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ねここねこ男爵さん
平均点: 5.67点 書評数: 163件

プロフィール高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.163 7点 霧に溶ける- 笹沢左保 2022/09/10 21:51
ネタバレ気味です。

この構造ネタはあちこちで見かけるけれど、本作はその中でもっとも「自然」かと思います…特に動機面で。殺害方法も一つ一つ切り出してみるとシンプルでそこそこ実現可能性ありそう。とくに密室は秀逸。さらにそのすべてがこの作者らしさ全開
時間的余裕があまりなく一つ歯車が狂うとすべて瓦解しそうなことと、ここまで上手に背中を押してあげられるか?というのはありますが

ただ前述の通り、この構造ネタは動機か実行技術面で「手段が目的化してる」的不自然さを拭えない作品が多いのに、本作は筆力もあいまってそこそこ納得できるように書かれています。読んでいる最中は全く別のことを考えていたので結構驚きました
読む価値ありありです。面白かった

No.162 6点 他殺岬- 笹沢左保 2022/08/07 11:43
初読時は「昼下がりの2時間ドラマにぴったりだなぁ」程度の感想だったが、時間を置いての再読時には評価爆上がりした
ごく狭い範囲に都合の良い人間関係が集中しているなど微妙な点も多いものの、メイン部分の出来と圧倒的なリーダビリティは評価していいと思う

一つだけ、誘拐されてから「実は他殺じゃないと都合悪いから他殺ってことにしよう」ではなく、その前に「本当に自殺なのか当時から疑問だった」的な文章を入れておくだけで不自然さがだいぶ減ったように思う

No.161 7点 黒い白鳥- 鮎川哲也 2022/08/07 11:31
メインのアリバイトリックは正直平凡よりややマシといった程度なものの、周辺のディテールや補強アイデアが素晴らしい…というかそっちがメインなのかも

初読時小学生だった自分は「すごい作家と聞いてたけどこんなもん?」と失望した(のでこの作者を避けていた)のだが、一回りしてから再読すると凄さが分かった
ただやはりメインの味の薄さからこの点数で

No.160 6点 ぼくと、ぼくらの夏- 樋口有介 2021/11/30 19:28
面白いかつまらないかで言えば、面白い。ただミステリとして読むものではないかも。
作者はもともと純文学志望だったそうで、確かにそれが窺い知れる文章と内容。人物の設定や言動、人間関係がミステリ的な伏線ではなく「作者が作中に漂わせたい雰囲気」のためだけに存在しており、ああなるほどねと思う。例えばヒロインの設定とか、父親母親と主人公の関係とか。

謎は滞りなく解決するし手がかりも各所に置かれている。真相はなんとなく赤川次郎っぽく、怪しい人物がしっかり悪い人なのでさしたる意外性はない。ただ前述の通りこの作品の魅力はそこではなく、それがツボにハマる人にはハマると思う。
個人的には主人公の異常なモテ方の不自然さと言うか、「物語の前から好きになるように決められていました」的な台本臭さが気になってしまった。10代の恋愛ってそういうものではあるけれども。

No.159 2点 日曜は憧れの国- 円居挽 2021/11/03 00:46
これはよろしくない。

あまりボロクソに言いたくはないけれど、「とりあえず登場人物たちをアニメっぽく個性過剰にしておいて、テキトーに日常の謎っぽいなにかを解くフリをする」という量産型日常の謎短編集の悪い典型例。
謎が魅力的でない上に推論の進め方がめちゃくちゃで、証拠もなしに仮定に仮定を積み重ねた挙げ句人を悪人呼ばわりするとか結構不快。
ついでに、材料関係なくカレーの作り方がめちゃくちゃで嘘でしょ?と思った。

No.158 7点 配達あかずきん- 大崎梢 2021/11/03 00:31
傑作とは言えないかもしれないが、良作。

なにかの店のスタッフやちょっと特殊な業界の人物(あるいは妙に個性的な女子高生)を主人公に設定し日常の謎を解かせるタイプの短編集は多く、大半は業界説明が中心になってしまっていて謎が全く魅力的ではなかったりする
この本はそれらとは一線を画しており、業界豆知識などほとんど無く謎がなかなか魅力的、解決も違和感がない。登場人物が常識的で個性が欠けているきらいはあるが、上記の日常の謎あるある本のように過剰に漫画的アニメ的な人物にするよりはこの方がいいのかも知れない
そういった日常の謎本に立て続けに遭遇して辟易していたのでちょっと採点が甘くなったかも

