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[ 法廷・リーガル ] 証人たち |
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ジョルジュ・シムノン | 出版月: 2008年04月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
河出書房新社 2008年04月 |
No.1 | 7点 | 空 | 2016/02/01 23:41 |
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殺人事件の裁判長になった判事を主役にした、裁判前夜から裁判終結日の夜までの話です。ただしシムノンらしく、途中に主人公の過去の思い出や日常生活などをふんだんに取り入れて、そんな様々な記憶が法廷での彼の態度に影響を及ぼす様が描かれます。裁判劇中心ということで一応本サイトに登録しましたが、ミステリ度はかなり低い作品で、妙な期待を持って読むと、本格派ファンならずともこの結末にはがっかりするかもしれません。小説としてなら納得のいく判決ではあるのですが。さらに裁判終結の後に主人公を待ち受けていた衝撃には、感銘を受けます。
文学的テーマを別にすると、興味深いのがフランスの裁判制度でした。シムノンがどの程度現実の裁判に忠実に書いているのかはわかりませんが、本作を読む限り、ペリー・メイスンでおなじみのアメリカや、それに近い日本の制度とは全く違うところがあるのです。 |