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レッドキングさん
平均点: 5.32点 書評数: 1064件

プロフィール高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.1064 5点 薫香のカナピウム- 上田早夕里 2026/05/17 21:50
異世界レベルの未来の森が舞台。"古典"「地球の長い午後」直系の生態系SF。地理設定は奇しく(?)も漫画「クレイモア」「進撃の巨人」と同じ。(「別冊月刊少年マガジン」や「アフタヌーン」での漫画化で映えそう)

No.1063 8点 凍てつく太陽- 葉真中顕 2026/05/14 19:00
これまた当サイトで知った作家。主役は大和アイヌ混血の特高刑事。アイヌ村では"シャモ(大和人蔑称)"として、日本社会では"土人(当然に蔑称)"として、両側から差別疎外された男。軍部機密に関わる驚きの陰謀事件に巻き込まれ、冤罪投獄から脱獄サスペンスが展開し、連続殺人事件の真相が、亡国のカタストロフと共に明かされて行く。

”陛下の赤子" "皇国民"として強制的に我が国に同化させされながら、決して"日本人"として受け入れられなかったアイヌ人朝鮮人台湾人etc。つい最近まで、在日の隣国民族を、"ニセ日本人"として、焙り出し晒し嫌悪し拒否し続けながら、当該民族の異国スター・アイドル達を、掌返した様にもてはやし始めた、悍ましき我が民族の厚顔メンタリティ。
"それでもこの国を愛していた" ・・主人公の哀切な呟きの1/3さえにも共感できない、わが怠惰に捻くれた魂の情けなさよ。

No.1062 7点 三体Ⅱ 黒暗森林- 劉慈欣 2026/05/10 19:40
”中国のダン・シモンズ” 劉慈欣の「三体」シリーズそのニ。高次元微粒子:智子 (トモコちゃうよ、ソフォンよ)を“眼”に、4光年の彼方から地球に迫りくる三体文明。三体艦隊の速度は1/100光速で、太陽系への到着は4世紀先の未来。人類の未来を賭けた対抗策は、四人のスーパー・エキスパート"面壁者"の脳内頼り、数世紀見越しのトンデモ作戦であった。絢爛にして壮大(オオブロシキ ^_^; )なSF大作。
※おっそろしく単純な事を明確にしてくれた。「理論上での未来タイムワープ」:己れだけ世界の100倍の速度で"動く"場合、時間進行は1/100となり、己れの1日後には世界は100日先の未来・・だが、なにも世界のX倍で"動か"なくとも、己の速度をゼロにしてしまえば、時間進行もゼロとなり、己れの一瞬のうちに世界は100年先ではないか!そうだよ、単に冷凍睡眠しちまえばいいいんだ!(ありゃ、0で割るなんて有り得ないんか?じゃ、"無限0近似値"ってあたりで(^^;))

No.1061 6点 人の死に行く道- ロス・マクドナルド 2026/05/07 21:51
リュウ・アーチャーシリーズ第三弾。ハードボイルド定石の、行方不明捜し → 殺人事件遭遇 → バトル(大抵は拳銃) → Who・Why・What解明、であったが、初めて、ロス・マクドナルドが"面白い"と思えた。訳者:中田耕治の文体センスの賜物なんだろうが、米国砂漠地帯のドライにして夢幻的な詩情や、西海岸のリリカルな哀愁が、シャープにショットされ、そっち(ブンガク)に心奪われ、ついつい、ミステリ考察おろそかに油断して、ラストどんでん"Who"に、エッと驚かされてしまった・・不覚!(冷静に考えれば極めてワカリヤスイWhoよね (^^;))

No.1060 7点 ぼんくら- 宮部みゆき 2026/05/05 20:44
江戸町奉行の"ぼんくら同心"井筒平四郎が主役の江戸長屋ミステリ。巻頭1/4までは五つの短編・・刺殺された兄と返り血塗れの妹、博打狂いの父と孝行娘、知恵遅れ男児と忠義の番頭、オトコギ溢れる女傑後家とトウだちの元娼婦アダ姐さん、壺信仰と店子たちの出奔・・いずれも、ちょっとミステリアス展開から少しイイ話オチの五短編が続き、ん?短編集?思わせて、全話連結の長編ミステリへと展開して行き、冒頭の殺人事件始め、諸エピソード回収のWhy・Whatダニットがツイスト転回して、爽やかエンドへ。天才探偵の美少年や伝書カラス(ハトでなく^^;)、人間USBメモリー少年が実にファンキー。憎まれ役のヤナやつ岡っ引き悲惨ラストもナカナカに痛快。

No.1059 3点 愛する者に死を- リチャード・ニーリィ 2026/05/03 19:15
リチャード・ニーリィ処女作。出版社経営の男とその娘、娘婿の共同経営者、それぞれの秘書に顧問弁護士、娘の精神科医・・ネットリした男女関係描写で進行する、サイコな娼婦殺人事件。"どフロイト風"精神分析ミステリ根幹に、叙述・アリバイ・変装トリックが少しづつ付くが、「心ひき裂かれて」(あれは面白かった)のインパクトには程遠い。
※原作自体の問題なのか訳者のセンスのせいか分らんが、小説文体「読み心地」がよろしくなく。

