皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 短編集(分類不能) ] 帝王 |
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フレデリック・フォーサイス | 出版月: 1982年09月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
角川書店 1982年09月 |
角川書店 1984年05月 |
No.2 | 7点 | いいちこ | 2023/10/23 15:29 |
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とにかく収録されている8つの短編に外れがない。
いずれの作品も、ミステリ風のプロットの完成度が高く、かつ軽妙さ・洒脱さが感じられ、ラストの捻りも決まっている。 また、登場人物が抱える心の傷・弱さが読者の共感を強く訴えるような筆致となっている。 とくに、世評の高い「免責特権」「帝王」を高く評価したい |
No.1 | 7点 | E-BANKER | 2019/12/17 20:01 |
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~冒険、復讐、コンゲーム・・・短編の名手としても定評のある著者が“男の世界”を描き、小説の醍醐味を満喫させる、魅力の傑作集~
と紹介されている作品集。どんな「男の世界」が登場するのか? (いかにも汗臭そうだな・・・) 収録作は1972~1982年までの発表。 ①「よく喋る死体」=強制退去させられた家屋から発見されたミイラ化した死体。家主の老人は完全黙秘。捜査官は状況証拠から真相に迫るが、家主の妻と目された死体は別人と分かり・・・。最後の一行で反転させられるところがミソ。 ②「アイルランドに蛇はいない」=そうなんだ! で?内容はというと、ずばり「因果応報」かと思いきや、割とブラックなラスト一行、っていう感じかな。(想像すると気持ち悪い!) ③「厄日」=こちらはまさに「因果応報」。でも、最初に「厄日だ」と思った人物でなく、違う人物が「厄日だ!」と痛切に思うことになる・・・。ご愁傷さまです。 ④「免責特権」=根拠のない誹謗中傷記事を書いても、大新聞社の特権に守られて素知らぬ顔の新聞記者。そんな奴に強烈なしっぺ返しを食らわせるべく、男は立ち上がった! そして図書館通い・・・。でも本当にギャフン(死語)と言わせる。 ⑤「完全なる死」=よく見るプロットと言ったらそうなんだけど、最後には気分がスゥーッとする。(いわゆる勧善懲悪) 超高齢化が進む昨今、自分で自分の死後の準備をしておきたいものです。 ⑥「悪魔の囁き」=これもなかなか気が利いてる。お堅い「判事さま」が徐々に賭け事に熱くなっていき、最後には・・・ということなんだけど、出来のいいコントのような一編。 ⑦「ダブリンの銃声」=これが中では一番地味。いわゆる“最後の一撃”なんだと思うんだけど、これは欧米人なら分かるのだろうか・・・ ⑧「帝王」=いやぁー、分かるよ! 分かるんだけど、大丈夫か? 銀行の支店長という職を捨てて島の漁師に弟子入りなんて! いくら我が儘で全く愛情のない妻と離れるためとはいえ・・・。それを決断させたのが「帝王」なのだ(何のことやら?)。 以上8編。 うん。面白い。「短編の名手」という言葉は正しい。 どれもプロットが旨いし、ラストの捻りが決まっている作品ばかり。 何より、作者の腕前を感じるのは人物造形。 みんなどこかに傷や弱みを抱えていて、こっちも読んでるうちにシンパシーを感じる仕掛けになっている。 さすがフォーサイスだね。シリアスな長編もいいけど、こんな軽妙な短編も書けるんだ。 これぞ「一流」作家ということでしょう。 (個人的ベストは⑧かな・・・。痛切にシンパシーを感じてしまった) |