皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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わが懐旧的探偵作家論 山村正夫 |
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評論・エッセイ | 出版月: 1976年01月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 幻影城 1976年01月 |
![]() 双葉社 1996年05月 |
No.2 | 7点 | クリスティ再読 | 2025/01/11 09:39 |
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その昔「幻影城」に連載されていた、評伝的エッセイ。山村正夫のデビュー自体がまだ学生時代で、発刊したばかりの旧「宝石」。バイトなどを経て協会の裏方も長く続けたこともあり、旧「宝石」作家たちの人間臭いエピソードを交えながら、その作品を作家論的に取り上げていくもの。協会賞受賞作。
でもね、作家のラインナップが凄いんだよ。評者とか思わずうれしくなる。五十音順というのもあって(発表順は別)、トップからしてご贔屓の朝山蜻一! そして、鮎川哲也、江戸川乱歩、大河内常平、岡田鯱彦、大坪砂男、香住春吾、香山滋、狩久、木々高太郎、楠田匡介、島田一男、城昌幸、高木彬光、千代有三、角田喜久雄、日影丈吉、氷川瓏、山田風太郎、横溝正史...と続く。 評者がこのサイトで取り上げた作家も数多い。大河内・香住・狩・千代・日影はまだだが、とくに日影丈吉はしっかりやりたいな。やはり評者の「ミステリのふるさと」というのはここらへんにある、というのも実感する。 さらに言えば、このラインナップで存命だった作家に「幻影城」が積極的なアプローチを行い、晩年の展開の場を提供したことも、言い添えるべきだろう。朝山の「蜻斎志異」なんて、本当にこのエッセイのおかげを被っているとも感じる。 (でも、天城一と飛鳥高、それに戦前派なら水谷準は扱ってほしかったな...) |
No.1 | 7点 | 人並由真 | 2019/05/23 04:12 |
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(ネタバレなし)
戦後の昭和推理小説文壇のど真ん中にいた作者による、先輩や同年代、一部後輩の同業作家たちを語った貴重な述懐・証言集。大半の記事は「幻影城」誌上や元版で読んでいるが、改めて今回は初めて(文庫版で)丸々一冊通読した。他のミステリその他を読む合間合間に読んでいたので、最初に文庫版を手に取ってから完読するまでに、1年以上かかったが。 作家それぞれの人間的な地の顔を著者目線で語りつつ、一方でそれぞれの作家の代表作ややはり著者目線での印象的な作品にも積極的に言及している記事の作り方がとても楽しい。 一部、巧妙に、書きにくい話題を避けているところもあるようにも思えるが、昭和の国産ミステリ全域に濃かれ薄かれ関心がある人(評者のような)なら一度は読んでおくべきだろう。 何より昭和の探偵小説・推理小説の文壇の世界の形成がなんとなく見えてくるような感覚が実に心地よい。 |