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13の暗号 渡辺剣次編 |
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| アンソロジー(国内編集者) | 出版月: 不明 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
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| No.1 | 6点 | クリスティ再読 | 2026/09/14 14:45 |
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| さて70年代の名アンソロ・シリーズだった渡辺剣次13シリーズ第二弾が本アンソロ。今回は暗号小説。
確かに乱歩の「二銭銅貨」が暗号小説で、日本ミステリ史で暗号小説が大きな役割を果たしたといえばその通り。このアンソロには含まれないが小栗虫太郎のように暗号(暗合)に精力を傾けた作家もいるわけで、暗号という「謎」が戦前のミステリでとくに重要な役割を果たしたことは言うもまでもないんだが....いや暗号小説って難しいんだよね。 密室なら解けばミステリとして成立するが、暗号は「こう解きました」で読者が納得するとは限らない。そもそも暗号らしい暗号だったら提示されたとたん「無理!」とアレルギーを発症する読者の方が多いわけだ。というわけで「暗号小説」として成立させるためには、この暗号をめぐってドラマをうまく仕掛けるなどの工夫がないとストレートにミステリとしては成立しづらいという根本的な課題が存在する。 まあだから、このアンソロでも、解読プロセスに重きを置いた本格暗号小説は、乱歩「二銭銅貨」、岩田賛「風車」くらいのもので、暗号解読に絡めて仕掛けがある「広義の本格暗号小説」で火野葦平「詫び証文」と佐野洋「三億円犯人の挑戦」となるが、「詫び証文」は乱歩に対する詫び証文の枠組みをとった小洒落たメタ志向の遊戯文学で面白い。解読に重きを置かずに暗号をめぐる争いを描いたのが甲賀三郎の「アラディンのランプ」、海野十三「獏鸚」、木々の「虫文字」、幾瀬勝彬「紙魚の罠」といったあたりになろう。この中ではモダン小説としての楽しさがある「獏鸚」がいいかな。 そして、ダイイングメッセージを暗号とした捉えた場合に、それを主題とするのが大阪圭吉「闖入者」、仁木悦子「粘土の犬」、鮎川哲也「砂の時計」になってくる。それでもなかなかクイーン流の単純なダイイングメッセージではなく、仕掛けの中で活用する形になる方が一般的だろう。プロファイリング風な扱いに変形した仁木悦子「粘土の犬」がいいなあ。 とはいえ、暗号というよりも宝探しといった趣でロマン性の高い奇譚を構築した九鬼紫郎「暗号海を渡る」がこのアンソロでは評者は一番好き。オチが決まっている。 いやまあさらに暗号小説って難しくなっているとも思う。実社会で普通に暗号が使われるようになったのだけど、DES暗号だAESだBlowfishだ、公開鍵暗号だ量子鍵配送だと言ってもそれを小説に反映するハードルがさらに上がったようにも感じるんだよ。 (ちなみに幾瀬「紙魚の罠」で5次の魔法陣で暗号解読する場面があるけど、実は5次の魔法陣はユニークな数で2億7530万5224通り存在する。作中ではいわゆる「ヒンズーの連続方式」という特定の魔法陣の作り方に依拠した解読法でしかない。数学的に美しくないな) |
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