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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
ジャッカルの日
フレデリック・フォーサイス 出版月: 1973年01月 平均: 8.14点 書評数: 14件

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角川書店
1973年01月

角川書店
1979年06月

No.14 6点 文生 2021/08/30 12:49
まるで劇画に登場するような凄腕の殺し屋・ジャッカルが魅力的で読んでいてワクワクしたのですが、史実を舞台にしたためにあえなく暗殺失敗の憂き目にあってしまう点にアンバランスさを感じてしまいました。

傑作であることに間違いはないものの、個人的にはもやもやとした読後感を拭えません。できれば疑似ドキュメントではなく、完全フィクションでの活躍を見たかったところです。

No.13 10点 ROM大臣 2021/05/24 17:36
冷徹な男の闘いを恐怖を通して描いた作品は多いが、これはやはり白眉だろう。最後のページまで暗殺計画者と刑事の闘いはゆるがない

No.12 9点 ◇・・ 2020/05/02 14:27
イギリス空軍のパイロットと従事記者を体験した著者は、1962年に実際に起きた大統領暗殺事件未遂をヒントに、ジャーナリストの手法で事件を綿密に調査して書いた。そのために、スリラーでありながらノンフィクションを読むような充実感がある。
読後何十年経っても強く印象に残っている作品であり、現在読み直すと歴史ルポのような新たな面白さもある。
著者のデビュー作にして、政治スリラーの最高峰。プロットは複雑だが、文章は記事のようにシンプルで理解しやすい。

No.11 7点 蟷螂の斧 2020/04/22 14:11
(東西ミステリーベスト100の17位、米20位、英17位→日米英合算では第8位)
 暗殺者ジャッカルとフランスの敏腕刑事ルベルの攻防はスリルがあって楽しめました。まあ、一部にご都合主義的なところがあるのは致し方ないか?。

(参考)日米英のベスト10を読み終えて。
 本ランクは『東西ミステリーベスト100(2012年版)』と『史上最高の推理小説100冊』(1990年英国推理作家協会)と『史上最高のミステリー小説100冊』(1995年アメリカ探偵作家クラブ)の順位を単純に合算したもの。点数はマイ評価 ( )は(日)(米)(英)の順位 
1位 「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー         10点( 5)(12)( 5)
2位 「シャーロック・ホームズ・シリーズ」コナン・ドイル    8点( 3)( 1)(21)
3位 「そして誰もいなくなった」アガサ・クリスティー     10点( 1)(10)(19) 
4位 「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー          9点( 6)(13)(15)
5位 「薔薇の名前」ウンベルト・エーコ             6点( 7)(23)(13) 
6位 「時の娘」ジョセフィン・ティ               6点(39)( 4)( 1) 
7位 「マルタの鷹」ダシール・ハメット             7点(36)( 2)(10) 
8位 「ジャッカルの日」フレディック・フォーサイス       7点(17)(20)(17) 
9位 「ポー作品集」エドガー・アラン・ポー           8点(34)( 3)(23)
10位「月長石」ウィルキー・コリンズ              7点(67)( 7)( 8)

No.10 9点 小原庄助 2020/04/10 09:34
ドキュメンタリーの手法でフィクションを書く。今日では当たり前のこの手法は、本作品で確立されたと言っていい。
現在、書店にあふれている冒険小説、スパイ小説、謀略小説等を読み慣れている人たちにとっては、本作品の文体はそれほど珍しいものではないだろう。しかし、それこそが、本作品の最大の功績である。つまり、新たな手法と文体、そしてジャンルがここに確立されたのだ。
綿密な取材により、描く対象の細部にこだわり、「見てきたような事実を書く」ことは、1970年代に盛んになったニュージャーナリズムの手法だが、フォーサイスはこれをフィクションに導入し、成功した。実際、本作品にあるエピソードの多くは事実に即したものだそうで、どこまでが事実で、どこからがフィクションかは作者しか知らない。
ちなみに映画は原作にほぼ忠実。ストーリーももちろんだが、全体の雰囲気もおさえた演出で、ドキュメンタリー映画のように淡々と、歯切れのいいテンポで、ジャッカルとルベル警視側とを描いていく。

No.9 8点 あびびび 2016/12/04 02:04
冒険小説はあまり好きではないが、名作と呼ばれる作品は手にとってしまう。「鷲は舞い降りた」とか、「深夜プラスワン」とか、「燃える男」は確かに面白い。

