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[ ホラー ]
蜘蛛の牢より落つるもの
原浩 出版月: 2023年09月 平均: 6.33点 書評数: 3件

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KADOKAWA
2023年09月

No.3 7点 非公認ゃん 2025/07/22 19:21
Xでホラーミステリのおすすめとして名前が挙がってたので。ホラーの皮を巻いた本格ミステリ仕様でした。
こういうのは着地の仕方がホラーかミステリかのみで評価が一転してしまう宿命があるので、上記は事前に知っておいた上で読む方がいいかと思います。

以下ややネタバレあり
過去に起こった集団生埋め事件が意味不明すぎてワクワクさせてくれます。普通に考えたら説明がつかないシチュエーションで、この事件についていろいろ想像を膨らませるターンが本作で一番楽しいところ。
事件関係者のインタビュー録音が提示される方式で進みますが、証言同士を突き合わせたら誰が嘘をついているかは割と簡単にわかってしまいます。
問題は嘘の割合が大きすぎることで、詳細は伏せますが話の持って行き方次第ではもう少しスマートな解答にできたんじゃないかとは思います。でもまぁあの動機を採用したんならこの真相しかないのかなぁと……事件関係者がもっと多くいたら気にならなかったかも。

一番の難点は探偵役にまったく魅力がないこと。
ワトソン役に対してやたら勿体ぶるがただ勿体ぶってるだけで結局なんの意味もない。
とある狂言に関しても目的に対して手段が大袈裟すぎる。無駄に怪我人まで出してるのになんかヘラヘラしてるのが腹立たしい。
遊び半分な態度がまさしく"人が死んでんねんで"というやつなんですがワトソン役はなぜ注意しないのか理解に苦しみます。
他作品にも登場してるらしいのですが読めば感情移入できるのかしら?

いろいろ書き連ねましたが当たり外れが大きいこのジャンルではかなりしっかり楽しめる仕上りです。前作「火喰鳥を、喰う」を読んでから触れればもっと楽しいかもしれません。

No.2 7点 文生 2025/04/10 20:05
関係者の口から語られる21年前の集団生き埋め事件が訳がわからなすぎてとにかく怖い。その事件を調べているうちに起こる現代の事件もかなりの不気味さです。このまま怪異ホラーとして突っ走っても十分に面白そうですが、最後は伏線を回収してミステリーとして着地します。これだけの怪現象を論理的に説明したのはなかなかに見事です。ホラーミステリーとして十分レベルの高い作品だといえます。ただ、謎解き自体にホラー描写ほどのインパクトはなく、前半と比べてパワーダウンの印象も。

No.1 5点 ぷちレコード 2025/04/09 21:54
渇水によってダム湖の底から姿を現わそうとしている村のキャンプ場では、かつて互いを埋め合って死に至らしめた不可解な集団生き埋め事件が発生した。事件関係者や旧村民たちは渇水と、あの時と同じ蜘蛛の大発生に、村に祀られていた比丘尼の祟り再びと恐れおののく。そんな中、奇妙な黒い影が出現し、新たな異常死が。
村人に惨殺された比丘尼の怨霊譚と、不条理な生き埋め殺人の謎を生理・心理的ディテールで忌まわしく肉付けしながら、人間が怪異を生み出すというテーゼで結びつけている。


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原浩
2023年09月
蜘蛛の牢より落つるもの
平均:6.33 / 書評数:3
2021年12月
やまのめの六人
平均:6.00 / 書評数:3
2020年12月
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平均:5.25 / 書評数:4