海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

take5さん
平均点: 6.61点 書評数: 397件

プロフィール高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.397 7点 しゃぼん玉- 乃南アサ 2025/09/07 15:10
贖罪をテーマとする人間ドラマの名作。
犯罪を犯す心理描写から、やがて自己を
見つめるようになるまでの軌跡を描く。
過疎地域の問題、親子問題、厳しい描写
その中にあって、人はやり直せるのかを
温かい目線で乃南アサ氏は描きました。

No.396 7点 クララとお日さま- カズオ・イシグロ 2025/09/06 14:18
AIをめぐる世界がどの様に進むか。
近未来をえがくカズオ・イシグロの
ノーベル賞後の作品。寄り添い型の
ロボットが知性を持つ時その存在が
人と同等になり得るかという哲学的
問いを突きつけられる。しかしまた
太陽信仰を思わせる敬虔なクララの
立ち振る舞いから科学と哲学が反目
するものではないと感じるのも事実。

そんな事を燦々と降り注ぐ日光の下
読み終えて今思うのでした。良書!

No.395 6点 - 道尾秀介 2025/08/31 14:22
懐かしい少年時代の物の見え方
子ども時代故に迫る謎の数々は
真祖を知る度に少しずつ大人に
近づくのでしょうか。夏休みの
終わりに、切なく感じました。

No.394 7点 ビオレタ- 寺地はるな 2025/08/30 17:25
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、
道端で大泣きしていたところを拾ってくれた
菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くこと
になる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、
少々風変わりな店。何事にも自信を持てなか
った妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少
しずつ変わりはじめる。人生を自分の足で歩
くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心
のすきまにしみこむ温かな物語。

以上ポプラ社ホームページより

ちょうど10年前に新人賞を受賞してデビュー
した寺地はるなさんの作品。温かい作品です。

No.393 5点 ホテルローヤル- 桜木紫乃 2025/08/24 15:09
ホテルローヤルの栄枯盛衰?短編集
各話の展開が人生にくたびれている
生ぬるい感じが何とも言えずリアル
時間軸は遡り、最後に始まりを描く
そこがまた哀しみを助長するのです

No.392 7点 ファーストラヴ- 島本理生 2025/08/20 17:37
父親殺害の容疑で逮捕された女子大生
環菜は、アナウンサー志望という経歴
それにより、事件は大きな話題となる。
しかし動機は不明。臨床心理士の由紀
が、その周囲の人々へ取材をするうち
明らかになっていく環菜の過去そして
由紀の過去。ラストは法廷のやり取り。
その判決は?第159回直木賞受賞作。

---引用終了

丹念な取材にやり親子の難しさを描く、
名作だと思います。他作品も探す予定。

No.391 7点 みちづれはいても、ひとり- 寺地はるな 2025/08/17 14:21
これまでの寺地はるなさんの作品で
最も混沌としていて収束するか心配
しかしちゃんと女性二人旅が完結し
宏基の謎も解き明かされてめでたし
いやめでたしではなくこれから続く
それぞれの人生を自ら肯定する力を
与えてくれる作品でした、流石です
シズさんにまで寄り添うその表現力!

No.390 7点 大人は泣かないと思っていた- 寺地はるな 2025/08/16 18:46
表題作をはじめとする7篇の連作短編集
登場人物の放つ言葉が私達を励まします

どんな人生もやり直すのに遅くはないが
とらわれたしがらみや当たり前を見つめ
そこから抜け出すもがきは楽でないです
だからこそ登場人物の姿に誰もがハッと
したり、また背中を押されたりするのだ
そう思うのです。最近ミステリーらしさ
からだいぶ離れていますがお許し下さい

No.389 7点 ガラスの海を渡る舟- 寺地はるな 2025/08/16 12:02
前作はワイナリー今作はガラス工房

職人、芸術家いや誰もが生きながら
自分の在り様を模索しているならば
この作品もものの捉え方が反転して
先に進む主人公と共に読者も進める
そんな声高でなく力強い作品でした

No.388 7点 月のぶどう- 寺地はるな 2025/08/15 17:30
ミステリ感はないですが
忘備録登録お許し下さい
ワイナリーでの人間模様
大阪府で可能という驚き
最後挑むデザートワイン
アイスヴァインはカナダ
貴腐ワインなら欧州だが
大阪府なら冷凍なるほど
テロワールへの拘り等は
知識があると楽しめます

No.387 7点 声の在りか- 寺地はるな 2025/08/12 19:06
主人公希和の描写が繊細で
大変素晴らしかったです。
読んでいてハラハラしたし
最後は力をもらえました。
子どもをもつ親なら納得の
描写が多々あるでしょう。

No.386 7点 やわらかい砂のうえ- 寺地はるな 2025/08/10 14:26
人はひとりでは生きていけない、
なんて言うけど、
誰かと手を繋いでいたら
転んでしまう時だってあるんだと知った。
ためらいなく繋いだ手を離せるように、
隣を歩いている人を信じる。
自分の足でしっかり立つ。
そのことを、忘れないでいよう。
(引用終わり)

