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ミステリー中毒
養老孟司
評論・エッセイ 出版月: 2000年07月 平均: 5.00点 書評数: 2件

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双葉社
2000年07月

双葉社
2003年05月

No.2 4点 メルカトル 2023/06/07 22:31
ヨーロー先生はアメリカの推理小説を四十年間、読み続けた。文庫本を二冊買って新幹線に飛び乗ったら、両方とも下巻で、しかも違う小説だった。なんだか説明不足だと思いながら読んでいたら、下巻だったこともある。それでも、あるいは、だからこそ相変らず推理小説を読むのが止まらない。スティーヴン・キング、ジェイムス・エルロイ、馳星周からマイケル・ギルモアまで、多彩な作品が取り上げられる。傑作エッセイ集。
『BOOK』データベースより。

人並由真さんには申し訳ないですが、意見の相違がかなり見られます。私は翻訳物素人なのでご了承願います。
そもそも本著が海外作家による推理小説のエッセイとは知らずに読んだ私が間違っていたのです。知っていれば読まなかったのにと後悔しています。おそらく70年代以降の海外ミステリを取り上げて紹介しているのだと思いますが、それがなんとも分かりづらく、内容もあまり興味を惹かれるものがありませんでした。ほぼ全作未読というのも、余計に退屈にさせられました。私の知っている作家は、最も多く触れられているのがスティーヴン・キングで他にローレンス・ブロック、マイクル・コナリ―、ディック・フランシス、ジャック・ヒギンズ、ジェフリー・ディーヴァ―、マイケル・クライトン、ピーター・ラヴゼイくらいですかね。まあ、私ごときが読むのは百年早いですよ。でも、本格ミステリが全然取り上げられていないのは残念です。

東大名誉教授の肩書を持つ著者、養老孟司なので、本人が知らず知らずのうちに読み難い文章を書いていたのかも知れませんが、相手は一般大衆ですし、私のように頭の悪い人間にももう少し親切に書いて欲しかったですね。推理小説のエッセイなのに、いつの間にか脱線し自分の趣味や世事に関する記述になっている事も多く、逆にそちらの方が面白かったりします。特に昆虫採集で海外に出かけたことや、マチュピチュ、ピラミッド、ナスカの地上絵の違う意味でのミステリーなど興味深く読めました。
ふと思ったのですが、この人はやはり自身の守備範囲である人間の死に関するエッセイなどの方が向いているのではないかという気がしました。

No.1 6点 人並由真 2022/10/01 21:41
(ネタバレなし)
 1995年から2000年、4年半かけて「小説推理」に連載された、解剖学の権威という医学者で、広範囲な趣味の文化人として知られる著者・養老孟司先生による、日々の動向といっしょにミステリ読書日記を綴ったエッセイ集。

 前述のとおり文化人としてかなり有名な方らしいが、モノを知らない評者は縁があって本書(元版のハードカバー)を手にしたのち、Wikipediaなどで初めてその業績のほどを認めた。
(そういえば、宮崎駿との共著の相棒は、この方だったのだな。)

 個人的にはこの時期(95~00年あたり)がもっともリアルタイムの東西ミステリから離れていた(SRの会からも一時退会していたし。毎年の「このミス」くらいは購入していたが、ベスト表とか眺めても、フーン、てなもんだった・汗)頃合いの一角だった。
 だから、著者が良い意味で本当に気軽に敷居を低く、この当時の新刊や話題作(原書をふくむ)を語るのがとても楽しく、また興味深い。
 リンカーン・ライムなんかがまだ登場する前、リアルタイムで初期ディーヴァー作品なんかに接する著者の反応なんかも実に新鮮に思える(と、聞いた風なことを言いながらぢつは評者はまだ、ディーヴァー作品は一冊も読んだことがないのだが……・汗&笑)。

 Amazonのレビューに、自分を飾らない記述といった主旨の、本書を読んだ方の感想があったが、正にその通り。ソんな一方で、ところどころ、見識の広い視座からミステリの現代性やお国柄を覗き込むあたりなども、イヤミにならない感じでとても楽しい。

 この本を契機に、何冊か読みたくなった本がまた出てきた(さらに、この本のなかで取り上げられた作品が、本サイト「ミステリの祭典」の場でどのように評価されているのか、何回もパチパチ、キーを叩いたりしている。)。
 もう一回ざっと読み返して、面白そうな&興味の生じた書名のメモでも取っておこうか。


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