海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 短編集(分類不能) ]
自負のアリバイ
名作選13
鮎川哲也 出版月: 1979年04月 平均: 6.00点 書評数: 3件

書評を見る | 採点するジャンル投票


角川書店
1979年04月

No.3 6点 斎藤警部 2016/01/04 11:14
随分と遅れて来た鮎川ファンの私としては、昔の角川文庫鮎哲名作選に入ってた様な短篇は大抵、後発の創元推理文庫や光文社文庫(集英社もね!)のアンソロジーで読み漁ったものでありますが、これらの作品群を再読するに当たりわざわざ(ささやかな)プレミア付きの角川古本を買ってすると言うのは「道楽読み」以外の何物でもありません。そもそも鮎川を読む事自体道楽に決まってるだろってなもんでありますが、それに輪を掛けてのメタ道楽をせずにいられないのが鮎川ファンの宿命、いや単に私の趣味趣向というものであります。前述した後発文庫繚乱のお陰か本気のプレミアまで付いていない(安い)のがついついの購買欲を誘うのも看過すべからぬ要因ですね。

で、この一冊。「鮎川哲也名作選」と銘打った短篇集で「自負のアリバイ」と来たらこりゃ相当に大きな期待が掛からないわけがありません。事実、LPレコードを樽やトランクの様にアリバイの媒体に使った(かの作品達ほど複雑じゃありませんが)表題作は氏の音楽趣味露出と相俟って興味津々のトリック展開を垣間見せてくれますが。。 偽装の露見が、伏線は充分あったにしても、まさかそんなトリックと何の関係も無い拍子抜け。。 これだったら倒叙形式にせず普通の順叙本格ミステリで、挑みゃ解けそうなアリバイトリック詳細に想いを馳せさせてくれた方が良かった。「自負のアリバイ」なる重みある題名は別の傑作短篇用にとっておいて良かったのでは。。でも詰まらなヵぁないんですけどね。

てんてこてん/声の復讐/憎い風/離魂病患者/自負のアリバイ/灼熱の犯罪/錯誤/尾のないねずみ/冷雨
(角川文庫)

さて他に個別コメントしとくと、本格色の強い「離魂病患者」は意外な結末に意外と気付かせない文章技巧が見事。ほとんど小学生向け推理クイズの様な”どうしてバレたんでしょうか?”の「灼熱の犯罪」は内容だけ取れば鮎哲らしからぬエロさ横溢で小学生には不向き。某作品に登場する、浪曲出身流行歌手が唄う架空のヒットソング「涙のスットコドッコイ」って一体どんな歌なんだよ!!(笑)と読むたびに思いを馳せてしまいます。「てんてこてん」、バッドエンドじゃなくて良かったよ、それが意外で面白いんだけどね、ハハ。
さて、うーん、全体通して倒叙推理クイズみたいなのが多いなあ。それをわざわざ小説の意気込みで書き上げるのが良いのだけれど、「これってもしかして昔学研の小学生用学習雑誌に書いてた小学生が主人公のミステリークイズを大人向けに書き直したんじゃないの!?」と思ってしまう作品が目立ちますね。でも好きよ。

No.2 7点 測量ボ-イ 2015/03/26 18:44
佳作揃いの短編集です。
ベスト作品は私見ですが「離魂病患者」です。倒叙ものが多い鮎哲氏
短編の中では、これは立派な本格ものです。
「てんてこてん」も結末のひねりが良く佳作。偶然から犯罪が発覚して
しまう、ちょっとマイナス要素(読者が推理できない)ものもありま
すが、十分楽しめます。

No.1 5点 ボナンザ 2015/03/23 20:39
角川名作選の一つ。
てんてこてん、声の復讐、憎い風、離魂病患者、自負のアリバイ、灼熱の犯罪、錯誤、尾のないねずみ、冷雨の九作収録。
この短編集では最後のもの。いずれも傑作選に収録されているものには劣るが、ここでしか読めないものもあり、マニアには必須なシリーズだろう。


