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ぼくのミステリ・マップ—推理評論・エッセイ集成 田村隆一 |
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評論・エッセイ | 出版月: 2023年02月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
中央公論新社 2023年02月 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | 2023/04/07 02:21 |
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(ネタバレなし)
世界傑作探偵小説シリーズ~ポケミス創刊時の話題を期待して手に取った。 で、まあ、う~ん、たしかに語ってくれてはいるのだが、叢書の組成については結構、大づかみな述懐だったのが残念。 こっちは、どういうセレクトでポケミス初期のラインナップが形成されていったか、例えばフィアリングの『孤獨な娘』を選んだのは誰か? ディビスの『葬られた男』は誰がセレクトしたか? とかなどの、細かい話を聞きたかったのが。やっぱ無いものねだりか(苦笑)。 早川の編集者時代の話題を離れた部分では、ミステリ全般に関して思った以上に通り一遍のことしか言ってないようなのが残念。 あと、評価の軸足もなんだかなあ、で、ブレイクの『野獣死すべし』もマーシュの『死の序曲』も同列に「傑作」って、観測が雑すぎるだろ。 (アリンガムの『幽霊の死』も同格に並べられており、そっちはまだ未読だが、なんか不安。) 早川の初期ミステリ編集者としての実績の話題と、詩人の感性による独自のミステリ観、その双方を聞かせてもらいたかったが、どっちもイマイチであった。 高望みの過剰期待しすぎたこっちがワルイのかもしれん。 著者が亡くなってすでに20余年。2020年代の視点で、巻末の註釈を設けた編集者氏の手際はホメたいが、実はここももうちょっと、並べる情報の取捨選択のロジックを明確にしてほしい面もある。 うん、確かに、これはたぶん、こっちの方がゼータクだ(汗)。 |