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レッドキングさん
平均点: 5.32点 書評数: 1088件

プロフィール高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.1088 5点 犠牲者は誰だ- ロス・マクドナルド 2026/07/18 06:24
リュウ・アーチャーシリーズ第五弾。偶然、通りがかりに事件に出くわした(ハードボイルド導入としてはチト斬新)探偵。半ば押しかけに事件介入を依頼させる(ここもナカナカ斬新)好奇心展開。西部の寂れた砂漠渓地の小さな町を舞台に、ネットリ絡んだ男女・人間関係と三連続射殺事件。じっくり地道(ここハードボイルドらしい)な事件捜査と、いくらなんでもハードに過ぎる殴り合いと、ちょびっと人物錯視トリックも付く。

※「ハヤカワポケット」の中田訳文、いいんだけど、年代が古いんだろう、"ジーンズ"に説明文添えたり、"自動車用ホテル"や"響尾蛇"に "キャリフォーニア州"、で、「~なんですわ」「ですのよ」女言葉・・ま、これはこれで味わい深い・・

No.1087 6点 終決者たち- マイクル・コナリー 2026/07/15 22:53
ヒエロニムス・ボッシュシリーズ第十一弾。私立探偵から官職刑事に復職・・我が国では考えにくい・・したボッシュ。請け負った仕事は、十七年前に"迷宮入り"した、黒人白人ハーフ女子高生殺人事件の再捜査。残された資料の再読み込みで進行する丁寧なミステリと、浮かび上がった"重要参考人"を餌にした、犯人炙り出し作戦サスペンスが並走し、タイトにして鮮やかなWhoミステリどんでんエンドへ。あの手の最終決着、自分は好きだぞ(^_-) 
※懐かしの憎まれ役元上司・・当初の"実にヤナ奴"設定から、シリーズ進行につれてチョットまるくなってたなぁ・・が、鋭くヤナ奴感増して再登場、と思ったら、あーあ(カワイソ) 

No.1086 6点 ガラスの独房- パトリシア・ハイスミス 2026/07/10 22:54
前半はハイスミス版「死の家の記録」。無実の横領罪で入獄した男と、救済に奔走する妻と弁護士。普通ならば正義 vs 不正の冤罪救済劇で話が進むだろうに、そこはハイスミス、男と妻と弁護士の三角関係が劇をいびつに歪める。後半、出獄後の三角・・いや、男の元上司を含めた・・四角関係の心理葛藤劇が続いた挙句に、ハイスミス恒例の衝動的殺人劇に急転し、さらにノワール-ピカレスク-サスペンスへ疾走する。まったく"勧善懲悪"しない・・いつもどおり・・ゆがみがよく。

No.1085 9点 禁じられた館- ミシェル・エルベ―ル&ウジェーヌ・ヴィル 2026/07/08 08:30
1932年の作品。仏ミステリ史上、「黄色い部屋の謎」以来*の本格物だったとの事で、さっそく・・・
おぉおぉおぉ、こういうんでいいんだよ、いや、こういうのがいいんだよ。密室の不思議のみならず、解明後の感銘が心に残る、そんな満足、久々に味わわせていただきました ٩(*´꒳`*)۶ ・・「三つの棺」「殉教カテリナ車輪」以来と言ってもいいくらいかな・・

*て言っても、「黄色い部屋」(1907年)からこの作品までは25年。この作品からポール・アルテ(1986)までの半世紀の空白期間の方が長いなあ、フレンチ本格。そこいくと、なんだかんだ、"密室の灯"を消すことなかった我が国ミステリ文化、素晴らしきにあらずや。

No.1084 2点 女王様と私- 歌野晶午 2026/07/08 08:26
しまった、「ハサミ男」作者と勘違いし読んでしまった(+o+)   「葉桜の~」作家かぁ(>_<)

No.1083 6点 ひとりで歩く女- ヘレン・マクロイ 2026/07/04 22:04
序盤1/3は半遺言の様な謎の手記、中盤1/3が船内での毒蛇殺人ミステリ、終盤の1/3で、大都会舞台のサスペンスフルなミステリ解明へ。

※ヘレン・マクロイってマーガレット・ミラーとかと「三大女流サスペンス作家」と称されたんだってね・・・うーん、サスペンス作家と言うより、本格ミステリ寄りの心理サスペンスとの"中道連合の人"って感じかな・・・

No.1082 4点 悪意の糸- マーガレット・ミラー 2026/07/02 20:27
「狙った獣」「鉄の門」に続けて、つい、同作家を読んでしまったが、"一気読みリーダブル”小説の人なのね、この作家。今回、ちと、サイコスパイス足りないが・・

