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まさむねさん
平均点: 5.90点 書評数: 1374件

プロフィール | 高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.1374 6点 七月に流れる花- 恩田陸 2026/10/28 20:01
 姉妹編「八月は冷たい城」とともに、ミステリーランドの最終配本(第18回)となった作品。
 夏流(かなし)という町に引っ越してきた中学生・大木ミチル。1学期の終業式の日に、全身が緑色の「みどりおとこ」を目撃し、古城(夏流城)の林間学校で夏休みを過ごすことになる…。
 5人の少女との不思議な共同生活を通したミチルの心の動きとともに、不穏な雰囲気もまとう作品。作者らしさが表れた、正統派の?ミステリーランド作品と言えましょう。姉妹編も続けて読んでみます。

No.1373 5点 天久鷹央の推理カルテIV 悲恋のシンドローム- 知念実希人 2026/10/27 22:45
 鷹央と小鳥遊コンビによる、シリーズ短編集第四弾。
①迷い込んだ呪い:彼との結婚を意識すると体調が悪くなる女性。今回は吐血まで。なぜ?うーむ、医学的知識がないと分からないよね、多分。
②ゴミに眠る宝 ゴミ屋敷で殺人が?第1話の医療系全開の印象から、全然想定していなかったので結構驚かされてしまった。すごく基本的なネタだけど、見せ方って重要だね。
③瞬間移動した女:マンションの一室から港まで死体が瞬間移動?この謎自体は医学的な知識がないと分かりようがないのだけれど、もう一つのストーカー関連については、病名はともかく、流れからして見え見え。

No.1372 6点 探偵小石は戻らない- 森バジル 2026/10/26 20:16
 シリーズ第2弾。世評の高かった前作と単純に比較するのは酷だと思うし、最終的には楽しく読ませていただいたのだけれど、気になった点は確かにございました。
 まずは時間逆行スタイル。その意図は分かるのです。でも「読みにくさ」が先に立ったのも事実で、投げ出そうかな、と途中で思ったりも(結局結末が気になって読み進めたのだけれど)。そこまで細切れにしなくてもよかったような気もするし、工夫の余地は大いにあったように思います。
 それと、この事案って、そういう解決の仕方が正解だったのだろうか。危うさと面倒さが上昇しただけでは…などと考えてしまった自分はダメな読者でしょうか。終盤は一気読みしたのだけれどね。

No.1371 7点 盾と矛- 方丈貴恵 2026/10/23 22:57
 「絶対に逃がさない探偵」と「必ず無罪にする仕事人」。第一章と第二章における、草津&霧島コンビとヒミコの対決?は、漫画的な部分も含めて、結構楽しく読ませていただきました。「事件は犯人が分かってからが本番」というセリフもいいね。
 さあ、最終話も行ってみよう!というところで、想定外の展開が。うむむ、何と言えばいいのか…。アリのような気もするけれど、評価は分かれるのかも。ある意味、潔い力作であると思います。

No.1370 7点 終着駅で待ち合わせ- 真門浩平 2026/10/19 21:06
 興味深い多彩な作品が並ぶ短編集。④の評判が高いようで、それは同意するところですが、個人的には③もおすすめ。この2作に②が続く感じか。
①各停十三駅分の帰り道:男子高校生が急行から各停に乗り換え、次の急行停車駅で降りたのはなぜか。二人の女子大生によるロジカルな絵解き。
②悲運の死:弱った心に入り込む陰謀論や新興宗教。母や妹を救おうとする次男の心情や如何に。
③天森町は今日も雨:雨のやまない町を舞台とする、SF+日常の謎といった趣。初期設定が浮き上がってくる一捻りに好感。
④夢落ち:本格度も高い短編だが、明晰夢という設定が巧い。もっと違う「使い方」を想定していたのだけれど、そう来たか。
⑤写真には写らない:なぜデート中に彼女の態度が急変したのか。捻りもある真っ当な青春ミステリだが、本作の中では凡庸か。

