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[ 本格/新本格 ]
黒いトランク
鬼貫警部シリーズ
鮎川哲也 出版月: 1956年01月 平均: 7.50点 書評数: 38件

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大日本雄弁会講談社
1956年01月

東都書房
1960年01月

角川書店
1974年01月

幻影城
1977年12月

東京創元社
2002年01月

光文社
2002年01月

No.38 8点 okutetsu 2022/01/03 15:07
時刻表ものは基本的にあまり好きではないけど、これは純粋にトランクの入れ替わりに関する謎が最後まで解けなかったので面白かった。
まさに盲点と言うべき解答で素晴らしかった。
またアリバイトリックの崩し方も非常に論理的で美しく素晴らしいと思った。
細かい伏線も多く本格ミステリとしてリラ荘事件に勝るとも劣らない出来だと思った。
一点だけ疑問があるとすると、10時10分に高松に着いた人間が11時までに別府にたどり着けるのかという点が正直怪しいと思うのだがどうなのだろう。

No.37 9点 クリスティ再読 2021/01/03 20:44
いやこれは凄い、のは今更言うまでもないか。

読んだの何回目だっけ、でも青メガネの男と近松の動きの幻惑をなかなか楽しんでしまった...いやアリバイトリックの基本中の基本なんだけども、トリックによってどんな幻影を見せるのか?というスケールの大きさに覇気を強く感じる。これが一番素晴らしいことのように思う。汽車だけでなく、瀬戸内航路や対馬やら、船の航路も含んでそれらを全部ひっくるめて、アリバイの構成要素になってることで、浪漫の奥行きがさらにが広がるというものだ。逆に言うと、この航空機が使えない時代、東京から九州まで丸一日以上かかる時代というのが、「旅の距離感」をあらためて強く感じさせる。この空間的・時間的距離感が、それ自体「浪漫」というものだ。してみると今の「旅」は旅じゃなくて、タダの移動なんだろう。

さらに「樽」に学んだ、手品で言えばカップアンドボールなトランクの入れ替わり問題は、内容以上に「風見鶏が北を向くとき」という最終章のタイトルが、絶妙の象徴になっているのが素晴らしい。いやこれ本当に、比喩の力というものである。この比喩がなければ、本作のトリックの趣の多くの部分が失われるのでは...なんて思うんだよ。
そして鬼貫の学友たちが関係者となった「鬼貫警部自身の事件」というべき人間関係が、さらにロマンの興趣を高めている。鬼貫vs犯人の最終対決なんて、評者ついほろりと...

本作、浪漫の味わいがかなり強い作品でもあるけども、意外に皆さん指摘しないことなんだな。鮎哲さんはシャイだね...

No.36 7点 Kingscorss 2020/09/11 23:04
2002年発行創元推理文庫版を拝読。小説の出来はいわずもがな。とても完成度の高い典型的な列車を使ったトリックもの。

内容に関しては文句のつけようもないのですが、個人的に列車ミステリー大の苦手です… 鉄道マニアではない自分には、トリックとかより、時刻表を見て細かい時間を追うのと、なんといっても馴染みのない地名と場所を把握するのが苦痛すぎるからです…

この傑作、黒いトランクも例に漏れず、途中時刻表を使った説明の部分で何回か挫折しかけました… いや、ちゃんと理解できる方々にはいいんでしょうが、自分みたいな時刻表見ただけでパニクる低能には完読するのが大変でした…

せめて列車の時刻表と地図を全部巻頭におき、列車の乗車時刻等を全て漢数字でなくアラビア数字で表記してほしかったのと、地名には面倒でも全部都道府県を毎回つけて欲しかったです。地理に疎い自分には拷問でした…
常にえっ?今何処?何処?(゚Д゚;≡;゚Д゚)!? 状態でした…

内容9点、ややこしいトリックが−2点で7点で。すいません。またいつか機会があったら再読したいです。

※この2002創元推理文庫版、文末解説374ページ上段13行目の鬼貫が鬼貰になってます… まぁ本編じゃないからいいんですが…

No.35 5点 雪の日 2020/05/03 21:19
THE本格ミステリ

No.34 6点 レッドキング 2020/04/11 16:05
思い出す。 なんとか「読者挑戦状」みたいに見破ってやろうと、ノートに克明メモしながら読み進めたことを。
いいセン行ってたと思う・・85点(?)位までは追いつめたんだけどなあ・・・

