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エドガー・アラン・ポーの世紀 八木敏夫 巽孝之 |
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評論・エッセイ | 出版月: 2009年05月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
研究社 2009年05月 |
No.1 | 8点 | 小原庄助 | 2017/12/22 10:18 |
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日本が近代国家の体制を整えるはるか以前に、その遠因となったグローバリズム発祥の中心地アメリカに生まれ、わずか40歳でこの世を去ることになったたった一人の男によって、現在でも世界の出版市場に毎年膨大な数が生み落とされている小説の、ほとんどすべてのジャンルの起源にかかわる作品が書かれてしまっていた。
ポーは、欧米主流文学史においてはもちろんのこと、ミステリやSFといった大衆文学からドビュッシーを代表とする古典音楽、さらにビアズリーらの世紀末芸術まで、表現におけるメーンカルチャーとサブカルチャーという区分を軽々と無化し、20世紀に花開く芸術の様々な分野を先取りし、さらに最良の素材を提供し続けた、稀有な表現者だった。 印刷技術の急激な発達によって可能となった雑誌の特性を最大限に活用し、表現のあらゆる雑種を生み落とし、またそれらの間を自由自在に横断した、近代小説の真の起源に位置する人が、エドガー・アラン・ポーである。 本書は、第一線の研究者たちが最新の資料を駆使して、ポーという作家の多面性、現時点におけるその表現の持つ可能性の中心を描き尽くした、決定版の研究論集である。 人文諸科学の危機が叫ばれ、文学の終焉、また書物というメディアの衰退がささやかれている今こそ、なによりもその始まりの時代を生きた特権的な対象を検証する必要があるだろう。本書を通じて、来る次世代の表現者、情報時代を生きる新たなポーの誕生さえも夢想させられる。 |