主人公万智子の早田に対する感じ方が
喜びも痛みも伴って変わっていく様が
反転、反転、また反転と、人生という
ミステリーを体現していて素敵でした

No.385 7点 夜が暗いとはかぎらない- 寺地はるな 2025/08/09 17:36
ショートストーリーそれぞれの主人公が
それぞれ関わりをもっている事を知れど
その見え方は、当たり前だが想像できず

しかし出来事を超えていく中で、次第に
見え方を変えていく力強さが感じられて
その証明が、最終章のあかつきん視点で
成されるというこの構造に感服感謝感涙

No.384 7点 杉森くんを殺すには- 長谷川まりる 2025/08/07 16:57
杉森くんとは、どんな人物なのか
なぜヒロは殺そうとしているのか
ヒロの周りの友達やミトの存在は

読んでいくと次第に各々の世界が
捉え方が現れてくる。と同時に、
私達の捉え方も認知されてくる。

グリーフケアの話ですと一言では
括れない、様々な気付きを与える
大変興味深いYAコーナーの本です
多くの人に知って頂きたいです。

No.383 8点 水を縫う- 寺地はるな 2025/08/06 13:39
作者登録済みで作品は未登録。
寺地はるなさんの小説の中では
限りなくミステリーから遠いと
分かっていますがお許し下さい

水を縫うとは、どういう意味か
6つの作品を読み進めていって
全体像が浮かび上がって初めて
静かな余韻と共に分かりました

気持ちの齟齬を越える人の営み
その厳しさと美しさを感じます

No.382 6点 ぼくらの先生!- はやみねかおる 2025/08/05 16:30
子ども向け≠簡単な子ども騙し
=子どもでも読める真理あり
小学校の先生を定年退職してから10年
思い出の数々を妻に聞かせる主人公が、
妻の推理で当時の真相に気付いていく。

アームチェアディテクティブの作品です。
妻が名推理。マープルのようなものです。
夫の性格を加味して、語られた出来事を、
再構築していく。はやみねさんご自身が、
教員だった事からそれぞれの出来事には、
説得力があります。教員研修推薦図書!?

No.381 6点 花とアリス殺人事件- 乙一 2025/08/05 12:44
20年前に岩井俊二監督の『花とアリス』
10年前に『花とアリス殺人事件』乙一作
今年2025年に小説として読んでいます

花とアリス二人が不思議な雰囲気のままに
穴開きしユダのミステリーを解いていく話

刑事と作家の離婚も何もかも成る様に成る
何処か達観した、力の抜けた小説でした。

No.380 8点 サクラ咲く- 辻村深月 2025/08/03 20:37
表題作を含む3つの作品が、
少しずつリンクする短編集。

『約束の場所、約束の時間』
中2が主人公で、初掲載は
進研ゼミ中学二年生講座で、
『サクラ咲く』
中1が主人公で、初掲載は
翌年の進研ゼミ中一講座で、
『世界で一番美しい宝石』
高校生が主人公で、又翌年
雑誌に掲載されたものです。

この順番で発表されて、この
順番で収録された事が大切。
主人公は各々が戦っています。
その戦いを美しいと思います。

私に辻村作品が刺さる理由が
本作品ではっきりしました。
後書きのあさのあつこさんが
簡潔明瞭に解説しています。

(以下引用)
だから、驚愕するのだ。
辻村深月という作家の闘争に。
人の生の根本にある死と謎と
哀しみと不条理、そして、希望を
見詰め続け、刻み続ける膂力は
逞しく、眩しい。
(引用終わり)

表題作のミステリー、手紙の
主は誰だろうと、誰かを求め
誰かとつながっていく静かな
歩みに心揺さぶられました。

No.379 7点 図書館戦争- 有川浩 2025/08/03 06:00
スティーブン・キングのホラーに
図書館警察というものがある様で
書評で本作品に触れられています

最近有川浩さんの阪急電車を読み
こちらにも久しぶりに触れました

主人公のナイトと鬼教官の関係が
最後まで本人に明かされないのが
よいです。爽やかな読書体験です

No.378 5点 そして五人がいなくなる- はやみねかおる 2025/08/01 10:20
ジュブナイル、夢水シリーズ第一弾
名探偵と三つ子の紹介から始まり、
最後は三つ子の伏線回収で終わる、
夏休みにぴったりのテーマも良い。
200ページですが1時間足らずで
読める、ミステリー導入本でした。
作者のミステリー愛が感じられます。

キーワードから探す
take5さん
ひとこと
古今東西ミステリーは沢山ありますが、
すばらしい古典に出会った時、
人間が描かれている作品に出会った時に、
ああ読んでよかったと思います。
そういう作品に一つでも出会えればと、
このページを覗...
好きな作家
決められません
採点傾向
平均点: 6.61点   採点数: 397件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(31)
ジェフリー・ディーヴァー(20)
寺地はるな(15)
連城三紀彦(15)
道尾秀介(13)
薬丸岳(13)
大沢在昌(12)
辻村深月(10)
近藤史恵(10)
アガサ・クリスティー(9)