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[ 本格 ]
パーカー・パイン登場
別題『パーカー・パインの事件簿』
アガサ・クリスティー 出版月: 1959年11月 平均: 6.40点 書評数: 5件

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1959年11月

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No.5 6点 クリスティ再読 2016/04/11 21:08
本作の前半は、要するにパーカーパイン劇団のレパートリー紹介、って感じである。しかも出てくる人々がお馴染みなオリヴァ夫人とかミス・レモンだから始末におえない(苦笑)。クリスティの独特の共有世界観が本作で本当にうまく機能している。だから本作ってシチュエーションコメディ風のマンガ(要するに両さん)の面白さって感じを受ける。マンガだと思って読めば、本作の上機嫌さみたいなものを肯定的に評価できると思うな。あまり突っ込むのはヤボってものだ。
とはいえ、後半は旅情ミステリになってしまい、前半の上機嫌さが薄れるのが難。「ナイル河上の死」は舞台装置だけだが、「高価な真珠」は舞台もネタも「死との約束」で再現される話なので、そこらは興味深い。

No.4 5点 2012/10/16 09:51
前半6編は、パインが複数の部下を使って事件を解決する話です。いや事件というほどではなく、対象は個人のちょっとした悩みばかり。まあ、悩み相談室ってところでしょう。
その程度のことで、スタッフを使って一芝居打つ必要があるのだろうか、と言ってしまうと身も蓋もありません。そのへんはご愛嬌です。そういった軽いノリのシリーズです。この前半は、皆さんがそうであるように人気があるようです。
後半6編は事件が絡んできて、お手軽な短編推理小説として楽しめます。

前半と後半でどちらがいいか。いずれも意外な結末があり平均的に楽しめるので、結局は好みによると思いますが、クリスティーの意外性を見出したいならなら前半、あくまでもミステリーをというなら後半でしょう。
個人的にはやはり後半のほうが好きで、なかでも「高価な真珠」「デルファイの神託」がよかったですね。

クリスティーは、どろどろの愛憎が背景にある殺人を扱ったものこそが真骨頂だと思っています。でもそのドロドロ感は軽い文章によって重苦しさはなくなっています。そのやや軽くなった愛憎話と、ミステリー要素(トリック)とがほどよくまざりあって調和し、互いに引き立てあうところがクリスティーの魅力だと思います。
本書は、そもそもが軽い話なので、前半はもちろん後半でさえもそんな魅力は薄めですが、クリスティの多彩ぶりは間違いなく確認できると思います。

No.3 7点 りゅう 2011/03/08 19:01
 私も初めて読んだクリスティー作品はこの作品でした。久しぶりに再読しました。軽い文体の短編集で、いずれもひねりのある結末になっています。パーカー・パイン氏が新聞に掲載した広告記事の文章が印象的です。パイン氏は統計的知識を活用し、前半6作の人生相談ものではスタッフを使った大芝居を打って、相談者の問題を解決します。個人的ベスト作品は「デルファイの神託」、次点が「悩める淑女の事件」です。
「悩める淑女の事件」
 パイン氏はある人物の策略を見抜き、肩透かしを食わせます。
「金持の夫人の事件」
 パイン氏の大掛かりな演出によって、夫人は本当の幸福を見出します。
「ほしいものは全部手に入れましたか?」
 相談者の夫が残した奇妙な手紙から、パイン氏は宝石盗難事件の真相を見抜きます。
「デルファイの神託」
 見事なミスディレクションで、結末ではあっと驚かされます。

No.2 7点 vivi 2009/05/10 00:38
これ、クリスティの作品の中でもかなり好きです♪
というのも、一番最初に読んだクリスティだったから。
一番初めがパーカー・パインっていうのも変ですけど(笑)

ここでの、人間をいくつかのパターンに分類していく考え方は、
クリスティの人間観なのじゃないかと思います。
ミス・マープルも、それのバリエーションですよね☆

パーカー・パインやそのスタッフ設定も面白くて、
連作短編としては、かなり読ませる作品だと思います。

No.1 7点 2009/05/09 15:50
本作の前半6編は、パーカー・パインがスタッフを使って様々な依頼人の悩み事を解決していく話で、通常のミステリとはちょっと違った楽しみが味わえます。スタッフというかアイディア提供者としてミステリ作家のオリヴァー夫人も出てきていますが、この短編集が彼女の初登場です。パインがオリヴァー夫人にもっと独創的なものを求めるのに対し、夫人がワン・パターンだからこそいいのだと主張するあたり、クリスティーの独創性とパターン化を巧みに融合する小説観を示しているように思えます。
後半はパインが旅行中に出くわす犯罪事件が書かれた普通のミステリになっていますが、その中では、最後の『デルファイの神託』がアイディア一発ものでやられました。


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