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[ 本格/新本格 ]
死びとの座
鬼貫警部シリーズ
鮎川哲也 出版月: 1983年12月 平均: 5.62点 書評数: 8件

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新潮社
1983年12月

新潮社
1986年01月

新潮社
1986年01月

光文社
2002年03月

No.8 5点 クリスティ再読 2020/11/01 18:18
鮎哲の長編としては最後の作品。この頃って「沈黙の函」とか「王を探せ」とか新刊で出たら買ってたんだけど、本を整理したときに売っちゃったなあ。今思うともったいない。

最終期鮎哲って、ユーモア・ミステリみたいなんだよね。もともと描写あっさり軽めの作家だったけど、晩年は「ふわっ」として筆致になっていて、ヘンな名前の仕掛けがあったり(確か犯人と同姓同名の人が読者にいたら申し訳ないから...とか言ってなかったっけ)、クラオタ作家の面目躍如で、クラシックの蘊蓄が延々...とかね。でこの作品だと、一旦容疑者のアリバイを偽証することになったミステリ作家高田が、狂言回し的に真犯人を探すことになって、という展開。この高田、自分で一種のアリバイ工作までして鬼貫に叱られるんだもの。もちろん作者自身の投影。

なので、ヘンに私小説みたいなミステリ。晩年様式、といえばそんなもので、自他の区別が混淆される傾向が強まるけど、モチーフ把握力は落ちてくるので、話がメリハリなくズルズルと続いていく。脱力してお気楽に読むようなものか。
それでも鮎哲だから、アリバイトリックはある。どっちかいうと、「死びとの座」のトリックよりも、ホステス殺しの方のアリバイの方が、いろいろ転がせて面白いようにも思うんだ...でも長編ネタかというとそうでもないか。アイロニカルな切れ味のいい短編で書いた方が生きるトリックかもしれないね。

No.7 5点 ミステリ初心者 2018/11/18 06:37
 ネタバレをしています。

 メイントリックと、プロローグによるミスリード部分がよかったです。

 不要に思える登場人物や、話、場面がコロコロかわる・・・など物語の核心に迫るまでが長く、非常に読みづらかったです。読了まで時間がかかりました。何が謎なのが終盤まではっきり見えず、考えながら読むことができませんでした。

 ちょっと好みではありませんでした。

No.6 8点 斎藤警部 2016/01/06 02:39
ATJT(鮎川哲也の叙述トリック)! 見事に釣り吊り上げられました!
殺されたミッキー中野は人気絶頂のロック歌手ジャッキー上野のそっくりさんタレントやて、誰やねんそれ、ミッキー吉野の立場は??

一般にあまり評判芳しくない様子ですが、わたしはとても好き。
でもまあ、ファンを自認するひと向けですかね。氏の長篇最終便。(その後に「白樺荘」を完遂させて欲しかった。。)

No.5 5点 あびびび 2015/04/13 18:12
この作者らしい流れで、十分楽しめるが、アリバイトリックは無理があるような気がした。この世には自分とそっくりの人間があと二人いる…とは言っても、そこまで期待できるものだろうか?

ただ、犯人の行動は大胆で、ち密に計算されていた。これは実践できそうな気がした。

No.4 5点 ボナンザ 2014/11/08 16:16
それまでの作品に比べるとやや微妙・・・。
それでも鮎川らしい作風で楽しめるのだが。

No.3 6点 E-BANKER 2011/03/05 00:03
鬼貫警部シリーズ。
大作家、鮎川哲也最後の連載長篇作品です。
~一人目の被害者は東京・中野区の公園に置かれたベンチに座っているところを、拳銃で打ち抜かれて息絶えていた。捜査陣は次々に現れる容疑者に困惑する。スチュワーデス、フリールポライター、同業者たち・・・動機を持つ人間が多すぎる! 鬼貫警部は奔走し、彼らのアリバイを崩そうとするが、やっと
嘘を見破っても、即逮捕とならないから厄介だ・・・~という粗筋。

例によって、容疑者が順次登場し、鬼貫警部がアリバイの壁に阻まれるものの、ついに光明が・・・という定型のプロットが展開されます。
ただ、今回はちょっと「変化球」気味。
被害者の設定自体に「企み」が秘められており、それが分かることで、容疑者の特定→アリバイ崩しという流れになってます。この辺りは老練なプロット&筆致ですね。さすがです。
ただ、全体的にはやはり「ネタ切れ感」が漂うなぁ・・・という感想ですね。作者あとがきにも、「なかなか連載に踏み切れなかった」様子が書かれてますが、往年の作品のような「切れ」は到底窺えません。
ということで、評点的にはこの辺が精一杯ということに・・・
(今回は鬼貫警部の登場シーンも少なめ。相棒の丹那刑事もだいぶ年をとったように書かれていて何だか切ない・・・)

No.2 5点 nukkam 2010/02/22 11:49
(ネタバレなしです) 鮎川哲也(1919-2002)の作家としての活動は1991年まで続きますが鬼貫警部シリーズに関しては1983年発表のシリーズ第17作の本書が最終作となりました。メイントリックはなかなかよく考えられておりハウダニットの謎解きはよくできた部類だと思います。しかし鬼貫警部の登場シーンが非常に少ない上に犯人当てに関しては容疑者の1人が途中から探偵役に切り替わって謎解きしているのが唐突に過ぎるように思います。山手線や総武線の駅名にちなんだ人物名が多いのは作者のお遊びとしても東京事情を知らない読者にはぴんと来ないでしょうし。

No.1 6点 測量ボ-イ 2009/05/10 14:19
鮎川氏最後の長編。冒頭のプロロ-グでいきなり伏線が貼って
あります。
可もなく、不可もない出来栄えですが、氏のファンや音楽に
造詣のある方ならお勧めできる一編です。


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