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[ 本格/新本格 ]
白の恐怖
星影龍三シリーズ
鮎川哲也 出版月: 1959年01月 平均: 5.62点 書評数: 8件

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桃源社
1959年01月

桃源社
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光文社
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No.8 6点 ボナンザ 2021/08/10 09:42
長らく幻の作品の代名詞のようだったもの。特に星影登場のクローズドサークルということもあって期待は高まるが芸術の域に達したりら荘に比べてしまうと・・・。
とはいえ鮎川らしく仕掛けは込み入っており、白樺荘としてのリメイクが完成していれば・・・と思わずにはいられない。

No.7 4点 斎藤警部 2018/12/30 11:45
鮎川さん、テキトーにやっつけたな(笑)! こりゃ◯●社から「ウチみたいな弱小は手を抜かれる、プンプン!」と言われても仕方なし(作家本人は否定してるらしいですが?)。 短い話の割に、真犯人が割り出されるまでの”持たせ”の微妙な時間が露骨に長くて。。。このヘンなバランスでバレないわけには行かんでしょ、アレが。。 しかしこれ本気で仕立て直せば、、 容疑者(甥姪+α+β)もう少し増やしたりして、もっともっと物語を分厚く、叙述トリックもどき(?)をこんなショボイんじゃなくてもっともっともっと巧妙に埋め込んで、出来たらもう悪魔的な領域まで。。。。 未完の「白樺荘事件」(未読です)の存在が見果てぬ夢に誘っちゃって仕方が無いってなもんですわ。 だけどまあ、作品の出来は度外視で、鮎川ファンとして妙に惹かれる所はあります(測量ボ-イさんご覧になった”眼鏡をかけていない写真”も見てみたい!)。

さて、本作に於ける星影探偵はまるでチャーチルが好んだと言う究極のドライ・マティーニに於けるベルモットのような存在ですな! こりゃァ独特過ぎて椅子から転げ落ちるわ!!

光文社文庫の復刻新刊で読みました。 併録短篇「影法師」は氏の最初期ペンネーム群に引っ掛けた異国ロマンス追想譚、の最後にミステリ要素がポテッと乗っかる小品で鮎さんらしい満州、ロシア語、声楽の趣味推し。 おまけの昭和三十年代新聞・雑誌掲載エッセイがまたよろしおす。 メモリアル写真集(全て眼鏡してる)に、山前譲氏の穏やかな解説もありがたい。

No.6 7点 makomako 2018/10/14 08:50
 鮎川氏は若い頃に推理小説の魅力を教えてくれた方で、新作が発表されるごとにほとんどの作品を読んだと思っていましたが、この作品はたまたま読む機会がなかったものです。今回新しく文庫化されたのでさっそく読みました。
 ああ懐かしいなあというのがまずの印象。
 私にとってはとても読みやすい。
 いかにもといった設定でいかにもといったお話がくりひろげられます。昔の私なら犯人は想像もつかないところですが、長く本格物を読んだひねくれものとなってしまったので、犯人は容易に推定できました。 
 当然作者もそのことは分かっているため、最後はほとんどの読者がびっくりするような仕掛けをしています。ただしこれは話の本筋から言うとおまけのようなもので、おまけで本体の評価はできないでしょう。
 懐かしい作家さんなのでちょっと評価は甘いです。

No.5 5点 nukkam 2016/10/09 10:39
(ネタバレなしです) 1959年発表の星影龍三シリーズ第2作の本格派推理小説で、雪の山荘を舞台にした連続殺人事件を扱っています。残った容疑者よりも死者の方が多いという、「りら荘事件」(1958年)の同工異曲的な作品ですが「りら荘事件」ではアリバイ成立など犯人を簡単に特定できないような難関を設定していたのに本書ではそういう工夫が足りず、まあ犯人はこの人だろうと予測しやすくなっています。星影の説明は真相はこうだという結果説明に過ぎず、江守森江さんや空さんのご講評で指摘されているように伏線を回収しての推理になっていないのが「りら荘事件」と比べて物足りません。読みやすい作品ですが荒削りな部分が多く、作者が改訂を検討していたというのも納得です(結局改訂は果たされませんでした)。

