皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
レッドキングさん |
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平均点: 5.29点 | 書評数: 980件 |
No.980 | 7点 | アンデッドガール・マーダーファルス3- 青崎有吾 | 2025/09/29 23:05 |
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生首美少女探偵シリーズその三。その一そのニは、一応、中編二章構成だったが、その三の「人狼」章は長編。ドイツの深い森に、滝と崖を隔てて並存する人間寒村と人狼集落。両村で時を同じくして起きる少女連続殺害事件。特殊設定の本格ロジックミステリであり、人狼集落を舞台にしたSFであり、主役トリオが、保険機構の殺戮者男女やモリアーティ派遣の化け物達、村人や人狼達と、五つ巴でバトルする活劇でもあり・・この作家、人気漫画・アニメの超売れっ子原作者になれる力量ありそ。 |
No.979 | 5点 | アンデッドガール・マーダーファルス2- 青崎有吾 | 2025/09/27 22:53 |
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生首美少女探偵シリーズそのニ。
「怪盗と探偵」 伝説宝石めぐる、五つ巴・・「ホームズ・ワトスン」 vs 「ルパン・ファントム」 vs 「モリアーティ・ 切り裂きジャック・カーミラ他二体」 vs 「保険機構の超人男女」 vs 「主役トリオ」 ・・入り乱れての 丁丁発止バトル、ハチャメチャだが、宝石奪取不可能大技トリックの主幹はぶれずに貫かれ・・ 「夜宴」 一応、別章体裁だが、まんま承前・・肉弾バトル、さらにハチャメチャ、とてもミステリとは・・・ ※この若手作家、「人間描けない」本格の人と思っていたら、何というキャラ立ちした面白さ! ま、主人公はじめ、出て来るキャラほぼ全員、「人間じゃない (థഋథ) 」 んだけどね ٩( ᐖ )و |
No.978 | 8点 | アンデッドガール・マーダーファルス1- 青崎有吾 | 2025/09/25 16:00 |
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生首(!)美少女探偵、半鬼の青髪従者青年、無表情無敵のメイド少女、人外トリオが主役。「~館の殺人」シリーズのキャラ不立ち感なんだったんだろて位に面白い・・ライトノベル超えて人気漫画レベル。
「吸血鬼」 ドラキュラ風家族に起きた殺「人」事件の解決依頼を受けた人外探偵トリオ。犯人特定ロジック見事。 「人造人間」 こちらはフランケンシュタイン風設定の密室殺人事件。特殊設定下での密室トリックのロジック。 有栖川有栖・麻耶雄嵩以降の、「新々本格」若手作家達のロジックレベルの高さは、驚嘆すべきだと思うが、中でもこの作家の「簡潔」な「腑に落ちる感」が、飛びぬけて好きだ。 |
No.977 | 5点 | 女囮捜査官 触姦- 山田正紀 | 2025/09/22 23:12 |
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オトリ役の女捜査官、五感シリーズ「触感」の巻。「電車内痴漢→トイレ内絞殺」の連続殺人鬼を追う捜査陣で紅一点(いや二点)の女捜査官・・肩書きは「みなし公務員」(なんじゃそれ)・・。殺人鬼Who?展開が、一転二転三転そして四転・・二転くらいなら普通の刑事ドラマで、三転でも「相棒」等でお目にかかれるが、さすがに四転までは、なかなかに・・。面白かったが、「こういうオチ」かな?と思った通りの、「そういうオチ」であった。
素晴らしき叙述トリック怪作「殺戮にいたる病」程の驚き小説には、ナカナカお目にかかれんねぇ)^o^( |
No.976 | 5点 | 廃遊園地の殺人- 斜線堂有紀 | 2025/09/20 23:07 |
