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[ 社会派 ]
虚ろな十字架
東野圭吾 出版月: 2014年05月 平均: 6.43点 書評数: 7件

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光文社
2014年05月

光文社
2017年05月

No.7 6点 2024/05/06 06:40
ミステリーより死刑制度について考えさせられました。
万人が納得する答えはないですね。

No.6 8点 take5 2019/07/16 00:28
8点は『とても楽しめた』ですが、楽しめたというより
とても考えさせられた作品です。
テーマは、死刑の是非と贖罪の在り方で、
古今東西、様々な作品で取り上げられていますが、
立場によって大変難しい判断となる問題です。
人は皆、苦しみを背負って生きるものですが、
その背負い方は様々という事です。
東日本大震災後、東野圭吾は軽い娯楽作品も書いていますが、
社会的な問題提起も忘れてないのだなぁと感じました。

No.5 9点 Tetchy 2017/09/11 23:29
かつて東野圭吾は『手紙』で殺人犯の家族の物語を描き、『さまよう刃』で娘を殺害された父親の復讐譚を描いた。本書『虚ろな十字架』ではその両方を描き、償いがテーマになっている。

物語の主旋律は娘を殺害され、更に別れた妻を殺害された中原道正のパートであるが、次第に対旋律であった仁科史也のパートが重みを帯びてくる。特に仁科史也という人物の気高いまでの誠実さに隠された謎に俄然興味が増してくる。このもはや聖人としか思えないほどの精神性はどこから来るのかと非常に興味を持たされた。

結婚とは、夫婦になると云うのは、家族になると云うのは、知らない者同士が縁あって一緒になるということだ。一緒に住んでいくうちにお互いのそれまでの人生で培われた性格や癖、足跡などを知り、生活を作っていく。しかし何十年過ごしても知らない一面があったことを気付かされるのもまた事実だろう。本書にはそんな家族という最小単位の共同体に隠された謎が描かれている。
血の繋がった子供を持ちながらも、その実本当の姿を知らなかった夫婦。
血の繋がらない子供を持ちながらも、自ら降りかかった不幸に立ち向かおうとする夫婦。
血の繋がりこそが家族の絆ではないこと、それ以上の絆があることをこの2つの家族の生き様は象徴しているかのようだ。

様々な人があれば様々な人生、様々な事情、そして生き様や考え方がある。今回登場した人物の人生が等価であるとは決して云えないだろう。それを人を殺したから罰せられるべきなど単純化したルールで果たして杓子定規的に人を断ぜられるものかとこれまで作者は問いかけてきた。結局人は道理で生きているのではなく、人情で生きているのだとこのような作品を読むと痛感させられ、何が正しくて間違っているのかという我々の既存概念を揺さぶられる。

深く深く考えさせられる作品だった。決して全てにおいて正しい考えなどないことをまた思い知らされた。人は過ちを犯してもやり直して生きていられる、そんな世の中が来ることを望むのは夢物語なのか。そんな思いが押し寄せてくる作品だった。

No.4 8点 HORNET 2015/01/17 20:09
娘を強盗殺人で失い、それがもとで離婚してしまった男が、その離婚した妻までも殺害されたという知らせを受け、真相を探る。調べていくうちに、娘の事件をただ忘れようと目を背けていた自分に比べ、その苦悩に向き合い乗り越えようと歩んでいた元妻の姿がわかってくる。さらに、ただの通り魔的強盗殺人のように思われた元妻の事件だったが……。
 久しぶりに読み応えのある東の作品に出会ったというのが正直な感想。冒頭の部分が物語にどうかかわってくるのかというのもずっと気になっていたが、自分にとっては意外で面白かった。そんなふうに「何がどうつながってくるのか?」という疑問と期待でずっと読み進められた。

No.3 5点 まさむね 2014/09/13 22:36
 学生時代から死刑制度について考えることがあり,その点では,なかなか興味深かったですね。
 一方で,ミステリーとしては何とも…。展開がわかり易いですし,意外性も…。
 登場人物ひとりひとりの人生ドラマとして,さらに,死刑制度を含めた刑罰のあり方を考える作品として捉えるべきでしょう。

No.2 5点 白い風 2014/07/13 13:55
今回は社会派の”死刑制度”と重いテーマを扱っていましたね。
被害者の家族の苦悩、加害者の苦悩などが楽しめました。
ただ、ミステリーとしてはビミョウ・・・。
被害者の小夜子の当日の足取りどころか、加害者町村の犯行までの足取りも調べないのは有り得ないでしょ!
また小夜子の携帯の通話記録からでも色々分かるハズ・・・。
ちょっとその点などで興ざめだったかな。
と言っても全体の感想としては不満はなかったけどね。
(東野作品にはどうしてもハードルが高くなっちゃうからね(笑))

No.1 4点 mozart 2014/07/06 19:28
読ませ上手は相変わらずでしたが、イマイチ「感動モノ」としてのできばえはちょっと「?」かな。まず、発端の「事件」が(言い方が悪いかも知れないけど)意外性がないし、その後の「贖罪」というのも取って付けた感が否めないような……。「死刑」に対する問題提起も今ひとつと思います。


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