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エソルド座の怪人 アンソロジー/世界篇 若島正編 異色作家短篇集 |
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| アンソロジー(国内編集者) | 出版月: 2007年03月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 早川書房 2007年03月 |
| No.2 | 6点 | クリスティ再読 | 2026/09/07 13:09 |
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| さて「異色作家」の世界篇である。こりゃ大変だ。エジプト・チェコ・カナダ・ウルグアイ・フランス・ポーランド(イディッシュ)・イタリア・台湾・ベルギー・スコットランド・キューバ...と国際色豊か過ぎるから、翻訳は大変だろうなあ。すべて本邦初訳、初紹介作家も多数。まあそれでもチェコ語・スペイン語・イタリア語・中国語については専門家の翻訳を労しているが、英語からの重訳(エジプト・イディッシュ)があったり、国籍はそうでも英語やフランス語で書かれている小説もある(苦笑)執筆年代はバラバラで最古のキローガ「オレンジ・ブランデーをつくる男たち」は1923年、「エソルド座の怪人」なら1983年とスパンが広い。やはり「異色作家」というのはアメリカ篇での戦後の高級誌掲載のジャンル色の薄い「中間小説」といった作風がベースに会って、その雰囲気をもった短編をアメリカ以外からセレクトしたアンソロということになるんだろう。
確かに中にはお国柄が窺われる作品、共産国家での陰鬱な体制を反映したシュクヴォレツキー「奇妙な考古学」もあれば、南米のワイルドな奇譚キローガ「オレンジ・ブランデーをつくる男たち」も、あるいは東欧ユダヤ人っぽさ全開の聖俗がごっちゃに同居する神秘小説のシンガー「死んだバイオリン弾き」といったものを収録する一方、新しめの作品ならコラージュを方法論としたポストモダン小説というべきデイヴィス「トリニティ・カレッジに逃れた猫」やガブレラ=インファンテ「エソルド座の怪人」もある。結構ごっちゃである。 切れ味系とか意外なオチ系というものは少なく、不条理っぽい面白さを狙ったものが総じて目立つかな。広義のミステリになるマフフーズ「容疑者不明」もシュレヴォレツキー「奇妙な考古学」も、徒労に満ちた捜査の不条理ミステリ。だから長めの作品の方が印象がいい。敬虔なユダヤ人夫婦の娘にヤクザ男と売春婦の死霊が憑依するシンガー「死んだバイオリン弾き」は不条理な民話風の語り口が素晴らしい。 でやはり表題作の「エソルド座の怪人」は、「オペラ座の怪人」を、ルルーの原作からロン・チェイニーのサイレント映画からデ・パルマの「ファントム・オブ・パラダイス」に至るヴァリエーションを飛び移りつつ、ダジャレと下ネタでイメージを散乱させていくポストモダン小説。なかなかの力技で面白い。 いやこうなってくると、一種のインターナショナル・スタイルの問題のようにも思えてくるなあ。文学とポップの間をどう往還するのか、というのが「異色作家」の根幹にあるようにも思えてくる。そうしてみると、クノーの「トロイの馬」なんて先鋭な言語実験がナンセンスに突入する臨界点だったのかもしれないし、キローガのものだってラテンアメリカ文学のマジック・リアリズムのとば口に立っているのかもしれないよ。 |
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| No.1 | 4点 | 蟷螂の斧 | 2026/01/25 09:33 |
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| (異色作家短篇集18)いわゆる短篇の「切れ」や「オチ」がない作品が多いような。
①容疑者不明(ナギーブ・マフフーズ~エジプト・ノーベル賞作家) 4点 同じ手口の連続殺人。物証、関連性もなし…警察の動き(文学的と言えばそうなのかも、でもミステリーとしては?) ②奇妙な考古学(ヨゼフ・シュクヴォレツキー~チェコ) 5点 娘が国外へ違法脱出か?。11年後、白骨体が発見され…無くなったペンダント(共産主義下の重苦しい雰囲気の小説) ③トリニティ・カレッジに逃げた猫(ロバートソン・デイヴィス~カナダ) 6点 カレッジに猫が住みつかない。青年科学者はフランケンシュタインを見習い、巨大猫を造るが…猫の嫉妬(青年の創造物への愛情は) ④オレンジ・ブランデーをつくる男たち(オラシオ・キローガ~ウルグアイ) 4点 片腕の男は、飲んだくれの博士に蒸留酒の製造アドバイスを求めるが…博士の娘の運命(ホラ噺からシリアスな展開) ⑤トロイの馬(レイモン・クノー~フランス) 3点 バーで水だけ飲んでいる男女。そこへ一頭の馬が声をかける…トロイ出身(最初、擬人法と思って読んでいたら、シュールだったんだW) ⑥死んだバイオリン弾き(アイザック・バシェヴィス・シンガー~ポーランド・ノーベル賞作家) 7点 恋人を失った娘に、男と女の死霊が憑りついた。お互い悪態をつくが、二人は結婚すると言い出し…男の死霊はバイオリンが上手い(死霊同士がののしり合いがいいね。何故、娘に憑りついたのか?) ⑦ジョヴァンニとその妻(トンマーゾ・ランドルフィ~イタリア) 4点 その男はオペラに精通し美声とのこと。ある日、その美声を聞くと…妻とのデュエット(音程は?) ⑧セクシードール(リー・アン~台湾) 4点 妻はいつか夫の胸におっぱいが 出来たらと思うようになり…幼少時の布人形(サイコかユーモアかどっちつかず) ⑨金歯(ジャン・レイ~ベルギー) 6点 私は墓から金歯を盗むを生業にしている。ある日、姉妹に出会い、金歯の妹に惚れる…姉の正体(軽快な乗り) ⑩誕生祝い(エリック・マコーマック~スコットランド) 5点 男の誕生日。モーテルには女がいた…SF的エログロ(読み飛ばしてもいいとのことW) ⑪エソルド座の怪人(G・カブレラ=インファンテ~キューバ) 4点 映画鑑賞をする男女。映画や小説の話があちこちに飛ぶ…映画館内での盗難(脱線話?のオンパレード) |
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