No.1081 5点 鉄の門- マーガレット・ミラー 2026/06/30 23:31
"序破急"三部・・冷ややかな心理サスペンス → 診療ミステリ風サイコサスペンス急転 → ミステリ解明エンド・・三部構成のサスペンスミステリ。三部の表題は、猟(=行為)・狐(=ターゲット)・犬(=施行者)、って感じを狙ってるんだろうが、この組合せは・・探偵警部含め・・三重展開を意味するなあ。

※創元文庫(初版)の"登場人物一覧"、脇役姉妹(コーラ、ジャネット)の"姉妹"関係を誤植してるゾ。

No.1080 4点 狙った獣- マーガレット・ミラー 2026/06/29 08:06
あまりに露骨にサイコホラーな登場人物、リチャード・ニーリイや我が国イヤミス祖先筋の様な描写、で、"驚きの人物トリック"エンド、へ。シンプルで"りーだぶる"なの良いが、ミステリとしてはちとシンプルに過ぎるかな、と。
※そっか、"大いなる眠り"や"さむけ"も、この作品の観点から見ると良いのか。

No.1079 5点 インテグラル・ツリー- ラリー・ニーヴン 2026/06/25 22:42
はるか未来の異宇宙。恒星太陽と連星する直径わずか20Kmの中性子星。その周りを環状チューブの如く廻り、酸素・水を含んだ巨大リング空間と、そこに浮かぶ長さ100kmに及ぶ"∫"形状の超巨大樹。巨大樹に棲息する、複数に別れた未来人類と、異世界生物たちの生態系SFにして、人格AI及び過去人類達からの由来を物語る宇宙"ハード"SF。古典「地球の長い午後」や最近読んだ上田早夕里「薫香のカナピウム」など、こういうタイプのSF、好物よ。

No.1078 6点 変身の恐怖- パトリシア・ハイスミス 2026/06/23 23:35
"訳:吉田健一"にホゥ(゚Д゚)、かの吉田茂の長男にして高名な英文学者だからね。それはともかく、心理サスペンス*が、海外放浪アーチスト文学を牽引して行く、パトリシア・ハイスミス王道・・代表作かもしれない・・と言えるかな。クライム小説としては、ウーン・・(ま、点数、オマケ)
*ラスコーリニコフと、彼を、とても司法目的とは思えない、個人的情念から追い詰めてゆく、官憲ポルフィーリーとの胸塞ぐ"サスペンス"駆け引き思い出す。

No.1077 5点 殺意の迷宮- パトリシア・ハイスミス 2026/06/21 22:59
海外放浪の証券詐欺師の四十路男。男の若い妻と、男に亡き父の面影を重ねる旅の若者。ほぼ偶然に異国ギリシア警官を殺してしまった男の、妻と若者を道連れにした逃避行が、ノワール倒叙ではなく、奇怪にしてありふれた三角関係葛藤の心理サスペンスに展開し、第二の衝動的な忿怒殺人を生じさせてしまう。"リプリー"の壮年青年並立ヴァージョンが、"父と子"悲劇映像を掠めて、シュールなカタストロフに急速・休息する。

No.1076 6点 象牙色の嘲笑- ロス・マクドナルド 2026/06/19 22:39
リュウ・アーチャーシリーズ第四弾。暗黒街ボスの初老兄妹、自己憐憫マゾヒズムの医師、資産家御曹司のボンボン詩人、絵に描いたような"ザ・ハードボイルドヒロイン"の二人の女・・過去ある悪女と純心一途な娘・・、登場キャラ達が解りやすく魅力的。行方探し仕事と3件(+2)の殺人事件顛末の纏まりもシンプルで、死体隠蔽トリックのチョイ本格風オマケつき。

※ハヤカワ文庫の訳文についてイチャモン。「どこで手に入れたの?」「どんな車だったの?」・・ハードボイルド探偵と警部の会話にこれはないだろぅ。あと、男達を手玉に取る妖女に、「言えないわ」「いやだわ」ってなセリフもなぁ。(「人の死に行く道」の中田耕治訳は良かった)
※(2026/7/18 追記) 2016年に新訳出たらしい。

