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[ 本格/新本格 ]
虚像の道化師
探偵ガリレオシリーズ
東野圭吾 出版月: 2012年08月 平均: 5.44点 書評数: 9件

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文藝春秋
2012年08月

文藝春秋
2015年03月

No.9 4点 ボナンザ 2023/01/09 22:59
これはどれもほっこりするところは多いが、ミステリとしては新技術を使いすぎて読者に推理させる気があまりなさそう。

No.8 6点 E-BANKER 2020/09/27 19:31
長編を挟んで、「探偵ガリレオ」「予知夢」、「ガリレオの苦悩」に続く、人気シリーズの短編集第四弾。
今回も福山雅治、いや湯浅学博士の名推理が炸裂・・・するか?
単行本は2012年の発表。

①「幻惑す」(まどわす)=新興宗教と本格ミステリーって相性が良いのだろうか? そこかしこで新興宗教舞台のミステリーを読んでる気がする。ガリレオシリーズのアプローチとしては、やはりこういう方向性だろうなという真相。
②「透視す」(みとおす)=犯人捜しは主題ではなく。被害者の特技=「透視術」がどのような方法で行われたのかというのがテーマ。うーん。実に面白い!ではなくって、「実にシリーズっぽい」一編。
③「心聴る」(きこえる)=今回のテーマは「幻聴」。幻聴に悩まされる男女が暴れて・・・ということなのだが、このトリックはまさに「理系ミステリー」そのもの。こんな装置がありますよ、って言われても文系人間には分かりませーん。
④「曲球る」(まがる)=これはミステリーではない。変化球を武器とするひとりのプロ野球のピッチャー再生の物語・・・。確かに変化球は科学的に解明できるんだろうけどね。
⑤「念波る」(おくる)=実にガリレオシリーズらしい一編。テレパシーは科学的に信じられないはずのガリレオ先生がテレパシーの解明に乗り出すことに。これは科学的ではなく、実に「人間的」なトリック。
⑥「偽装う」(よそおう)=大学時代の友人の結婚式で郊外のリゾートホテルへ向かうこととなった湯川と草薙。折からの大雨で帰路の道路が寸断された中で起こる殺人事件・・・というわけで、いかにもな設定の本編。事件現場は最初から偽装の匂いがプンプンしていたわけだが真相は意外な着地へ。
⑦「演技る」(えんじる)=劇団内の男女の鞘当てが背後にある殺人事件。まさにタイトルどおりに「演技」がテーマとなる。どこが演技でどこが事実なのか、さて?

以上7編。
本作、文庫版は「虚像の道化師」と「禁断の魔術」の両方が楽しめるというお得な設定。
というわけでもないけど、シリーズの原点に戻ったかのような作品集に仕上がっている。「聖女の救済」や「真夏の方程式」がシビアで辛口な長編だっただけに、ある意味能天気に楽しめた作品ではあったかな。

ただ、うーん。やはり悪い意味での「馴れ」というか、新鮮味に欠けるような作品が多いようには感じた。
もちろん平均点はクリアしてるんだけど、どうしても水準以上の期待をしてしまうからねぇ・・・。
湯川のキャラクターも今回はかなり抑え目。長編三作では人間=湯川学の面を出しすぎたからか、今回は物理学者らしい言動が目立っている。まぁそれもシリーズを続けていくのならいいんじゃないか。
あまりド派手な展開が続くと、終わりも早いような気がするから。(ベストは・・・⑥かな)

No.7 6点 ボンボン 2019/01/10 23:27
文庫本で読んだのだが、これは、ここに書評をしてもいいのかな?単行本『虚像の道化師』と『禁断の魔術』を(1編を除き)合本しているので、7つの短編がまとまっていて豪華。つまり、単行本の『虚像の道化師』とは、だいぶ違ってしまう。

久々に読んだガリレオシリーズの短編は、単純に面白かった。やはり、草薙刑事と湯川先生のコンビは安心して楽しめる。特に草薙刑事が多めだと肩の力が抜けて良い。トリックも推理も科学も人間ドラマも短編であるためにサクサクしており、傑作!という訳ではない。どちらかというと、疲れた時の現実逃避に適している。
それにしても、湯川先生のキャラがどんどん変わっていくなあ。こんなにいい人になっちゃってどうするんだろう。

No.6 7点 Tetchy 2016/09/19 23:53
文庫版で読了。
本書では内海刑事の登場以来、疎遠になりつつあった草薙刑事と湯川との名コンビぶりが復活しているのが個人的には嬉しかった。

