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[ 警察小説 ] メグレ警視 世界の名探偵コレクション10 |
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ジョルジュ・シムノン | 出版月: 1997年07月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
集英社 1997年07月 |
No.2 | 6点 | 斎藤警部 | 2021/12/20 22:50 |
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はじめに短い短篇四つ、それから長い短篇三つ。
■□月曜日の男□■ タイトルは、品の良い老乞食に子供たちが付けたアダ名。更に馬●と気●いが登場し、ミスディレクションも整う前にバタバタ収まってしまう物語。エクレアに仕込まれた毒(と呼ぶのか?)の効用は相当におぞましく、ちょっとほのぼのした話をミステリの怖さで直立させている。 ■□街中の男□■ 数日に渉るちょっとユーモラスなパリ食べ歩き尾行劇の末、或る種厳然たる風格のドラマティックな終結へ。変則ホワット&ホワイ(&フー)ダニット人情譚。最後のほう、メグレの一旦身を引く心がグッと来る。 ■□首吊り船□■ 水運と居酒屋を舞台に、夜の抒情が滲み出る。高級推理クイズめいたバランスを、或る登場人物が打破、そこで更に高まる抒情。解決篇の緊迫感。バッサリした終わりも良い。 ■□蠟のしずく□■ “現場の見取図と報告書だけで解決できた珍しい事件”ですと。メグレが本格風のヤマを担当すると(実は推理クイズ風であるに関わらず)こんなにも味わい深い結末を導き出すのか。。片田舎の老嬢姉妹と、そのご近所と。。 ■□メグレと溺死人の宿□■ 男女二人の乗っている車が、ホテル前の危険なカーブで、川に落ちた。トランクからは第三の男の屍体が発見された。残酷な風が吹く反転劇。 ■□ホテル<<北極星>>□■ メグレが定年退職直前に巻き込まれた事件。小娘と、賢いようで馬●な男を取り巻く物語。意外な犯人をわざと意外に見せないような、コイネス光る筆致。どこかしらモゾモゾした情緒が、くすぐったいかも。 ■□メグレとグラン・カフェの常連□■ 定年退職後、計画通り夫人と田舎町に移ったメグレ。小娘と、ハナっから馬●な男を取り巻く物語。時の流れの重み、有り難さが沁みるストーリー。程よく旨そうなメシがいろいろ登場。夫人の存在感が押している話でもあります。 「そればかりか、事件を知らされる以前に、予言することだってできたかもしれない・・・・・・ところが、知っていても、話せなかったんだ。礼節だったんだ。それは死に対する礼節の問題だったんだよ」 巻末に「解説―メグレの世界」「鑑賞―不思議な魅力」と二篇あって、どちらも良いが、後者で「男の●」の犯●ネタバ●を白昼堂々と晒してあるので未●の方は御注意。 |
No.1 | 6点 | 臣 | 2019/08/19 10:20 |
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世界の名探偵コレクション10
20ページ前後の短編が4作と、60ページ弱の短編が3作収録されている。 『月曜日の男』はハウ物、『街中の男』は尾行物、『首吊り船』は船内での死の真相物、『蝋のしずく』は姉妹登場の本格もどき。 『メグレと溺死人の宿』は交通事故が発端の推理モノ。『ホテル≪北極星≫』は背景となる人間関係が面白い。これら2作は、メグレの強烈な推理、というか容疑者たちとの対峙の仕方が見どころ。『ホテル≪北極星≫』は、メグレが定年直前の事件という点にも注目できる。 『メグレとグラン・カフェの常連』は、メグレの退職後に発生した事件に関する番外編のような短編。引退後の話なのでメグレ夫人の登場機会も多い。話はメグレのカードゲーム仲間たちの間で起きた事件に関するもので、情愛系、人情噺系という感じがして、なんとも味わい深い。 |