キーワードから探す
鮎川哲也
2024年06月
夜の挽歌 鮎川哲也短編クロニクル1969~1976
平均:5.00 / 書評数:1
2023年11月
クライン氏の肖像 「三番館」全集第4巻
2023年07月
人を呑む家 「三番館」全集第3巻
2023年03月
マーキュリーの靴 「三番館」全集第2巻
2022年12月
竜王氏の不吉な旅 「三番館」全集第1巻
平均:6.00 / 書評数:1
2017年07月
鮎川哲也探偵小説選
平均:6.00 / 書評数:1
2013年05月
完璧な犯罪
平均:5.67 / 書評数:3
2012年11月
崩れた偽装
平均:5.50 / 書評数:2
2012年04月
灰色の動機
平均:6.00 / 書評数:4
2012年02月
この謎が解けるか?鮎川哲也からの挑戦状2
平均:5.00 / 書評数:2
この謎が解けるか?鮎川哲也からの挑戦状1
平均:6.00 / 書評数:3
2011年10月
謎解きの醍醐味
平均:5.67 / 書評数:3
2011年05月
アリバイ崩し
平均:5.75 / 書評数:4
2007年12月
わるい風
平均:5.33 / 書評数:3
2007年08月
白昼の悪魔
平均:7.00 / 書評数:4
2007年06月
悪魔はここに
平均:7.60 / 書評数:5
2007年04月
消えた奇術師
平均:6.75 / 書評数:4
2006年10月
二つの標的
平均:7.00 / 書評数:2
2006年08月
白馬館九号室
平均:6.50 / 書評数:2
2006年06月
山荘の死
平均:7.50 / 書評数:2
2003年04月
クライン氏の肖像 三番館の全事件(3)
2003年03月
マーキュリーの靴 三番館の全事件(2)
平均:7.00 / 書評数:1
2003年02月
竜王氏の不吉な旅 三番館の全事件(1)
平均:7.00 / 書評数:1
2002年04月
鮎川哲也名作選―冷凍人間
平均:6.50 / 書評数:2
1999年10月
夜の訪問者 鬼貫警部全事件(3)
1999年07月
不完全犯罪 鬼貫警部全事件(2)
平均:7.67 / 書評数:6
碑文谷事件 鬼貫警部全事件(1)
平均:6.00 / 書評数:4
1999年03月
下り”はつかり”―鮎川哲也短編傑作集〈2〉
平均:8.60 / 書評数:5
1999年02月
五つの時計―鮎川哲也短編傑作集〈1〉
平均:7.75 / 書評数:8
1996年08月
青い密室 名探偵星影龍三全集(2)
平均:7.71 / 書評数:7
赤い密室 名探偵星影龍三全集(1)
平均:7.70 / 書評数:10
1992年12月
モーツァルトの子守歌
平均:5.75 / 書評数:4
1988年09月
葬送行進曲
平均:6.00 / 書評数:2
1988年04月
透明な同伴者
平均:4.50 / 書評数:2
1987年10月
硝子の塔
平均:9.00 / 書評数:1
1987年09月
クイーンの色紙
平均:5.00 / 書評数:2
1987年02月
西南西に進路をとれ
平均:6.00 / 書評数:1
時間の檻
平均:8.33 / 書評数:3
1986年12月
しぶとい殺人者 鬼貫警部と四つの殺人事件
平均:8.00 / 書評数:1
1986年08月
材木座の殺人
平均:5.33 / 書評数:3
1984年01月
ブロンズの使者
平均:6.00 / 書評数:3
1983年12月
死びとの座
平均:5.62 / 書評数:8
1981年12月
王を探せ
平均:5.50 / 書評数:6
1979年07月
朱の絶筆
平均:7.00 / 書評数:21
1979年04月
自負のアリバイ
平均:6.00 / 書評数:3
1979年03月
沈黙の函
平均:5.70 / 書評数:10
1979年02月
囁く唇
平均:7.00 / 書評数:1
蝶を盗んだ女
平均:6.00 / 書評数:2
密室殺人
平均:6.33 / 書評数:3
1978年12月
呼びとめる女
平均:5.50 / 書評数:2
1978年11月
金貨の首飾りをした女
平均:5.00 / 書評数:1
1978年10月
死が二人を別つまで
平均:5.50 / 書評数:2
裸で転がる
平均:5.33 / 書評数:3
1978年04月
企画殺人
平均:6.25 / 書評数:4
1978年01月
ヴィーナスの心臓
平均:6.75 / 書評数:4
1976年01月
サムソンの犯罪
平均:6.00 / 書評数:3
戌神はなにを見たか
平均:6.86 / 書評数:7
1974年01月
太鼓叩きはなぜ笑う
平均:6.33 / 書評数:6
1971年01月
風の証言
平均:6.17 / 書評数:12
1969年01月
鍵孔のない扉
平均:7.18 / 書評数:11
1968年01月
白い盲点
1966年01月
準急ながら
平均:5.83 / 書評数:18
積木の塔
平均:6.55 / 書評数:11
1965年01月
宛先不明
平均:5.83 / 書評数:6
死者を笞打て
平均:5.71 / 書評数:7
死のある風景
平均:7.00 / 書評数:13
1963年01月
偽りの墳墓
平均:6.89 / 書評数:9
砂の城
平均:7.31 / 書評数:13
1962年07月
翳ある墓標
平均:6.00 / 書評数:5
1961年01月
人それを情死と呼ぶ
平均:7.35 / 書評数:20
1960年01月
ペトロフ事件
平均:6.00 / 書評数:16
黒い白鳥
平均:7.46 / 書評数:24
1959年01月
白の恐怖
平均:5.62 / 書評数:8
憎悪の化石
平均:6.74 / 書評数:19
1958年01月
りら荘事件
平均:7.47 / 書評数:68
1956年01月
黒いトランク
平均:7.55 / 書評数:40