャス美女と変人アーチストで、速攻でハマーの肖像画を描いてそれからベッドイン。男冥利というものだなあ。1967年作品だから、ビート族からヒッピーに移り変わるあたりのグリニッジ・ヴィレッジだからねえ。スピレインだからって時勢に無関心じゃないんだよ。 だから猟奇のようで猟奇じゃないです。ハマーが落ち着いたイイおとこになっているよ。 |
|||
| No.1631 | 7点 | 忌まわしき悪党- レックス・スタウト | 2026/08/11 12:39 |
|---|---|---|---|
| さてウルフものでも、名作に挙げられることがある作品だ。ウルフの「モリアーティ教授」である、アーノルド・ゼック初登場作。というわけで期待は高まる。事件自体はオンエア中のラジオトーク番組で、ゲストが出されたドリンクを飲んだら毒死した、という極めて派手な事件。これはね~期待するな、という方がおかしい。
プロットとしては、その毒の仕掛けが誰をターゲットにしたものか?というのが二転三転する興味。ウルフも中盤で2回ほど鮮やかな推理をして、行き詰った局面を打開する。その推理が結構笑える真相を暴いたりするしね(苦笑) で最終的なウルフの推理も、人間がこのような状況ではこう動くだろう、という弱めなロジックだけども、蓋然性があって無理のないもの。だから、あまり思い込みで断定せずに、プロセスをしっかりと集まった人々で実証して、真犯人を追い詰めていく。そういう丁寧さがウルフもののイイところだとは思うけど、日本の本格ファンはこういう動的な枠組みでの推理の物語の面白みを、スタティックな本格概念から外れるためにどうも見逃していたようにも感じるんだ。 というわけでシンプルによくできた話だと思う。ヴィランのゼックくんも、ウルフを絶賛しちゃうよ(笑)対決はまた後程。今回は前哨戦だ。 |
|||
| No.1630 | 6点 | 枯草の根- 陳舜臣 | 2026/08/09 17:03 |
|---|---|---|---|
| このところ初期乱歩賞を追っているが、やはり初期の乱歩賞は、小説的充実感+パズラーといった要素で選んでいるようにも感じるよ。社会の中で新しい賞がどういう役割を果たすのか?という点でシビアだったようにも思うんだ。こういう傾向が初期乱歩賞作家に作家として大成する人を輩出した理由だろう。
とはいえね、純粋にミステリとしては食い足りない。伏線が丁寧すぎてトリックは明白。動機は推測が難しすぎる。カットバックされる旅行者夫妻の仕掛けがあざとすぎるのが、気に入らないなあ。その代わり文章は評者のように漢文脈の好きな人は気に入る。キャラも悪かない。探偵役の陶展文のキャラの味付けも穏当で適切な造形。個人的には相方の朱漢生ののんびりっぷりが好き。というか、決まり文句の評言の「悠々たる大陸的風格」ってものの、その裏側を当事者としてリアルに描いたような気もするんだ。 評者は神戸に10年くらい住んでいたから、土地勘もあるしね。震災前の神戸の雰囲気があるなあ。陶展文の店のあるあたりは、阪神大震災でも古いガッシリとしたビルが多くて、よく揺れたわりに持ちこたえたビルがいくつもある地帯だよ。あと興味深いのは、地元市会議員で地域ボスの造形。いや神戸って都会のわりに田舎なんだ。そういう地域性がよく出ているよ。 (5点か6点か迷った) |
|||
| No.1629 | 7点 | 悪女イブ- ハドリー・チェイス | 2026/08/08 08:34 |
|---|---|---|---|
| これ面白い。ほぼ一気読みのページターナー。
ツンデレな娼婦に引っかかって破滅する男の話。ほんとそれだけ。でも面白くてたまんないな(苦笑)キャラ造形のうまさでグイグイと読ませる。チェイスってこんな技アリ作家だったんだ。 いや、こうも思うんだ。悪女モノって悪女が悪女でないから悪女だったりする面白さを追求する小説なんだろう。先行する皆さんのご感想でも「イヴって悪女?」という疑問を呈されているわけで、全くその通りなんだよね。客観的に見ればハードボイルドに自分で立っている女性だよ。潔さとかカッコよささえも感じるな。言い換えると「悪女」ってのは騙されたバカな男の頭の中にしか存在しないものだ、という普遍の心理と不変の真理を証明するようなものだ。 逆に主人公をどうにかささえようとするキャロルがいじましい。いい女じゃないか。悲しいけど素敵だと思うよ。 だからこそさ、最終章の「賢者タイム」で大爆笑。そういう小説。主人公の執事のラッセルくんのナイス助演賞。 |
|||
| No.1628 | 7点 | 反動分子- ジョルジュ・シムノン | 2026/08/07 11:13 |
|---|---|---|---|
| 確かに異色篇だねえ。
瀬名氏は雰囲気をコンラッドの「密偵」に比較したけど、評者はグリーンの「密使」みたいに感じたな。おっと「密使」の方が翌年か。でもまさにグリーン調エンタメといった雰囲気の小説だ。 無政府主義者のイデオローグとして活動したが現在ベルギーに亡命中の主人公シャヴ。現在は劇場監督をして細々と事実上の亡命生活を送っていた。そこに現れた同志の「男爵」。新たにパリの無政府主義者組織に加盟した外国人過激派が、爆弾テロの企画をしていて、弟のように気にかけていた若者ロベールがそれに巻き込まれているという話が。シャヴはロベールと話して爆弾テロを止めようとフランスにひそかに帰国して奔走する... というまさにスリラー仕立ての話。 シャヴは元気がなくなり、自信も揺らいできた。ここでなにをしているか、ブリュッセルに妻と息子がいるのに、どうして自分に関係のないことに介入しに来たのか、と考えてしまう。 と無政府主義者として警察に捕まるリスクを冒して、仲間の計画を止めようとするわけだ。さらに「男爵」のドジによって計画が警察に漏れ出し、無政府主義者たちはジャヴを「裏切者」として警戒している...果たしてロベールはジャヴのいうことに耳を傾けるのか? いやさあ、似たようなことが最近あって、評者も今絶賛傷心中だったりするよ。若い人は過激な主張に感染して年寄りを不要扱いしがちなんだよなぁ。エコーチェンバーというか、閉鎖的な言論空間だと、過激な意見が幅を利かすのはどうしようもないんだ。世代差だと思ってあきらめるしかないのかな。 すまぬ、身につまされてしまったよ。 (けど「反動分子」というタイトル。無政府主義者というとウルトラ自由主義・個人主義のわけで、ちょっと適切じゃないようにも感じるよ。無政府主義者グループからしたらジャヴの方が「反動分子」なんだが、本書の警察側は無政府主義者たちを「反動分子」と呼んでいたりする。ちょいと違和感) |
|||