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[ ハードボイルド ] 暗く聖なる夜 ハリー・ボッシュシリーズ |
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マイクル・コナリー | 出版月: 2005年09月 | 平均: 7.25点 | 書評数: 4件 |
講談社 2005年09月 |
講談社 2005年09月 |
No.4 | 6点 | E-BANKER | 2020/02/14 23:27 |
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ハリー・ボッシュシリーズもこれで九作目に突入。
しかも、今回から「刑事」ハリー・ボッシュではなく、「私立探偵」ハリー・ボッシュとなる。 まぁ刑事だろうが、私立探偵だろうが、ボッシュはボッシュなんだろうな・・・ 2003年の発表。 ~ハリウッド署の刑事を退職し、私立探偵となったハリー・ボッシュには、どうしても心残りな未解決事件があった。ある若い女性の殺人事件とその捜査中に目の前で映画のロケ現場から奪われた200万ドル強盗。独自に捜査することを決心した途端にかかる大きな圧力、妨害・・・事件の裏にはいったい何が隠されているのか?~ いろいろあって、なぜが刑事から私立探偵へ転職したボッシュ。 ただ、むしろ私立探偵の方が合っているんじゃないか? 公務員や組織としての縛りがなくなって、さらにパワーアップした印象だ。 もちろん、刑事の時には与えられていた捜査権限はなくなったんだけど、そこは何だかんだうまくやって捜査は進んでいく・・・ 事件は過去に発生した未解決事件。 ボッシュの琴線に触れたまま事件は葬られるはずだったのだが・・・ 捜査を進めるボッシュの前に立ちふさがるFBI。いつもの展開だ! そして事件が意外な展開を見せる中盤以降、物語は急激にスピードアップしていくのだ。 うーん。 この辺りは本シリーズでの予定調和という面もある。サプライズ感では従来よりやや薄味かな。 プロットとしてもそれほど複雑なものではない。そして、やっぱりラストはド派手な銃撃戦。 ボッシュもなぁー、あんなことしたらそりゃ銃撃されるだろ! 本作一番の白眉は邦題かもしれない。 作中にも登場するルイ・アームストロングの名曲「暗く聖なる夜」。 いい詩だねぇ・・・。ひとり夜聞けば、心に深く染み入ること間違いなし。 ということで、新章に突入した感のある本シリーズ。どちらかと言うと、本作は序章という雰囲気なので、次作以降さらなるドラマが待ち構えている・・・はず。 |
No.3 | 6点 | あびびび | 2019/08/29 21:25 |
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ハリーボッシュは、正義の男。今回は刑事から探偵となり、過去の事件を捜査するのだが、一種のジャンキーのようなところがあり、解決のためにはあえて危険地帯に入り、自分と周囲を危険にさらす。まあ、物語としてはその方が面白いのだけど、毎回これだと飽きが来るかもしれない。 |
No.2 | 10点 | Tetchy | 2018/06/24 22:10 |
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ハリー・ボッシュシリーズ9作目はボッシュがハリウッド署を、刑事を辞めて私立探偵になった初めての事件。ボッシュ自身の過去の事件に決着をつけた後の『トランク・ミュージック』がシリーズ第2期とすれば、本書はボッシュシリーズ第3期の始まりの巻だと云えるだろう。
そして本書はボッシュの一人称叙述で語られる。つまりこれはボッシュが私立探偵となったことでこのシリーズが今までの警察小説ではなく、私立探偵小説となったことを宣言するために意図的にコナリーが選択したことだろう。 上で本書はボッシュシリーズ第3期の幕開けと書いたが、それぞれのシリーズの幕開けには常にこのエレノア・ウィッシュが登場する。デビュー作は無論のこと、『トランク・ミュージック』はエレノア再会の作品で、結婚を決意する物語。そして本書は別れた妻と再会する物語だ。つまりボッシュの人生の節目にエレノアは綱に現れる。いやボッシュがエレノアを見つけ出すと云った方が正確か。何にせよエレノア・ウィッシュはこのシリーズの“運命の女”だ。 今回の原題“Lost Light”は前作『シティ・オブ・ボーンズ』で登場した言葉だ。“迷い光―個人的には“迷い灯”の方がしっくりくると思うのだが―”と訳されたその言葉はボッシュがヴェトナム戦争でトンネル兵士として暗いトンネルの中にずっと潜んでいた時に見た光のことを指す。つまりそれは埋もれた過去の未解決事件という暗闇に新たな光が指すことを意味しているのだろうが、今回は邦題の方に軍配を挙げたい。 ルイ・アームストロングのあまりに有名な曲“What A Wonderful World”の一節“Dark And Sacred Night”から採られているが、この曲が本書では実に有効的に、いやそんな渇いた表現はよそう、実に胸を打つシーンで使われているからだ。 絶望の中にも聖なる夜はある。暗いながらもそこには希望がある。そんなことを想わせる、実にいい邦題である。 しかし毎度のことながらこのシリーズのストーリーの緻密さには恐れ入る。上に書いたように3つの事件がきちんと整合性をとって結ばれることは勿論のこと、上述した以外にも物語に散りばめられたエピソードが有機的に真相に至るピースとなって当て嵌まっていくのだ。単なる蘊蓄かと思っていたくだりさえも、これがある些細な違和感を解き明かすカギとなるのだから畏れ入る。 いつもながら勝手気まま、傍若無人ぶりな捜査で周囲を傷つけ、そして仲間を得ては失っていくボッシュが妻と娘と云う愛し、護るべき存在を新たに得たことでどんな変化が訪れるのか。 私の心には既にボッシュシリーズが深く刻まれている。そしてそれは当分消えそうにない、エレノアが「心に刻まれたものは決して消えない。」と云ったように。 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2010/10/04 18:17 |
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前作「シティ・オブ・ボーンズ」でロス市警を退職したハリー・ボッシュの私立探偵としての第1作。
シリーズも9作目でマンネリ回避の意味もあると思うが、私立探偵ものということで、初めてボッシュの一人称形式になっています。 ただ、プロット自体は刑事時代のものとさほど変わらず、未解決事件の再調査の過程で予想外の真相が浮かび上がるというもの。年末各種ベストテンの上位に入った作品ですが、出来はシリーズの標準作だと思います。まあ、期待が大きすぎたのかもしれませんが。最後のエピソードはシリーズ読者にとって感涙ものではありました。 ちなみに本作下巻では、ロバート・クレイスが生み出した私立探偵エルヴィス・コールがカメオ出演するオマケの趣向があるので、お見逃しなきよう。 |