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[ SF/ファンタジー ]
ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野圭吾 出版月: 2012年03月 平均: 7.00点 書評数: 15件

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角川書店(角川グループパブリッシング)
2012年03月

KADOKAWA/角川書店
2014年11月

No.15 7点 バード 2021/04/29 11:18
各話がつながる瞬間(伏線回収?)がミステリとして面白い。
また、最適な道を選べていない、生い立ちが不幸、重大な問題を抱える、といった様々な悩み人達が紆余曲折しながら幸せを追い求める過程が、物語としても面白い。
ミステリ・SFのギミック的面白さと読み物的な面白さを両立できている良いバランス。

弱点は時系列の把握が少しめんどくさい点。伊坂さんの『ラッシュライフ』で似た感想を抱いたが、時系列順でないとやはり読んでいて多少のストレスがある。
ただし、本作はそういうマイナス点を打ち消す程度に、プラスの点が良かった。

No.14 4点 いいちこ 2018/09/19 15:08
相談者が過去を生きる、しかも総じて将来有名人になる人物であるから、未来に生きる回答者は、相談者の将来や未来の社会を知ったうえで、妥当なアドバイスができる、という至ってイージーな設定。
このご都合主義の極致のような設定こそ「奇跡」だろうという想いは拭えないが、この点は著者もミステリのスコープで捉えず、ファンタジーに棚上げしているので追求しない。
問題は、上記設定が各エピソードを予定調和させる圧力として強く作用している点。
各登場人物を造形するにあたって、掘り下げが圧倒的に足りず、魅力に欠けている点。
各相談者の相談内容と回答が非常に陳腐である点。
本作に込められた著者のメッセージがいま一つ読み取れないのだが、それがもし仮に「結局人生は本人が決めるもの」というものだとしたら、あまりにも安っぽい印象が拭えない点などにある。
これだけの頻度で作品を発表しながらもなお、本作が娯楽小説として一定水準以上のクオリティを維持しているのは事実。
この著者の傑出した力量を評価するがゆえに、SFの世界における古典的な題材を適当に料理したジャンクフード的な本作に対し、批判的なスタンスにならざるを得ない

No.13 8点 VOLKS 2018/07/16 09:55
「すっごい!」です。
さすが東野圭吾だなー、という作品でした。
短編の一つ一つがうまいことリンクしていて、ほんわかしたり、ぎゅーっとなったり、ほぉーっ!っと息をついたり、とにかく心が揺すぶられました。
映画はまだ観ていないですが、観てみたいな、と思いました(映像になるとがっかりかな?(笑))
でも、この作品は、映画だったら5~6時間は必要なんじゃないかな(笑)

No.12 6点 take5 2018/04/15 08:07
読後感が清々しいので、
お勧めできる良作です。
各章がきちんとリンクしていて、
回収も納得。
しかし設定が時空を越えるという点、
やはりエンターテイメントの域を出ない
感覚を覚えてしまいます。
作り物のミステリーだからこそ、
場面設定、更に作者そのもの
本当を考えてしまうものなのではないでしょうか。

No.11 7点 メルカトル 2018/04/06 22:13
これが日本を代表するミステリ作家の底力か、という気もします。
時空を超えるナミヤ雑貨店に悩みを打ち明ける側と、それに対する解決法を何とか捻り出そうとする相談される側、双方にドラマがあり読みどころとなっています。さすがに描写力が半端なく優れており、そのストーリーテラーぶりは素晴らしいと思います。
しかし、ややもすると技巧に走り過ぎるきらいがあり、どこにポイントを置いて読めばいいのか悩んでしまう一面もありますね。私だけなのかもしれませんが。

とにかく物語があちこちに飛び、長編としてはやや纏まりに欠けるような感じがなくもないですが、それぞれのエピソードが一々面白いので、最後まで楽しく読めます。
個人的には第二章の『夜更けにハーモニカを』が最も良かったと思います。これだけで一つの短編として大変優れた独立した作品とも言えます。

ラストも仄かな余韻を残す締めくくりとなっていて、いい話だったとじんわり胸に響く感じの、本作を象徴するようなエンディングです。取り敢えずあまり東野圭吾を読まない私が読んでみようという気になったのだから、やはりこの作品にはそういった吸引力のようなものが備わっているのではないかと思います。

No.10 9点 ボンボン 2017/12/16 17:48
これはちょっと別格の巧さだ。
著者の作品は、もちろん大抵面白いのだが、あまり人物や物語に共感することがなく、最近すっかり遠ざかっていた。ところが、本作は、どうしたんだ?というほど素晴らしい。
数々のエピソードもいいし、全体の構成がとにかく魅力的。関係図と年表に書き起こしたくなる。
様々な人生の選択に良し悪しの評価をしても意味がない。登場人物が皆、自分で考えて、考えて、考えて、人生を選んでいくところがとても良かった。
そういえば昔、生協の白石さんが話題になったが、ナミヤのじいさんもすごいよ。

No.9 8点 りゅうぐうのつかい 2016/12/26 17:55
まさに奇蹟の物語である。
ナミヤ雑貨店のシャッター郵便口と牛乳箱によって、32年前と今とがつながるSF設定の話で、過去にナミヤ雑貨店店主が行ったナヤミ相談の内容と、強盗三人組による過去の相談者への現在からの回答とがオーバーラップしながら描かれていく。いくつかの物語が、「ナミヤ雑貨店」と「丸光園」とによって絶妙にリンクし、最後にあっと驚く奇蹟がもたらされる。
店主は、自分の回答内容が相談者のその後の人生にどのような結果をもたらしたのかを心配するが、どんな相談に対しても真摯に取り組む店主の回答に対して、相談者は感謝し、自分なりに咀嚼して、人生に生かしたことがわかる。
読後感が良いのは、登場人物が根本的には良い人ばかりだからであろう。
強盗三人組から送られた白紙の便せんに対する店主の回答がまた、何ともすばらしい。見事なエンディングだ。