No.1369 7点 シュレディンガーの密室- 麻根重次 2026/10/18 18:08
 閉じ込められた部屋に2人の人間が。生死は不明だが、扉を開ければ周りに充満した硫化水素が流れ込んで死に至る。仮に死亡していた場合、臓器を移植に使えるが、死亡後一定時間内での摘出が不可欠。突入すべきか否か。
 こうした状況設定は非常に興味深く、グイグイ読まされました。その後の連続殺人のうち、密室の真相には正直肩透かし感を抱いたのですが、終盤の転換も含め、全体構成は素直に評価したいと思います。結末についても、色々と考えさせられました。

No.1368 6点 陽気な容疑者たち- 天藤真 2026/10/15 21:04
 作者の第一長編。洒脱で軽妙な語り口でスラスラ読ませつつ、人情も十分に絡ませています。第二部までを読み終え、さて真相は…と身構えた中での第三部の舞台転換、そして真相が語られる場面が印象的でした。
 楽しく読ませていただいたのですが、1点だけ疑問が。当初?の計画では誰が実行する手筈だったのだろう。私が読み逃しているのかな?

No.1367 6点 殺人!ザ・東京ドーム- 岡嶋二人 2026/10/12 18:36
 この間の採点価傾向は非常に興味深く、個人的にはあまり期待をせずに読み始めた次第です。
 しかしながら、序盤からグイグイ読まされました。終盤に向かってのプロットも岡嶋二人らしくて好きです。(一方で、岡嶋二人ならばもう一捻りあっても…という気持ちも理解できます。)
 巨人と阪神の選手も懐かしかったのだけれど、最も印象に残ったのは、現在との共通性。社会からの疎外感を感じている者が、匿名性に守られた中で何者かを攻撃し、歪んだ優越感を得る…って、発行から40年近く経つ今でも(というかむしろ今こそ?)じわじわする怖さを感じます。当時、猛毒・クラーレはもとより巨人戦のチケットも入手困難だっただろうけれど、今、SNSは皆のすぐ目の前にあるのだものね。便利で良い時代になったと、本当に言えるのだろうか。

No.1366 7点 夫の骨- 矢樹純 2026/10/11 18:36
 9編収録の短編集。テーマは「家族」か(関わりが薄い作品もなくはないけど)。反転技術が優れているという点にとどまらず、余韻を与える構成力も素晴らしいと思います。総合6.5点の気持ちで、切り上げてこの採点。印象的だった短編は以下のとおり。
①夫の骨:義母と夫が他界した後、乳児の骨が入った桐箱が見つかる。誰の骨?構成の転換と余韻の醸成が実に見事。
⑤絵馬の赦し:母と娘。ラスト1行の絵馬の記述に涙。
⑧ダムの底:叙述は余分とすら思わせられる、父と娘の物語。
⑨かけがえのないあなた:家族とは何か。プロットも巧いが、切なさの中で考えさせられる内容。
 …と個人的に4作を挙げつつ初出を確認してみたら、この4作品だけが書き下ろしでした。ほほう…となぜか感じ入った次第。

No.1365 6点 夜の喜劇- 東川篤哉 2026/10/10 11:16
 作者としては初のノン・シリーズ短編集らしい(そうだっけ?)。バラエティに富んだ5篇が収録されています。気軽に読めて、個人的には好きなタイプ。
①鳥越さんは立派な被害者:倒叙モノ。小品ながら綺麗に纏まっていて好感。
②アリバイのある容疑者たち:作者初の読者挑戦モノ。だからこそ、の仕上げ。
③どうか僕を占ってください :トリックに特筆すべきものはないけれど、探偵役の立ち位置は面白い。
④暮林紅子の誤算:これも倒叙モノ。密室は脱力系だが、皮肉な結末が好み。
⑤陽奇館(仮)の密室:多重解決モノと言っていいのかな。個人的には久方ぶりのバカミス。