No.4 5点 2013/02/20 23:21
江守さんが書かれている通り、改稿予定のため再版されないままで入手困難な作品として知られていますが、確かにこれは改稿されていれば、傑作になり得ていたかもしれないと惜しまれます。全体的なストーリー構成と結末の意外性には、雪の山荘テーマにあまり興味のない自分でも、感心しました。しかしこれも江守さんご指摘の通り、なんと言っても伏線が弱いのです。最終章で星影竜三と田所警部は、ほとんど事件の経緯を説明しているに過ぎず、「推理」とまで呼べそうにありません。また小説としてのふくらみに欠けるのも、プロローグで言い訳はしているのですが、だからと言って物足らなさが解消されるわけではありません。
作者が作者だけに、そのプロローグを付けたこと自体に何か意味があるのではないかと疑念を持ったのでしたが、事件が解決されてみると、なるほど、この1文を書きたかったためだったのかと納得できました。

No.3 5点 kanamori 2011/02/26 15:03
雪の軽井沢・白樺荘で遺産相続人が次々殺されていく事件を、弁護士の日記で語られるコード型の本格ミステリ。最後の解決編でいきなり登場するだけですが、いちおう星影竜三シリーズの第2弾です。
人物に関するトリックにインパクトがありますが、梗概に近い第一稿をそのまま出版してしまったような内容の薄さがあるので、作者ならずとも再販を躊躇するのは分かる気がします。
マニアにとっては、読むことよりも所持することに意義があるようなコレクターズ・アイテムの一冊。

No.2 7点 測量ボ-イ 2010/05/05 10:23
書評サイトでの評判は決して芳しくないですが、僕にとっては
十分満足できた作品です。
遺産相続を巡る連続殺人を扱いますが、あくまで本格。サスペ
ンス性も高いです。探偵役が(鬼貫警部ではなく)星影竜三な
ので、「りら荘」にちょっと雰囲気は似ていますかね。
でも水準以上の良作だと思います。

 ※余談
氏の長編で、僕が唯一未読だった作品です。地元の図書館にも
やはりなく、今回他市ル-トでようやく手に入れました。
長い間絶版状態で、氏の著作で最も入手しにくいものと思わ
れるのが今まで未読だった理由です。
手に入れた本は昭和37年製本、氏の若かりし(40台前半位?)
何と眼鏡をかけていない写真がお目にかかれます。
カバ-はセロハンテ-プで補強されてボロボロですが、これは
貴重な本です(1万円出してでも買いたい!)。

No.1 6点 江守森江 2010/03/26 04:55
詳細不明だが(不満点が多々あり)生前作者が「白樺荘事件」(予告有)として改稿を視野に入れていた為に絶版後の復刊を許可しなかった作品で、読める可能性は限定されている(所有するマニアの友人から借りるOR都内某図書館の蔵書を他地区利用する等)
閉ざされた雪の山荘での遺産相続を巡るサバイバル・サスペンスな雰囲気をミスリードにした仕掛けミステリ。
※以降、作品の狙いに触れるので要注意!!
解決編手前の章(日記形式なので最終日前日)の“終わり二行目”で驚きを得られるかが作品評価の分かれ目になる(綾辻「十角館〜」・我孫子「殺戮〜」・歌野「葉桜〜」レベルにはあると思う)
解決編(星影竜三登場は謎解きのみ)までは登場人物達も犯人に騙される究極の叙述トリックになっている。
しかし以下の点に減点要素がある(作者もこの辺りに不満だったと想像した)
1.伏線に乏しい。
2.閉ざされる以前に山荘以外の場所で最初の殺人が発見される(アリバイから作者の狙いに到達できる)
3.閉ざされた山荘に警察関係者も居て緊迫感が薄い(ミスリードとして弱くなる)
さて、改稿されていたら「りら荘〜」「黒いトランク」などに並び得る傑作に仕上がっただろうか!
※星影竜三の表記は作品上の表記に準じた。


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