No.157 5点 ホペイロの憂鬱- 井上尚登 2021/10/27 19:01
サッカーチームの関係者によるほのぼの日常ミステリ。ゆるーく読むならいいかもしれない。
自分は相当なサッカー好きなのでそう思うだけかもしれないが、登場人物の口を借りて話される作者の他スポーツ観は少々棘があるか。もっともサッカー好き以外が読むとも思えないけど…


以下ネタバレ気味。
最初のエピソードが破綻している。ある人物があることを隠すためにやっている不自然な行動が謎の中心なのだが全く隠れておらず、逆に不自然さだけが際立ってしまいかえって注目されてしまう。それまで謎にならなかったのは探偵役がなんとなくスルーしてたから…と身も蓋もない
隠したいなら表面上は以前と同じにして探偵役に気付かれないようにしなければ意味がなく、例えば以前と状態を揃えるために故意にアレを破壊していた(それをホペイロ特有の着眼点で見破った)とかやり方はいろいろあったと思うのだが。おそらく当初の予定では、ホペイロではなく不自然さを指摘した人物を探偵役に据える予定だったのだろう。
それ以外のエピソードはそれほど悪くない。

No.156 4点 ボディ・メッセージ- 安萬純一 2020/06/19 18:38
点数は低めですが、読んでいる最中はつまらなくはないといった感じです。
ある屋敷に一泊してほしい。ただし必ず二人連れで…という奇妙な依頼を受けた探偵事務所。不気味な住人たちに囲まれながら一晩過ごすと、そこには不自然に切断された四つの死体。しかし警察が駆けつけたときには死体が消失していて…という魅力的な謎の設定。
舞台はアメリカで戦後すぐくらい?そういう雰囲気と謎が楽しめれば良作かと。

以下、ほんの少しネタバレ風味で。
犯人が探偵たちに死体を目撃させた理由が意味不明。あんな手間のかかることをするのであれば秘密裏に実行したあとで手紙の一つでも送ればそれで済みます。ついでに遺品も添付すれば説得力抜群なうえ警察の介入も確実に防げるでしょうに(実際他の殺人はあったことすら誰も知らなかった)。アドレス不明ならそれこそ探偵に調査依頼すれば一発でしょう。正直、作者の都合以外の理由を見いだせない…。
犯人特定のロジックが皆無で、登場人物の中で一番怪しいからコイツが犯人です、と言っているのと同値です。
犯人も犯人で、前述の難点も合わせてわざわざ捕まりに来ているとしか思えないムーブです。
登場人物たち、特に探偵事務所の面々が個性に乏しく、(キャラ付けしようとした痕跡は見られるものの)口調などもほぼ同一なためちょっと読んでいて辛いかと。逆に主催者の二人は異常にマンガ・アニメ的でそれはそれで違和感が。

本格を期待するのではなく、ミステリ風の物語と割り切って読めば悪くはないかもしれません。

No.155 6点 高層の死角- 森村誠一 2020/06/15 13:57
前半3割ほどが密室殺人、後半7割ほどがアリバイ崩しの本作

力の入れ具合からして後半のアリバイ崩しがメインなのだろうが、個人的には微妙だった。盛りだくさんで次から次へとなので読んでいて楽しいものの、内容は「とにかく奇抜なルートで目眩まし」「小ネタ小ネタで物量作戦」に留まっており、公共交通機関を利用する以上はいずれ発覚するのは目に見えているので…奇抜と言っても現代はもちろん執筆当時でもさほど目新しくはなかったのではなかろうか。盛りだくさんなだけにツッコミどころも盛りだくさんだし

むしろ前半の密室が素晴らしく思う。シンプルにして効果的でスキがなく、何より「侵入するための密室」ゆえに密室の必然性を無理なく備えているのが良い。乱歩賞の選考委員も密室を評価している人が多い。長編を支えるには量的に不足であろうが、このネタで良質の中編が書けたかもしれない

