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みりんさん
平均点: 6.65点 書評数: 594件

プロフィール | 高評価と近い人 | 書評 | おすすめ

No.594 6点 終着駅で待ち合わせ- 真門浩平 2026/10/14 23:45
一昨年くらいに?このサイトで流行していた作家。今作が初読み。
評判のいい『夢落ち』は意外性のあるトリックにトンデモ動機×2、タイトル回収まで揃った完璧な傑作短編じゃないすかね。こいつ1つだけでも読む価値大いにあり。
次点で『悲運の死』。兄の死をきっかけに陰謀論やカルト宗教に傾倒する母と妹が探偵役となり、奇想天外な推理合戦をするというだけで面白い。『天森町』も雨の止まない町という特殊条件を活かしたロジックが心地よい。最初と最後の他愛もない短編は、自分には眩しすぎて直視できん。ただ、ネックウォーマーとショルダーバッグ、イヤホンの位置から過去の行動を推理するってのは斬新で日常生活に応用できそうだな。

知らない間に恐ろしいほど"ホンカク"の才に溢れる超若手作家、それも独特の切り口が武器のロジック派が出てきていたようだ…短編の中でも長めの2つの出来がいいので、本格長編にも期待大。いやしかし、このサイトの人達の嗅覚恐ろしいなあw

No.593 6点 トム・ソーヤーの冒険- マーク・トウェイン 2026/10/12 17:42
お前ならいけるさトム♪誰よりも遠くへ〜♪

子供の頃、ビデオ借りて「名作劇場」で見たなあ。
児童文学ですが、無人島や鍾乳洞でのサバイバルに殺人事件や犯人との追走劇、宝探し要素などもあるので、コナン・ドイル登場前の広義のミステリーとして登録してしまいます(^^;) といっても、ミステリー要素は薄く、せいぜい「インディアンの白人社会への憎悪」という動機にその片鱗を見出す程度でしょうか。アニメの方では、黒人奴隷が自由を求めて逃げ出すダークな話があった気がしますが、アレはオリジナルだったんですね。他にも無人島組が親友のジョー・ハーパーからアニメではヘタレのベンに改変されてるのも面白い発見。

子供の頃からハックが好きだったな。長らくライフハックのハックはハックルベリー・フィンのハックだと信じていた。アニメの歌詞にある「重たい靴など脱いで 生きようぜ」は原作のハックの「文明の手枷足枷に縛られて身動きできず、息が詰まりそうだった」という独白と近いものを感じる。
「俺はお金持ちなんかごめんだ。あんな息もできねえ家なんかごめんだ。」 
俺も大人になっちまったよ…少年の全能感が眩しすぎる。
「"労働"は人がやらねばならぬこと。"遊び"は人がやらなくてもよいこと」1876年当時はそうだったかもしれないが、現代は第三次産業が発展したことで、生きる上で必須な"労働"が減少し、ただの"遊び"に毎日8時間拘束されている。嘆かわしいことよ。

三連休最終日の現実逃避におすすめです。トムやハックのように奔放な少年の心はいつまでも持ち続けたい。

No.592 8点 妖異金瓶梅- 山田風太郎 2026/10/12 00:46
「みんな教えて」でなんと3方が挙げているので読みました。最近は500ページを超えるとウッとなる軟弱読者ですが、時代もののわりにはスイスイ読み進められます。ジャンルは「倒叙/クライム」じゃないかなあ?と思いますが少数派ですかね。(追記)どなたかジャンル投票していただきありがとうございました(o^^o)

