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ジョルジュ・シムノン 出版月: 1985年01月 平均: 7.67点 書評数: 3件

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東京創元社
1985年01月

東京創元社
1985年01月

No.3 7点 クリスティ再読 2018/07/10 23:25
tider-tiger さんもそういう要素にお気づきのようだが、評者は本作はグロテスクなコメディみたいにして読んでいたなぁ。周囲が「お似合い夫婦」みたいに見ていたとしたら、逆に非常に怖いことになっていたのかもしれない。誰がどうみても悪意を通貨にして、相互に依存し合っていたわけだからね。
だから評者はあえて本作は「大した作品じゃない」(いや面白いが)と言いたい。名作というよりも、シムノンという作家の職人的な上手さが発揮された作品のように感じる。ちょっとした心理のねじれをうまく組み立てて、軽妙に処理した作品、というイメージだ。動物たちが殺されたあと、その主人たちも老年によるエネルギー低下と惰性によって、言葉なきケダモノ同士の「共存」としかいいようのない「生活」に落ち込んでいく、アイロニカルなさまを描いた小品である。
どう見てもミステリじゃないけども、シムノンという作家の多面性が覗かれる作品ではある。成り上がって居場所をなくす男、というのはシムノンの固執的なテーマではあるんだよね....

No.2 8点 tider-tiger 2015/08/01 09:08
ミステリでもエンタメでもありませんが、凄い作品でした。こんなつまらない話をここまで読ませる小説に仕上げるなんて。
老境に達してから結婚した夫婦(お互い再婚)が猫を切っ掛けに口をまったく利かなくなり、それでいて相手を支配しようと競い合い、いがみ合いつつも互いに依存している、そんな関係を描いた作品です。
そんな馬鹿なと思えるような登場人物の行動の数々がシムノンの人生経験や洞察力に基づいた巧みな心理描写によってすべて納得させられてしまう。
どこか不気味な緊張感が全編を支配しているのですが、喜劇的な要素を嗅ぎ当てる人もいらっしゃるかもしれません。
シムノンは老人を描くのがうまい。とりわけ老人特有のある種の子供っぽさを描くのが好きみたいですね。メグレシリーズでも印象的な老人が多数登場します――特に『メグレ激怒する』に登場した老婦人は素晴らしかった――。そんなシムノン老人趣味の集大成的な作品です。

No.1 8点 2009/05/20 21:05
まあサスペンスがあるといえば言えるのですが、殺されるのは猫とオウムで、しかも主たるサスペンスは動物殺しではありません。創元推理文庫から出ているので、ここに評も書いてますが、やはりミステリとは呼びたくありません。しかし、小説としてなら本当に読んでよかったと思える傑作です。
シムノン64歳の時の作品です。65歳と63歳で再婚した老夫婦の話ですから、作中で言及される老いの自覚は、作者自身感じていたのではないでしょうか。
夫のエミール・ブワンが73歳の時から作品は始まり、その後、再婚当時や猫・オウム殺し、さらに以前の妻との生活など過去の話になってきます。後半になってブワンが家出をするあたり(これも冒頭場面以前の出来事)からは、もう完全に作者の術中にはまってしまい、最終章では感動させられます。


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メグレ間違う
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Chez Krull
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新しい人生
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1955年11月
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霧の港のメグレ
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メグレと深夜の十字路
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1952年09月
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メグレと運河の殺人
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1950年08月
サン・フォリアン寺院の首吊人
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1950年05月
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黄色い犬
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不明
死の脅迫状
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メグレと奇妙な女中の謎
平均:7.00 / 書評数:2
メグレと謎のピクピュス
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猶太人ジリウク
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ダンケルクの悲劇
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下宿人
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