テンポが非常に良いのでリーダビリティが高く(文章に苦言を呈する選考委員が多かったが…?)、密室の素晴らしさとアリバイ崩しの微妙さを考慮してこの点数。少なくとも読んで損はないかと

No.154 3点 連続殺人鬼 カエル男- 中山七里 2020/04/25 19:07
同作者の「さよならドビュッシー」と共にこのミス大賞最終選考にダブルエントリーされたというエピソードをもつ本作。大賞は結局ドビュッシーの方だったのだが、本作を読んで納得した…というか、こちらは出来が著しく劣るように思う。
作者は過去の選評を読んで研究し「選考委員ウケを狙って書けばいける」と踏んで本作のプロットを考えたそうで、事実だとすれば選考基準に疑問を抱きたくなる。大賞どころか最終選考に残るクオリティとは思えないのだが。

本作は一応社会派だろうから本格の視点で批評するのは的外れであることを承知の上で言うと(ネタバレ風味)、
1.連続殺人の意図(の一つ)が手垢のついたもの
2.ミッシングリンクが手垢のついたもの
3.どんでん返しの連続のつもりなのだろうが、仕掛けが手垢のついたもの…なのでスレた読者には早い段階で完全に見透かされる
4.項目2などから、ラストの1行も完全に予想通り
5.作者の誠実さなのだろうが、手掛かりの置き方が見え透いている
6.一応言い訳めいた事は言っているが、猟奇殺人にする必然性が無い。「密室殺人だから、密室の謎が解けない限り捕まらない」と言ってるのと同じでこんな理屈は通らない
7.普段「捜査に先入観を持ち込むな」と言う刑事が、本作では先入観を持ちまくり語りまくりで違和感がすごい…というか読者に刷り込もうというのがミエミエ
8.マスコミの報道や、警察署を襲撃する暴徒などの描写が大分おかしい。「マスコミもネットも恐れているんだ」この程度の、しかも第一の事件だけでビビるなんてありえない

つまり、本作は本格ですでに濫用され消費されゴミ箱行きとなった出し殻パーツをリサイクルし社会派風に仕立て上げたもの。組み合わせ方はデビュー前の素人とは思えないほど素晴らしいが、そもそものパーツ自体が過去の偉大な作家たちの創造物なので、他人の褌で相撲をとっていることに変わりはない。

リサイクルの腕は化け物級、ただし伏線等の描写はやはり素人+αというところか。もっとも前述の通り作者は意図的にこのように書いているようなので、そうするとデビュー前の時点ですでに選考委員すら手玉に取っていたのかも知れない。ただ自分のようなひねくれた読者は対象外だったのだろう。

No.153 8点 求婚の密室- 笹沢左保 2020/04/13 21:49
少しネタバレ風味です。

中盤のメインである推理対決は人によってはやや退屈か。残りページ数からして真相が暴かれるはずがないというのは分かりきっているので…w
密室とその周辺の仕掛けがあまりにも素晴らしい。特に密室は唯一無二。どこかで見た評価だが、「人を殺さなくてはならないのなら、自分の手を汚さずに済ませるのが望ましい」というこの作者の作風が密室でも活きている。
この時代の日本の推理小説はトリックのためのトリックが多く、必然性は「探偵への挑戦」「犯人がミステリマニア」「密室だから自分は犯人じゃない」といったしょうもないこじつけばかりなのだが、本作はそのあたりを見事にクリアしている。
ダイイングメッセージなんて飾りです。

No.152 7点 黒白の囮- 高木彬光 2020/04/08 21:40
面白い。そして惜しい。

犯人の企みと仕掛けはなかなかに素晴らしいし、登場人物も整理されており読みやすい。
まず惜しいのは読者への挑戦を取り巻く状況で、挑戦後に重要証拠がどんどん後出しされること、中でも決定的なものが幸運な偶然であること、その発覚のタイミングが(作者に)非常に都合がいいこと、つまりは論理的な犯人の指摘が基本的に不可能なことなど(メタ視点で当てるのは容易)。挑戦が無ければ良かったのに。
そして犯人側にミスらしいミスはないのでそこを突くわけでもなく、誰もが盲点となっていた急所を突くわけでもなく、やたら有能な脇役が勝手に証拠を集めてきてくれるのを黙って見ているだけなのが残念。あと、容疑者のあの人が素直に警察に通報したら犯人はどうするつもりだったのだろう…検事が言う通り通報しても別に問題ないと思うのだが。