1作目の『赤い靴』でその動機に唖然。「そんなことで人を殺すなよ…」と絶句させられますが、2つの足切り死体という奇妙な状況がたった一言で綺麗にピースがはまる心地よさがあります。犯人と探偵のロマンスという点で『黒蜥蜴』が思い浮かびますが、あちらは犯人と探偵、正義と悪という決して相入れない性質により報われない悲劇を描いたものですが、こちらは探偵側の一方的な愛で成立した半共犯的な関係というのが新しいですね。犯人の犯行はすべて絶倫豪商への歪んだ愛に起因するので、探偵の献身的な努力も最初から報われないと分かっているのが切ないです。
本格として1番出来が良いのは『黒い乳房』、それ以外で気に入ったのは『漆絵の美女』です。稀世の美女で何者も惚れさせる金蓮が唯一叶わないと思った相手は死人でした。

p270より
「生きている李夫人は、あなたの恋敵のうちにも入らなかった。しかし、あの漆絵となった李夫人は恐るべし。失った小さな翡翠は、もっている大きな真珠より惜しいものだ。ふたたびかえらないものへの無限の哀情、追憶と幻想が、あの漆絵をまさにこの世のものならぬ夢幻の魅惑あるものに化粧させてしまった。」
うーんかっこいい

『赤い靴』の出来が良すぎるのもあって、その後のマンネリ感は拭えず7〜8点で迷いましたが、それでも独創的なアイデア部分を評価して8点か

No.591 6点 『クロック城』殺人事件- 北山猛邦 2026/10/10 14:41
『石球城』が面白くてシリーズ1作目を読んだわけですが、これは確かに欠点が美点を上回ってしまう作品かもしれません。ファンタジー要素はミステリーの成立のために必要か?と言われると多少は必要ですが、詰め込みすぎて大渋滞を起こしています。美点である物理トリックと首切りの動機は独創的と読んで差し支えのないもので、クロック城が象徴する「時間」ばかりに気を取られていると盲点になりがちな「空間」のトリックに思わずアッとなりました。

だが『石球城』を先に読んでしまうと、この作品のミステリ密度が13分の1(言い過ぎか)に思えてしまうんだよなあ。漫画で例えるとスラムダンクの山王戦を先に読んでから、1巻の赤木と桜木の勝負を見せられるようなもんだ。シリーズ順に読まない俺の落ち度だが。低評価のレビューにも高評価のレビューにも首を縦に大きく振って頷いてしまうレアな作品だった。

No.590 7点 五匹の子豚- アガサ・クリスティー 2026/10/05 18:29
【ネタバレ】
回想の殺人というジャンルなんですね。1部で容疑者達との対面、2部で五匹の子豚達の手記、3部で解決編という三部構成の作品。1部と2部で重複している部分が多く、事件も毒殺と地味なのでかなり退屈であるが、それぞれの手記を丁寧に比較検討していくと、隠された真相が浮かび上がるという趣向はなかなかで、追従者が続々現れるのも納得。日本人には気づくのが難しいあのミスリーディングは、逆に日本人にしか気づけない某日本の名作の1行を思い出した。構図の反転以上に、被害者加害者の反転「わたしが死んでしまったの…」が印象的です。

No.589 7点 蒼き海の伝説- 西村寿行 2026/10/03 00:12
「みんな教えて」で探し求めておられた「黒潮が鍵になるミステリー」はやはりこれでした。そして読了後、これは後世に残るべきミステリーだと思いました。教えていただき感謝します。
なお、読まれる予定の方は質問内容を見ないことをおすすめします(笑)

ジャンルは「社会派」になっており、確かに医療過誤がサブテーマのミステリーではありますが、社会問題として深く扱ってはいませんので、「本格」か「倒叙」じゃないでしょうか?松本清張や鮎川哲也のアリバイ崩しものに似た雰囲気です。前半の被害者廻りの医療過誤悲劇の調査よりも、後半の厭世的でニヒルな冬村刑事と自信家で泰然自若な犯人の対決の方が圧倒的に面白かったです。
肝となるアリバイトリックは古典文献や伝承などの非科学的な説明で済ませていないのが素晴らしく、また、前例のないトリックなのではないでしょうか?(ありそう) 犯人の意図しない産物であったというのが、逆に説得力を持ちます。もともと、死体なんて海の果てに流せばいいのだから…
冬村刑事が度重なるピンチに見舞われ、旅先でなぜか女に惚れられるという展開に吉敷竹史か!と突っ込んでしまった。清張や鮎哲ではなく、大胆なトリックがウリの島荘だったのである(笑)

