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ハードボイルド風に生きてみないか 男の行動原理 生島治郎 |
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評論・エッセイ | 出版月: 1979年07月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
![]() ベストセラーズ 1979年07月 |
![]() ベストセラーズ 1984年01月 |
No.1 | 6点 | 斎藤警部 | 2025/10/05 23:45 |
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“吉行淳之介さんは、私がいくら説明してもハードボイルド小説について、全くわかってくれない。”
最近の若者では藤井風にハードボイルド性を強く感じていたのですが、なるほど本著書のタイトルは 「ハードボイルド “風” に」 と “風” が入っているのがミソなわけで、そこから藤井 “風” のハードボイルド性が時空を超えて派生しているものと理解しました。 ← 後半は冗談にもならない戯言ですが、何故わたしが藤井風にハードボイルドを感じるのか、その根本原因が克明に記されている本でした。 なお藤井風という青年は、昨年2024年の紅白歌合戦で、期待に140%応えたB’z圧巻のライヴパフォーマンス直後という地獄のような時系列で、見事B’zに負けること無く、無意味に勝つこと無く、立派に引き分けてみせた男性歌手/音楽家です。 彼だったらわざわざこの本を読むより(裏表紙の著者惹句を引けば)インベーダーゲームをやりに行くのが相応しいのかも知れません。 ハードボイルド風生き方を叙述するに当たっては、若者向けの念押し考慮なのでしょうが妙に冗長なところがあり、されどリーダビリティは悪魔級に高く、微妙に京極夏彦を思い出して少し笑いました。 数々のハードボイルドミステリからイカした台詞や地の文の引用が並びます。 既読の本ではハッキリ記憶しているフレーズが多く、それだけ印象深い言葉を刻んでいたのだなと感動しました。 HBや冒険小説のちょっとしたブックガイド的側面もあります。 スピレインとフレミングの決定的違いとか、勉強になりました。 本格含み有名作のネタバレが前触れなく立ちはだかっている箇所もありますが、そのへんはハードボイルド風に切り抜けるしか無いです。 そうそう、決してハードボイルド派ではない編集者だった生島さんが、ハードボイルド小説で文壇デビューした強い動機、そこにこそハードボイルド風生き方の神髄が在ったようです。 「おまえはハードボイルド小説を書いているから、トリックなどはわからない。 現にこのトリックは佐野洋や結城昌治がちゃんと認めてくれているのだぞ」 序盤のあたり読んでいて、自分は意外とハードボイルド風な人間なのかもなあ、なんて思いましたが、たぶん風の中の勘違いです。 そんな事より、自分はこれからも叙述トリック風な生き方をして行きたいと思います。 さてあまりにもハーボドイルドという単語を書き過ぎたので、一か所だけわざと誤植してみました。 どこだか分かりますか? |