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[ 本格/新本格 ]
太鼓叩きはなぜ笑う
三番館シリーズ
鮎川哲也 出版月: 1974年01月 平均: 6.75点 書評数: 4件

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徳間書店
1974年01月

徳間書店
1982年01月

東京創元社
2003年04月

No.4 6点 斎藤警部 2015/10/20 01:07
相当に遠い昔、気まぐれで初めて手に取ってみた鮎川哲也。徳間文庫の新刊だったと思う。
ところが相性いま一つ、次の一冊に手を出すまで優に十余年を費やしてしまった無念の一冊目。
と言うか鮎川さんの中でもこの「三番館シリーズ」は今でもさほど強く心惹かれるものではありません。流石に詰まらなくはないものの、「ああ、なるほどね」、とそれなりに感心する止まりで感動へ至らず。堂に入ったユーモアはなかなかのものだけどね、物語がなんかチマチマしてますね、チマチマの振りして実際の所はデーーンと構えてるぞ、みたいな、鮎川氏の特にノンシリーズ短篇によくある空気感は無くて、本当にこじんまりしてる寂しい風情。 私立探偵氏がいちいち自分の心情を面白おかしく吐露する(本当の探偵役であるバーテン氏は違うけど)というあまりに逆ハードボイルドな文章が抵抗あるのかも。いえ何も私は鮎川氏にハードボイルドを求めちゃいませんがね。 まあ、立ちっぱなしなのに安楽椅子探偵役のバーテンがいて、伝統的本格推理で言うところの足で稼ぐ警察役の私立探偵がいて、依頼人には既に間に一枚入った形の仲介役である弁護士がいて、更にその後ろにやっと大元の依頼人がいる、というなんだか皮肉でややこしい体制は面白いですよね。更に言えばこのシリーズの真の主役は探偵役ヒーローのバーテンではなく、ワトソン役(=「わたし」)にして間抜けな警官役の私立探偵(へんな言い方)の方じゃないですか? もし彼が「引き立て役クラブ」に加入したら「オマエ本当は主役だろ!」って追い出されるんじゃいかって心配しちゃいます。

ところでこの徳間文庫は巻末解説が(当時は名前を知りもしなかったが)かの中町信氏! 氏が病床にあって出遭った「黒い白鳥」を、古本屋のおやじのせいで犯人はおろかメイントリックまで大いにバラされて憤慨中だったにも関わらず大変面白く一気読してしまった、それが起爆剤となり推理作家を目指し始めた、みたいな文章は何度目を通しても本当に魅力的です。ここで遭遇した「黒い白鳥」なる長篇名がずっと記憶の片隅(よりも少し中央寄り)に在って、十数年の歳月を経て私もやっとそれを読むに至ったという事の次第であります。嗚呼。 

色々言いつつ6点も付けちまった。 この第一集はやっぱり悪くない。

No.3 8点 ボナンザ 2014/04/07 15:34
やはりシリーズ一作目だけあってどれも完成度が高い。不吉な旅なんかも鮎川氏の別の一面を見せてくれる名作です。

No.2 6点 kanamori 2011/01/08 17:58
銀座の会員制バー「三番館」のバーテンが安楽椅子探偵を務める連作ミステリの第1集。
このタイプの連作ミステリの不文律?に則り、「隅の老人」「ブロンクスのママ」「退職刑事」などと同様、バーテンの名前はありませんが、私立探偵や弁護士までレギュラー・キャラクター全員が名無しという徹底ぶりです。
ほとんどの作品でアリバイ・トリック(アリバイ奪取トリックも)を扱っているのは、いかにも作者らしい。

No.1 7点 E-BANKER 2010/09/08 23:02
「三番館」シリーズ。
本作は創元推理文庫版での同シリーズ第1作。
鬼貫警部や星影龍三を探偵役とする長編の重厚な雰囲気と違い、洒落っ気たっぷり、軽いタッチでグイグイ読ませます。
①「春の驟雨」=アリバイトリックとしては基本どおりなのですが、見せ方がうまいですね。
②「新ファントム・レデイ」=W.アイリッシュの名作「幻の女」を下敷きにはしてますが・・・そこはやはり鮎川流のアレンジ。
③「竜王氏の不思議な旅」=短編ですが、鬼貫物を彷彿させるアリバイトリックが炸裂。ラスト1行が効いてます。
④「白い手黒い手」=白い手の人物と黒い手の人物・・・バーテン氏の推理はちょっと強引な気がしますけど・・・
⑤「太鼓叩きはなぜ笑う」=これもやや変格のアリバイトリック物。バーテンの推理法が鮮やかです。
全5編。
短編もうまいですねぇ。バーテン氏をはじめ、私立探偵・弁護士といったシリーズキャラクターの配役も絶妙です。


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