それらが修正不可でもなく少し工夫すればなんとでもなりそうなので、それだけに惜しい。それらの疵を踏まえてもかなり面白いので。

No.151 7点 見えないグリーン- ジョン・スラデック 2020/04/08 01:34
面白い。
「こういうのでいいんだよ」と言いたくなるような魅力的な謎と思わせぶりな探偵、そして真相。テンプレを踏まえつつきちんと水準以上の作品に仕上がっているのが素晴らしい。
個人的に密室トリックそのものはどうでもいいと思っているし賛否があるだろうけれど、本作の密室はけっこう感心した。

No.150 3点 わが一高時代の犯罪- 高木彬光 2020/04/08 01:16
表題作のみの採点。

若かりし頃の神津恭介や、当時の雰囲気を楽しめるかどうかだけの作品かと…残念ながら。
消失トリックは「雪道に足跡をつけたくなかったのでジャンプした」くらいのノリです。必要な材料をあんなにあからさまに盗んだりしたら騒ぎになるのは当然で、隠蔽したいのか発覚させたいのかよく分からない(もちろん現場の不可思議な状況を無理やりにでも作りたかったのであろうことは分かるが)。
何より、あんなに手数をかけて密室状態にする必然性が全く無い。普通に失踪すればよい。「密室の謎が解けない限り失踪した人間は見つけられない」とでも思っているのだろうか…
いないとは思うけれど、もし高評価に釣られて他の神津恭介シリーズを読まずにこの作品に触れる人がいたら、多分怒ると思う。

No.149 4点 神津恭介、密室に挑む: 神津恭介傑作セレクション1- 高木彬光 2020/04/03 01:59
ネタバレ風味です。

発表当時はどうだったのか分からないが、1〜4作目は現代の視点からでははっきり言って凡作…少なくとも古さを感じさせない名作とは言い難い。
この作者の密室は機械的なものがかなり多いのだが、長編では(作中人物が述べている通り)あくまで作成法はどうでもよく、密室作成理由こそ本質としていて、実際その通りの作品に仕上がっている。
一方それが短編になると…機械的であること、作成理由が「密室になってるから自分は犯人ではないよ」のケースが多いこと、トリックが想像の延長上にあるものばかりなこと(隠れる場所がない→こうすれば隠れられるよねとか、足跡がない→こうすれば足跡を残さず移動できるよねとか)でかなりイマイチ。劣悪密室の条件が揃ってしまっている。

5作目の「影なき女」がやはり突出している。これがあるので3点にしたいところを4点とした。
6作目は当時としては斬新だったろう…現代の読者は「手記」であることから例の人物が登場した瞬間にピンときてしまうだろうけど。
また、犯人あてとしては候補2人から1人に絞れないと思うのだが…スリッパと人形の件は「不要な偽装工作であるが不気味さ演出のためやってしまった」と言われたらどうしようもないと思う。やる理由に乏しいだけで実行可能ではあるのだから。もちろん真犯人の人形の活用法は素晴らしい。

全体として、この短編集自体に価値は見出しづらい。後半の有名作は色々な場所で読めたりするので。

No.148 4点 Wの悲劇- 夏樹静子 2020/03/08 01:21
クイーン公認とのことだが、レーンのようなロジカルな推理など微塵もなく、犯行そのものは大抵の登場人物が実行可能であるにも関わらず「目に見える動機があるのはコイツだけだからコイツが犯人!」というめちゃくちゃな言いがかりで犯人を指摘する。…まぁこれは勝手にロジックを期待した自分が悪いか。

また、この年代の日本の推理小説の多くと同じで登場人物の描写が乏しく、単なる記号やパーツになっている。いわゆる黄金時代の作品よりも更に。推理小説が批判されるときによく指摘されることであるし、自分は普段そんなことどうでも良いと思っているのだが本作では結構気になった。主人公(?)のロマンスが唐突すぎたり…