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乱射事件により開業そうそう廃園となった遊園地、二十年を経て廃墟に招かれた男女、お決まりのクローズドなんたら連続殺人劇のWho・Why。過去因縁話と第一人称手記を挟んだ、ちと陳腐な人物トリックともかく、「串刺し」「バラバラ」ネタの方が惜しい。もう一工夫あれば、「妖魔」島荘「魍魎」枢軸の新開拓になってたかもしれない・・そしたら、7~8点行ってた(かな)。 |
No.975 | 8点 | 螺旋- 山田正紀 | 2025/09/18 22:35 |
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地下トンネル水道という「密室」から消失し、二か月を経て海より帰還した屍体。「旧約聖書」見立て殺人に、京極風味の奇譚伝承蘊蓄あっさり版と、連城三紀彦風情景の枯淡版を加味した様な、見事なるホンカク(^^;)密室もの。
※またも、当サイトで知った作家(いままで知らなかった・・結構、名のあるイイ歳の人なんだな) |
No.974 | 4点 | 魔の山- ジェフリー・ディーヴァー | 2025/09/14 17:15 |
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コルター・ショウシリーズ第二弾。今回のテーマはカルト。研修キャンプ場の如き健全な体裁を持ちながら、恐るべき内奥を持つカルト集団。身分を偽り潜入活動を行う、賞金稼ぎコルター。ハラハラどきどき巻を措く能わず、面白い。が、ディーヴァ-らしからぬ、何というノーツイスト・ストレート主幹。探偵でも官憲でもなく「賞金稼ぎ」が謳い文句のはずが、ひたすら無償の正義を動機に、命さえ賭けるヒーロー・コルター。本格物なら、ぜぇーったい最後こうくるか?って捻り・返しさえなく、正義は正義、悪は悪、ラスボスサブボス風は、そのままラスボス・サブボスだった。
※ところで「カルト」、米国の有名な○○ファミリーや●●寺院、我が国の○○教・●●教会はじめ新興宗教および宗教もどき団体、のみならず、かつての新左翼過激セクトからマルチ商法団体、さらには音楽スター・学園運動部から自然保護・健康・ファッション・美容サークルに至るまで諸々様々繚乱にして、貫くのは千篇一律の精神構造。思えば、ナチス第三帝国も翼賛会大日本帝国も規模の大きなカルトだった。悪いが、某ミンシュ主義じんみん共和国および米国某大統領支持派もね。(わたしゃ、最近の我が国セジョウにも、なんとなく、きな臭い風を感じておるよ、「飽きっぽさ」が救いだけどね、今のところ)・・1点、オマケつける。 |
No.973 | 3点 | I’m sorry、mama.- 桐野夏生 | 2025/09/12 23:14 |
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娼家に生まれ、母親も知らず児童施設で育った女。目先の衝動的判断で残虐行為を繰り返し、限りなく無意味な生を送るアンチヒロイン。シュールなまでにコミカルでグロテスクなファルス。それでも、「まだ見ぬ母を求めて」テーマの物語と、Whyネタ女流イヤミス体裁は辛うじて貫かれ・・ |
No.972 | 7点 | ブラック・リスト- サラ・パレツキー | 2025/09/10 23:04 |
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ヴィクシリーズ第十一弾。ヒロイン探偵の依頼仕事が、社会的問題を釣り上げてしまい、FBI・マスコミ・警察を巻込む騒動に発展する。黒人ジャーナリスト殺害事件のWho・Whyミステリにして、十六歳の少年少女 ( イスラム移民の少年と大富豪一族の子女・・米版「ロミオとジュリエット」 ) の逃亡劇に絡めたハードボイルド活劇、かつ、富豪一族の数世代に渡るプチ「百年の孤独」、面白かった。米国史上に度々繰り返される(のだろう)光景、自由・人権の理念と安全・保身の保守主義の相克。マッカーシズム(40~50年代の反共騒動)から、9.11後の反イスラム衝動まで貫く米国の病的ディレンマ・・リベラルにして大富豪の一族、左翼イデオロギストにして威圧的権威主義者、黒人にして共和党シンパ企業主、「かくれホモ」にして右翼愛国運動指導者・・そんな、分裂した社会精神が、今回の物語背景を成す。ヴィクの (おそらくパレツキー自身の)立場であるリベラル陣営の醜怪さも仮借なく抉り出し、敵陣営である保守右翼側への同情・理解も忘れない包括力がヨく。
