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[ 本格 ]
牧師館の殺人
ミス・マープル/別題『ミス・マープル最初の事件』『牧師館殺人事件』
アガサ・クリスティー 出版月: 1954年11月 平均: 6.00点 書評数: 12件

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早川書房
1954年11月

東京創元社
1976年01月

早川書房
1978年07月

新潮社
1986年08月

早川書房
2003年10月

No.12 7点 斎藤警部 2021/05/26 16:16
"いつか私が人を殺す仕事をやるとしたら、恐るべきはこのミス・マープルだろう。"

実質容疑者がいっぱいいて楽しいぞ!! 実質容疑者から外れる人々も含め、それぞれの思惑や事情、行動に人間関係のカラフルな錯綜が最後にピーーッと整頓される綺麗な風景は、涙が出るほど爽やか。 犯人の心理的偽装トリックはなかなか唸らせるものがあるけれど、如何せん同じ村に心理洞察のスペシャリストが住んでいたわけで不運でした。 随分とギャフンな物理トリックも堂々登場しますが、気にしなくていいでしょう(?)。 それにしても、こんな人の悪い犯人設定(犯人そのものじゃありませんよ)をミス・マープルのデビュー作にぶつけてくるなんて!! ユーモアの横溢も特筆したい所。 さて本書、妙にタイトルがバタくさいなあ青崎有吾の新作、なんて思って手にした人はいませんか。

No.11 7点 蟷螂の斧 2021/03/27 17:27
マープル長編初登場。著者によれば、マープルのシリーズなど考えていなかったとのこと。「あのひとは、一番意地悪な人よ」などとマープルを評しており、そのことが窺がえるところが面白い。また皮肉やユーモアのある会話が楽しめる。なお、キスシーンなどは著者作品ではお初かも(笑)。本書はトリックよりプロット(犯人像や別の事件の組み合わせ)のうまさが光る作品だと思います。

No.10 4点 レッドキング 2020/08/05 07:40
ユーモラスだか、そこはかとなくダークな匂いのする第一人称叙述。「ん?アクロイド?」と疑いつつ注意して読み進めたが、いつもの十八番トリックが待っていた。医師はともかく牧師に人殺し役はさせられないか。
※にしても、せっかく完全犯罪を達成しかけた美男美女カップルを絞死刑(当然そうなったろう)にするために、芝居うって罠にかけるミス・マープル、容赦ねえなあ・・でも大好きよ。

No.9 7点 人並由真 2020/06/15 05:44
(ネタバレなし)
 久々にクリスティーを読みたくなって蔵書の中から未読の作品を漁っていたら、ポケミス版のこれがでてきた。ミス・マープルものの初長編。
 いやいくらなんでもコレは昔に読んでるはずだ……たぶん読んでる……おそらくは……もしかしたら……と、確信度が次第に十のうちひとつかふたつくらいに下がっていく。
 まあ万が一、昔に一度読んでいても、これくらいしっかり忘れてるんならいいだろと思ってページをめくったら……あら、完全に、初読であった(笑)。そーか読もう読もうと思って、そのままだったのだな(大笑)。
 さすがにのちのマープルものは、何冊も読んでるが。

 という訳で半日かけてしっかり楽しんだけれど、セント・メアリー・ミードをがっぷりと舞台にした箱庭的な感覚の作品で、予想以上に面白かった。
 
 しかし主人公クレメントの若奥さんグリセルダ最高だな。自分が選択の自由があるという権威を示すために、三人ものの他の求婚者をふってあなた(ずっと年長の夫クレメント)を選んだとかの呆れた悪態ぶり、水着で絵のモデルになるくらいなんですの、わたしなんかもっと……とか、若い男にとってあなたみたいな年上の夫がいる私みたいな若い美人の奥さんは最高の贈り物なのだ、とかの小悪魔的なエロい物言いの数々。それで最後には(中略)とくるか。あー、ズベ公萌えの評者(汗・笑)にとっては破格ものの、クリスティー史上のベストヒロインかもしれない(笑)。

 あと翻訳のせいもあるのかもしれないが、前半の叙述がところどころイカれてて素晴らしい作品であった。人食い人種ネタジョークの悪趣味ぶり(不発に終わること自体も笑える)もさながら、容疑者の拳銃の所在について証言するミス・マープルの物言いまで妙にエロい。

 ミステリとしては、ポケミス版の解説で乱歩はあんまり評価してなくて『予告殺人』の方がいいとはっきり言っちゃってるんだけど、個人的にはおお、そうきたか、という感じで結構スキである(自分は後半のとある叙述から、別の人間が犯人では? と推察していた)。
 最後で急にこの物語に出てくる某ガジェットへの細かい不満などはあるものの、ミスリードの仕方としてはかなり上策だったではないかと感じた(その一方で、フェアプレイにしようという恣意的に丁寧な描写が饒舌すぎて、あとから思うとかなりアレなところもあるんだけれど)。

 あと、かのキーパーソンの正体はのちの別シリーズでこの変奏をやっている感じで、そっちでの真相発覚がスキな分、ここに先駆というか原型? があったという意味で興味深かった。
 総合評価としての完成度(というより作品の格の結晶度)はいまひとつかもしれないけれど、クリスティー色は全開かその上で、好みの作品の一つになりそうではある。

No.8 6点 虫暮部 2020/01/30 12:32
 随分と俗っぽい牧師さんだ。GOOD!
 ところどころにさりげなく埋め込まれたユーモアも冴えている。

 「夜中の十二時にスーツケースを持って、森の中で何をするつもりだったんでしょう?」
 「ひょっとすると――古墳の中で眠るつもりだったのかもしれませんよ」

 とか。これに何も突っ込まずにシレッと続くところが GOOD!

