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ブラック・マスクの世界2 ブラック・マスクの英雄たちⅡ 小鷹信光 編 |
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| アンソロジー(国内編集者) | 出版月: 不明 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 国書刊行会 |
| No.2 | 6点 | クリスティ再読 | 2026/10/03 12:35 |
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| 「しらみ野郎の死」が良かったので、W.T.バラードに興味を持った。
でも名のみ聞くブラック・マスク常連作家。唯一短編の翻訳がある本書で読んでみた。 この「ブラック・マスクの世界」は小鷹信光氏がムック形式といった感じで国書刊行会から出したシリーズ。だから書籍のクセにポール・ケイン「裏切りの街」が連載形式で載っているし、コラム形式で「ヒーロー登場回数」とか人気リスト、本書だとコレクターで有名なビル・プロンジーニとブラック・マスク関連の人々のインタヴューとか載っている。 小説は短編が4作とチャンドラーのブラックマスク登場作である「ゆすり屋は撃たない」、ショートショートで3編。で「ゆすり屋は撃たない」は小鷹氏の翻訳。創元で出てた稲葉明雄訳よりも読みやすく感じるな。稲葉訳では舞台転換とかもう一つ飲み込みにくいところがあったけど、練れているように感じる。ただ、終盤の決着は蛇足っぽい印象。ロンダ・ファーと再会して終りでもいいような気がする。 でこの本で強調されるのが、「ブラック・マスク」は私立探偵小説じゃない、ということ。ヒーローたちは多種多様な仕事師なんだよね。というわけで、それぞれそういう視点で紹介。 ・ジョージ・ハーモン・コークス「ウェイドを救え」 報道カメラマンのフラッシュガン・ケイシーが活躍。ケイシーの相棒で見習いカメラマンのウェイドが、ヤバい場面を撮影してしまったことでギャングに拉致されたのを救い出すケイシー。ややコミカルな味わい。 ・シオドア・ティンズリー「リンカーンの口ひげ」 ゴシップ誌コラムニストのジェリー・トレイシー。本人は腕っぷしは弱いが、ボディガードに腕力担当のブッチを従えている。このブッチがたまたま受け取った、リンカーンに口ひげが落書きされた5ドル札をめぐって追いかけっこ。暗号といえばまあそうか。 ・フレデリック・ネベル「ボストンから来た女」 地方都市リッチモンドのマクブライド警部と新聞記者ケネディのコンビ。前2作は文体的には全然ハードボイルドではないけども、本作は客観描写主体の映画的な三人称ハードボイルド。愛する女のために夜のビジネスから足を洗おうとした男マラーキーの顛末。濡れ衣がかかったマラーキーを分かってて見逃すマクブライド警部とのやり取りにクールな哀感があっていいなあ。 ・W.T.バラード「賭博師の厄日」 映画会社のトラブルシューター、ビル・レノックス。レギュラーでレノックスの雇い主である大物プロデューサー、ソル・スパークやら映画記者ナンシー・ホッブスやらに取り巻かれ、映画業界でのレノックスの仕事や立ち位置を丁寧に描写するあたりから、評者とか「早すぎたネオ・ハードボイルド」ではないか、なんて思っている。今回はスパークが手を出した競馬興行で、素人のスパークに代わってレノックスがトラブルを裁いていく。 ・チャンドラー「ゆすり屋は撃たない」 やっと私立探偵マロリー。 ・ポール・ケイン「裏切りの街」 一匹狼のギャング、ジェリー・ケルズ。賭博船ビジネスとロサンゼルスの市政全体にかかわる暗黒街との関係に、ケルズは介入することになる(ようだ)5回連続で、とりあえず初回分だけでも国立国会図書館デジタルコレクションで読んでから連載2回目を。きわめてストーリーは錯綜していて、登場人物は多すぎ。こんな連載にしないでよ!と思うくらい。 ショートショートはカナダの騎馬警官が、極北のツンドラ地帯に逃亡犯人を追跡するL.R.シャーマン「雪原の追跡」が、冒険小説とハードボイルドの合体で面白い。 そんな感じ。そういえば昭和末期の単行本で装丁も凝って、口絵にブラックマスク本誌の表紙などをガンガン収録した、豪華本的な扱いで2600円。手が出なかった記憶があるよ。できれば少しづつでもやっていきたいな。 ブラック・マスク=ハードボイルド、といっても、ハードボイルド文ではない犯罪スリラーも多い。三人称ハードボイルド作品が質的にいい、という傾向もなんとなく感じられる。しかし、一人称私立探偵小説がけして多数派ではないというのが興味深いあたりでもある。これを実証するのが小鷹氏の狙いでもあるわけだ。 |
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| No.1 | 5点 | 弾十六 | 2025/04/05 15:37 |
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| 1986年出版。国会図書館デジタルコレクションで読んでいます。
---------- (1) 「ウェイドを救え」ジョージ・ハーモン・コックス (2) 「リンカーンの口ひげ」シオドア・ティンズリー (3) 「ボストンから来た女」フレデリック・ネベル (4) 「賭博師の厄日」W・T・バラード ---------- (5) Blackmailers Don't Shoot by Raymond Chandler (初出Black Mask 1933-12) 「ゆすり屋は撃たない」レイモンド・チャンドラー作、小鷹信光 訳: 評価7点 私立探偵マロリー。ハメットを真似た徹底的客観描写、と小鷹さんが書いていて、ああそうなのか、と初めて気づいた。無茶苦茶な話だが、なんとか成立してるように感じられるのがチャンドラー・マジックなのだろう。マロリーの拳銃はルガー。第一次大戦に従軍して、そのお土産、という設定かも。 ---------- (6) 「雪原の追跡」L・R・シャーマン (7) 「ウインク」J・M・ベル (8) 「初舞台」ドナルド・バー・チドシー ---------- (9) 「裏切りの街」(2)ポール・ケイン <長篇連載> ---------- <インタビュー>ビル・プロンジーニ (構成: 木村二郎) 1985-03-27SF近郊の自宅にて。HMM1985-09掲載のものを再編成。 十六、七年前(1969年くらい?)、オークランドの古本屋でパルプマガジンは一冊10セントで売られていた。誰も買わなかった時代。(米国消費者物価指数基準1969/2025(8.66倍)で$1=1292円) 名無しのオプは良い名前を思いつかなかったから、と話している。昔のタフな主人公に比べて、現在の人間はより「人間的」だという。humanの訳?最後はすべて上手くいく、という小説を読みたいから、最近の私立探偵もの人気があるのでは?と分析している。 ---------- <解説> ノーラン調べでブラックマスクの最高部数は1930年の10万3000部だったという。1934年末にはスター寄稿者(デイリイ、ガードナー、ネベル、チャンドラー、ポール・ケイン)がたくさんいたが部数は6万部少々だったようだ。 |
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