そして、 齢四十を過ぎたヴィクの「老い」への思い・・「誰もがそこに行き着くのだ・・いずれはそこに行き着く・・逃れることは出来ない」・・苦い思いが、シリーズの最重低音部に澱み出し、今後、どうなってっちゃうんだろ。(だめだ、やっぱり、ミステリ部分を超えてオマケ付けざるを得ない・・どうしよ) |
No.971 | 4点 | 逃亡者のF- スー・グラフトン | 2025/08/31 00:59 |
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キンジー・ミルホーンシリーズ "F"の巻。17年前の殺人の冤罪をはらすため、真犯人探しという難題依頼を受けたキンジー。美しく性的「奔放」だった被害者女子高生の過去に繋がる、海辺の小共同体の男女達。見苦しくも痛ましい男と女の実相が、新事件の展開と共に暴かれて行き、唐突な真相解明を迎える。ちょびいっと本格物の匂い(ニオいだけね)がした。 ※「 女に生まれて唯一不便なのは、立ったまま用が足せない事 」 ・・いいなあ相変わらず・・(^^♪ |
No.970 | 4点 | ネヴァー・ゲーム - ジェフリー・ディーヴァー | 2025/08/27 05:02 |
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コルター・ショウシリーズ第一弾。懸賞金付き行方不明捜しを生業とする、賞金稼ぎコルター・ショウ。リンカーン・ライムの科学分析や、キャサリン・ダンスの表情仕草透視に相当するショウの「武器」は、判断岐路の際に諸可能性を「%」で見積もる「確率」、これが、意外と説得力ある(だって、当たらなくてもイイんだもん(^O^))。行方不明事件が連続誘拐、殺人事件へと発展し、おっ、ハードボイルドパターンに縮む?思わせ、そこはディーヴァー、巨大ゲーム産業の闇とを繋ぐツイスト展開。が、敵役「ゲーマー」がチト期待外れ・・「ねずみ男=ΘτΘ=」言うのがシリーズラスボスらしい、で、オチはクリスティ特許(多分)の有名古典ネタと「エンプティ・チェア」の複合技であった。相棒となる黒人レズビアン刑事のキャラがよい。 |
No.969 | 3点 | 動く標的- ロス・マクドナルド | 2025/08/24 22:11 |
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リュウ・アーチャーシリーズ第一弾(処女作ではないらしい)。行方不明捜し → 身代金誘拐事件 → 殺人事件とアクション → 劇画風どたばたツイスト・・絵(銭湯ペンキ絵)に描いた様なハードボイルド。ハンフリー・ボガードしかめ眉ヅラとも、「さむけ」アーチャーとも違う、痩身・繊細キャラのプロトアーチャー。「小さな危機が好きなんだよ・・支配できて、手なずけられる、チッちゃな危機がね」・・ゴルゴ系コワモテ役者よりも、大泉洋・堺雅人あたりが似合いそ。 |
No.968 | 7点 | ビター・メモリー- サラ・パレツキー | 2025/08/18 22:03 |
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ヴィクシリーズ第十弾。キンジーシリーズ”E”の巻同様、保険金詐欺事件が主幹。が、そこは、グラフトンに比べて重層的なパレツキー、旧ユダヤ難民の失われた過去探求譚が隣立し、ユダヤ人問題(欧州での迫害)と黒人問題(米国での差別)が背景を成す。E・トッド言うところの「黒人を向こう側に疎外する事によって、ユダヤ人を(欧州とは違い)こちら側に許容した米国」の深刻なディレンマ。もしかしたら、" 日本人(および東アジア人)を疎外する事によって、黒人を仲間として許容した ”てなパラレル別歴史も有り得たかもしれん米国。さらに、「催眠療法による抑圧された忘却の追想」 vs 「誘導により虚構された偽の追想」論争のテーマまでが重層し、すごいなぁ、サラ・パレツキー。たんなるハードボイルドを大きく超えちゃってる。 |
No.967 | 5点 | 証拠のE- スー・グラフトン | 2025/08/14 00:29 |