この作品はフランスのドゴール大統領を標的にするある殺し屋と、フランス警察の物語だが、ドゴール大統領は暗殺されたのではなく、心不全かなんかで死んだのであって、未遂に終わることはあらかじめ分かっている。

結末が分かっている物語を読む勇気がなく、やっと手にした次第だが、やはり面白さは半減した。しかし、歴史的名作なのははっきりしている。だから評価は下げたくない。

No.8 9点 斎藤警部 2016/11/24 17:00
「わしもだんだんジャッカルの人柄がつかめてきたような気がするよ。」

長い長い物語を走馬灯のように駆け抜ける、著者の人間力爆発の大快作。「噂に違わぬ」なんて陳腐な形容がこれほどどストレートにはまるエン書(エンタテインメント書籍)が他にどれだけ有ることか。
あまりに面白過ぎて、もしも本作の様な最高の謀略サスペンスに孤島の館連続殺人とまさかの叙述トリックまで絡めて「ジャッ角館の殺人の日」みたいなのを人工知能に書かせてみたらその罰としてどんな過酷な天変地異に祟られる事やら、とあらぬ杞憂に囚われてしまうといった有様の今日この頃です。

ジャッカルと言いドゴールと言い、その造形に絶妙な所でリミッターを効かせているのも最高です。と言うかむしろ探偵役筆頭ルベル警視を始めとした準主役、多くの脇役陣を適度にこってりした心理描写のグレイヴィソースに浸したが故の相対的なナニかも知れません。とにかく至る所、バランスの良さが光っていますね。それをこの爆発的面白さとボリュームの大きさと、嗚呼、兼ね備えているってんですから参っちゃう。(おまけにかなりの早書きだったらしいな、本作は)

地位vs権力の逆転水路突破は劇的に沁みました。或る邂逅シーンの、読者にしか分かり得ない限りなき味わいを堪能しました。逆不確定性原理かよ。。と脳が嬉しがる箇所もありました。微妙な謙虚さが混じるさり気ない美食の光景も、私の好きな鮎川哲也のそれと異なるようで似たようで。。

それにしても、、昨日の川崎vs鹿島チャンピオンシップ第一戦を思わせる、思わず「●●●!」と叫んでしまう結末ですな。こりゃ○○○○!

嗚呼、■■の■■(または□□)。

No.7 9点 itokin 2014/12/29 20:59
映画を見ていくつかの決定的場面を覚えているので、小説で感動できるか疑問だったが、なかなか大したもので殺し屋とそれを追っかける警察の駆け引きはサスペンスそのもので結果が分かっていても秀逸だ。読み応え十分と言っておこう。

No.6 8点 E-BANKER 2012/09/08 22:34
750冊目の書評は、国際謀略小説の金字塔とも言える本作で。
実在の仏元大統領、シャルル・ドゴールを暗殺せんとする「殺し屋」ジャッカルと仏警察との息詰まる攻防が印象的。

~フランスの秘密軍事組織OSAは、6回にわたってドゴール暗殺を企てた。だが、失敗に次ぐ失敗で窮地に追い込まれ、最後の切り札として凄腕のイギリス人「殺し屋」を起用した。暗号名ジャッカル・・・ブロンド、長身、射撃の腕は超一流。ジャッカルとは誰か? 暗殺決行の日は? 潜入地点はどこか? 正体不明の暗殺者を狙うルベル警視の捜査が始まる・・・。全世界を沸かせた傑作ドキュメント・スリラー~

分量を感じさせない面白さがある。
文庫版で500頁を超える大作なのだが、さすがに「読ませる」力は並じゃない。
三部構成で、ジャッカルが殺しを請け負い、その準備に奔走する第一部はやや冗長なのだが、第二部に入り仏警察きっての切れ者・ルベル警視が捜査を開始する辺りから急展開、頁をめくる手が止まらなくなる。
勤勉実直を絵に描いたように、一刑事らしいやり方でジャッカルに迫るルベル警視。変装や意表を突く凶器の隠し方など、殺し屋としての才能を存分に発揮し捜査の手をかいくぐるジャッカル・・・
まさに息詰まる攻防戦が二人の視点を通して順に語られていく。

