皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
文生さん |
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平均点: 5.85点 | 書評数: 472件 |
No.472 | 6点 | 図書館に火をつけたら- 貴戸湊太 | 2025/02/11 13:21 |
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市立図書館で火事が発生し、火元の地下書庫で身元不明の焼死体が発見される。しかも、頭部に殴られたあとがあるにも関わらず、現場は密室で...。
密室殺人ものですが、トリック自体は大したことはありません。メインはなぜ現場を密室にしたのかというホワイダニットと図書館に残っていた人間のうち誰が犯人かというフーダニットです。そして、その答えを導く推理がなかなか凝っています。関係者を一堂に集めて犯人ではありえない人物を一人一人除外していく消去法推理なのですが、容疑から逃れるために偽の手がかりを残すといった後期クイーン問題まで踏み込んで推理しているのが面白い。それに、ホワイダニットがフーダニットと密接に繋がっているという趣向も秀逸です。ただ、この推理はあくまでも犯人が論理的に正しい行動を選択し続けることが前提になっており、愚かな行動をとる可能性は視野に入れていないのが苦しいところ。それに、共犯の可能性も最初から除外して何故か単独犯である前提で推理が進んでいきます。加えて、証拠がないので推理をぶつけて犯人を揺さぶってみようというのも、素人探偵ならともかく、刑事が行うには乱暴すぎです。 |
No.471 | 4点 | バスカヴィル館の殺人- 高野結史 | 2025/02/05 00:19 |
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孤島に集めた人々を実際に殺してその犯人を当てるリアル犯人当て推理ゲームの第2弾。
前作の『奇岩館の殺人』は殺され要員として雇われたた主人公の反撃などによって当初のシナリオが狂い、運営側がなんとか辻褄を合わせようとしてぐだぐだになっていくところにブラックコメディとしての面白さがあったのですが、2作目で似たようなことをやられてもすでに飽きてしまってさほど面白みを感じられず。もちろん、まったく同じというわけではなく、今作では主人公が運営側に回っているという違いはあります。加えて、ミステリーの仕掛けは前作以上にいろいろ用意されているものの、マンネリ感を覆すには至っていません。そもそも、前作の面白さというのはミステリーの仕掛け云々ではなく、あくまでも毒のある笑いにあったことに改めて気づかされました。そういう意味では、さんざん殺人計画に加担しておいて急に良い人ぶる展開があるのもマイナス要因です。「いやいや、あなたの立ち位置で今さら良い人ぶるのは無理があるでしょ」って感じで。 |
No.470 | 6点 | 幻想三重奏- ノーマン・ベロウ | 2025/01/29 12:02 |
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トリック自体はいまとなってはさほど驚くべきものではないものの、「人が消え、部屋が消え、路地が消える」という不可能犯罪乱れ打ちでしかも、だんだんエスカレートしていく展開がなかなか面白い。
以下ネタバレ 本作の発表は1947年でこれは短編ミステリーの傑作『天外消失』が発表されたのと同じ年だけど、両者の消失(電話ボックスから人が消える&路地が消失)トリックが原理的に結構似ている。もし、本作の方が先なら発表当時は画期的なトリックだったのかも |
No.469 | 6点 | 大樹館の幻想- 乙一 | 2025/01/19 09:33 |
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館もの、連続殺人、迫り来る山火事、華麗な大トリックの数々と設定だけを並べると面白そうですが、実際は非現実的な展開にサスペンスは盛り上がらず、複雑な機械トリックには納得しがたくとどうにもパッとしません。その一方で、幻想的な雰囲気は悪くなく、図解入りのトリック解説もガジェットとしてはワクワクするものがあります。したがって、純粋な本格ミステリとしては高い点数はあげられませんが、ミステリー風味の幻想小説としてはそれなりに楽しませてもらいました。 |
No.468 | 8点 | 有栖川有栖に捧げる七つの謎- アンソロジー(出版社編) | 2025/01/12 13:42 |
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有栖川有栖のデビュー35周年を記念して、現在脂ののりきった一線級のミステリー作家7人に有栖川作品の二次創作をしてもらおうという企画ものです。いわばお遊び企画なのですが、全員予想以上にガチでひびります。
