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[ 本格 ]
元年春之祭
陸秋槎 出版月: 2018年09月 平均: 6.75点 書評数: 4件

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早川書房
2018年09月

No.4 8点 八二一 2022/02/04 20:22
長安の都を離れ渓谷で暮らす祭祀を司る一族をめぐって起きる殺人事件の顛末が、中国の古典を紐解くように語られていく。不可能犯罪を扱い、読者への挑戦状を二度も挟むなど、堂々たる歴史ミステリに仕上げている。

No.3 7点 ボナンザ 2020/09/27 22:21
推理ゲームとしてよくできている。キャラクターは結構癖があるが、そうでないと話成立しないので仕方ない。

No.2 6点 猫サーカス 2019/01/24 18:06
紀元前の中国を舞台に、古い名家を訪れた豪族の娘が、一族に起こる連続殺人事件に挑む物語。読者への挑戦状を挿入する演出、丁寧な謎の構築と、ミステリーというジャンルへの強い愛着を感じさせる。日本のミステリーに影響を受けたという作者ですが、少女の人物描写には日本のアニメの影響も色濃く見られ、古代中国を舞台とした外国の小説ながらも、現代の日本人読者にも馴染みやすいでしょう。

No.1 6点 nukkam 2018/10/05 22:18
(ネタバレなしです) 中国の陸秋槎(1988年生まれ)が2016年に発表した長編デビュー作の本格派推理小説で非常に力作です。作中時代は紀元前100年の前漢時代です。4年前に観家で起きた四重殺人事件の謎が早い段階で語られ、不可能犯罪要素もあります。しかし漢詩や人生哲学に関する議論がとても難解で、謎解きに集中しにくいプロットはどこかヴァン・ダインを連想しました。探偵役に若い女性を配し、他の登場人物も女性の描写に多くのページを費やしていますが、美しさや華やかさや抒情性はほとんど感じられません。激しい人間ドラマが息苦しいほどで、探偵役の於陵葵は使用人に容赦なく暴力を振るうし、友人の観露申はどんどん憎悪に染まっていくしと読んでてはらはらします(それも作者の計算の内でしょうけど)。中盤からは新たな事件が起きて2度も「読者への挑戦状」が挿入されるなどミステリーらしさが加速、しかし真相が明らかになってめでたしめでたしではなく、事件の悲劇性と動機の重苦しさが余韻となって残る作品です。余談ですが巻末の著者あとがきを読むと日本のミステリー(特に新本格派)の影響を受けているようで、同じ日本人してちょっぴり誇らしく感じました。


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陸秋槎
2023年02月
ガーンズバック変換
平均:7.00 / 書評数:1
2021年11月
盟約の少女騎士
平均:4.00 / 書評数:1
2020年12月
文学少女対数学少女
平均:6.00 / 書評数:3
2019年10月
雪が白いとき、かつそのときに限り
平均:6.00 / 書評数:2
2018年09月
元年春之祭
平均:6.75 / 書評数:4