 “最初はまさかアクロイドではと疑った”←私も!

No.7 7点 りゅうぐうのつかい 2016/11/21 20:13
マープル物の最初の長編作品であり、マープルの住んでいるセント・メアリ・ミード村の様子が詳しく書かれているのが興味を引いた。
殺人事件はプロズロウ大佐の銃殺事件1件だけだが、人物を巧みに配置し、置き手紙、偽の電話、銃声、殺人の時刻、アリバイ、証言内容、過去のつながり等、様々な謎が盛り込まれていて、ミステリーの物語としては、十分に読み応えのある作品。
マープルの些細な事象に対する気付きや、状況をうまく説明する解釈はなかなかと感じるが、真相はポアロ物の某作品と非常に類似しているし、ややごちゃごちゃとしている印象を受けた。

No.6 6点 青い車 2016/02/15 23:28
ミス・マープル初登場作品。田舎の小さな村を舞台に、嫌われ者の老軍人が殺害されるという設定はいかにも古き良き探偵小説といった趣です。犯人特定のロジックに根拠が乏しいクリスティーにありがちな弱さはあるものの、最後にパズルのピースが綺麗にはまる快感は健在です。ただし、ハッタリがなく地味な印象は否めません。もっともクリスティーはヴァン・ダイン流の衒学的描写やディクスン・カー流の怪奇趣味とはそもそも無縁で、わざと無駄な装飾を省いているともとれます。

No.5 5点 クリスティ再読 2016/01/12 23:09
ミス・マープルのパブリック・イメージというと、田舎の村に住んでいるオールドミスで、自分の村の住人たちの見聞を軸に、村で起きたさまざまな事件を解決し...というものだけど、実はこれが当てはまる作品って少ないんだよね。外の町に出て行って解決するアウェーの事件ばっかり(例外はたった3作)だし、中期以降は「村の誰彼が同じような..」という言い方は少ないわけだ。だから本作、結構貴重なパブリック・イメージのミス・マープル活躍の作品である(評者は、本作+「火曜クラブ」の人と、中期の人と、ネメシスの人とミス・マープルは3人いるような気がしている)。
で次の長編「書斎の死体」はガチガチの中期スタイルなこともあって、本作は貴重な初期スタイルのマープル物である。言ってみれば軽妙なコメディ・ミステリ...というのを狙ってる感じだが、クリスティってあまり「軽妙」にはならないなぁ。ナレーターの牧師の妻のイイ女度が高くてステキとか、ついつい牧師がノッてしまって「悔い改めよ!」なんて説教をしてしまい、結果的に妙な引き金を引いてしまうとか、マープルを含むオールドミスの4人組が次々とクレームをつけてくるとか、コメディを狙っているようにしか読めないや。だからまあのんびり読むにはOK。
ミステリとしては一応トリックはあるけど、いまどきトリックとは言えないようなものだし、まあ本作は「珍しいもの読ませてもらった」のが最大の収穫かな。

No.4 6点 あびびび 2013/10/26 02:31
何作もクリスティーを読んでいる方は途中で犯人が分かると思います。ある意味、王道の作品。(最初はまさかアクロイドでは!と、疑いました・笑)

でも、『これぞ、クリスティー』という流れであり、自分的には肩もこらず楽しめた作品。ジェーン・マープル初登場!

No.3 5点 江守森江 2009/09/16 04:56
翻訳アレルギーな私に、ホームズ、ポアロ、マープルの有名作品は、先に吹き替え版のドラマか映画を見てから小説をオサライすれば抵抗感なく手軽に楽しめると教えてくれた記念すべき作品(私と同様な方は、この方法で翻訳アレルギー克服を試みては如何だろう)
マープルの吹き替えをした山岡久乃に日本版を演じてもらいたかった(原作のイメージを壊さないと思う)

No.2 5点 okutetsu 2009/07/01 05:50
クリスティーの中では凡作だと思いますがミスディレクションはさすがですね。
マープル作品なのでそれだけでも読む価値ありかと

No.1 7点 2009/03/20 13:28
クリスティーは別の名探偵が登場するある短編で、本作とほとんど同じアイディアを使っています。つまり、長編としてはたいしたネタではないのですが、村に住む様々な登場人物が絡み合って、読んでいておもしろいのです。
ミス・マープル最初の事件ということで、彼女は最初事件の重要な目撃者として登場します。その後、鋭い指摘を繰り返し、名探偵らしさを発揮していくことになります。ミス・マープルの探偵としての才能に前から気づいていた村の牧師の一人称形式で書かれることで、新たな名探偵の誕生を納得させてくれていると思います。また、筆者が牧師であることにより、村人たちからの相談を受けることが自然になる点も見逃せません。
最後に明かされる謎の婦人の正体も、なかなか意外でした。


アガサ・クリスティー
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