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[ 本格/新本格 ]
積木の塔
鬼貫警部シリーズ
鮎川哲也 出版月: 1966年01月 平均: 6.55点 書評数: 11件

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読売新聞社
1966年01月

KADOKAWA
1976年01月

青樹社
1999年04月

光文社
2010年10月

No.11 4点 ねここねこ男爵 2024/02/15 12:45
ネタバレ気味です。

アリバイ作りの構想自体は素晴らしいのですが、ディテールに微妙な点が多いのが気になります。
特にスーツケースの件はどう言い訳しても絶対に相手は納得しないと思うのですが。意図せずそういう事態になりその場しのぎとしてならともかく、非常に頭が良いとされている犯人が気が強いと言われる相手に対してあらかじめ計画に組み込んでいたというのは苦しいかと。(この時代にそういうサービスがあったかどうかは分かりませんが)スーツケースは宅配便で自宅に送るという設定でも良かったのでは。第三者に乗車を目撃させているわけですから工作はそれで十分かと。
他にもちょいちょい「ん?」と思う点があり、この作者の他作品ほど細部に気を遣えていないように感じるのでこの点数で。

No.10 6点 2018/06/19 22:55
鮎川作品にしては珍しく、読んだことがあるはずなのに、内容は全く記憶に残っていませんでした。
喫茶店でのセールスマン毒殺という、殺人者は同伴していた女に間違いない事件で幕を開けます。小説が始まって30ページもしないうちにひょんなことからその女の身元も判明し、後は逮捕のみという流れになるのですが、そこからが鮎川節。今度はその女が殺され、お得意のアリバイ崩しが始まります。このシリーズ、鬼貫警部の登場は半分を過ぎてからなんてことも意外と多いのですが、本作では早い段階から顔を見せ、常連丹那刑事が一回聞き込みをした後、再度同じ人物を訪ねたりして、博多、徳山などを飛び回ります。
しかしこの犯人、とんでもない不運につきまとわれますね。アリバイ・トリックが解明された後現れる証人もそうですし、過去の秘密が知られてしまいそうになるのも、かわいそうになってしまうほどです。

No.9 7点 あびびび 2016/03/07 11:12
この作者の王道と言うか、時刻表、アリバイトリックの極みのような作品。個人的に印象深かったのは、高校まで住んでいた徳山市(現・周南市)がかなりの部分かかわっていたこと。作者の街の描写を懐かしく読んだ。徳山市は、戦災後、東京のように立派な街になることを祈願し、東京と同じ町名にしたことである。銀座、新宿、御幸通りなど、そのままである。

今回は鬼貫警部が博多、徳山と出張し、粘り強い捜査を見せた。これが実に楽しい。

No.8 5点 nukkam 2016/02/19 09:56
(ネタバレなしです) 1950年代後半からの社会派推理小説の台頭は国内推理小説の大ブームを巻き起こして新作が矢継ぎ早に発表されました(本格派推理小説は対照的に人気低迷してしまうのですが)。しかしおよそミステリーらしくない作品までがミステリーとして発売されるなど粗製乱造気味になってしまい、1960年代半ば頃には読者離れが進んだそうです。これに危機感を覚えた松本清張の責任監修で「新本格推理小説全集」が企画され、10人の作家(清張自身は含まれません)による10の新作が出版されました。その第1号にあたるのが1967年発表の鬼貫警部シリーズ第11作の本書です。もっとも特に「新本格」を感じさせるようなところはなく、これまでのシリーズ作品同様地道なアリバイ崩しの本格派で、犯人の正体は早い段階でわかります。本書で印象的だったのは動機をめぐる推理が転々としていくところで、特に第6章で登場する動機(の候補)はなかなか衝撃的でした。

No.7 7点 斎藤警部 2015/11/02 18:00
物語はなかなかに地味な滑り出し。とは言え鮎川流の地味だから当然その先を期待する。すると期待通りの王道アリバイ崩しに道は続く。捜査の過程を小説としてじっくり味わうのが良いです。企画色の薄い地道な作品ですね。ある意味鮎川哲也長篇の最大公約数的なこじんまりした印象を受けますが、鬼貫警部の登場のタイミングが早い事もあり(それは関係無いか?)既に氏の作品に浸かっている人が安心して読むのに適しているのかも知れません。 

No.6 7点 ボナンザ 2014/04/07 15:32
これまたタイトルが印象的。
時刻表トリックだけでなく、新しいちょっとしたアイディアを盛り込むあたりが嬉しい。

No.5 6点 toyotama 2010/10/04 15:02
鮎川氏を日本のクロフツと言うつもりは毛頭ないが、それでも鬼貫警部を見てると(読んでると)、フレンチ主席警部を連想してしまうなぁ。
また、物語の筋はちゃんと覚えているのに、どの題名の話だっけ?っていうのもフレンチ警部の海関係の話と共通する気がする。
巻末の「解説」を読むまで、「積木の塔」という題名の意味が解らんかった。

No.4 8点 CRYSTAL 2009/12/10 02:16
鮎川作品の王道でした。よかった。

いつも鬼貫警部はひょんなところからトリック崩しの手掛かりを見つけるけど、毎回「きたーっ」って心んなかで叫んじゃう。

No.3 7点 測量ボ-イ 2009/05/17 10:24
いかにも鮎哲らしい作品で良かったです。僕の記憶では
この作品が時刻表の出てくる最後の作品です。
他の方より提示のある矛盾点については、2度ほど再読
しているにもかかわらず全く気づきませんでした。今度
確認してみます。

(2010.10.24追記)
最近再読しました。3回目か、4回目です。
ボリュ-ムはさほどではないですが、なかなかよくまと
まっている作品ですね。無駄に長いのを嫌う方には特に
お勧めでしょうか?
鮎哲ファンのなかでもこの作品を代表作に挙げる人は少
ないと思いますが、隠れた名作だと思います。
それにしても、この作品が書かれた当時(昭和40~41
年頃)は九州から大阪・東京方面の夜行列車がこんなに
もあるのですね・・時代を感じさせます。

No.2 7点 ギザじゅう 2004/05/19 22:46
ある事件の犯人と思しき人物が第二の事件で殺され、第三の事件が起こる。他にも犯人の動機を探るシーンも丁寧に描かれていて楽しめた。
やや短めのせいか、あっさりしすぎていたようにも感じたが、ちょっとした手がかりから謎がするすると解けていくのは読んでいて気持ちがいいものである。
鬼貫物の中では標準的な作品といってしまえば、それまでだが、やはり面白い。

No.1 8点 myk 2003/12/07 19:23
鮎哲の時刻表トリックはいずれも味わいがある。読んでいて楽しい。一つ疑問があるのでどなたか分かったら教えて下さい。博多発17時53分の海星を見送って、18時20分下曽根空港離陸の飛行機にはどう頑張っても乗れないと思うのですが、この小説ではぎりぎり間に合う前提になっています。明らかに間違いですよね。


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