No.33 9点 mediocrity 2019/02/23 00:03
鉄道を利用したアリバイトリックは緻密だが平凡に感じた。正直16章を読み終わった時点では過大評価小説なのかと心配していた。
しかし最終章、トランク周りで一体何が起こっていたのかの謎解きでそんな心配は一気に吹き飛んだ。

No.32 7点 2018/07/20 11:12
1956年初出版、鮎川の代表作です。
謎解き小説としてはかなり手ごわい作品です。そもそも、犯人当てというよりも、アリバイトリック絡みの真相解明を問うたものなので、難易度が高いのはやむを得ません。
ただ、難解ではあっても手がかりは揃っていて、しかも作者による図表などの手助けもあるので、フェアな本格ミステリーとしてはベスト中のベストと言ってもいいしょう。

とはいえ、いまあらためて感じるのは、じつはトリック自体は平易だということです。それを登場人物(おもに鬼貫)の言動や行動による誘導で複雑化しただけ、ということが今回判明しました。まあ、それも推理小説のテクニックにはちがいありません。

アリバイ崩し(をメインに据えたミステリー)といえば、決して似ているわけではありませんが、本書よりも後発の、松本清張の『点と線』(1958年)、森村誠一の『高層の死角』(1969年)と比較したくなります。
東西ミステリーベスト100での順位を見れば、『点と線』はかなりの上位で、なぜか本書はそれよりも下位、『高層の死角』はさらに下です。
結局、好みの問題だとは思いますが、『点と線』がなぜこんなに評判がいいのか、いまだに理解できません。

No.31 10点 まさむね 2017/10/23 22:40
 これは凄い。美しい。精緻で凛とした美しさがあります。
 ちなみに、トランク・犯人・被害者それぞれの動きがポイントになるのですが、複雑かつ重層的で、それらを追い掛けるだけでも一苦労です。頭の中だけでの整理は相当に困難で、メモは必須かもしれません。正直、ワタクシもちょっと面倒で諦めたくなった瞬間もございました。
 しかし、その先には何とも言えない快感が待っています。最終盤の「Xトランク・Zトランク取り換え問題」の真相が判明した瞬間は、雷に打たれたような感覚になりましたね。複雑さの中におけるシンプルさ、このコントラストは極めて美しい。そして、実は全て読み終わった後にこそ、本当の楽しみがあるような気がします。(いやはや、様々な人とモノの動きを反芻すること自体が楽しいではありませんか!)

No.30 9点 青い車 2016/05/24 17:37
 クロフツの傑作『樽』にインスパイアを受け、元ネタをさらに複雑巧妙に発展させた名作。トリックの解明が閃きだけでなく地道な捜査によって裏付けされているのがすばらしく、人によっては退屈であっても本格好きは知的興奮を覚えるはずです。綿密な計算を基に盛り込まれたいくつものアイディアが綺麗に調和しているという印象を受けます。ただし、あまりの複雑さに僕の頭では付いていくことが困難で、解決篇では何度も表を見返しました(細かい時刻表や路線図にいたってはチェックする気力すら出ず)。よくできていることが減点対象という珍しい作品です。少し時間を置いてもう一度読み返すとより面白いかも。

No.29 6点 sophia 2016/04/28 03:11
個人的にはこういうちまちました作品はそんなに好みではないので読むのがしんどかったですし、真相もあまり驚けなかったです。その時点でそうだったんなら、そこから後の追跡調査は全部無駄じゃないかという徒労感の方を強く感じまして。「りら荘事件」もそうでしたが、動機がぶっ飛んでますね。こちらの作品はもう少し社会派色が強いものだと思っていたので意外に感じました。それにしても「中身を入れ替える時間はなかった」という最後の砦が崩せていないのになぜ犯人だと断定してしまったのか、そしてなぜ犯人も白旗を上げてしまったのか謎です。

No.28 9点 ロマン 2015/10/20 15:33
黒いトランクの中に入っていた死体を巡って、鬼貫警部が推理していく。トランクと人間が西へ東へ移動し、その中でアリバイやトランクすり替えのトリックを解決していくが、自分では解けなかった。よく読むと細かな伏線が序盤にあり、作品の精緻さがうかがえる。福岡―東京間の移動がやけに長かったり、殺害の動機に時代を感じたりして、それがまた作品に一味加えている。

No.27 10点 斎藤警部 2015/06/23 23:40
この作品を読み始めた時、まだ鮎川さんは自分にとって特別中の特別な作家さんではありませんでした。 読了後、その様な存在になっている事を知りました。私にとって四冊目の鮎本だった。