No.1364 5点 ビブリア古書堂の事件手帖V ~扉子と謎めく夏~- 三上延 2026/10/04 23:24
 シリーズ第12弾にして、扉子シリーズ第5弾。
 今回はご両親(栞子&大輔)が海外出張中につき、扉子と後輩の樋口恭一郎くん、さらに叔母の文香がご活躍。謎の解明というよりも、両親から不在中に古書の相談は受けるなと言い渡されているのに、無事に済んでよかったよねという、完全に親(以上の)目線で読んでいました。
 過去の事件もちょいちょい話題に出てきたけれど、詳細を覚えてないどころか「へぇ、そうなんだっけ?」くらいのかなり怪しげな記憶しかない(涙)。それでもスイスイ読ませてしまうのが、15年続いている重みというものなのか。
 最終盤には祖母の智恵子も登場し、何やら不穏な空気を感じさせられたので、また続編を手にすることになるんじゃないかな。でも覚えていられるのか少し心配。

No.1363 5点 おしら鬼秘譚- 黒木あるじ 2026/09/30 19:30
 離婚後仙台の出版社に職を得て、一人娘と同市内で暮らす里帆。ある日、その筋では有名らしい学芸員への連載依頼のため古本市で待ち合わせてしていたところ、「おしら鬼」と呼ばれる木彫りの像を見かけ、なぜか懐かしさを感じて購入する。自宅に持ち帰ったその夜、里帆の目の前で、娘が木像とともに失踪。「おしら鬼」とは何か、娘の行方はどこか、学芸員らとともに探ることに…。
 一応ホラーに分類してみたものの、恐怖が先立つような内容ではないです。凸凹コンビと謎を追う過程は一定楽しく読んだのですが、終盤はちょっと尻すぼみ。概ね想定内の展開で、全体的としても平板な印象。オシラサマに関しては勉強になりました。

No.1362 5点 先生と罪- くわがきあゆ 2026/09/28 22:04
 序盤から不穏な空気が漂う中、夏の宿泊学習突入後の背景転換や終盤の連続反転など、作者の工夫はよく分かりますし、ページをめくらせる推進力もあると思います。
 一方、作者の作品を読むのは、スマッシュ・ヒットとなったデビュー作「レモンと殺人鬼」以来なのだけれど、「根っこ」となる部分の重複がどうしても頭をよぎり、鋭い驚きまでには至らなかった面もあります。気持ちが晴れやかになる内容でもないしね。デビュー作を飛ばして本作を読んだとすれば、印象もまた別なものになったのかも。

No.1361 5点 作家刑事毒島- 中山七里 2026/09/27 18:45
 出版業界をネタにした作品は時代を問わず見かける訳ですが、本書の毒気全開ぶりはなかなかに凄い。痛快ではあるけれども、イタすぎる登場人物が多すぎて、それはそれで疲れたりして。
 本書ほどではないにしても、一般社会?でも時折見かけますよねぇ。「あなたはナニサマですか」って返したくなる方。だから疲れを感じたのかもしれない。はぁ…。
 ちなみに、図書館で借りた本を読んで書評サイトに投稿…。ごめんなさい、時々やってます。

No.1360 9点 『石球城』殺人事件- 北山猛邦 2026/09/26 21:09
 13の密室。まずはその数自体が凄い。レベルはそれぞれだけれど、それらの解明シーンは圧巻でした。成長する密室というコンセプトも興味深い。「物理の北山」の本領が遺憾なく発揮されています。
 そして、謎が密室だけにはとどまらないこともポイント。設定舞台そのものに対する謎、これも印象深い。
 今年の各種ミステリランキングでの評価が楽しみです。

