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まさむねさん
平均点: 5.90点 書評数: 1367件

プロフィール | 高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.1367 6点 殺人!ザ・東京ドーム- 岡嶋二人 2026/10/12 18:36
 この間の採点価傾向は非常に興味深く、個人的にはあまり期待をせずに読み始めた次第です。
 しかしながら、序盤からグイグイ読まされました。終盤に向かってのプロットも岡嶋二人らしくて好きです。(一方で、岡嶋二人ならばもう一捻りあっても…という気持ちも理解できます。)
 巨人と阪神の選手も懐かしかったのだけれど、最も印象に残ったのは、現在との共通性。社会からの疎外感を感じている者が、匿名性に守られた中で何者かを攻撃し、歪んだ優越感を得る…って、発行から40年近く経つ今でも(というかむしろ今こそ?)じわじわする怖さを感じます。当時、猛毒・クラーレはもとより巨人戦のチケットも入手困難だっただろうけれど、今、SNSは皆のすぐ目の前にあるのだものね。便利で良い時代になったと、本当に言えるのだろうか。

No.1366 7点 夫の骨- 矢樹純 2026/10/11 18:36
 9編収録の短編集。テーマは「家族」か(関わりが薄い作品もなくはないけど)。反転技術が優れているという点にとどまらず、余韻を与える構成力も素晴らしいと思います。総合6.5点の気持ちで、切り上げてこの採点。印象的だった短編は以下のとおり。
①夫の骨:義母と夫が他界した後、乳児の骨が入った桐箱が見つかる。誰の骨?構成の転換と余韻の醸成が実に見事。
⑤絵馬の赦し:母と娘。ラスト1行の絵馬の記述に涙。
⑧ダムの底:叙述は余分とすら思わせられる、父と娘の物語。
⑨かけがえのないあなた:家族とは何か。プロットも巧いが、切なさの中で考えさせられる内容。
 …と個人的に4作を挙げつつ初出を確認してみたら、この4作品だけが書き下ろしでした。ほほう…となぜか感じ入った次第。

No.1365 6点 夜の喜劇- 東川篤哉 2026/10/10 11:16
 作者としては初のノン・シリーズ短編集らしい(そうだっけ?)。バラエティに富んだ5篇が収録されています。気軽に読めて、個人的には好きなタイプ。
①鳥越さんは立派な被害者:倒叙モノ。小品ながら綺麗に纏まっていて好感。
②アリバイのある容疑者たち:作者初の読者挑戦モノ。だからこそ、の仕上げ。
③どうか僕を占ってください :トリックに特筆すべきものはないけれど、探偵役の立ち位置は面白い。
④暮林紅子の誤算:これも倒叙モノ。密室は脱力系だが、皮肉な結末が好み。
⑤陽奇館(仮)の密室:多重解決モノと言っていいのかな。個人的には久方ぶりのバカミス。

No.1364 5点 ビブリア古書堂の事件手帖V ~扉子と謎めく夏~- 三上延 2026/10/04 23:24
 シリーズ第12弾にして、扉子シリーズ第5弾。
 今回はご両親(栞子&大輔)が海外出張中につき、扉子と後輩の樋口恭一郎くん、さらに叔母の文香がご活躍。謎の解明というよりも、両親から不在中に古書の相談は受けるなと言い渡されているのに、無事に済んでよかったよねという、完全に親(以上の)目線で読んでいました。
 過去の事件もちょいちょい話題に出てきたけれど、詳細を覚えてないどころか「へぇ、そうなんだっけ?」くらいのかなり怪しげな記憶しかない(涙)。それでもスイスイ読ませてしまうのが、15年続いている重みというものなのか。
 最終盤には祖母の智恵子も登場し、何やら不穏な空気を感じさせられたので、また続編を手にすることになるんじゃないかな。でも覚えていられるのか少し心配。

