皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 夢幻花 |
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東野圭吾 | 出版月: 2013年04月 | 平均: 6.69点 | 書評数: 13件 |
PHP研究所 2013年04月 |
PHP研究所 2016年04月 |
No.13 | 7点 | 鷹 | 2024/03/30 17:11 |
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読者が真犯人を推理することはできませんが一見バラバラなエピソードを最後にすべて回収してしまうのは流石です。 |
No.12 | 4点 | 雪の日 | 2020/04/13 15:26 |
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作者の他の作品と比べるとパッとしない。 |
No.11 | 6点 | パメル | 2018/01/19 13:42 |
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殺人事件の捜査が難航するなか、黄色いアサガオが事件に何らかの関係性があるのではないかという謎が浮上する。3人の視点で語られており、それぞれの人生模様が物語が進むにつれ複雑に絡み合っていき、謎が謎を呼ぶ展開で惹きつけられる。
リーダビリティも高く最後には、散りばめられていた伏線やエピソードが見事に回収されて鮮やか。 ただドラマ性やミステリとしての真相も強烈な印象を残すことはなかった。 |
No.10 | 7点 | いいちこ | 2017/07/26 16:19 |
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例によってミステリとしては水準程度の作品であり、読者がロジカルに到達できない真相から、本格としては水準にも達していない。
しかし、一見無関係と思われる細かな伏線を余すところなく回収し、「負の遺産」というテーマに収斂させていくプロットの完成度、明快な叙述によるストーリーテリングの高さは抜群。 主要登場人物がことごとく過去に挫折した経験を持ちながら、懸命に生きていく姿は、逆境に立ち向かう読者へのエールとなっており、読後の印象も極めて爽やか。 著者の実力が遺憾なく発揮された佳作であり、作品のデキには文句はないのだが、著者には「良質な量産品」の域を超える「畢生の本格ミステリ」を書いてもらいたいところ |
No.9 | 7点 | 初老人 | 2017/05/31 12:46 |
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江戸時代には確かに存在した黄色いアサガオがなぜ見られなくなったのか、という題材に着目しここまでの物語に膨らませた作者の慧眼とイマジネーションの力を素直に称えたい。
夢幻花のタイトルの意味が最後の方になって判明した時の納得感と言ったらなかった。 8点付けようか迷ったが白夜行に7点付けていたので、それに匹敵する作品、という意味でこの点数で。 |
No.8 | 8点 | Tetchy | 2016/11/09 00:06 |
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本書でも書かれているが、飲料会社のサントリーが青いバラを開発して話題になったが本書では現在存在しない新種の黄色いアサガオを巡るミステリだ。そしてタイトルの夢幻花もこの黄色いアサガオの異名から採られている。追い求めると身を滅ぼすという意味でそう呼ばれているらしい。
しかし黄色いアサガオはかつては存在したようで、本書にも取り上げられているように江戸時代にはアサガオの品種改良が盛んで黄色いアサガオの押し花が現存している。ではなぜ現代では無くなったのか。それもまた興趣をそそる。 メインの物語は刑事早瀬亮介側の捜査と秋山梨乃と蒲生蒼太の学生コンビの捜査が並行して語られるわけだが、とにかく秋山梨乃と蒲生蒼太の人捜しの顛末が非常に面白かった。今どきの学生らしくメールやグーグルなどのITツールを駆使し、友人のネットワークを使って秋山周治の死に関係する黄色いアサガオの謎と蒼太の初恋の女性伊庭孝美の行方を追っていく。特に秋山梨乃の大胆さには蒲生蒼太同様に驚かされた。 高校時代に友人の伝手で伊庭孝美の所属する大学と研究室を突き止めた蒼太がその後の行動に悩んでいたところ、いきなり研究室に行ってドアを開けて孝美のことを尋ねる行動力。そしてアドリブでテレビ番組の取材だと云いのける不敵さ。梨乃の突飛な考えと行動はこの物語にある種ユーモアをもたらしている。そしてこの若い2人の探索行が読んでいて実に愉しい。もし自分が彼らと同世代だったらこのように行動できただろうかとそのヴァイタリティに感心してしまった。 そんな2人の探索行も含めて思うのは相変わらず東野氏は物語運びが上手いということだ。次から次へと意外な事実が判明してはそれがまた新たな謎を生み、ページを繰る手が止まらなくなる。以前私はある東野作品を謎のミルフィーユ状態だと評したが、本書もまさにそうだ。 後半になってもその勢いは止まらず先が気になって仕方がない。祖父の死をきっかけに彼の遺した黄色いアサガオの写真の謎を追うと、謎めいた男蒲生要介と出逢い、捜査を辞めるように忠告され、それがきっかけで蒲生蒼太と出逢い、ひょんなことから彼の初恋の相手を捜すようになる。そして足取りを辿っていくとなんと蒼太自身の母親の出生に関わる連続殺人事件に行き当たるという、まさに謎の迷宮に迷い込んだかのような複雑な様相を呈してくる。 しかし改めて思うが、実に複雑かつ壮大な物語である。黄色いアサガオから始まり、中学の頃の初恋相手との突然の別れから思わぬ再会、家族に隠されたある秘密、さらにはあるハリウッド女優の死までが絡んでくる。