皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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深夜の散歩 福永武彦・中村真一郎・丸谷才一 |
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評論・エッセイ | 出版月: 1978年06月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 3件 |
講談社 1978年06月 |
講談社 1981年06月 |
早川書房 1997年11月 |
東京創元社 2019年10月 |
No.3 | 6点 | 斎藤警部 | 2016/05/07 17:59 |
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どれもこれも、ミステリのおもしろさの真髄を外して外枠のハイブラウな遊戯に明け暮れるからこそ零れ落ちる、余分な興味とでも呼びたい論述の行方の追い駆けや、知識の拾い集めの愉しさこそが本書の美点、ではなかろ~~か?
中村真一郎のカーター・ブラウン’論’ならぬ’論ぜず’が見事に(ちょっとしたトリックを使って)論じていない、そして作品群への興味を持たせる事には成功しているのが素晴らしい。 もう三十何年ぶり、久ッ々(ひっさびさ)に再読してみると、その一篇がやけに良い。全体的には柔らかに華やかな福永武彦のパートが最も面白い。ちょっと硬めの丸谷才一も悪くない。 ま後追い読書分や知識系の確認にはともかく、純粋に愉しむぶんには一回だけ読みゃじゅうぶん。 |
No.2 | 6点 | mini | 2012/10/15 10:01 |
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先日ニュースで丸谷才一氏の訃報を知った
丸谷才一は芥川賞作家・文芸評論家として、さらにはジェイムズ・ジョイスなどの翻訳者として知られていた しかし我々ミステリー読者にとって丸谷才一と言えば、趣味でミステリー好きなアマチュア評論家って存在だった、謹んで御冥福をお祈りします 丸谷才一には「探偵たちよスパイたちよ」という本も有るのだが、これは来月11月7日近くになってから書評するとしよう、えっ、何でその日付かって?、ありゃ!伏線張っちゃったよ(苦笑) まず採り上げたいのが「深夜の散歩」である、これは福永武彦、中村真一郎、そして丸谷才一の3名によるミステリー評論集である 書下ろしではなく雑誌連載コラムを集めたものなので内容的にはかなり断片的である、各章の前後の繋がりなどは殆ど無いから読者は興味を惹かれたコラムを断片的に読めばいいと思う 福永武彦、中村真一郎、丸谷才一と3人揃うと、本業とは別に趣味でミステリー好きな東大出身評論家3人衆って感じだ えっ!東大出身のミステリー評論家だったら中島河太郎や石川喬司も居るだろうって?、でも中島氏や石川氏はミステリー分野が本業みたいな人達だからなぁ 実際に作家としてミステリー創作もした福永武彦に比べると、丸谷才一は作家としては芥川賞作家の肩書き通り純文学畑であり、ミステリーはやはり趣味の域は出ていなかったんじゃないかななぁ、ミステリー翻訳の仕事もポーとG・グリーンとあとはクリストファー・ランドン「日時計」くらいだしね、ジェイムズ・ジョイスはミステリー作家じゃないし でもそのアマチュアイズムが丸谷氏の良さなんだと思う、ちょっと斜に構えて捻くれたおじさんって感じで 当サイトでのTetchyさんの御書評に反してしまって誠に恐縮なのですが、福永氏担当の『深夜の散歩』に対して、丸谷氏担当の『マイ・スィン』もその捻くれ加減が別な意味で面白かった |
No.1 | 7点 | Tetchy | 2010/09/23 16:41 |
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ミステリマガジン誌上で連載されていた『深夜の散歩』、『バックシート』、『マイ・スィン』を収録。
もし『深夜の散歩』が最後に来ていたら、断然10点をつけたであろう。そう、何よりも『深夜の散歩』が素晴らしかった、いや素晴らし過ぎた。特に第一回目は歴史に残る名コラムと云っていい。 それに比べると『バックシート』は文学論に走りがちだし、『マイ・スィン』は個性が強過ぎる。 さて、僕も深夜の散歩に出掛けるとするか…。 |