No.1363 5点 おしら鬼秘譚- 黒木あるじ 2026/09/30 19:30
 離婚後仙台の出版社に職を得て、一人娘と同市内で暮らす里帆。ある日、その筋では有名らしい学芸員への連載依頼のため古本市で待ち合わせてしていたところ、「おしら鬼」と呼ばれる木彫りの像を見かけ、なぜか懐かしさを感じて購入する。自宅に持ち帰ったその夜、里帆の目の前で、娘が木像とともに失踪。「おしら鬼」とは何か、娘の行方はどこか、学芸員らとともに探ることに…。
 一応ホラーに分類してみたものの、恐怖が先立つような内容ではないです。凸凹コンビと謎を追う過程は一定楽しく読んだのですが、終盤はちょっと尻すぼみ。概ね想定内の展開で、全体的としても平板な印象。オシラサマに関しては勉強になりました。

No.1362 5点 先生と罪- くわがきあゆ 2026/09/28 22:04
 序盤から不穏な空気が漂う中、夏の宿泊学習突入後の背景転換や終盤の連続反転など、作者の工夫はよく分かりますし、ページをめくらせる推進力もあると思います。
 一方、作者の作品を読むのは、スマッシュ・ヒットとなったデビュー作「レモンと殺人鬼」以来なのだけれど、「根っこ」となる部分の重複がどうしても頭をよぎり、鋭い驚きまでには至らなかった面もあります。気持ちが晴れやかになる内容でもないしね。デビュー作を飛ばして本作を読んだとすれば、印象もまた別なものになったのかも。

No.1361 5点 作家刑事毒島- 中山七里 2026/09/27 18:45
 出版業界をネタにした作品は時代を問わず見かける訳ですが、本書の毒気全開ぶりはなかなかに凄い。痛快ではあるけれども、イタすぎる登場人物が多すぎて、それはそれで疲れたりして。
 本書ほどではないにしても、一般社会?でも時折見かけますよねぇ。「あなたはナニサマですか」って返したくなる方。だから疲れを感じたのかもしれない。はぁ…。
 ちなみに、図書館で借りた本を読んで書評サイトに投稿…。ごめんなさい、時々やってます。

No.1360 9点 『石球城』殺人事件- 北山猛邦 2026/09/26 21:09
 13の密室。まずはその数自体が凄い。レベルはそれぞれだけれど、それらの解明シーンは圧巻でした。成長する密室というコンセプトも興味深い。「物理の北山」の本領が遺憾なく発揮されています。
 そして、謎が密室だけにはとどまらないこともポイント。設定舞台そのものに対する謎、これも印象深い。
 今年の各種ミステリランキングでの評価が楽しみです。

No.1359 7点 楽園- 夕木春央 2026/09/20 22:54
 三部作ということを知って読んでいますので、どうしても、この間の作品との関連性を気にしながら読み進めることになってしまいます。ですので、とある一点は「見える」。それしかないと。そして、それはそうなんだ。でも、一周回って、最終盤にはやっぱり驚きが。何が驚いたって…(略)。
 方舟、十戒の後で様々なご苦労や思いもあったと思うのですが、こういった形で仕立ててこられた作者に敬意を表します。

No.1358 6点 令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法- 新川帆立 2026/09/15 21:30
 いずれも「レイワ」と称する架空の時代に、架空の法令が制定されている…という設定。リーガル・フィクション短編集と言えなくもない。気軽に読まされつつ、何気に考えさせられた短編も。
①動物裁判:動物の権利を突き詰めた世界の面白さと結末がリンクしていないような気も。
②自家醸造の女:自家醸造が合法化。自家醸造に目覚める女性。ラストが何とも可笑しい。
③シレーナの大冒険:リーガルな部分はあまり関係がなく、南極大陸を舞台としたSF作品。私には響かなかった。
④健康なまま死んでくれ:理想社会のために努力義務を定めても、必ずしも良い結果につながるものではないという事例。実社会でもありそうだよね。
⑤最後のYUKICHI:現金が廃止された社会でのドタバタ劇。電子マナーは毎日使っているけれども、お札と小銭は無くさないでほしい。
⑥接待麻雀士:作者のプロ雀士としての活動経験が活かされている作品なのか?賭け麻雀が合法化された世界のお話なのだけれど、ラストの主人公の行動については、もっとうまい方法があったような…。