〇青崎有吾「縄、綱、ロープ」 わずかな手がかりからロジカルな推理によって真相を見抜く正統派パズラーですが、作風から火村とアリスの掛け合いまで火村シリーズそのもの。本家の短編集に黙って収録してもおそらく誰も気が付かないのではないでしょうか。 〇一穂ミチ「クローズド・クローズ」 火村とアリスが女子高を訪れ、JK相手に進路相談を行うのがユニーク。日常の謎ものですがミステリーとしての出来はそこそこ。 〇織守きょうや「火村英生に捧げる怪談」 一つ一つのネタは小粒ですが、青年が語る恐怖体験を火村が次々と合理的に説明していくのが小気味良い。 〇白井智之「ブラックミラー」 火村のキャラに違和感はあるものの、アリバイを巡る物語はミステリーとして読み応えあり。エグいトリックは白井作品ならでは。 〇夕木春央「有栖川有栖嫌いの謎」 青年は有栖川作品をすべて読破しているほどの熱心な読者にもかかわらず、なぜ全作品ボロクソに酷評したのかというホワイダニットもの。謎の奇抜さと意表を突く真相が面白い。 〇阿津川辰海「山伏地蔵坊の狼狽」 元ネタは『山伏地蔵坊の放浪』という渋いセレクト。二代目地蔵坊の微妙なポンコツさ加減が面白く、パロディとして秀逸です。 〇今村昌弘「型取られた死体は語る」 ダイイング・メッセージの真相は今ひとつ明確さに欠ける気がしますが、1つの謎を巡って推理研のメンバーが喧々諤々の議論をするさまは、いかにも学生アリスシリーズといった感じで、読んでいて楽しい作品でした。 個人的ベストは「有栖川有栖嫌いの謎」。次点で「縄、綱、ロープ」と「ブラックミラー」といったところでしょうか。 |
No.467 | 7点 | 死体で遊ぶな大人たち- 倉知淳 | 2025/01/08 18:18 |
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なかには無理のあるものもあるものの、死体を用いたトリックという縛りのなかであの手この手とバリエーション豊かな仕掛けが飛び出してくるのが楽しかったです。ベストは『屍人荘の殺人』の本歌取りに挑戦した「本格・オブ・リビングデッド」ですが、不謹慎なロジックをこねくり回す「それを情死と呼ぶべきか」も面白い。最後の表題作はトリック的にちょっと物足りない代わりに、事件解決後のサプライズに遊び心があり、全体的に満足度の高い短編集でした。 |
No.466 | 5点 | 猫の耳に甘い唄を- 倉知淳 | 2025/01/04 15:29 |
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売れないミステリー作家の元にファンレターと犯行予告が同時に届き、ファンレターの送り主が作家の作品の見立てによって殺されていく話。
物語は編集者や作家の弟子や刑事たちとのミステリー談義や業界の裏話などを中心に進んでいき、その部分は結構楽しい。 ただ、これも『星降り山荘の殺人』と同じで読者への忠告がくどすぎ。そのために星降り山荘と同じように真相が大筋で分かってしまった。いずれにしても、話は面白いのだけど、ミステリーの仕掛けとしてはそれほど目新しさもないので高い点数はあげられないかなあ |
No.465 | 6点 | 伯爵と三つの棺- 潮谷験 | 2024/12/28 13:26 |
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フランス革命の余波を受けて激動の時代を迎えたヨーロッパ。その小国で起きた殺人事件を歴史的背景を交えて描いた作品です。特殊設定ミステリー専門の作家というイメージが強かった著者にしては王道的な作品であり、歴史ミステリーとしてかなり読み応えがありました。18世紀末の探偵の描写も興味深く、完成度の高い良作といえます。ただ、肝心の事件やトリックが古典的というか大時代的すぎて個人的にはちょっと好みと合わず。 |
No.464 | 7点 | トレント最後の事件- E・C・ベントリー | 2024/12/26 18:58 |
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現在の読者からすると驚くような仕掛けがあるわけではないのですが、当時の探偵小説のお約束を逆手に取った作品で、そこに歴史的意義を感じます。300ページほどの比較的短い話で、テンポの良さと上質なユーモアに引き込まれてサクサク読めるも好印象です。ただ、他の人も指摘しているように「ミステリーに恋愛要素を加えた画期的な作品」という昔からの有名な評論はヒント外れにしか思えない。 |
No.463 | 8点 | ウナギの罠- ヤーン・エクストレム | 2024/12/19 04:49 |
