海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!


世界短編傑作集2
江戸川乱歩編
アンソロジー(国内編集者) 出版月: 1961年01月 平均: 6.17点 書評数: 6件

書評を見る | 採点する


東京創元社
1961年01月

東京創元社
2018年09月

No.6 6点 クリスティ再読 2020/03/22 08:10
懐かしの短編傑作選である。今となってみると、とくにこの巻は短編黄金期の名探偵顔見世興行みたいなものだ。雑誌連載の短編がベースのもの中心なので、一つ一つにはあまり話のふくらみがなくて、名探偵のキャラも「もうわかってるでしょ」くらいで描写は最低限くらい。ルーチンな事件の中でも、個別の事件で面白いものを選んだ、という感覚。
アブナー伯父の「ズームドルフ事件」にはそれでもタダの有名トリックものじゃないだけの、宗教的な側面をうかがわせる小説らしい面白味がある。またソーンダイク博士の「オスカー・ブロズギー事件」には、複雑な機械がスムーズに動いて巧妙な結果が出てるようなメカニカルな美があってなかなか、いい。
逆にダゴベルトの「奇妙な跡」は、探偵役も奇矯な変人で、事件もリアルと言うのか馬鹿馬鹿しいというのか...で、描写もそっけなく「これでイイの?」と思うくらいのヘンテコな作品。ホームズ譚の「奇妙な受容」というくらいに思って珍重するのがいいのかもしれない。
そうしてみるとトレントの「好打」とかカラドスものの「ブルックベンド荘の悲劇」とかウィルスン警視の「窓のふくろう」は、探偵役のキャラもあまり話として効いていないし、面白味のない機械トリックだし...と思うのは仕方がないのかもしれないが、この「機械的」というあたりに、二十世紀初めの「大衆社会 meets (家電を象徴とする)電気」のショックを感じて、「電気の詩」を歌った時代の証言と読むのがいいのかも。
まあ何というのかね、このシリーズは「過去のある時代」が凍結して保存されているような懐かしさを感じる。評者の感傷かな。

No.5 7点 斎藤警部 2015/11/02 14:33
著名作家、有名トリックが挙(こぞ)っている割にどことなく地味なラインナップ。
な~んてね、もちろん充実の面白さです。
我が愛するポースト師匠(アブナー伯父)の一篇も入っているし。さて収録作もそうだけど、単純にトリックだけ見て片付けられるタイプの作家ではありませんのでね、ポーストさんは。既にどこかで本作のメイントリックをご存知という方が殆どでしょうが、是非あらためて「ズームドルフ事件」を味読していただき、古きアメリカの人間ドラマと本格ミステリと文学の妙なる融合に酔い痴れていただきたいものでありまするぞよ。

No.4 5点 ボナンザ 2014/04/09 15:18
有名トリックのオンパレード。

No.3 7点 ミステリーオタク 2013/01/06 22:56
ズームドルフ事件とかギルバートマレル卿の絵とか、結構笑っちゃうけどそういうトリックの原型と思えば面白い

No.2 6点 mini 2012/11/16 09:55
1巻目が探偵小説というものの創造期黎明期であるとするならば、第2巻は同じ古典でも発展期という位置付けだろう
創元の編集上の勝手な都合で第1巻からポーとドイルが省かれているが、もし省かなかったら当然両作家は時代的には第1巻に収録されていた事になる
つまりこの第2巻ではホームズによって確立されたパターン形式のその後の発展史という事になるのだが、実はあまり発展してないんだよな、悪く言えば形式に縛られて停滞していると言ってもいい
この縛られた形式が破られるのは第3巻以降になってからなのである
ホームズ形式の後継者たちは通称”ホームズのライヴァルたち”と呼ばれるが、まさに第2巻ではライヴァルたちの競演が過半数を占め、時代性がよく表現されている
ただ乱歩の嗜好なのか全体に物理的トリックを前面に押し出したものに偏った印象なのは気になる、やはりそれも時代性か
まぁでも第2巻ではホームズ形式というものを味わう巻だと割り切って読めば楽しめるのではあるが