No.1075 7点 ゼウスの檻- 上田早夕里 2026/06/17 22:44
デビュー作「火星ダーク・バラード」に続く(続編ではなく)宇宙SF第二弾。前作の"火星ハードボイルドSF"から一転して、木星近辺の宇宙ステーションを舞台に、両性具有(男女性器が左右横並び(';'))のミュータントと既人類との諸軋轢葛藤が主題の"生物SF"・・と言うより、"セクシャリティ人類学SF"かつ"ジェンダー社会学SF"。生物的、生理的、精神的、性志向的、社会的なセクシャリティ複雑錯綜問題が、"哲学的"にSFバトル展開して、実に面白く。

※つい先日、飛鳥部勝則の新作読んで、「占星術」「白夜行」に絡めて、"女流作家には描けないテーマ"云々書いたが、この作品で"軽く"突破されてた(フメイヲハジマス)

No.1074 4点 セプテンバー・ラプソディ- サラ・パレツキー 2026/06/16 22:02
ヴィクシリーズ第十六弾。旧友から依頼の行方不明探し仕事が、ナチスねたと、核・コンピュータ開発秘史に絡む事件に膨らみ、ユダヤ・墺独・米の血族数代にわたる奇譚ミステリと纏めたハードボイルド大作へ展開する。"大作"ではあるが、"纏まり具合"と"ミステリ密度"は・・うーん・・「凍てつく太陽」の方がずっと・・

No.1073 4点 アリアドネの声- 井上真偽 2026/06/13 22:46
大地震に襲われた地下五階層の巨大建築街。取り残された三重(眼耳声)障害の要人女の救出に向かうドローン。操縦するドローン会社員の青年が主役のサスペンス。時間と距離と諸障害(物理的および心理的)の緊迫劇で、結末見事でナカナカに感動的。
"無理だと思ったらそこが限界" 繰り返し出てくるキメ台詞だが、昔、生命保険のCMで、櫻井翔(だか)と細野晴臣(だったか)の、「作曲には限界があると思いますか?」「あると感じたら、それがその人の限界なんでしょうね」てのがあった。

No.1072 6点 アンジェリック- ギヨーム・ミュッソ 2026/06/06 22:19
三部構成のサスペンスミステリ。マンション6階から転落死したバレエダンサー。殺人を疑うチェロ弾きの17才少女。少女から捜査依頼された移植心臓の元刑事。第二部で犯人倒叙のノワールとなり、第三部でミステリ叙述に戻って、このまま解決・・と思いきや、斜め上に2階分ほど駆け上がり、フレンチミステリ技巧的ツイストに"パトリシア・ハイスミス"する。(「リプリー」と違って"勧善懲悪"かつHappyエンドだけどね)

No.1071 8点 封鎖館の魔- 飛鳥部勝則 2026/06/05 06:23
昨年、十数年ぶりに新作長編で復活し、それがまた、随分と張り切って盛った"大作"で、逆に心配したが、間を置かずに発表された今作は、おお、"本来"の飛鳥部勝則・・暗い美術ネタ、歪んだ情緒、露悪的なキャラ、ぐろコミカルな人間関係、見事な本格トリック技巧・・相変わらずの作者であった。
どんな偽悪的な"イヤミス系"でも女流作家ならば書かない(たぶん)様な・・島荘「占星術」サブねたの性別錯視トリックもそうだが・・そんなネタが、Whyダニット中央に居座っていて、エゲツないナぁ思ったが、考えてみたら、東野「白夜行」の主役男女を貫く重要な主題でもあった。

No.1070 5点 ムシカ 鎮虫譜- 井上真偽 2026/06/03 22:32
孤島・因習物ミステリと、生物* SFホラーの混合が、音楽ネタ(なんと)に主導される冒険サスペンス。音大生男女5名(+2名)・巫女集団・半「匿流」窃盗団・・三つ巴の勢力が、偶然4グループにシャッフルされて、ゲームの様な軽快冒険バトルが、多視点描写で楽しめる。宗教ミステリ解明、青春物解決、音楽ネタ決着もナカナカ。
*虫 (昆虫類に限らんのよ 蛇も蛸も"虫"なのよ)襲来パニック、鳥よりコえー

No.1069 6点 ベーシックインカム- 井上真偽 2026/06/01 22:40
AIロボット・遺伝子改良社会・VR進化形・電信人口アイ・・破天荒な異世界ではない、達成想像可能な近未来SFネタの短編集・・思ったら、最終編で全編を連作集に纏めてドンデン~どんでんエンド。全盲の娘とその父親の話が白眉、「過ぎ行く風はみどり色」「暗いところで待ち合わせ」に並ぶほど。

※翌日追記。えっ! 女性の可能性もあんの? この作家・・(まさか(*_*;)

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.32点   採点数: 1088件
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