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[ サスペンス ] 家の中の見知らぬ者たち 旧題『家の中の見知らぬ人』 |
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ジョルジュ・シムノン | 出版月: 1955年03月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1955年03月 |
読売新聞 1993年12月 |
No.2 | 7点 | クリスティ再読 | 2022/03/03 20:57 |
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メグレ物ではないけども、しっかりミステリ。しかも法廷ものだったりする。
それでもシムノン、一筋縄ではいかない。主人公は街の名家の当主で弁護士のルールサ。でも...妻に逃げられたことで18年間引きこもりの生活を続けている。置いてきぼりの娘ニコルがいるが、ルールサは関心を示さずに育ち、二人の関係は冷淡なものだった。しかし、ある晩ルールサは銃声を聞いた気がして、館の中で死体を発見する....ルールサの無関心をいいことに、ニコルは男友達たちと気ままに館の一室で遊び暮らしていたのだった。ニコルと愛し合うその男友達の一人が、逮捕されて裁判になるが、弁護に立ったのはルールサだった。 事件をきっかけに、引きこもり生活から脱出し、娘とも向き合い、18年間無縁だった町の人々や街の景色を改めて見つめるルールサの視点に、魅力がある。引きこもり探偵っていうと、「刑事くずれ」のミッチ・トビンという例もあるけども、ルールサは一日4瓶のワインを平らげるアル中で、ルンペン風の身なりの汚さがあるから、カート・キャノンにも近いか。まあ、アル中探偵は今はけっこう、いるな。 シムノンだから、こそかもしれないけども、このルールサの「復活」の描写が全然押し付けがましくないし、本人もそれほど気負ってないのが、何かいいところ。事件が解決してルールサの街の評判はグッと改善するのだけど、ルールサは「社会復帰」なんて恥ずかしがって(苦笑)自堕落にまた戻る。けども、ちょっとは世の中に肯定的になっているし、周囲とも改善して... いやなかなかイイ話。でも相当キャラも事件もひねくれている。それをすんなり見せることができるシムノンの剛腕、ということだろうか。シリーズにでもすればよかったのに。 |
No.1 | 7点 | 空 | 2009/12/25 20:37 |
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酔いどれ弁護士が、自分の家で起こった殺人事件の容疑で逮捕された男の弁護を引き受け、法廷でペリー・メイスンばりの活躍をする(もちろんガードナーみたいなトリックがあるわけではありませんが)という、メグレもの並みにミステリ的な色合いの濃い作品です。
と言っても、自分から他人との関係を断ち、毎日朝からワインのビンをかかえこんで過ごし、自宅(邸宅と呼べるような大きな建物ではありますが)の中でさえごく一部以外には足を踏み入れなくなってしまった老弁護士が、事件をきっかけにして、それまで接したことのなかった町の人々の中に飛び込んで調査をしていく、その意識の変化が繊細に描かれているところは、やはり普通のミステリとは違う感動を与えてくれます。 早川から出版された版を古本で持っているのですが、これがなんと小説家デビュー前の遠藤周作による翻訳なのです。しかし、会話の部分はかなり不自然なところもあったり、誤字なども目につきました。 |