ただややこしい推理パートがほぼ皆無だし真相も演出次第で衝撃的に出来るのでTVドラマの原作としてはもってこいだと思う。登場人物たち全員が無個性なのを逆手に取ってドラマオリジナル要素を入れ放題だろうし。

No.147 4点 キリオン・スレイの敗北と逆襲- 都筑道夫 2019/12/28 12:23
とても読みにくい…
キリオンはじめ登場人物たちがすぐに話を脱線させるので、一つの事件が起こったときその概要を掴むのすらストレス。本筋と無関係なところでやるとか、概要説明は会話形式にしないとか、いくらでもやり方はあると思うのだが…これがユーモアだった時代もあるということか

内容としては程々だけれども、主要登場人物のうち数名の行動や言動が明らかに不自然で浮いてるので、論理的ではないけれどメタ的な視点でかなり早くネタバレしてしまうのがマイナスかと

No.146 10点 戻り川心中- 連城三紀彦 2019/09/27 10:59
恐ろしく美しく素晴らしい短編集。

一つだけ。光文社文庫版は、裏表紙の内容紹介文が表題作の微妙なネタバレになっているので、見ずに本文を読み始めたほうがいいと思います。

有名な作品ですし、映画版のウィキペディアのページではあらすじで思いっきりネタバレしていますし、本作の魅力はそれだけではないので「このくらいはいいだろ」という意見もあるかとは思いますが…

No.145 6点 法月綸太郎の消息- 法月綸太郎 2019/09/27 10:37
「あべこべの遺書」は初出のアンソロジーではツッコミどころ満載だったが、この短編集Verでは一応形になっている(構造を変えたのではなくツッコまれそうな部分に予め言い訳している、という感じだが)。
ただ構造がそのまま故、服毒死の下りなどはだいぶ苦しく、結局真相は分からずじまいにしていることなど全盛期ほどのキレはないと思った。

長期シリーズの小説だと、作者が歳を重ねたため考え方感性が変化しキャラクターが別人になることがままある。本作ではキャラクターはそのままだが作風が…。作者は評論を多く手掛けているためか、「白面のたてがみ」「カーテンコール」はモロにそうなってしまっているというか。クオリティはともかく(面白いけど)、評論で書くべきネタを無理やり小説化したという印象が拭えない。

No.144 5点 花の棺- 山村美紗 2018/06/14 05:18
時代を感じる作品。読んでいるときはそれなりに面白かった。2時間ドラマの原作としては満点ではなかろうか。

トリック単独ではとても良くできているのだが、トリックを用いる必然性に極めて難があり、それどころか用いたことで犯人バレするという典型的な手段が目的化している小説。みんながみんな、不要な偽装工作で証拠を残したり工作中に目撃されたりで苦笑。
ミステリをあまり読まない人と話すと、『ミステリはトリックを見るもの』『トリックに必然性なんてあるの?』ということがとても多く、それはこの時代にそういう作品が乱発されイメージが固定化してしまった事が大きいんだなぁと。そういう意味で時代を感じる。
ただリーダビリティは高いし、トリック観賞作品と思えば悪くない。

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犯人の独白の中に、「美人だった母には、堅実だが地味な公務員の父はふさわしくなかった」「そんな母はふさわしいイケメンと浮気した」「浮気がバレて離婚し、それがもとで母は死んだ」「あのとき父が母を許していれば母は死なずに済んだのに」とさらっと書いてあるのを読んで、作者の倫理観に寒気を覚えた。そういう時代だったのかも知れないが…

ねここねこ男爵さん
ひとこと
好き嫌いが激しいです

アンケートをよく作成する仕事柄、評価に『普通』はつけません。なので本サイトでめったに5点はつけません。

偶然が二回以上あったり、糸や機械を多用した現実味のない物理トリッ...
好きな作家
エラリー・クイーン 有栖川有栖
採点傾向
平均点: 5.67点   採点数: 163件
採点の多い作家(TOP10)
有栖川有栖(12)
法月綸太郎(11)
森博嗣(7)
東野圭吾(7)
中山七里(6)
東川篤哉(6)
青崎有吾(5)
笹沢左保(5)
高木彬光(5)
鮎川哲也(5)