No.588 8点 復活の日- 小松左京 2026/09/29 23:03
SF御三家の1人らしい。ミステリーでいうと横溝正史のポジション?
パンデミックにより徐々に世界が崩壊していく過程が実に丁寧で、60年前の作品なのに、つい6年前のコロナウイルス情勢を予言したような記述が多々あり、当時の不安感を再現してくれた。印象に残っているのは医療現場の崩壊、哲学者の死の淵の大演説、南極編の3つである。人間の果てない争いの果てにこの危機が訪れたという背景があり、人間ドラマというありふれた言葉で形容するのも失礼なほど壮大な人類ドラマであり、人類が築き上げてきた暗黒史を振り返らなければならない。
ただの風邪で人類が絶滅を迎えるという無茶苦茶な設定を支える緻密なディティール。なぜ高度な知性を持つ人類が"ただの風邪"になす術もなく死んでいくのかということに対する哲学的解釈。「復活の日」を迎えるに至ったアイロニカルな結末まで見事です。エスエフって面白いなあ…

この作品が発表されたのはキューバ危機の翌年らしいが、今も小松左京が生きていたら、ロシアウクライナ戦争やイラン戦争を見て何を思うのだろう。虚しい。

No.587 6点 連続殺人鬼 カエル男- 中山七里 2026/09/29 19:40
【かなりのネタバレ】




中山七里作品をいくつか読んでいる人なら二重の企みまでは読めると思う。というか、そこまではあの名作とほぼ同じプロット・犯人像・動機でほぼ模倣ではないかと思って焦ったが、その先がオリジナルであった。ミステリー的にオリジナル部分は真相が三重構造であることと動機を刑法第三十九条に絡めた点にあり、特に後者は真犯人像からも上手いと思った。
だが、二重でさえ不可能に近いとされているなか(主観)で、三重となるともはやファンタジーの領域であり、あの名作を下敷きにして独自の地平を切り拓いたとは言い難いと思う。
オチに関しては良かったのこの点数で。

No.586 7点 わたしがいなくなった世界に- 七河迦南 2026/09/26 18:40
『日常の謎』というのはどこまでの範囲が該当するのか、明確に線引きがあるのか寡聞にして知りませんが、今作の主題は立派な殺人事件であり、ジャンルとしては本格/新本格になるんじゃないですかね?
同じく幻想的で摩訶不思議な手記を扱った島田荘司の『眩暈』を彷彿とさせるが、真相の衝撃度で上を行くのではないか。そして、謎が解明されると同時に、発達障害を持つ人々に対して我々が持っている偏見・先入観を取り払うという副次的な効果も齎している。これなら物語を堪能しながら、自然に心地よく響く。まあ、『眩暈』も好きですがね。
シリーズを3作続けて読んだので私は良かったですが、まさむねさんが懸念している通り、シリーズを追っている方には厳しいですね…『アルバトロスは羽ばたかない』の最後の部分だけでも復習してから本作を読まないと、一部おいてけぼりをくらうと思われます。

No.585 7点 アルバトロスは羽ばたかない- 七河迦南 2026/09/23 21:08
シリーズ2作目。前作「七つの海を照らす星」を読まないと効果は薄いと思います。
久しぶりに脳が混乱しました。

No.584 6点 七つの海を照らす星- 七河迦南 2026/09/22 17:44
露悪的な作品を好む自分に勿体無いほどイイハナシ。物分かりの良すぎる子供達。
1話の「今は亡き星の光も」という詩的なタイトルと切ない真相がマッチしたベスト短編。
2話の「滅びの指輪」では、戸籍のない子供がテーマ。今年の新刊でも同一のテーマを扱った話を読みましたが、我が国では20年間もこの問題が放置されているんですね。なんとかならないのでしょうか。
4話の「夏季転住」では人間消失が演出されますが、これはかなりフェアに手がかりが明示されるため簡単です。その他は日常の謎らしく、読んで思わずほっこりするような小品ですね。