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キンジー・ミルホーンシリーズ "E"の巻。今回の話は、火災事故調査という、ごく普通の探偵仕事が、「保険金詐欺共謀」冤罪の罠に巻き込まれ、自己防衛の為、真相究明に東奔西走するヒロイン・キンジーの冒険譚。一証人とコンタクトする為にさえ、合法・違法・脱法・寝技・足技とり混ぜ、惜しむことなく多投する、その細やかな探偵技法の描写が良い。トビキリ美男の前夫へのビターな塩対応だが、" 美しい男は、ゲイか、どうしようもないナルシスト "はチトへんけんでね? |
No.966 | 7点 | 文学少女対数学少女- 陸秋槎 | 2025/08/10 22:02 |
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数学の天才女子高生と、校内誌編集長女子高生の、ミステリを「めぐる」、ミステリに「関する」、作中作付き短編集。
「連続体仮説」 たとえば、「もしAが犯人ならばAはXを行う必要がある(ない)」てなロジックだが、Aが「必要」という価値判断に従うか否かを決定する公理はない。さらに、どう見ても「無意味」な行為Yや、己に不利となる行為Zを、「Aが行うはずがない」という合理的判断さえ、それを保証する公理はない。名作「シャム双生児の謎」や「スイス時計の謎」、青崎有吾はじめ我が国の若手ロジック名手達も、結局のところ、そうである様に、ミステリ小説(=公理体系)における最終結論は、作者次第=言ったもん(書いたもん)勝ち。で、「数学は自由である・・」 8点。 「フェルマー最期の事件」 結論が正解ならば、そこに至る証明手順に瑕疵があっても "That’s OK、It’s OK "。もしかして、ファイロ・ヴァンスの「現象学的本質直観(ハイデガー言うところの ” 己自身を現す者を、それ自身の方から語らしめる ”)」の方が、クイーン以下ロジックによる論証より「手堅い」のかもしれん・・ほんとか? ※その結論の証明の完成を、遥か数世紀後に委託して、数学はそれで良いとして、ミステリ小説は、作者=神が作中でお墨付きを与えて、なお良いとして、これを、現実の犯罪に当てはめた場合、近代司法の証拠と論証による裁判より、江戸奉行おかっぴきの「勘と見込みと拷問」の方が「手堅い」てな結論に(;゚д゚)・・・ 5点。 「不動点定理」 ん? 結果の存在は証明できても、そこに至る過程は証明不能て・・・採点不能。 「グランディ級数」 探偵の数以上に「正解」のあるミステリテキスト。なんちゅう「メルカトルかく語りき」 8点。 ※この作家、中国では理系育ちだったんかな(たしか、古典文献学畑だった様な)。「メルカトルと美袋のための殺人」「メルカトルかく語りき」を継承させたら、結局こういう事にならざるを得んよなぁ。もしかしたら、理系(て言うより「数学系」)の人には書かせない方が良いのかもしれん、ミステリ小説。(ワルいな、麻耶) |
No.965 | 8点 | 雪が白いとき、かつそのときに限り- 陸秋槎 | 2025/08/05 22:24 |
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ミステリマニアの生徒会長女子高生と、人生を半ば諦めたシニカルな図書室女司書の、ライトでニヒルな応酬で進行する、5年を隔てた二つの・・瓜二つの様で似て非なる・・女子高生「密室」殺人事件の解明。中国の・・現在は日本在住らしいが・・クイーン(精密ロジック)麻耶雄嵩(偏執ロジック)にして、クリスチアナ・ブランド三津田信三(ダミー解決波状展開)。しかも、密室トリックに絡めたロジック展開、いいねぇ。「虚無への供物」匂わせるホンノリとアンチミステリな「アマデウス」的動機。エピローグで、あれ?メタ飛翔(=本格的アンチ逃避)しちゃう?訝らせておいて、ちゃんと、フィクション土俵に留まるところも、また、よし(ところで「秋槎」って男女共有名なのか?)。これを、麻耶雄嵩以下、日本の新本格・新々本格・ポスト新本格の作家達が書いていたら、絶対、ライトなノベルに仕上げた事だろうに、愚直に、等身大の高校生描写に徹している。(それは良いのだが、和訳の「~なの」「~だわ」女言葉が頂けない。サラ・パレツキーの訳でも思ったが、彼女たちには「~だ」の男言葉で喋らせてほしい。)