抑制の効いた渋い雰囲気と、穿った登場人物名の取り合わせにまず目を白黒。そのうち少しずつ、鮎川さんだけの、堅苦しさを装った不思議なユーモアと厳しい本格推理求道ぶりの絶妙なブレンドに魅了されて行くのでした。

正直、トリックの詳細は忘れておりますし、読んでいる最中ですら「何だか複雑でよく分からないけど、何だか凄い事になってるぞ!」ってなもんで雰囲気を玩味するだけでもうお腹いっぱいでございましたが、その、何と言いますか仮に雰囲気だけでも言い訳なしで凄いと思わせる、間近で精査して緻密なだけでなく俯瞰しても知的興味を引く面白い複雑系大トリックを駆使した兎にも角にも面白本なんですよ、という事をですね、声を大にして言いたくなっちゃうわけでしてね。

あとね、鬼貫警部の初恋の人ってのが重要人物として登場するにも関わらず、そっちの方はさっぱり物語が展開しない、という無駄にハードボイルドな感じがね、泣けますよ(冗談です)。

No.26 10点 ボナンザ 2014/04/07 01:56
アリバイ崩しものとしては最高の出来です。惜しみないトリックの大盤振る舞いに、その必然性が重なり、まさに本格の見本と呼べるのではないでしょうか。

No.25 7点 ミステリ初心者 2014/03/20 21:51
 光文社の新装版のやつを読みました。
 
 読んでいる最中の印象は、細かいなぁ~とか、時間と場所の把握が面倒だな~とか、どうせ解けないもの(超複雑)なんだろうな~ という感じでした。 そのため、メモを取っていませんでした。 途中、トランクの動き と 登場人物のアリバイが図示されていたので、何とか話についていけるレベルでした。

 解決編を見て、面白いな!と思えることがたくさんあり、もっと真剣にアリバイ崩しに望んだらよかったなぁと後悔。 メイントリックはもちろん、最後の最後で明かされる謎も好きです(こっちがメインか?)。風見鶏の話も面白かった。

No.24 8点 crabking 2013/08/19 11:52
PLAY "the replacement" to the excellent level.
Although many people make the contrast with “Freeman Wills Crofts”, but I think it's more completely, more maturely.But 鮎川桑 can do more in characterization. As the first work, be worth reading.

No.23 6点 バード 2013/05/28 13:42
流石に純アリバイ崩しとしての評価が高いというのは納得の作品と思わざるをえない。序盤はやや退屈だったが中盤以降はサクサク読み進められた。
しかし移動時間を使って読んでしまったためメモなどをとれず読み終わってしまったのがミスだった、ビックリ箱的な作品ではないのでもっとしっかり推理を練りながら読めば評価もプラス2点くらいになったかもしれない。

No.22 8点 2012/01/11 21:34
クロフツの『樽』からヒントを得たことについては、本作の中でも登場人物に語らせていますが、死体運搬容器(トランク・樽)の動きは本作の方が複雑ですし、何より移動理由が全く違います。『樽』が他人に罪を着せるためであったのに対し、本作ではすべてがアリバイ作りのためなのです。また、両作とも容疑者が2人出てきますが、その2人の関係と犯人のキャラクターが正反対とも言える設定なのは、作者が意識してやっているのではないかとも思えます。
高校時代に初めて呼んだ時は、トリックを完全に理解したとはとうてい言えなかったのですが、久々に再読してみると、それほど難解でもないと感じました。鬼貫警部の捜査でトリックが少しずつ明かされていくため、実際の犯行計画以上に複雑に見えるところがあるのではないでしょうか。最後の風見鶏を比喩に使ったトリックの理由も、完全に忘れていましたが、再読で納得できました。

No.21 6点 いいちこ 2011/12/23 19:49
時代と旅情を感じさせる筆致は楽しめる。
トリックも緻密だが複雑すぎて衝撃度に欠けた

No.20 5点 蟷螂の斧 2011/10/21 10:32
当時のアリバイ崩しとしては、傑作でしょう。ただトランクについては複雑で、私のような流し読みでは理解できませんでした。ミステリーとは関係ないところで、好きな作家「石川達三」氏の”日蔭の村”が出てきたりして、懐かしい気分になりました。またラストの「ふるさとは遠きにありて想うもの」のくだりも気に入りました。