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前半は登場人物の多さも相俟って冗長に感じてしまいますが、後半に入って密室に焦点が当たってからは俄然面白くなります。密室トリックのあらあゆる可能性についてドゥレル警部が自問自答するシーンにわくわくしますし、それらの想像をはるかに超えたぶっとんだトリックも面白い。それに現場を密室にした動機が秀逸です。本作は1967年のスウェーデンの作品ですが、こういうのを読むと世界にはまだまだ本格ミステリの傑作が埋もれているのではないと期待してしまいます。 |
No.462 | 4点 | 弁護側の証人- 小泉喜美子 | 2024/12/18 04:54 |
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当時としては画期的なトリックだというのはわかるのですが、そのトリックにまったくひっかかることなく、最初から真相がみえみえだったのはつらいところ。しかも、それはトリックを見破ったということではなく、『皇帝のかぎ煙草入れ』と同じく素直に読みすぎてミスリードを総スルーしてしまった結果という。そのうえで、文章が読みにくくて話もつまらなかったので評価はどうしてもきびしいものになってしまいます。 |
No.461 | 5点 | 赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。- 青柳碧人 | 2024/12/14 05:55 |
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昔話ミステリの第6弾であり、同時に、指輪の魔人にアラビアの国に連れてこられたのをきっかけに赤ずきんがアラビアンナイトの世界で冒険を繰り広げる赤ずきんシリーズの第3弾です。一連のシリーズの元祖たる『むかしむかしあるところに、死体がありました。』ではあくまでも元ネタである特定の昔話の設定を用いてトリックを仕掛けていたのに対し、本作はトリックに使えそうなアラビアンナイトのエピソードをつぎはぎしている感が強い。そのため、ご都合主義に感じられ、トリックが明らかになった際の驚きはほぼ皆無です。特に、ランプの魔人を利用したトリックなどはほぼなんでもありで、いただけません。一方で、原典をなぞってシェヘラザードが残忍な王に赤ずきんの冒険を話聞かせていくプロットは(ミステリの仕掛けとしては大したことはないものの)展開としてなかなかユニークでそれなりに楽しめました。 |
No.460 | 6点 | 朝比奈さんと秘密の相棒- 東川篤哉 | 2024/12/12 20:07 |
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鯉ヶ窪学園シリーズの第6弾にあたる連作短編です。
今回の主人公コンビは、理事長の娘という立場を笠に着てやりたい放題の朝比奈さんと、気弱なミス研部員ながら突然推理が冴えわたる石橋君。この2人の掛け合いは安定の面白さです。 一方、ミステリーとしてはやや小粒ながら伏線回収がうまくて解決編はなかなか読ませます。 特に、「茶室に消えた少女」において、人間消失を成立させる手管が見事です。 |
No.459 | 6点 | 遊廓島心中譚- 霜月流 | 2024/12/01 08:20 |
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第70回江戸川乱歩賞受賞作で、同時受賞の『フェイク・マッスル』を王道的乱歩賞とするとこちらは少々異色作。
幕末を舞台に父の死の真相を突き止めるべく町娘の主人公が遊廓島と呼ばれる横浜・港崎遊廓に乗り込む話なのですが、その際に遊女殺しの異名を持つ英国海軍大尉の現地妻となり、石好きという他人には理解しがたい共通の趣味があることを知って意気投合するという流れが恋愛ものとして面白い。前半はもう一人のヒロインと交互に語られる恋愛話が中心であまりミステリーっぽさは感じられないものの、後半になるとにわかに本格色が強くなり、ぶっとんだ真相に行き当たることになります。正直、全体的なバランスの悪さからミステリーとしてはそれほど高い評価はできませんが、ホワイダニットものとしてはなかなかのインパクトを感じた作品です。 |
No.458 | 4点 | その殺人、本格ミステリにさせません。- 片岡翔 | 2024/11/30 21:44 |
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シリーズ第2弾。
孤島にある奇妙な館で惨劇が起きるという十角館以来お約束の新本格ですが、映画クリエーターでもある著者らしく、映画ネタがふんだんに盛り込まれているのがオリジナル要素です。 また、トリックも盛りだくさんではあるものの、あれとかあれとかちょっと無理があるように感じました。 なにより、探偵の音更風が惨劇を食い止める決意を表明するのにいちいち「本格ミステリにさせません」という言い回しをするのにイラっとしたのが一番大きな減点対象。 |
No.457 | 6点 | 魔女の檻- ジェローム・ルブリ | 2024/11/23 08:48 |
