[ 本格/新本格 ] 白昼の悪魔 鬼貫警部事件簿 |
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鮎川哲也 | 出版月: 2007年08月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 4件 |
![]() 光文社 2007年08月 |
No.4 | 7点 | HORNET | 2020/10/04 12:02 |
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「五つの時計」が非常に有名作品らしいが、その他の作品も全体的に高水準で、謎解き主体の「推理小説」を堪能できた。
7編のうちの6編は筆者の得意とするアリバイ崩し(犯行時刻誤認)に関するもの。「五つの時計」はもちろん、表題作「白昼の悪魔」、「古銭」、「首」なども面白い仕掛けだった。 前出の書評にもあるように、「そこまで周到に準備するか?」とやや凝りすぎに感じるものもあるが、謎解きを堪能すると思えば十分に楽しめた。 |
No.3 | 7点 | りゅうぐうのつかい | 2017/01/08 16:36 |
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「五つの時計」は鮎川氏の短編の中でも評価が高いが、その一番の理由はわかりやすさにあると思う(鮎川氏の作品は複雑で、わかりにくいものが多い)。この作品集での個人的評価は、「五つの時計」が一番で、その次が「誰の屍体か」。他の作品は、トリックが大掛かりすぎて、リアリティーに欠けていたり、ある方面の知識がないと見抜けなかったりする。
「白昼の悪魔」 今読むと、色々と時代の違いを感じる話。ヘリコプターでビラを撒いたりとか、新聞記者が容疑者を匿ったりとか……。アリバイトリックの方法があまりにも大掛かりすぎて、リアリティーに欠ける。 「誰の屍体か」 首なし死体を扱った事件で、犯人と被害者を誤認させるアイデアがいくつも盛り込まれているが、複雑でわかりにくい話だ。犯人の犯行計画が巧妙、さらに被害者自らがやったことが大きな欺まんとなって、警察の捜査をかく乱している。容疑者の恋人が見つけた物証と、鬼貫警部がその聞き取りの最中に気づいた矛盾によって、真相が解明するが、この真相に至る経緯も面白い。 小包を送ってきた時刻と犯行時刻との関係がわかりにくく、また、鬼貫警部の説明も親切さに欠けているように感じる(読み返してみて、○○が2つあって、入れ替えたことがわかった)。 「五つの時計」 五つの時計による完璧なアリバイトリックを鬼貫警部が見破る話。トリック自体が非常に巧妙であり、なおかつ、理解しやすいのが良い。 鬼貫警部の説明は、犯人が○○の時計の時刻を元に戻したことには言及していない。 「愛に朽ちなん」 配達された荷物が死体に入れ替わっていた謎。ある分野の専門知識がないと、この真相には気づくことができない。 「古銭」 骨董屋が殺され、高価な古銭が盗まれた謎。 鬼貫警部が丹念に聞き込み調査を続け、証言の矛盾に気づく話。 「金貨の首飾りをした女」 最初の方で出てくる「赤毛組合」のような話がどう活かされるのだろうかと思っていると……。視点がくるくると変わり、話もあっちへ行ったり、こっちへ行ったりと飛びまくるので、非常にややこしく、わかりにくい。逃走した容疑者に対して、警察は元妻の住居をすぐにマークするだろうし、アリバイトリックを作るのにこれだけ手間のかかることをする人がいるわけがない、と突っ込みを入れざるをえない。 「首」 身元不明の首なし死体が発見され、被害者と目される人物には職場の社長との確執があることがわかるが、社長にはアリバイがあった。被害者自身が協力して成立したアリバイは面白いが、鬼貫警部が気づいた証言の食い違いは、一部の人にしか見抜くことはできない。 |
No.2 | 7点 | 斎藤警部 | 2015/12/08 09:07 |
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白昼の悪魔/誰の屍体か/五つの時計/愛に朽ちなん/古銭/金貨の首飾りをした女/首/創作ノート
(光文社文庫) 測量ボーイさん言及の通り「五つの時計」の存在が本短篇集の価値を押し上げていますね。他の作も、多少緩めのもありますが、全般的に悪かぁないです。突飛で猟奇的な設定の「誰の屍体か」が見せる”鮎川、時折静かな暴走”も素敵。「創作ノート」は嬉しいおまけ。巻末の想い出エッセイ(山沢晴雄氏)もね。 |
No.1 | 7点 | 測量ボ-イ | 2015/10/09 21:53 |
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短編集の復刻版より。「五つの時計」以外は未読です。
以下各作品の書評を簡単に。 ①白昼の悪魔 犯人があるツ-ルをアリバイ作りに利用。使い方が巧みです。 ②誰の死体か 本文中のちょっとしたところが伏線になっています。 ③五つの時計 他のところで書評済なので割愛 ④愛に朽ちなん いやあ、このネタは(僕も含めて)僕より同年代以下の方には 判らないでしょう ⑤古銭 これは比較的わかりやすいトリックか? ⑥金貨の首飾りをした女 内容はまずまずですが、タイトルがもう一つかな ⑦首 氏の短編で、これと似たネタの作品があります。 ロ-カル色豊か? 評点は基礎点6点に、名作「五つの時計」があるのでプラス1点。 |
鮎川哲也
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