No.19 5点 isurrender 2011/07/16 18:11
確かにトリックは凄いのかもしれない
ただ、好みに合わなかった


鮎川哲也
2017年07月
鮎川哲也探偵小説選
平均:6.00 / 書評数:1
2013年05月
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2012年04月
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平均:6.00 / 書評数:4
2012年02月
この謎が解けるか?鮎川哲也からの挑戦状2
平均:5.00 / 書評数:2
この謎が解けるか?鮎川哲也からの挑戦状1
平均:6.00 / 書評数:2
2011年10月
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平均:5.67 / 書評数:3
2011年05月
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2007年12月
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2007年08月
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2007年06月
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2007年04月
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2006年10月
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白馬館九号室
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2006年06月
山荘の死
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2003年04月
クライン氏の肖像 三番館の全事件(3)
2003年03月
マーキュリーの靴 三番館の全事件(2)
平均:7.00 / 書評数:1
2003年02月
竜王氏の不吉な旅 三番館の全事件(1)
平均:7.00 / 書評数:1
2002年04月
鮎川哲也名作選―冷凍人間
平均:6.50 / 書評数:2
1999年10月
夜の訪問者 鬼貫警部全事件(3)
1999年07月
不完全犯罪 鬼貫警部全事件(2)
平均:8.20 / 書評数:5
碑文谷事件 鬼貫警部全事件(1)
平均:6.33 / 書評数:3
1999年03月
下り”はつかり”―鮎川哲也短編傑作集〈2〉
平均:9.25 / 書評数:4
1999年02月
五つの時計―鮎川哲也短編傑作集〈1〉
平均:8.43 / 書評数:7
1996年08月
青い密室 名探偵星影龍三全集(2)
平均:8.00 / 書評数:6
赤い密室 名探偵星影龍三全集(1)
平均:7.89 / 書評数:9
1992年12月
モーツァルトの子守歌
平均:5.75 / 書評数:4
1988年09月
葬送行進曲
平均:7.00 / 書評数:1
1988年04月
透明な同伴者
平均:4.50 / 書評数:2
1987年10月
硝子の塔
平均:9.00 / 書評数:1
1987年09月
クイーンの色紙
平均:4.00 / 書評数:1
1987年02月
西南西に進路をとれ
平均:6.00 / 書評数:1
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平均:8.33 / 書評数:3
1986年12月
しぶとい殺人者 鬼貫警部と四つの殺人事件
平均:8.00 / 書評数:1
1986年08月
材木座の殺人
平均:5.33 / 書評数:3
1984年01月
ブロンズの使者
平均:6.00 / 書評数:3
1983年12月
死びとの座
平均:5.62 / 書評数:8
1981年12月
王を探せ
平均:5.50 / 書評数:6
1979年07月
朱の絶筆
平均:7.00 / 書評数:21
1979年04月
自負のアリバイ
平均:6.00 / 書評数:3
1979年03月
沈黙の函
平均:5.89 / 書評数:9
1979年02月
囁く唇
平均:7.00 / 書評数:1
蝶を盗んだ女
平均:6.00 / 書評数:2
密室殺人
平均:6.33 / 書評数:3
1978年12月
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平均:5.50 / 書評数:2
1978年11月
金貨の首飾りをした女
平均:5.00 / 書評数:1
1978年10月
死が二人を別つまで
平均:5.00 / 書評数:1
裸で転がる
平均:5.33 / 書評数:3
1978年04月
企画殺人
平均:6.25 / 書評数:4
1978年01月
ヴィーナスの心臓
平均:6.75 / 書評数:4
1976年01月
サムソンの犯罪
平均:6.00 / 書評数:3
戌神はなにを見たか
平均:6.83 / 書評数:6
1974年01月
太鼓叩きはなぜ笑う
平均:6.75 / 書評数:4
1971年01月
風の証言
平均:6.40 / 書評数:10
1969年01月
鍵孔のない扉
平均:7.18 / 書評数:11
1966年01月
準急ながら
平均:5.76 / 書評数:17
積木の塔
平均:6.80 / 書評数:10
1965年01月
宛先不明
平均:5.83 / 書評数:6
死者を笞打て
平均:5.50 / 書評数:6
死のある風景
平均:7.00 / 書評数:11
1963年01月
偽りの墳墓
平均:6.89 / 書評数:9
砂の城
平均:7.42 / 書評数:12
1962年07月
翳ある墓標
平均:6.00 / 書評数:5
1961年01月
人それを情死と呼ぶ
平均:7.35 / 書評数:20
1960年01月
ペトロフ事件
平均:6.00 / 書評数:16
黒い白鳥
平均:7.50 / 書評数:22
1959年01月
白の恐怖
平均:5.62 / 書評数:8
憎悪の化石
平均:7.00 / 書評数:17
1958年01月
りら荘事件
平均:7.50 / 書評数:64
1956年01月
黒いトランク
平均:7.50 / 書評数:38