今回も科学知識を活用したトリックが並べられている。マイクロ波、赤外線、電磁波、流体力学、脳磁波、作用反作用の法則。
こう並べるといずれもどこかで聞いたような物ばかり。生活家電に取り入れれらているものもあれば、かつて学生時代に学んだ物もあり、また初めて聞くものもありと今回もヴァラエティに富んでいる。つまり必ずしも最先端の科学技術ではなく、我々の日常生活で既に活用されている技術を駆使したトリックなのだ(一部を除くが)。
しかしこれらの技術をトリックとして使って恰も超常現象のように振る舞う犯人、もしくは事件関係者たちの姿はもはや特異ではなく、日常的になりつつある。それはやはりネットの繁栄により素人が容易に手軽にそれらの技術を応用したツールを手に入れ、アイデア1つで奇跡のような事象を生み出すことが可能になったからだ。つまり科学技術が蔓延することは警察にとっても常に犯人と技術的な知恵比べを強いられることになることを意味している。
そんな科学知識を応用して紡がれる短編はとにかく全てが水準以上。シリーズ初期に見られた一見怪現象としか思えない事件を科学の知識でそのトリックを見破るだけでなく、事件の裏に隠された関係者の意外な心理を浮き彫りにして余韻を残す。そんな粒ぞろいの作品の中で個人的なベストを挙げると「透視す」、「曲球る」、「演技る」の3編を挙げたい。

さて以前にも書いたが湯川は『容疑者xの献身』以前と以後ではキャラクターががらりと変わっている。特に事件関係者に対して手厚い心遣いを、気配りをするようになった。「透視す」ではホステス殺人事件の謎のみだけでなく被害者親子の確執に隠された被害者の真意を突き止め、遺族となった継母に魂の救済を与える。「曲球る」では再起をかけたプロ野球投手に研究としながらも復活に惜しみなく協力し、「念波る」では双子姉妹に秘められた犯人に対する強い疑念を晴らすために嘘をついてまで協力すれば、「偽装う」では心中事件を殺人事件に偽装しようとした娘の痛々しい過去を汲み取り、明日への新たな一歩を踏み出す勇気を与える。

そこには単純な科学の探究者だった湯川の姿はなく、人を正しい道に導く人道的な指導者の姿が宿る。前作『真夏の方程式』で否応なく事件に関わらされた無垢なる容疑者に直面したことが、今回のように予期せず犯罪に巻き込まれてしまいながらも今の最悪を変えようともがく弱き人々へ手を差し伸べる心理に至ったのだろうか。だとすればこのシリーズは間違いなく事件を経て変わっていく湯川学の物語であるのだ。単なる天才科学者の推理シリーズではないのだ。
以前は加賀恭一郎シリーズの方に好みが偏っていたが、今ではその天秤はこの探偵ガリレオシリーズに傾きつつある。本書を読んでその傾きはさらに強くなったと告白してこの感想を終えよう。

No.5 5点 haruka 2015/06/20 21:16
だいぶネタが尽きてきた感は否めない。

No.4 6点 HORNET 2013/08/30 19:39
 平均的にクオリティが高く、まずハズれないのはさすが。ただ、自身が推理して読むタイプの読者(私もそう)は、ガリレオが物理学者ということで、トリック・真相が科学的なことに帰結するのは仕方ないのだが、そういうものははじめから推理を放棄してしまう。だから、本作品でいえば後半の「偽装(よそお)う」「演技(えんじ)る」のようなタイプの作品が好き。いずれにせよ、ガッツリ長編を読む時間も気力もなく、でも読むなら没頭して読めるものを、というときに最適。

No.3 5点 kanamori 2012/11/19 12:02
探偵ガリレオ・シリーズの第4短編集。

前半の2編「幻惑す」「心聴る」は、念力や幻聴という超常現象的な謎を物理・科学ネタで解き明かす、当短編シリーズではお馴染みのパターンなためプロット面では新味に欠ける。

後半の2編「偽装う」「演技る」が、ともに事件の構図をミスリードするミステリ趣向を効果的に使った作品で面白かった。とくに「演技る」は、”なんとか山荘”などを書いていた頃の技巧を思い起こさせる。

No.2 6点 白い風 2012/10/25 21:17
「幻惑(まどわ)す」「心聴(きこえ)る」「偽装(よそお)う」「演技(えんじ)る」の4編の短編集。
物理学者湯川が謎解きをするご存知のシリーズですね。
やっぱり、湯川が謎解くガリレオシリーズでも、短編より長編の方が面白いと改めて思った。
そんな中「偽装(よそお)う」が人間味があって後味もよく好きですね。

No.1 4点 mozart 2012/08/17 09:45
ガリレオ短編(中編?)集「~る(/す/う)」シリーズ。全体的な印象としては、謎解き部分だけでなく、ヒューマンドラマとしても、従来作のレベルと比べると、やや劣っているんじゃないかな~、と言った感じでした。でも、湯川が割と「すんなり」事件にコミットしてくれているのは、無駄に勿体付けていなくて好感が持てました。以下、個別の感想;
『幻惑す』:「科学ミステリー」としてのトリックが比較的単純なので、最初の段階である程度想像できるし、悪徳宗教団体の構図もややステレオタイプで、もう少しひねりがほしいところ。
『心聴る』:現時点で「実用化されていない」ものをトリックに使うのはどうかと・・・。
『偽装う』:4作の中では、一番面白かった。容疑者を追求していく状況は「ガリレオ」というより「加賀恭一郎」風かも(一応数式で現場を「検証」しているが)。
『演技る』:う~ん、あの動機はちょっとないんじゃないかな~(最後まで騙されていた一読者の僻みかも知れないけど)。


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