No.1058 7点 11文字の檻- 青崎有吾 2026/05/01 22:23
「加速してゆく」実在の悲惨な大事故を背景にした、限りなく「日常的」な謎。 7点
「噤ヶ森の硝子屋敷」ガラス造り館の前代未聞の密室トリックが、Excellent!10点
「your name」あたう限り短い(なんせショートショート)Whoダニットロジック。 6点
「11文字の檻」乙一を思わせる特殊設定拘禁施設での暗号解読ロジック。7点
※他の4作は採点対象外。が、「恋澤姉妹」は、「アンデッドガール・マーダーファルス」作者らしくユニークで、実はこの短編集で一番面白かったりする。

No.1057 6点 ナイト・ストーム- サラ・パレツキー 2026/04/28 22:36
ヴィクシリーズ第十五弾。嵐の夜の墓場、吸血鬼儀式に興じる少女達と心臓をクイで打ち貫かれた死体・・てな魅惑的導入から始まるサスペンスが、恒例の米国”リベラル vs 保守”対立を背景にした連続殺人ミステリへと進み、保守・リベラルそれぞれワケありの過去譚ハードボイルドしたあげく、一気にバトル炸裂して、幻想的ラストショーにエンド。

No.1056 6点 天使と罪の街- マイクル・コナリー 2026/04/27 22:45
ヒエロニムス・ボッシュシリーズ第十作。心臓移植した元FBI男の不審死捜査を導入に、主役ボッシュ・FBI捜査官の女・サイコ殺人鬼"詩人"、三視点で展開する大量猟奇殺人事件。主役ボッシュのニヒルにしてウェットな叙述、まるでジェフリー・ディーヴァーの如き殺人鬼の倒叙、女FBI場面のドライかつアンニュイな描写、前半のハードボイルド具合が素晴らしく、ボッシュ vs "詩人"のラストバトルも、タイトでライトで、All Right !("ディーヴァー・ツイスト"ってのは無いけどね)

No.1055 5点 剣持麗子のワンナイト推理- 新川帆立 2026/04/22 04:36
女弁護士:剣持麗子シリーズ第三弾は連作短編集。
   第一話 「家守の理由」 赤いアジサイの謎と、町の不動産屋の撲殺事件。
   第二話 「手練手管を使う者は」 ホスト給料盗難事件と、ホストクラブ刺殺事件。
   第三話 「何を思うか胸のうち」 印鑑紛失に絡む女の急死と、嫌われ者弁護士の急死事件。("イイ話"も書くのネ)
   第四話 「お月様のいるところ」 認知症老婆と絞首自殺男と「お月様」の謎。
   第五話 「ピースのつなげかた」 針殺人の輪 (諸ピース)と操りネタが全話を連結して、短編集全体で、5点。

No.1054 5点 消える魔術師の冒険- エラリイ・クイーン 2026/04/20 22:41
エラリー・クイーンラジオシナリオ作品集の第四弾。わが国独自の選集とか。
   「見えない足跡("の冒険"は略、以下同)」 模範的な足跡なき"雪密室"殺人の、鮮やかなWho・How. 8点
   「不運な男」 車両事故・銃暴発・毒死・・その都度に遺産が膨らむ相続人への疑惑・・からの・・4点
   「消える魔術師」 大金を賭けた完全な密室家屋からの不可能消失、定番にして見事。 8点
   「タクシーの男」 運転中のタクシードライバー殺しと謎の三人の美女のWhat. 5点
   「四人の殺人者」 自供のおそれある共犯者の毒殺。実行犯Whoのロジック。2点
   「赤い箱と緑の箱」 ルビー盗難事件と赤緑色盲(絵に描いた様なミステリ定番ネタ)の、犯人Who. 3点
   「十三番目のてがかり」 見世物フリーク達の毒蛇殺人と盗難事件、その見世物的な顛末。3点
                                        ・・・で、全体平均で、5点。

No.1053 7点 四つの犯罪/七つの墓場- つげ義春 2026/04/17 17:47
つげ義春の三大傑作として、「海辺の叙景」「ねじ式」「ゲンセンカン主人」をあげたい。

が、「ほんやら洞のべんさん」等 "旅物"、「義男の青春」等 "青少年物"、「無能の人」等 "漫画家物"、「夢の散歩」等 ”シュール夢物”・・それぞれに捨てがたく・・
真の愛好家ならば、「沼」「チーコ」以前の、つげがもっぱら貸本漫画家として描いていた・・ここに挙げられたような・・"ミステリ物"や"時代劇物"etcにも、同等に愛着を持つのだろうが、自分は、そこまでではないかなぁ(^^;

結局は絶筆となってしまった・・随分と前だが・・「別離」のラスト、
" 冬の淡い日射しをうけて 今にも消え入りそうな自分の影を見て ぼくは涙がとどめもなくこぼれた "
は、身にこたえる・・・

