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[ 警察小説 ] シティ・オブ・ボーンズ ハリー・ボッシュ刑事 |
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マイクル・コナリー | 出版月: 2002年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 4件 |
早川書房 2002年12月 |
早川書房 2005年02月 |
No.4 | 6点 | E-BANKER | 2019/04/27 12:48 |
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ハリウッド署刑事ハリー・ボッシュシリーズの第八作。
一作目から読み継いで来たボッシュ刑事の物語は今回どのような展開を見せるのか・・・ 2002年の発表。 ~丘陵地帯の奥深く、犬が咥えてきたのは少年の骨だった・・・。20年前に殺された少年の無念をはらすべく、ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュは調査を始めた。まもなくボッシュは現場付近に住む児童性愛者の男にたどりつくが、男は無実を訴えて自殺を遂げる。手掛かりのない状況にボッシュは窮地に立たされ・・・。深い哀しみを知る刑事ボッシュが、汚れ切った街の犯罪に挑む~ “骨の街” 作中でボッシュがLAの街を指して放った言葉である。 いったいどういう意味なのか? それを探るのが本作の裏テーマのように感じた。 今回は20年も昔の事件がテーマ。そんな過去の事件にボッシュを駆り立てたのは、被害者の少年の「骨」に残された無残な虐待の跡の数々・・・。不幸な少年時代を過ごした自分自身の姿と重ね合わせることで、この事件の解決に命を賭すことになる。 「骨」に残された傷跡は、あるひとつの不幸な家族の過去をあぶり出す。 大都会LAの街には、様々な犯罪や不幸、不運が日常茶飯事に起き、それがこの街に住む人々の「骨」にまで刻まれていく・・・ ボッシュの捜査行のなかで出会った人々も例外ではない。 いかん。何だか必要以上に感傷的になってしまった。 それもこれもラストシーンのせいかもしれない。 今後どのような展開を見せるのか分からなくなるようなボッシュの突然の行動。 やっぱり、どこまでいってもボッシュはボッシュなのだと言いたかったのか・・・ 他の方も触れられてますが、本作は警察小説の色合いも濃い作品。 日本でもアメリカでも組織は組織のために動いているし、トップに近づけば近づくほど組織を守ろうとする。 一匹狼的存在のボッシュですら、昇進を知らされれば心は沸き立つ・・・ そういう意味ではサラリーマンと変わらないんだねと妙に納得。 というわけで、次作ももちろん期待大だけど、本作の評価としてはやや微妙かな。 |
No.3 | 7点 | Tetchy | 2018/04/22 23:43 |
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今回の捜査において古い骨の鑑定が据えられている。これは恐らくアーロン・エルキンズのギデオン・オリヴァー教授シリーズの影響でもなく、またジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズのヒットによる影響でもなく、当時大いにヒットしていたTVドラマ『CSI:科学捜査班』の影響があったのではないだろうか。
家庭の中に隠された悲劇がボッシュは自身の捜査で明るみに出される。虐待された少年の遺体から家族の中で隠され、守られてきた秘密が明かされる。 この辺の展開は今までコナリーが敬意を払っているレイモンド・チャンドラーの諸作品よりもむしろハードボイルド御三家の1人、ロス・マクドナルドの作風を彷彿とさせる。 また本書が発表された時期にも注目したい。本書の原書が刊行されたのは2002年。そう、あのニューヨークの同時多発テロが起きた翌年である。本書にも言及されているが、3000人もの人が瓦礫に埋もれて亡くなったテロ事件である。 そんな大量死の事件を経たからこそ、30年前に埋められた身元不明の少年の死の真相を探る事件が敢えて書かれたのではないか。 いわば一己の人間という尊厳が失われる大量死が実際に起きたからこそ、敢えて名もない少年の、30年前に埋められた少年の素性を探り、そしてそこに隠された真実を追い、そしてその骨を埋めた犯人を捕まえることがその少年の尊厳を守ること、そしてその死体に名を、人間性を与えることになるからだ。ニューヨークの世界貿易センタービルの下には今なお瓦礫に埋もれて忘れ去られようとしている名を与えられていない遺体が沢山いることだろう。コナリーはそんな人たちへの鎮魂歌として掘り出された骨の、かつて人間だった少年を殺した犯人を探る物語を描いたのではないだろうか。 これはまさに笠井潔氏が唱えた『大量死体験理論』の正統性を裏付けるかのようだ。やはり大量死の発生が1人の人間の死の真相を探り、尊厳を与えるミステリが書かれる原動力となるのかもしれない。 本書のタイトルもまたこの大量死から生まれたように感じる。 シティ・オブ・ボーンズ。骨の街。 本書では埋められた子供の骨が見つかった丘を方眼紙で区分けして骨が見つかった場所をプロットしていく作業を鑑識課員の1人がまるで道路やブロックを置いていくようで街を描いているように感じるから、骨の街と名付けたと話している。 しかしこの名前は同時多発テロ後のその時だからこそ付けられたタイトルではないだろうか?テロが起きたニューヨークの街は3000人もの人が亡くなった街だ。それはつまり数限りない骨が埋められた街を指している。舞台はロサンジェルスだが、このような無差別テロが起きるアメリカはどこも骨の街であり、また骨の街になり得るのだと哀しみを込めてコナリーが名付けたように思える。 |
No.2 | 4点 | あびびび | 2015/01/06 11:49 |
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はじめてのマイクル・コナリー、ハリー・ボッシュ刑事だったが、違和感なく読めた。犬が人間の骨をくわえてきて、その場所に埋められた死体を巡る捜査が開始されるわけだが、全体的に盛り上がりに欠け、たどり着いた犯人も定番中の定番…。
実際の事件はこんなものだろうが、小説としては少し退屈だったかも。 |
No.1 | 7点 | 空 | 2012/02/03 21:21 |
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第1作から読んだ方がいいと言われているコナリーですが、まず読んでみたのはこのボッシュ刑事もの第8作です。すぐ手に入るのが本作だったもので…
通常ハリーと呼ばれていますが、正式にはヒエロニムス・ボッシュなんですね。この名前は『快楽の園』が有名な15~16世紀の画家ですし、他にもドラクロワ(と言えば当然19世紀フランスの画家です)なんて人も本作では重要な役割で、この作家、美術にちなんだ登場人物名にこだわっているのでしょうか。 一般的にはハードボイルドと言われているようで、確かに文章はそれっぽいですし、ボッシュ刑事の人物造形もそう言えるでしょう。しかし一方で、細かい検視結果や警察内部の人間関係、ストーリー展開などは警察小説的だと思います。 その二転三転する展開はおもしろく読めたのですが、実は疑問もあります。クライマックスを含めあいまいな点が2か所、その2か所が関係し合っているのですが、どうもすっきりしません。 事件終了後のラスト・シーンには驚かされましたが。 |