No.583 8点 第三の銃弾<完全版>- カーター・ディクスン 2026/09/21 14:55
現代においてカーを読むメリットとして、「事件状況が複雑でトリックを端的に言い表せないゆえにネタバレが横行していない」という点が挙げられると思う。
今作もそんな恩恵を受けている作品。密室内の人間が狙撃に使用した銃と別の銃が室内から発見されるだけでも不可解性は十分。さらには被害者を死に至らしめた第三の銃の存在が判明し、徐々にカオスが増大していく構成にワクワクする。
トリック成立に必要な素材は、一部フェル博士シリーズのものを使い回しているが、完成品は全く新しいものに仕上がっている。最後の1ページ丸々費やされるマーキス大佐のメタ発言(お決まりパターンの脱却)で、確かに自分もそのパターンのせいでスッカリ騙されていたんだと気づかされる。分量・切れ味文句なしの傑作。

No.582 7点 未館成の殺人- 信国遥 2026/09/20 23:44
典型的なクローズドサークル&孤島サバイバルもの。
最初から最後まで一本道で一切無駄な描写がなく、クライマックスまで一気に駆け抜けていくスピード感が心地よい。笠井潔の2倍以上の速度で読むことができる(笑)
作中の選評通り人間が描かれていない(良いことよ)。それは歓迎なんだが、あまりにも小説的余暇というか味気がない。小説というよりアイデア展覧会?しかしそのアイデアが優れているのは間違いない。フェアプレイ精神は薄く、この動機を当てることはほぼ不可能に近いと思いますが、おお…そこで横溝正史の…と妙に納得感はあった。
Amazonの酷評レビューにも頷けるところはありますが、今年の収穫の1つでしょう。

No.581 7点 サマー・アポカリプス- 笠井潔 2026/09/20 15:30
『ヨハネの黙示録』の「四騎士」に準えた4件の連続見立て殺人という豪華絢爛な本格ミステリで、まるでディクスン・カー?を連想させる密室トリックもついているため、本格としては前作より上。ただ、カタリ派という異端宗教に関する蘊蓄が長ったらしく、読み終えてから振り返るとあまりその蘊蓄がミステリーに活きていないんだよねぇ…言ってしまえば、この見立てにはカタリ派の歴史的な怨恨や秘宝の絡んだ「宗教的・思想的な連続殺人」らしいぞということさえ抑えれば、ミステリー的には充分。動機もあまりに探偵小説的で、前作のように犯人との思想対決じゃないと熱くなれない。あと、コンセプトである現象学的推理というのも2作目にして既に鳴りを潜めていて、総合的には『バイバイ、エンジェル』に及ばないんじゃないかな。

No.580 3点 熟柿- 佐藤正午 2026/09/15 20:11
轢き逃げをして刑務所に服役していた女性の波乱な人生。夫は妊娠中の妻に高速を運転させるし、妻は贖罪の意識も薄いし、子供の為のお金を盗まれてなぜか警察にもいかないし、とにかく登場人物達に苛立ちが募った。晴子叔母さんの柿のくだりも鶴子の不倫のくだりも物語の構成的に何の意味があったのかよく分からないし、結末も予定調和というか安直に感じた。
登場人物全員が好きになれなかった作品だが、それでも読ませてしまう力はある。

No.579 7点 修羅にしてリラのごとく- 弥生小夜子 2026/09/15 20:04
戦後から現代まで、苛烈な運命を背負った女性の生き様を描いたノワール小説?現代で起こった無理心中事件の真相がその女性の手記に隠されているというミステリー小説でもある。
育ての親である遊女が病死し、小学生にしてヤクザに引き取られるという壮絶な環境で育った珠々の叙事詩だけでも、読み応えは十分。352ページと決して分量が多いわけではないが、時代を跨ぐためなのか、あまりに色々な出来事が降りかかるからなのか、かなり読み疲れる。現代で起こった無理心中事件は、手記の最後の最後までその輪郭が見えてこない。そこに至るまでの枝葉を味わうだけでお腹がいっぱいだ。この時代に生まれたならばこんな人生もあったのかもしれない。著者渾身の力作。