欲を言えば、マクハーグ&ボルマーの心理分析探偵ルーサー・トラント、アーサー・B・リーヴの科学者探偵クレイグ・ケネディ、オクティヴァス・ロイ・コーエンのはったり探偵ジム・ハンヴィ、そしてエドガー・ウォーレスのJ・G・リーダー氏あたりのシリーズからも採用して欲しかったな

さてといくつか各論
「奇妙な跡」のバルドゥイン・グロルラーは珍しいハンガリー生まれのオーストリア作家で、ドイツ語圏作家にしてはホームズ形式の忠実な後継者であり”クイーンの定員”にも選ばれているし各社目を付けて欲しいものだ
「オスカー・ブロズキー事件」はソーンダイク博士の倒叙短編の最高傑作と言われる作だけに選ばれて当然だが、創元は「ソーンダイク博士の事件簿Ⅰ」からこれを省いている
他社でもいいからさぁ、倒叙短編集『歌う白骨』の完全版をだしてほしいな、あっ!いや、嶋中文庫じゃなくてさ(苦笑)
トリックだけが有名な短編「ギルバート・マレル卿の絵」のV・L・ホワイトチャーチは、”クイーンの定員”にも選ばれた鉄道短編集が多分来年には刊行予定だ
そうなるとコール夫妻の”クイーンの定員”にも選ばれた短編集『ウィルスン警視の休日』なども創元か論創さん頼みますよ

No.1 6点 kanamori 2011/01/01 17:47
乱歩が選出した海外古典短編ミステリのアンソロジー。
第2巻は、1910年代から20年代前半の作品で、ホームズのライヴァルといえるシリーズ探偵ものが多く収録されていました。
ルブラン=アルセーヌ・ルパン、ポースト=アブナー伯父、フリーマン=ソーンダイク博士、ブラマ=盲目探偵マックス・カラドス、クロフツ=フレンチ警部など、錚々たるメンバーが揃っていて楽しめます(多くが有名作品のため、他の作品集で読める作品が多いですが)。