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かつて多くの女性が魔女狩りの犠牲になった村で人々が魔女の声を耳にし、次々と不穏な事件が起きる展開はホラーサスペンスとして非常に面白い。この村で一体何が起きているのかが気になってページをめくる手が止まらなくなります。ただ、オチがひどすぎてすべてを台無しにしているのが残念です。確かに、伏線は丹念に貼っていますし、ぶっ飛んだ真相だとして評価する向きもあります。しかし、私は否定派。ぶっとんでいるというか、要は××オチだし、ある意味ありきたりです。この手のオチは多重人格ネタと並んで食傷気味で高い評価は与えられないというのが正直なところ。6点は真相に至る直前までのストーリーの面白さに。 |
No.456 | 8点 | 禁忌の子- 山口未桜 | 2024/11/14 09:42 |
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第34回鮎川哲也賞。
救急医の主人公が運び込まれた自分そっくりの溺死体を見て茫然するシーンは最高のオープニングでした。魅力的な冒頭の謎という点では申し分なしです。しかし、同時に、この謎がミステリのロジックで解明されるとは到底思えず、これは本当に本格なのかと疑問に思っていると、瓜二つの死体の真相は前半であっさりと明かされます。むしろ本番はここからで、第2の事件とそれに伴う探偵役の推理が読み応えありまくりです。真相も意表を突くもので本当に驚かされました。偶然が過ぎるという意見もありますが、偶然の連続で単純な事件が複雑になっていくといった類のものではなく、偶然は事件が起きる契機にすぎないのでその点は大きな疵ではないのではないでしょうか。運命のいたずらによって事件が起きるのは現実でもあることですし。個人的には、歴代鮎川哲也賞のなかでも屈指の傑作だと思います。特に気に入ったのは密室の扱い方です。トリックの解明には焦点を当てず、意外な真相を導くための手がかりとして密室を用いる発想に唸らされました。 |
No.455 | 7点 | 架空犯- 東野圭吾 | 2024/11/09 11:28 |
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『白鳥とコウモリ』の五代刑事再登場の続編的作品です。都議会議員の夫と元女優の妻が殺され、とんでもない人物が捜査線上に浮上する展開が面白い。一部上層部がパニック状態になり、捜査本部のトップに対してもその事実が秘匿されるくだりなどは警察小説として実によくできています。被害者の過去を調べていくにつれて意外な人間関係が明らかになっていく後半の展開も秀逸で、先が気になる語り口はさすが東野圭吾です。個人的には『白鳥とコウモリ』より好きな作品。
以下ネタバレ ネタバレ ただ、追いつめられても妙に余裕のある態度から最初に浮上した容疑者は真犯人ではなく、誰かをかばっているのだろうということが比較的簡単に予想出来てしまう点がミステリーとしては少々残念。 |
No.454 | 5点 | 逆転ミワ子- 藤崎翔 | 2024/11/07 15:22 |
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芸人ミワ子の失踪事件を扱った作品ですが、事件について具体的に言及されるのは終盤近くになってからです。それまではミワ子が雑誌に連載しているエッセイやショートショートが延々と続きます。お笑い芸人出身の著者らしくこの辺は安定の面白さです。しかし、肝心のトリックがいただけません。非常に凝った仕掛けではあるのですが、『逆転美人』を読んだ後では全く驚けないのです。同じシリーズだからといって、いやシリーズものだからこそ同系統のトリックは避けてほしかった。 |
No.453 | 3点 | 牢獄学舎の殺人 未完図書委員会の事件簿- 市川憂人 | 2024/10/23 09:38 |
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アマチュア作家だった学校の教師が解決編の存在しない未完ミステリーを100作以上遺し、しかも、それらが犯罪に利用されているという設定は大風呂敷が過ぎると思いつつも個人的には嫌いではありません。ただ、問題は未完ミステリーそのものにあります。100作以上存在するという未完ミステリーのうち本作で紹介されるのはタイトルにもなっている『牢獄学舎の殺人』なのですが、作中での説明を聞いた限りでは、犯罪者たちを魅了してやまないものとは到底思えません。せいぜい、ミステリ好きが嵩じた素人が創作にチャレンジした結果出来上がった愚作程度のレベルではないでしょうか。
そのうえ、実際に起きた事件の方の真相も到底納得できるものではなく、犯人の意味不明すぎる思考には頭を抱えるばかりです。構想の壮大さに完成度が追い付いていない駄作です。 |