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[ 警察小説 ] 13の秘密 ルボルニュ青年 併載「第一号水門」(メグレ) |
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ジョルジュ・シムノン | 出版月: 1963年08月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 4件 |
東京創元社 1963年08月 |
東京創元新社 1963年08月 |
グーテンベルク21 2023年04月 |
No.4 | 6点 | 臣 | 2024/02/03 12:18 |
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「13の秘密」は、2分間あるいは5分間ミステリーみたいなもの。こんなのも書いていたのかとびっくり。センスはあるが、解決はイマイチ。
「第1号水門」は立派なメグレ長編だった。 中年のジャン・ギャバンみたいなおやじ、デュクローが中心人物。謎はいくつかあり、デュクロー対メグレが見ものなのだが、デュクローが押し気味。それほど個性が強い。 ミステリー性はともかくとして、雰囲気は好みである。 最近、半世紀以上も前のモノクロの仏映画をよく観ているが、本書を読むと、その映像が浮かんでくる。今のものはどうか知らないが、活字も映画も、古いフランスものは気取らないところ、庶民派なところに好感が持てる。 |
No.3 | 8点 | クリスティ再読 | 2017/07/13 20:45 |
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本書はショートショート的なパズラー「13の秘密」と、第一期メグレ物でもラストに近く、評者に言わせれば初期でも屈指の名作「第一号水門」の二本立てだが、この合本は誰得だと思う...特に「第一号水門」なんてパズラーマニアは読みどころが解らないだろうし、メグレファンだったらパズラー短編なんて退屈だ。しかも「13の秘密」は瀬名秀明氏によると、原著は図面入りで、だからこそレボルニュは「図面を見ろ!」と度々言うんだそうだ。そうしてみると、欠陥商品みたいなものである。
しかし、それを補って余りあるほど、評者は「第一号水門」が好きだ。8点の評点は「13の秘密」は完全無視で付けた点である。「第一号水門」の一番イイ点は、本作の中心人物デュクローに生彩があることである。日本で映像化するなら、緒形拳か山崎努か、といったあたりの、アクが強くて身勝手だけど憎めなく、ニッコリ笑われると許さないわけにはいかないような、オヤジの萌えキャラである。事件はこの運河で手広く商売をするデュクローが、刺されて運河に沈むが、命を取り留めて...というあたりから始まる。舞台からして、シムノンの船好きが全開で、河の風景や生業の描写がすばらしい。 で、このデュクローの魅力は、というと、要するに大人と子供がややバランス悪く配合されたところにある。裸一貫で商売に成功して、プチブルくらいに成りあがった男なのだが、そういうプチブルの生活に強い違和感を感じていて妙に子供じみた反抗をするわけだが、意外に状況を客観的に捉えるオトナの眼も欠かさない、リアルで複雑な、危うい人物として描かれている。本作だとメグレ第一期の終了間際ということで、メグレがあと数日で退職する設定で、それを見透かしてデュクローは高給でメグレを雇おうかと誘ったりする...しかしデュクローとメグレの「対決」は実に静かなもので、ほとんど裁かないメグレはあたかもデュクローの同伴者であるかのようだ。 たとえば「男の首」のラディックならずっとガキなわけであり、メグレは大人の余裕をカマして対決が盛り上がるのだが、本作はオトナ対オトナの静かな対決であり、共感とか哀歓みたいなものが強く立ち上る。ここらへんが本作の読みどころであり、分かりやすいエンタメ性からはズレてきている部分でもある....純文学的捕物帖みたいな雰囲気と言ったらいいのだろうか? |
No.2 | 6点 | 斎藤警部 | 2015/09/27 12:23 |
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仄かに抒情漂う推理クイズ集といった趣。 好きな雰囲気だ。 |
No.1 | 6点 | 空 | 2010/08/29 22:49 |
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同じ頃書かれた、それぞれ13のショート・ショートを収めた3冊「秘密」「謎」「罪人」のうちの1つです。本作は基本的にパズラー的要素が強い安楽椅子探偵のタイプになっています。
今回読み返してみて、一人称の語り手については名前も職業も出てこないことに気づきました。シムノン自身と考えてもいいのでしょうが、名無しのオプならぬ名無しのワトソン役です。 1編が10ページもないぐらいで、解決もものたらないのが多いのですが、最も気に入ったのはかなりな大技の『三枚のレンブラント』。また最後の『金の煙草入れ』は例外作で、シムノンらしい心理的な味わいがあります。 創元推理文庫に一緒に収められているメグレものの長編『第1号水門』は、最初に起こるのが傷害事件で、全体的には非常に地味な話です。この負傷した河川運輸業者デュクローが完全に事件の中心人物で、彼の人物造形が印象に残る作品です。メグレではなくデュクローの視点から書かれてもよかったように思えるほどです。 なお、メグレのファースト・ネームがジュールであることはいくつかの作品に書かれていますが、本作ではなぜだかジョゼフとされています。 |