キーワードから探す
アンソロジー(国内編集者)
AIとSF
英国古典推理小説集
う○こ文学
2084年のSF
私の居る場所 小池真理子怪奇譚傑作選
世界推理短編傑作集6
ポストコロナのSF
伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選
歪んだ名画
日本SFの臨界点[怪奇篇]  ちまみれ家族
現代語訳 怪談「諸国百物語」
死の濃霧 延原謙翻訳セレクション
2010年代SF傑作選2
2010年代SF傑作選1
ヤオと七つの時空の謎
世界推理短編傑作集5【新版】
平成ストライク
20世紀ラテンアメリカ短篇選
世界推理短編傑作集4【新版】
トラウマ文学館
世界推理短編傑作集3【新版】
世界推理短編傑作集2【新版】
猫のまぼろし、猫のまどわし
ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館
世界推理短編傑作集1【新版】
二冊の同じ本
絶望図書館
奇想博物館
30の神品 ショートショート傑作選
みんなの怪盗ルパン
街角の書店 (18の奇妙な物語)
怪奇文学大山脈Ⅲ
最初の舞踏会 ホラー短編集3
連城三紀彦レジェンド
NOVA+バベル
THE密室
怪奇文学大山脈Ⅱ
怪奇文学大山脈Ⅰ
ミステリマガジン700 国内編
ミステリマガジン700 海外編
怪奇小説精華
幻想文学入門
幻想小説神髄
エラリー・クイーンの災難
リアル怪談 寄せられた「体験」
密室晩餐会
現場に臨め
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー2
岡本綺堂 怪談選集
不可能犯罪コレクション
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキ-3
綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー
文豪のミステリー小説
山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー
バカミスじゃない!?
密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー
文豪の探偵小説
贈る物語 Wonder
スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎001
法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー
北村薫のミステリー館
明治探偵冒険小説集(4)露伴から谷崎まで
幻想と怪奇 おれの夢の女
幻想と怪奇 宇宙怪獣現わる
新・本格推理05九つの署名
幻想と怪奇-ポオ蒐集家
平成都市伝説
奇妙におかしい話 わくわく編
暗闇―ホラーセレクション
新・本格推理04赤い館の怪人物
新・本格推理03りら荘の相続人
贈る物語 Mystery
少年探偵王
新・本格推理02黄色い部屋の殺人者
謎のギャラリー こわい部屋
ネット探偵局の事件簿 密室・アリバイ・暗号22連弾!
独逸怪奇小説集成
有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー
密室殺人コレクション
北村薫の本格ミステリ・ライブラリー
八ヶ岳「雪密室」の謎
新・本格推理01モルグ街の住人たち
猟奇文学館3 人肉嗜食
絢爛たる殺人
名探偵の憂鬱
密室殺人大百科〈上〉魔を呼ぶ密室
乱歩の選んだベスト・ホラー
本格推理⑮さらなる挑戦者たち
秘密の手紙箱―女性ミステリー作家傑作選<3>
恐怖の化粧箱―女性ミステリー作家傑作選<2>
殺意の宝石箱―女性ミステリー作家傑作選<1>
本格推理⑭密室の数学者たち
謎のギャラリー特別室1
本格推理⑬幻影の設計者たち
本格推理⑫盤上の散歩者たち
鯉沼家の悲劇(アンソロジー)
本格推理⑪奇跡を蒐める者たち
本格推理⑩独創の殺人鬼たち
硝子の家
本格推理⑨死角を旅する者たち
本格推理⑧悪夢の創造者たち
本格推理⑦異端の建築家たち
孤島の殺人鬼
推理短編六佳撰
黒い軍旗
密室の奇術師 本格推理展覧会①
真夜中の密室 密室殺人傑作選
本格推理⑥悪意の天使たち
本格推理⑤犯罪の奇術師たち
本格推理④殺意を継ぐ者たち
本格推理③迷宮の殺人者たち
本格推理②奇想の冒険者たち
怪奇小説日和
本格推理①新しい挑戦者たち
こんな探偵小説が読みたい―幻の探偵作家を求めて
ミステリーの愉しみ⑤奇想の復活
クイーンの定員Ⅳ
ミステリーの愉しみ②密室遊戯
ミステリーが好き
古代史ミステリー傑作選
新トリック・ゲーム
鉄道ミステリー傑作選 無人踏切
フランス・ミステリ傑作選(2)心やさしい女
フランス・ミステリ傑作選(1)街中の男
恐怖特急
密室殺人傑作選
怪奇探偵小説集③
クイーンの定員Ⅲ
怪奇探偵小説集②
クイーンの定員Ⅱ
クイーンの定員Ⅰ
シャーロック・ホームズのライヴァルたち③
怪奇探偵小説集①
シャーロック・ホームズのライヴァルたち②
シャーロック・ホームズのライヴァルたち①
犯罪交叉点
シグナルは消えた
紅鱒館の惨劇
ミステリー総合病院―医学推理小説傑作選
アメリカン・ハードボイルド!
最大の殺人
ユーモアミステリ傑作選
SFミステリ傑作選
世界鉄道推理傑作選2
幻想小説名作選
世界鉄道推理傑作選1
世界ショートショート傑作選1
鮎川哲也の密室探求
君らの魂を悪魔に売りつけよ―新青年傑作選
推理小説代表作選集1977年版
続・13の密室
恐怖の1ダース
13の密室
名探偵13人登場
殺しの一品料理(ア・ラ・カルト)
奇妙な味の小説
世界短編傑作集5
世界短編傑作集4
世界短編傑作集2
世界短編傑作集3
世界短編傑作集1
名探偵登場 4
名探偵登場 2
死者は語らず 「宝石」傑作選集Ⅰ 本格推理編
真紅の法悦
世界スパイ小説傑作選1
死体消滅 戦慄ミステリー傑作選