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[ 警察小説 ]
メグレと老外交官の死
メグレ警視
ジョルジュ・シムノン 出版月: 1980年01月 平均: 5.00点 書評数: 2件

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河出書房新社
1980年01月

グーテンベルク21
2015年04月

No.2 5点 2019/01/19 18:02
 メグレ警視は局長を通じて外務省から内密の呼び出しを受けた。既に引退した老外交官サン・ティレール伯爵が、ドミニック通りのアパルトマンの書斎で回想録を執筆中、数発の銃弾を浴びて殺害されたのだ。伯爵は七十七才。四十年以上彼に仕える家政婦マドモワゼル・ラリュ-との二人暮らしだった。
 彼は積年の恋人である公爵夫人イザベルとの恋を温め続け、公爵の急死により晴れて彼女と再婚することになっていた。それは周囲の人々すべてが周知している事実だった。伯爵は温和で公私の敵もなく、もはや政府の機密にも関与していない。実際、彼を憎む人物など見当たらないのだ。
 メグレは老女ラリューの視線を意識しながら、過去に生きる人々に接触するが・・・。
 シリーズ第84作。1960年発表で、円熟期からそろそろ後期に入りかけた頃の作品。メグレの苦手な上流階級の事件で、道徳観や世代の壁もおまけつき。ティレール伯爵アルマンが恋人を譲っただの譲られただの、潔く身を引いたのと話を聞かされ「人間ってそんなもんじゃないでしょう!?」などと内心軽くキレるメグレ。被害者や周辺の人物に共感しようにも、倫理観が違い過ぎて全くとっかかりが無い。読んだ中では彼が最も苦戦した事件ではないでしょうか。
 メグレシリーズとしては若干短いですが、土壇場まで五里霧中の状態。しかし被害者の孫からある証言を得たことで、急転直下の勢いで事件は解決します。新機軸を謳っていますが、正直身構えるほどの真相ではないですね。シムノンにトリックを期待して読んではいけません。富豪たちの世界が舞台の「メグレとかわいい伯爵夫人」のように、慣れない環境に戸惑うメグレの姿を楽しむのが読み筋ではないでしょうか。

No.1 5点 2012/02/06 21:11
WEB上で読めるあらすじには、ミステリのタブーに挑戦したとなっていますし、訳者あとがきではさらに詳しく、カー、クリスティー、クイーンを引き合いに出して、彼等に対する異議申し立てであるかのように書かれています。しかし実際には、クリスティーやクイーンにも同じアイディアを使った作品はあり(クイーンの場合さらに一ひねりしています)、その意味ではタブーでも何でもありません。むしろ、最後に明かされる動機が少々安易ではないかと思えるところ、作者が作者だけに不満です。事件を複雑化することになる別の人のある行動理由については、納得できたのですが。
原題の意味は「メグレと老人たち」で、実際タイトルの老外交官を始め登場人物はほとんど老人ばかりです。それも作中で18世紀的とまで形容されるほど古めかしい威厳を備えた上流階級の人たちで、メグレが困惑しているところが楽しめるとは言えます。


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1963年08月
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平均:6.50 / 書評数:4
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平均:6.00 / 書評数:3
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平均:6.00 / 書評数:1
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1961年01月
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平均:7.00 / 書評数:2
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1960年11月
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平均:6.33 / 書評数:3
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平均:6.50 / 書評数:4
1960年05月
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平均:6.00 / 書評数:3
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サン・フィアクル殺人事件
平均:5.25 / 書評数:4
1958年11月
上靴にほれた男
平均:5.50 / 書評数:2
1958年10月
可愛い悪魔
平均:6.50 / 書評数:2
1958年07月
死体が空から降ってくる
平均:6.50 / 書評数:2
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メグレ罠を張る
平均:7.33 / 書評数:6
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カルディノーの息子
平均:6.00 / 書評数:2
1957年05月
ベルの死
平均:6.50 / 書評数:2
1957年01月
メグレと無愛想な刑事
平均:6.00 / 書評数:4
1956年12月
リコ兄弟
平均:7.33 / 書評数:3
1956年06月
帽子屋の幻影
平均:6.33 / 書評数:3
1955年11月
メグレのバカンス
平均:6.67 / 書評数:3
1955年07月
判事への手紙
平均:5.00 / 書評数:1
1955年03月
家の中の見知らぬ者たち
平均:7.00 / 書評数:2
1955年02月
雪は汚れていた
平均:8.40 / 書評数:5
1955年01月
メグレとしっぽのない小豚
平均:7.00 / 書評数:2
1954年12月
霧の港のメグレ
平均:6.00 / 書評数:2
1954年03月
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平均:8.00 / 書評数:2
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平均:7.00 / 書評数:2
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