No.1357 3点 鬼神伝 神の巻- 高田崇史 2026/09/13 11:48
 ミステリーランド作品。前作「鬼の巻」の続編で、新たな展開が…と思いながら手にしたのだけれど、大きく期待外れと言わざるを得ません。戦いのシーンは、退屈を通り越して苦痛とすら感じた次第。コレ、小学生なら楽しめる、という感じでもない気がしますね。
 前作で5点付けちゃったから、バランスをとってこの採点に。シリーズ全体として見れば、4点行くか否かといったところ。

No.1356 5点 鬼神伝 鬼の巻- 高田崇史 2026/09/09 23:21
 ミステリーランド作品。中学生の天童純が、突然平安時代にタイムスリップ。平安京は貴族らの「人」と「鬼」が争う場となっていた。天童純は雄龍霊(オロチ)を操ることができる選ばれし者らしい。鬼退治に向かうものの、鬼の少女・水葉に出会い、真実を聞かされる…。
 面白くないわけではないし、ミステリーランド作品としてはアリなのだろうけれど、何とも中途半端な印象があります。戦いの描写もちょっとアレだなと。続編(神の巻)も一緒に入手しちゃったので、続けて読んでみるつもりですが、新たに盛り上がる展開があることに期待したいと思います。

No.1355 7点 さよならジャバウォック- 伊坂幸太郎 2026/09/07 21:47
 「夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。」という、帯の紹介どおりの状況から物語はスタート。近所で最近再開した大学時代の後輩(桂凍朗)とともに、夫の死体を隠しに山に入る…までは、よくあるパターンと思わせられるのですが、その後は想定外の展開でグイグイ持っていかれます。特殊設定モノと言ってもいいかも。
 さて、どこに連れていかれるのかな…とワクワクしつつ、頭の片隅では何やら正答らしきものが。でも、ラストはそれを超えたサプライズでした(気づく方も多いかもだけど)。流れに任せてサクサク読むのがベスト。
 ジャンル分類は悩ましいところだけれど、まぁ言うとすれば「結局は伊坂さんらしいかった」。全体の流れはもちろん、特に伏線の配置や言葉遣いがね。

No.1354 5点 恋愛禁止- 長江俊和 2026/09/03 21:08
 単行本と文庫版でラストが異なるようなのだけれど、私は文庫版で読了。なお、ドラマ化もされているようだけれど(観てないけど)、その内容は原作と全く異なるらしい。私としては、あくまでも文庫版を読んでの感想を。
 主人公・瑞帆を取り巻く運命について、思うところは確かにあったし、ラストの不穏さもなかなかだとは思うけれども、他の「禁止」シリーズと比較した場合、驚きという面では抑え気味。もしかして、さらに隠された何かがあるのか、例えば、微妙な匂わせがあった人物が実は…とも考えたのだけれど、色々と無理があり、その確証は得られませんでした。ちょっとモヤモヤしています。私の読み方が甘い?

No.1353 7点 おむこさんは殺人鬼- 荒木あかね 2026/09/02 21:44
 独立した5短編を収録。ミステリー部分も良質ですが、そこに留まらない、人間ドラマとしての魅力も大きいです。主人公それぞれの転機を描き出している点に好感。
①同好のSHE:広島から東京に向かう夜行バスで盗難騒ぎが。その真相もさることながら、終盤の展開が見事。タイトルも良。
②震える箱:映画館での貧乏ゆすりが発端となった傷害事件。その裏に隠された事実を見定める刑事。その過程も楽しめるが、裏の事実がこれまた…。でも実際にありそう。
③置き去りイヤリング:東海道新幹線の1号車と16号車に同じイアリングが片方ずつ落ちていた。その理由を推理するワゴン販売員。ラストの爽やかさ。
④答え合わせ:傷害を受け、瀕死の継父が発した言葉の意味は。その真相よりも、人間ドラマとしての組み立てが巧み。
⑤おむこさんは殺人鬼:警察官である婚約者は殺人犯?前向きなラストが何とも良い。

