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死の舞踏 スティーヴン・キング |
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評論・エッセイ | 出版月: 1993年12月 | 平均: 3.00点 | 書評数: 1件 |
福武書店 1993年12月 |
筑摩書房 2017年09月 |
No.1 | 3点 | Tetchy | 2018/03/26 23:16 |
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1993年に福武書店から刊行された、1981年に発表されたキングのエッセイ。長らく絶版だったがこのたびちくま文庫にて再々刊された。しかも本書は2010年及び2012年にそれぞれ刊行された増補改訂版を底本にした最新版である。しかしキングはエッセイさえもリメイクするとは驚いた。
しかし大著である。あとがきを含めると720ページもある。エッセイさえも雄弁に語る、いやエッセイだからこそ彼の雄弁さに歯止めがかからないのか、これほどまでの分量のエッセイは今まで見たことも読んだこともなかった。 キングのホラーの定義、彼の生い立ちが彼の作品に大いに影響していること、それまでの諸作の源泉や意図したことなど、キング自身について方々で語られているエピソードの源泉が本書にあるのだが、前半のパートはキングの恐怖に関する考察、分析などが独特の語り口で繰り広げられ、なかなか興味深い話もあった。しかし後半の映画・小説に関する更にディープに踏み込んだ内容になってくると、もう何を読んでいるのかが解らなくなった。キングが選出したそれぞれ好みの作品に付いて詳細に語っていくが、それもあまり纏まっているとは云えず、それぞれ書きたいことをどんどん放り込んでいるかのようで、とにかく語り出したら止まらない様相を呈している。正直後半については私は半分も理解していないだろう。 とにかく「語りたがり」のキングが自身のリミッターを外して存分に恐怖について語った本書。冒頭に挙げた映画から小説、さらにはラジオドラマまで存分に思うがままに書き連ねているエッセイは文章がとめどめなく溢れるかのようで実際少し、いやかなり読みにくい。湧き出てくる考えや感想をそのまま垂れ流すかのような筆致である。 正直に云って本書を読む限りキングは小説巧者であるが、エッセイ巧者ではないと断言しよう。しかしホラー、殊に「恐怖」に対する関心は並々ならぬ物があることを感じるエッセイである。 私にとってはキングの能弁な語り口に「踊らされた」エッセイだった。まさしくそれは舞踏のように。 |