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シグナルは消えた 鮎川哲也編 トラベル・ミステリー「1」 |
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アンソロジー(国内編集者) | 出版月: 1983年02月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
徳間書店 1983年02月 |
No.1 | 5点 | 斎藤警部 | 2016/09/29 23:55 |
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編者は鮎川哲也。
本田緒生「蒔かれし種」 行ったり来たり、独りよがりのおっちょこちょいな多重解決イン大正末期、みたいな不思議な一作。犯人設定と言い何と言い、草創期ならではの探偵小説風情が噎せ返るほど。文は拙い。。3点。 葛山二郎「股から覗く」 折悪しく、イグノーベル賞日本人受賞「股のぞき」と重なってしまった読書は変な奇妙なケッタイな味の昔日作、昭和初期。ブラウン神父と乱歩の味を不恰好に継ぎ合わせたような全体像。文章は読みづらいところ多々有り。犯人はまずまず意外の域か。或る人物が或る行為に耽るあまり命を落とすシーンは唖然度バリ高。4点。 海野十三「省線電車の射撃手」 作者らしい科学的解決は「アメリカ銃」を思い出さす要素もあったりして少しは興味も引くが、何だか全体通してすっきりしないなあ、もやもやだ。惹かれん。海野サーティーン、御免! 3点。 大阪圭吉「狂った機関車(気狂い機関車)」 この辺から文章が練れて来た。戦前日本に於ける本格推理の先駆の様に謂われる圭吉っツぁんだがトリックやロジックの扱いのみならず小説力も確かなもの。鮎川さんの添書きに「殺人トリックを理解するため是非腰を据えて読んでいただきたい。」とか何とか書いてあるのがなんだか良い。謎解明の論理プロセスはなかなか読ませてくれるが、物理に寄ったトリックはちょっと大味。犯人設定の唐突さとか、八っ張り古いなァって感じはするね(他作品も皆そうなんではないが)。でも雰囲気がいい。 5点。 夏樹静子「山陽新幹線殺人事件」 流石に文章はしっかりしており読み応えがある。しかしネタがモロに推理クイズ、それも豆知識系の。。とうっかり安心してると最後に一瞬で明かされる「トリック反転」、いや「偽装の反転」がなかなか熱いぜ。。。如何にも鮎川さん好み。私も大好き。 7点 山田風太郎「吹雪心中」 イヤミスならぬイヤサス(生きるのが嫌になる類のサスペンス)か。。。。。。。。。。こりゃ酷い、男と女の最悪物語。 8点。 ※大まかに、旧い時代から新しい時代へ、下手な小説から上手い小説へ、と並んでいます。 それと、出版社が勝手に銘打ったのかも知れんが「トラベル」ってわけじゃない話が目立つ。どれも鉄道は絡むのだがね。 |