黄色いアサガオはいわば都市伝説的なモチーフであり、初恋相手の別れと再会は実に身近な出来事であり、家族に隠された秘密は江戸時代からの幕府の禁止令から昭和のある犯罪に繋がる深淵なるもの、ハリウッド女優の死は生前の出来事である私たちにしてみれば歴史上の出来事と感じられる。これら一見無関係な要素を無理なく絡ませて読者を予想外の領域に連れていく。実に見事な作品だ。 このような複雑な謎の設計図を構築する東野氏の手腕はいささかも衰えを感じない。識者が作成したリストによれば本書は80作目とのこと。これだけの作品を重ねてもなおこんなにも謎に満ちた作品を、抜群のリーダビリティを持って著すのだから驚嘆せざるを得ない。特にそれまで東野作品を読んできた人たちにとって過去作のテーマが色々本書に散りばめられていることに気付くだろう。原子力の件では『天空の蜂』が、被害者秋山周治の実直な性格は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の浪矢雄治の面影を、秋山梨乃と蒲生蒼太のコンビやホテルの描写では『マスカレード・ホテル』の舞台と山岸尚美と新田浩介の2人の影を感じるなど、それまでの蓄積が本書でも活かされている。 印象に残るのは蒲生蒼太と伊庭孝美の恋の結末だ。中学の時に一目惚れし、突然消えた伊庭孝美。その後も現れては消え、消えてはまた意外な場所で姿を見かける彼女は蒲生蒼太にとっての夢幻花だった。だからこそ2人はお互いの出逢いをいい思い出にしたのだろう。 2014年10月10日、サントリーが青いバラに続いて黄色いアサガオの再現に成功するというプレスリリースがなされた。はてさてこの夢幻花に対して警察はどのように動くのか。本書を読んだ後では手放しで喜べなくなる。そんな錯覚を覚えてしまうほど面白いミステリだった。 |
No.7 | 7点 | makomako | 2016/10/16 11:30 |
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この小説は推理小説として謎の殺人事件、不可解な人物の登場、一見つながりのないように見えるお話、ちょっとしたラブストーリー、最終的に矛盾がない解決と爽やかな読後感がある、など名作となりうる要素はきちんと入っている。さらに作者の巧みな筆さばきですらすらと読んでしまえる。
素晴らしい作品とも思えるのだが、その割に感動はやや少ない。作者の物語の語り口が巧みすぎてもいけないのだろうか。いかにもお話がうまくできているが、すらすらと書かれたような感じ(そんなことはないのかもしれないが)がして、ちょっと重みが少ないのでしょうか。 近年の作者は相変わらず多作でしかも一定の水準を保っているのは立派だと思いますが、少しじっくりと書いたものが読みたいというのは読者のわがままかな。 |
No.6 | 5点 | haruka | 2016/07/09 22:31 |
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東野作品の中では凡作の部類。
プロットやトリックに工夫は見られるけど、あんまり面白くなかった。 |
No.5 | 7点 | HORNET | 2015/08/14 16:46 |
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アサガオがどういう意味合いを持つものなのかは読んでいくうちに大体見当がついた。最終的にはなんだか救いのない話って感じ…だけど、主人公と兄、家族についての複線の結末はよかった。
相変わらずの緻密な筋立てとリーダビリティ。よくもまぁ次から次へといろんなネタが…と感心してしまう。 |
No.4 | 7点 | mozart | 2014/05/25 07:39 |
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率直に面白かった。ある意味、見え見えの伏線が見事に回収されていくラストには正直脱帽しました。ただ、伏線とは言っても、論理的に推理できるものではないので、パズルとして楽しむものではありませんが。 |
No.3 | 7点 | あびびび | 2014/02/10 23:10 |
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夢幻花…。花にはそれぞれのDNAがあり、咲く花の色は決まっている。しかし、花ゆえに色々な色を見たい、楽しみたい。これは植物学者の夢であり、野望だったが…。
アサガオに黄色い花がないと言う。いや、江戸時代まであったのだ。それがなぜ、消えてしまっのか。それを研究していた老人が殺されるが、その動機に夢はなく、ただの現実逃避だった…。 |
No.2 | 8点 | まさむね | 2014/01/15 22:28 |
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犯人を含めた事件の構図について,読者が合理的に推理できるような構成ではありません。
しかし,どんどん深まる数々の謎の行方が気になって,ページをめくる手が止まりませんでした。久方ぶりの一気読み。伏線が綺麗に収束していくラストも見事です。 この作品は,約10年前のとある月刊誌の連載をもとに書き下ろしたもの。とはいえ,「黄色いアサガオ」というキーワードだけを残し,全面的に書き直したそうです。作者自身が「書き直したことで,十年前ではなく,今の時代に出す意味が生じたのではないか」と述べていますが,まさにその通り。ラストに深みが出ています。(こじつけ感が強いというご批判もあり得ますでしょうが…) 作者のストーリーテラーぶりを満喫させていただきました。素直に面白かったですね。 |
No.1 | 7点 | 白い風 | 2013/06/05 22:35 |
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読後、最初の感想は「やっぱり、上手いな~」だった。
最初にバラバラに巻かれた布石が最後には上手くつながっていくからね。 エピローグを”負の遺産”で結ぶのも面白かった。 |