No.1052 8点 マーブル館殺人事件- アンソニー・ホロヴィッツ 2026/04/15 22:16
「カササギ」「ヨルガオ」に続く、女編集者スーザン・ライランドシリーズ第三弾。傑作「カササギ」に並ぶ以上に、勝るとも劣らない素晴らしさ。今回も「本編」事件と「作中作」の二本立て構えだが、「カササギ」の"作中作を求めて"、「ヨルガオ」の"本編解釈の鍵としての作中作"に対して、今作は「本編」「作中作」両編が、"相互反照パズル"として並立する、一作二編物。「カササギ」「ヨルガオ」では、両編平等とは言えなかったミステリとしての出来も、今回は、"両方違って両方良く"で、文句なく"一粒で二度美味しい"。

No.1051 5点 倒産続きの彼女- 新川帆立 2026/04/13 22:47
転職する度に会社が倒産する謎のOL。"彼女は誰?" "何が起きてるの?"を探る弁護士探偵団。宮部みゆき高村薫なら、このニ三倍分量の"半社会派本格"に盛るだろうところ、伊坂幸太郎道尾秀介カットのライト"新本格"に仕上がっており・・クレバーかつ器用な書き手なんだろナ。※"剣持"(つるぎ)に、"美馬玉子"(たま)ときて、次は、"鏡"(かがみ)か?

No.1050 6点 魔の淵- ヘイク・タルボット 2026/04/11 22:42
湖のほとりの雪下の山荘。オカルト降霊会と死霊と不可能消失、雰囲気はナカナカにカー。が、時計を分解して、精密な仕掛けを説明する様な、トリック解説がセセこましい。理想を言えば、トリックの解体自体、一つの"美"であってほしく・・・
※エドワード・ホック主催(内輪遊びレベルだったらしい)の"密室(不可能)小説ベスト10"アンケートで、「三つの棺」に次いで第二位とか・・うーん、二位ねぇ(-"-)、でーもこれなら、本格「悪魔を呼び起こせ」、"変格"('_')「赤い右手」、それ以上に、わが「人狼城の恐怖」「監獄島」「密室キングダム」や島荘等の方がずぅっと・・・

No.1049 5点 無実のI- スー・グラフトン 2026/04/07 23:15
キンジーシリーズ "I"の巻。妻殺し容疑の裁判を無罪で切り抜けた被告の夫。ウサンくさ男を糾弾する民事訴訟スケっ人となるヒロイン探偵。地道な有罪証拠探しが、逆に男の無罪証明を掘り当ててしまい、ん? 正邪ドンデン転回? ・・からの・・・。相変わらず諸場面の詳細描写が見事で、アリバイトリック、ラストバトルもなかなかに。

No.1048 4点 引きこもり姉ちゃんのアルゴリズム推理- 井上真偽 2026/04/03 22:59
表紙絵から、"YA物"かとおもたが、"ジュブナイル"超えて、"お子様ミステリ"であった。
小学生向けロジック教育の趣やよし。たーだ、子供の「真のきょういく」にはネ、昔話「三枚のお札」「山姥と馬子」や、"グリム童話"、麻耶雄嵩「神様ゲーム」の魂が必要なのヨ

No.1047 4点 忙しい蜜月旅行- ドロシー・L・セイヤーズ 2026/03/29 07:02
ミステリ言うよりも、殺人事件つきコジャレた毒あるユーモア(終盤チト趣き変調)小説。英国の半可通教養人階級が喜びそうな、古典等引用句*多投セリフの偽悪的味わいも、和文翻訳通すと、なんか隔靴搔痒のイヤミに薄まりイマイチ。こっちの「貴族探偵」、あんまり愉しくないなぁ(-_-;)
*猪俣美江子って翻訳者の文中注解・・詳細にして簡潔・・が実に解りよい。

No.1046 7点 空に浮かぶ密室- トム・ミード 2026/03/26 07:18
"二十一世紀のロースン"長編第二弾。観覧車密室・魔術ショー不可能・楽屋密室・・・ぐっじょぶ!ദ്ദി(^.^) 
(観覧車のオチに至っては、もう、"英国の麻耶雄嵩"^^;)

No.1045 5点 白雪姫と五枚の絵 ぎんなみ商店街の事件簿2- 井上真偽 2026/03/23 22:34
商店街の三姉妹と四兄弟がメインの"日常の謎"系ミステリ続編。前作は、同じ三つの"事件"を、姉妹側と兄弟側から描いた、言わば「多重解釈」趣向だったが、今回は、四兄弟の亡き母が残した五枚の絵を廻る「連続見立て」展開。次々起こる四つの"事件"が、白雪姫・三匹の子豚・赤い靴・おかしの家、四枚の童話画との「見立て」で解釈解明されて行き、五枚目の雪女画ネタで、前四画含めた統一見立てへ収束し始め、改釈解釈・推理対決・転換・再転換で、Happyにエンド。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.32点   採点数: 1064件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(52)
F・W・クロフツ(34)
二階堂黎人(30)
ジェフリー・ディーヴァー(28)
アーサー・コナン・ドイル(26)
カーター・ディクスン(25)
トマス・H・クック(23)
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