No.8 8点 makomako 2016/09/20 19:39
 東野氏はやはりとても才能のある物書きさんなのっすが、最近相変わらずの多作でそれなりに売れる作品を書いてはいるのですが、何となくちょっと冷たくて薄味な感じが否めないと思っていました。
 なんせ小説を書くテクニックがあるので、どんな話を書いても一応面白く読めてしまうのです。これはこれですごいと思いますが、初期の作品のような情熱や優しさが少なくなっていると感じていました。読めば面白いが初期の作品のような情熱が不足していると思ってしまうのです。
 この作品も何となく買ってしまったのですが、これは近年になく面白い。
 氏の優しさが伝わってくるようです。一気読みしてしまいました。

No.7 10点 Tetchy 2016/08/10 23:25
とにかく小憎らしいほど読者を感動させるファクターが散りばめられている。東野圭吾が本気で“泣かせる”物語を書くとこんなにもすごいクオリティなのかと改めて感服した。上に書いたようにテーマが普遍的であり、読者それぞれに当事者意識をもたらせ、登場人物に自身を投影させる親近感を生じさせるからだろう。

そしてかつて『手紙』という作品では本来貰って嬉しい手紙が刑務所に服役中の兄から送られることで主人公の未来を閉ざす赤紙のような忌まわしい物に転じていたのに対し、本書では悩み事を記した手紙が人の心と心を繋ぎ、実に温かい物語になる。映画『イルマーレ』も過去と現在の時空を超えた手紙のやり取りの話だったが、その要素を取り入れているからなおさらだ。読み終わった後、しばらくジーンとして動けなかった。

今ちょうど公私に亘って難局に直面しているためか、私もナミヤ雑貨店に相談したいとさえ思ってしまった。特に浪矢雄治の人柄が実に素晴らしく、なぜこの人はここまで人に対して興味を持ち、また真摯に向くことができるのだろうかと感嘆した。

またもや東野圭吾に完敗だ。しかもとても清々しくやられちゃいました。

No.6 7点 パメル 2016/02/18 12:34
現代から過去の相談者へ現代から三十三年前の店主へ
この二重の奇妙なタイムスリップを介して
様々な相談者が話の中に登場する
一人一人のエピソードは絶妙に交差し
次第にある場所へと収束していく
その過程は張り巡らされた伏線が回収されながら
最終局面に向かっていく様は心を熱くする
ファンタジーな物語が好きな人にはおすすめ出来る

No.5 5点 HORNET 2015/08/20 17:20
 「ナミヤ」という名前を「ナヤミ」とからかったことから始まった雑貨店の悩み相談所。店主もとうにこの世を去り、今や廃屋と化した雑貨店に逃げ込んだ空き巣3人組に起こる、不思議な出来事。ハートウォーミングなファンタジーもの。
 児童養護施設に纏わる人間関係で、全体を通して次々につながっていく構成はさすがだが、ちょっとミエミエ感があったかな。後半になると登場した瞬間、「きっとあのときのあの人だ」とわかる。
 第2章の「魚屋ミュージシャン」の話が一番よかった。父親の生き様にもグッと来た。

No.4 6点 ayulifeman 2013/06/12 21:25
ガツンというインパクトはないけどストンと収まる感じはさすが。
”THE三人組”っていうキャラクターも馴染みがありすっと動いてくれました。

No.3 8点 まさむね 2013/04/13 16:12
 郵便口や牛乳箱を使い,様々な悩み相談に乗っている「ナミヤ雑貨店」を舞台とした,奇蹟と感動の物語。(タイトルそのままで,あまり紹介になってないか…)
 分類するとすればファンタジーってことになるのでしょう。個人的には好んで読む分野ではないのですが,この作品については,純粋に「読んでよかった」と感じましたね。リーダビリティーの高さ,全体の構成力…って東野サンだけに,言わずもがなでしょうか。とにかく巧いし,間口の広い方だなぁ…と改めて感じ入りました。
 登場人物のそれぞれの優しさに,プラス1点です。

No.2 7点 白い風 2013/03/12 20:48
第五章からなる長編ですが、各章だけでも楽しめますね。
それぞれの出来事が最終章で全てつながってきて感動しました。
流石、東野圭吾だね!
最後は3人の青年と武藤晴美との今後や『丸光園』のことも気になりますが、きっとそれを書いちゃうと”野暮”なんだろうね(笑)

No.1 5点 kanamori 2012/08/12 13:56
閉店した雑貨店を窓口に、過去の人々からの時空を超えた手紙のやり取りによる人生相談の顛末を描く、「トキオ」路線のファンタジー系”ちょっと感動する話”。
連鎖式長編というべきか、個々のエピソードが、ある施設の存在によって結びつき徐々に一つに収斂していく構成の妙はさすがです。ただ、あえて裏の主人公である浪矢の爺さんを登場させないのはいいのだけれど、施設に関係した人々の群像小説のようになっていて、物語全体の焦点がはっきりしないまま話が終ってしまった感もありました。


東野圭吾
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1988年12月
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1988年10月
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卒業−雪月花殺人ゲーム
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放課後
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不明
たぶん最後の御挨拶