犯人特定の「必要条件=(Aであり得る)」と、「十分条件=(A以外あり得ない)超えて(notA は在り得ない)」の明晰判明な識別。ミステリにおける「密室」存在の愚直な認識もGoodで、断固点数オマケしちゃう。 ※X-Japan、AKB、森高千里ともかく、森田童子「僕たちの失敗」まで出て来るとは・・・(^^♪ |
No.964 | 5点 | 同志少女よ、敵を撃て- 逢坂冬馬 | 2025/07/30 22:24 |
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「史上最も凄惨な地上戦」独ソ戦を舞台に、ソ連精兵の狙撃手少女をヒロインにした戦争小説。大岡昇平「野火」やノーマン・メイラー「裸者と死者」より面白く、「ベルセルク」や「クレイモア」、「進撃の巨人(イェーガー!)」や「キングダム」と比べてさえ、さして劣ることなく面白かった。
「アガサ・クリスティー賞」受賞作とか。(そんな賞、あったんだね、知らなかった。クリスティーの名を冠してるって事は、やっぱり「ミステリ作品」対象にしてるのかな・・) ※NHK「映像の世紀」で、ちょうどこの独ソ戦テーマの作品が放映されてた。小説にも登場するニキータ・フルシチョフや、女兵士(あれ、リュドミラ?)らしき映像も映っていて、なんか「感無量」に・・・。 |
No.963 | 7点 | ヴェネツィアで消えた男- パトリシア・ハイスミス | 2025/07/27 22:39 |
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謎の自殺を遂げた女流画家。遺された父親と夫の間の、ありきたりにして不可解な確執。シニカルな冷笑の次の瞬間に訪れる忿怒・・古代支那なら「怒髪衝天」と表現した様な・・忿怒。およそ和解など考えられない確執の情念の行き着く先は・・・。
” 愛とはエゴの贈り物であり、それに返礼してくれる者か、最初から見返りを期待しない相手にのみ投げかけるべき物 ”・・うーん、何という哲学的真理の文学的表現・・パトリシア・ハイスミス、やっぱ、すげぇ。ミステリどころかサスペンスさえしてないが、点数大オマケ(こんなのばかりだナ、チト抑制せねば) |
No.962 | 5点 | 欺しのD- スー・グラフトン | 2025/07/20 23:19 |
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キンジー・ミルホーンシリーズ "D"の巻。「欺し=D(ダぁ)マシの"D"」ね(いろいろ無理あるが)・・原題は「"D" is for Deadbeat」 = 「D(ダぁ)めクズの"D"」ってとこかな・・。半浮浪者・半詐欺師の様な男からの仕事依頼 → 依頼人の怪死 → 事件究明へ物語ツイスト → 過去譚と連結した事件の真相解明、と起承転結するシンプルなハードボイルドで、ちよっと(ほんのチョビーっと)Whoトリックも付く。米国の底辺クズ白人男女の「細やかな」リアル描写が見事で、ヒロイン自身の半汚れ(と言うより2/3汚れ)語りもよく・・ゴミ置き場トレーラーで暮らすムショ常連男との「f●ck」を夢想し、妻子持ち警官との夜通し「fu〇k」で心身をリフレッシュする、ファンキーなダーティ具合がよく・・今回も点数オマケ。 |
No.961 | 4点 | 読後焼却のこと- ヘレン・マクロイ | 2025/07/15 06:26 |
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女流作家が購入し、男女数名の文筆家が間借りする屋敷で起こる喉裂き殺人。読後は焼き捨てる旨の指示がある「ネメシス(復讐の女神)」暗殺提案の手紙断片。もちょっと工夫・・マクロイには無理か・・があれば、「モルグ」「まだら」系(+「バスカヴィル」)新機軸もできたかもしれない、マクロイ最後の作品。
※ヘレン・マクロイ、嫌いじゃないけどなぁ・・もし、彼女が、クリスチアナ・ブランド並みのトリッキーな本格技を兼ね備えてたら、ドロシー・セイヤーズ言うまでもなく、クリスティーどころか、P・D・ジェイムズ位に、好きな女流ミステリ作家だったろうに・・・んな、贅沢言っちゃ、イカン(^^; |