No.1359 7点 楽園- 夕木春央 2026/09/20 22:54
 三部作ということを知って読んでいますので、どうしても、この間の作品との関連性を気にしながら読み進めることになってしまいます。ですので、とある一点は「見える」。それしかないと。そして、それはそうなんだ。でも、一周回って、最終盤にはやっぱり驚きが。何が驚いたって…(略)。
 方舟、十戒の後で様々なご苦労や思いもあったと思うのですが、こういった形で仕立ててこられた作者に敬意を表します。

No.1358 6点 令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法- 新川帆立 2026/09/15 21:30
 いずれも「レイワ」と称する架空の時代に、架空の法令が制定されている…という設定。リーガル・フィクション短編集と言えなくもない。気軽に読まされつつ、何気に考えさせられた短編も。
①動物裁判:動物の権利を突き詰めた世界の面白さと結末がリンクしていないような気も。
②自家醸造の女:自家醸造が合法化。自家醸造に目覚める女性。ラストが何とも可笑しい。
③シレーナの大冒険:リーガルな部分はあまり関係がなく、南極大陸を舞台としたSF作品。私には響かなかった。
④健康なまま死んでくれ:理想社会のために努力義務を定めても、必ずしも良い結果につながるものではないという事例。実社会でもありそうだよね。
⑤最後のYUKICHI:現金が廃止された社会でのドタバタ劇。電子マナーは毎日使っているけれども、お札と小銭は無くさないでほしい。
⑥接待麻雀士:作者のプロ雀士としての活動経験が活かされている作品なのか?賭け麻雀が合法化された世界のお話なのだけれど、ラストの主人公の行動については、もっとうまい方法があったような…。

No.1357 3点 鬼神伝 神の巻- 高田崇史 2026/09/13 11:48
 ミステリーランド作品。前作「鬼の巻」の続編で、新たな展開が…と思いながら手にしたのだけれど、大きく期待外れと言わざるを得ません。戦いのシーンは、退屈を通り越して苦痛とすら感じた次第。コレ、小学生なら楽しめる、という感じでもない気がしますね。
 前作で5点付けちゃったから、バランスをとってこの採点に。シリーズ全体として見れば、4点行くか否かといったところ。

No.1356 5点 鬼神伝 鬼の巻- 高田崇史 2026/09/09 23:21
 ミステリーランド作品。中学生の天童純が、突然平安時代にタイムスリップ。平安京は貴族らの「人」と「鬼」が争う場となっていた。天童純は雄龍霊(オロチ)を操ることができる選ばれし者らしい。鬼退治に向かうものの、鬼の少女・水葉に出会い、真実を聞かされる…。
 面白くないわけではないし、ミステリーランド作品としてはアリなのだろうけれど、何とも中途半端な印象があります。戦いの描写もちょっとアレだなと。続編(神の巻)も一緒に入手しちゃったので、続けて読んでみるつもりですが、新たに盛り上がる展開があることに期待したいと思います。

No.1355 7点 さよならジャバウォック- 伊坂幸太郎 2026/09/07 21:47
 「夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。」という、帯の紹介どおりの状況から物語はスタート。近所で最近再会した大学時代の後輩(桂凍朗)とともに、夫の死体を隠しに山に入る…までは、よくあるパターンと思わせられるのですが、その後は想定外の展開でグイグイ持っていかれます。特殊設定モノと言ってもいいかも。
 さて、どこに連れていかれるのかな…とワクワクしつつ、頭の片隅では何やら正答らしきものが。でも、ラストはそれを超えたサプライズでした(気づく方も多いかもだけど)。流れに任せてサクサク読むのがベスト。
 ジャンル分類は悩ましいところだけれど、まぁ言うとすれば「結局は伊坂さんらしいかった」。全体の流れはもちろん、特に伏線の配置や言葉遣いがね。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.90点   採点数: 1374件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(59)
東川篤哉(46)
有栖川有栖(46)
森博嗣(37)
島田荘司(29)
道尾秀介(28)
伊坂幸太郎(28)
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