パリに攻防の舞台が移るのが第三部。
ルベル警視の捜査はジャッカルの狡知をもってしても、徐々に追い詰め、万事休すかと思わせるなか・・・
ついに「その日」がやってくる。
ラストシーンは実に「映画的」とでも言うべきか。
こんな劇的なラストが待ち受けるなんて・・・

やはり評判に違わぬ力作というのが正統な評価でしょう。
これからの秋の夜長にはもってこいの一冊ではないかと・・・

No.5 9点 bookmaker 2012/05/28 08:09
ド・ゴール大統領暗殺のために雇われた正体不明の暗殺者ジャッカルの計画とそれを阻止しようとするルベル警視率いるフランス警察との息詰まる対決を描いた傑作小説です。
タイムリミットものとしても出色の出来です。細部の描写も緻密で読み応えがあります。サスペンスファンは徹夜必至の名作です。

No.4 7点 kanamori 2010/07/17 21:29
「フォーサイス、見てきたような嘘を書き」という川柳まで出るほど、ドキュメンタリー風サスペンスで一世風靡した作者ですが、後年発表された近未来風IFポリティカル小説は社会性を持たせた分、風化も早かったようです。
本書は、現代史を題材にしたサスペンスのためか、今読んでも古さはそう感じません。しかし、ベスト12位というのは現在ではありえないでしょうね。

No.3 6点 江守森江 2010/07/13 13:45
昨日テレ東で映画版の放送があった。
冒頭の史実に沿った時代背景描写から、テロ描写に移り、どこまでが隠された事実で、どこまでが創作なのか分からせないあたりは非常に楽しい。
原作は、映画では端折る部分も綿密に描写され読ませる。
しかし、スリラーとして展開を追うと、時代を感じさせるアナログなテロで、ご都合主義に予定調和まで加わる展開に、今では陳腐に思える。
どうせなら史実をひっくり返して暗殺成功にしてしまえば良かったと思える(所詮小説なのだから非難されないだろう)
「ゴルゴ13なら仕留めていただろう」なんて事を日本人なら考えてしまうのも玉に瑕。
※余談
暗殺を企てられるレベルの政治家はケネディにしろドゴールにしろ空港名として名が残る。
そのうち日本でも空港名に名を残す政治家が現れるだろうか!

No.2 7点 測量ボ-イ 2010/02/23 22:48
実在したかつての仏大統領暗殺計画に関するスリラ-小説。
1970年代の代表的名作で、当時一世を風靡したと聞きます。
決して本格推理小説ではないですが、「凶器の隠し方」という
カテゴリでは本格推理に使えるネタが盛り込まれています。

翻訳ものの常として、時折読みづらい箇所は見受けられます
が、前へ前へと読ませるスト-リ-テラ-ぶりは確かです。
事実を基にした小説だけに、どこまでが事実でどこからが
フィクションなのかを想像しながら読むもの一興。
噂に違わぬ名作です。

No.1 10点 こう 2008/12/24 00:09
 これは国際謀略小説、ポリティカルスリラーの最高峰だと思います。
 ドゴール暗殺計画を題材にした作品で実際に暗殺未遂事件があったドゴールを取り上げるだけでなく実在の人物が登場しこの部分は事実ではないか、と思わせる筆致が凄く、また当時の国際情勢の描写などいうことありません。自分が読んだときには既にブームは過ぎていましたがこのドキュメントタッチのスリラーが出た当時は衝撃作だったのは間違いないと思います。
 主人公はプロの暗殺者「ジャッカル」で彼を追跡する刑事との勝負なわけですが当然「ドゴール暗殺計画」なので失敗といった結末は読者は誰でも知っているわけですがジャッカルのプロフェッショナルぶりに見せられ暗殺成功を期待してしまうくらいでした。
 フォーサイスは4作目の「悪魔の選択」からはこれまでの事件を素材にせずいわゆる現代、近未来を描くスタイルに変化しましたがそれほど面白くありませんでした。それはフォーサイスの未来予想図が外れてしまうため仕方ないことだと思います。やはり初期三作とくに「ジャッカルの日」は一読に値すると思います。


フレデリック・フォーサイス
2004年02月
戦士たちの挽歌―Forsyth Collection〈1〉
平均:6.00 / 書評数:1
1994年06月
神の拳
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1979年12月
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戦争の犬たち
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1973年01月
ジャッカルの日
平均:8.14 / 書評数:14