No.1352 7点 エムブリヲ奇譚- 山白朝子 2026/08/31 20:30
 山白朝子名義の第二短編集。第一短編集「死者のための音楽」の各話が独立していたのに対し、本作は、旅本作者の和泉蝋庵と、その荷物持ちとして旅に同行する耳彦がレギュラーとして登場します。
 何といっても二人のキャラがいい。必ず道に迷う蝋庵と、それをぼやく耳彦が各地で出会った奇譚が描かれるのですが、残酷な結末もあれば、ほっこり系もあったりしてバリエーションは豊か。ジャパニーズ・ホラーに分類すべきなのだろうけれど、決しておどろおどろしさや怖さを中心に据えているものではない点に好感。とても良い読書時間をいただけました。

No.1351 7点 未館成の殺人- 信国遥 2026/08/29 10:45
 恥ずかしながら、手に取るまで勘違いしていました。「未成館」の殺人、ではなくて「未館成」でしたか。確かに、館は建っていない。正確には、一部に名の通った建築家・黒澤泰洋が無人島に館を建てようとしたものの、基礎部分のみを残し、本人の行方は不明…という状況。
 大学のミス研のメンバーが無人島に集い、次々に不可解な死が、そして建築家が…という根本設定は、どうしても某有名作品を想定させます(想定というか、本作中にも実際に登場するのだけどね)。ワクワクさせてくれます。
 島に到着するや否や事態は動き出し、島からの脱出は困難に。水が枯渇しかけるというまさにサバイバルな面もあり、グイグイ読まされます。そして終盤の怒涛の展開にも大いに拍手を送りたいと思います。
 一方で、絵解きがなされた後に考えると、いくつかの粗も感じます。とある件を信じて行動した根拠は強引かも。その前提となる格納?の説明も端折りすぎかも(どうなっていた?)。書きぶりの工夫はあったかと思います。ちなみに、海鳥からの被害は無かったのでしょうね。
 とはいえ、全体としては、十二分に楽しく読ませていただきました。

No.1350 5点 変な地図- 雨穴 2026/08/25 21:20
 シリーズ第4弾。今回は、この間の探偵役・栗原氏が学生時代(就活時代)に追いかけることとなった事件の顛末。
 相変わらず図解が多め(多すぎ?)に挿入されています。そして展開が異様に速い(笑)。推理確定の根拠が弱すぎるとか、設定にちょっと無理が…とかの突っ込み所も含めて、スイスイと読ませていただきました(そんなに丁寧に説明しなくてもいいよ、と思う部分もありましたが)。随分売れたようですし、これを契機にミステリーを読む層が増えればいいな、と思います。

No.1349 6点 口に関するアンケート- 背筋 2026/08/23 20:04
 小っちゃい本シリーズ、個人的な第2弾。でもあらためて比べてみると、白井智之「本を読むのが超速い人~殺人事件」より一回り大きかったのですね。物理的にはこちらの方が読みやすい。
 ページ数は60頁強。サクサク読み流してもいいけど、読後しばし考えてみることも良。何気に深みもあり、練られています。

No.1348 7点 本を読むのが超速い人の頭の中ってどうなってんの殺人事件- 白井智之 2026/08/23 20:04
本の横幅が私のスマホと一緒。2冊並べて文庫本のサイズ。小っちゃい本ですな。
ページ数も100頁未満。あっという間に読めますな。
エログロ封印で、何やら落語を聴かせてもらったような印象も。白井作品としては珍しいですな。
作者の実験的マインドを評価してこの採点。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.90点   採点数: 1367件
採点の多い作家(TOP10)
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