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[ 警察小説 ] メグレと幽霊 メグレ警視 |
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ジョルジュ・シムノン | 出版月: 1982年12月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
河出書房新社 1982年12月 |
河出書房新社 2001年02月 |
No.2 | 7点 | クリスティ再読 | 2020/11/20 13:52 |
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評者ご贔屓のロニョン刑事が登場する巻。ただし冒頭ですでに就寝のメグレの元に、ラポワントが訪れて、ロニョンが撃たれたことを知らせて始まる...まあだから、ロニョンは事件解決まで意識不明のままなので、ロニョンが直接登場することはほとんどないのだけど、逆に本作だと最大の重要人物として、単独で誰にも捜査内容を明かさずに内偵するロニョンの屈折したキャラ、それから大した病気でもないのに病身のフリをして夫の気を引こうとするその妻との関係が描かれて、ロニョン・ファンの評者なぞ大喜び。
しかも、ロニョンが撃たれる直前に独身女性の一人住まいのアパートをずっと訪れていた...なんて事情が分かるから、「いやロニョンも隅におけないね」というミスディレクション(でもないが)。いや堅物ですって。そこもまた、いい。で、中盤からロニョンが狙っていたターゲットが浮かび上がってきて、撃たれた直後にロニョンがつぶやいた「幽霊..」という事件の真相が暴かれる。 事件真相もちょっとした隠ぺい工作もあって、素直に真相が割れるわけではなく波乱がある。評者シムノンの手持ち本はもうないので、久々のメグレになってしまったが、「メグレらしい」作品で面白い方の作品になると思う。 「私は、人間を収集してますよ....」 「人間収集家」メグレらしく、本作も「ヘンな奴ら」が多数登場。「ヘンな奴ら」が皆いとおしい。 |
No.1 | 6点 | 空 | 2012/05/31 00:06 |
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メグレの直属の部下ではありませんが、『メグレ警視と生死不明の男』等いくつもの作品に登場する、無愛想な刑事ことパリ18区警察署のロニヨンが路上で撃たれて重傷を負うという事件です。
ロニヨンが意識を失う前に呟いた、タイトル(原書も同じ)にもなっている「幽霊」という言葉は、謎めいたメッセージとしては期待を抱かせますが、読了後振り返ってみると、結局彼がその言葉を口にする必然性はあまりないように思えました。事件は夜中の2時頃に起こり、24時間も経たないうちに解決してしまうので、ロニヨンは意識を取り戻す間もありません。まあ目の付け所さえ間違えなければすぐ解決してしまうような、簡単な事件ではあります。 そんなわけで実際の登場場面はないにもかかわらず、手柄をたてようと、同僚たちに何も知らせず一人だけで密かに捜査していたロニヨンの人物像の方が、殺人未遂犯人たちよりも印象に残るような作品でした。 |