No.578 6点 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー 2026/09/13 17:39
序盤から不必要なほどキャラクターがわんさか出てくるが、たった数ページの会話でぞれぞれの特徴を捉えることができるので苦にならない。登場人物の書き分けが世界一上手いのではないだろうか。

【ネタバレ】
トリックに新規性はありませんし、この手法だとリスクが高すぎるので、ポアロがいうほど計画性の高い狡知に長けた(スリック)犯罪という印象は受けませんでした。共犯者の存在は当てられませんでしたが。
リゾート地という心理的に開放感のある心地よい舞台で人間関係が交錯していく物語の本筋にはのめり込むことができ、その点は『ナイルに死す』に匹敵するかも。バカンスの文化が羨ましいなあ…もっと真夏に読むべきだった。

No.577 8点 メルカトルと美袋のための殺人- 麻耶雄嵩 2026/09/12 02:25
銘探偵メルカトル鮎の第一短編集。こいつも名探偵推理力トーナメントがあれば手段問わず勝ち上がりそうな卓越した探偵の1人。「哀しいかな、基本的に私は長編には向かない探偵なんだ」←かっけぇよ… ただ、そろそろ長編にも最初から最後まで登場して苦戦してくれw

初っ端から『遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる』で幻惑密室の先にあるホワイに心を奪われてしまった…この短編の切れ味に8点を献上すべきだと思わされた。
『化粧した男の冒険』や『彷徨える美袋』はまあいかにも短編向きの小粒なネタだが、名探偵にあらざる倫理観を披露するダークヒーローメルさんシリーズ。
短編のくせにやたら複雑で2回読まさせられたのが『ノスタルジア』と『シベリア急行西へ』 この作者は、斜め読みしていると重要な手がかりを素通りしてしまうから気を抜けない。『ノスタルジア』はメルカトルの書いた超悪文ですこぶる読みにくいが、途中からあまりにも変態的なロジックを展開し、こういった作中作叙述モノをするならここまでやれと示してくれた。『シベリア急行西へ』もフツー短編でこれをやるか?というような、捻くれた多重解決もの。「そう思うだろ。それが犯人の目的なんだよ。」←いや、わかるかよww この二つは並の短編じゃ満足できなくなった変態向けでしょう。

No.576 7点 青の炎- 貴志祐介 2026/09/12 01:40
倒叙=犯人わかってる=つまらないという俺の辿り着いた結論等式を覆した作品。読者を物語の世界にグッと引き込む筆力がずば抜けている。東野圭吾と同様に小説家として一流なのかも。

【展開バレ】
1つ目の計画はQ=Ivtと不自然なアリバイ工作以外ほぼ完璧だったんじゃないか。ここまでは秀一の名に恥じない秀才ぶりを発揮。問題は2つ目の計画。監視カメラに一部始終を撮影されるのはあまりにもリスキーだし、すっ転んで死んだなんて主張は無理筋だろう。読みながら「おい秀一、それは流石にやめておけ」と手に汗握りながら必死に応援していたが、案の定ここから芋蔓式にバレてしまう。でも、天才とはいえ、秀一は高校生なのだから仕方がない。殺人を一度犯したことで、秀一自身を青の炎が焼き尽くす。罪悪感で徐々に冷静さと正常な思考判断能力を失い、杜撰な計画に頼ってしまうというのは、秀一が等身大の高校生であることを痛感させる。
そう、あの義父さえ存在しなければ、秀一は普通の高校生だった。紀子と真剣に交際し、やがてはおしどり夫婦になる未来もあったと考えるとあまりにも救いのない結末だ。例え証拠不十分で釈放されても、母と妹が好奇の目に晒されることが耐えられないのであれば、秀一はああするしかなかった。トラックの運ちゃんは気の毒だが…
中高校生の頃に読んでいたら、櫛森秀一のことを夜神月ばりに神格化していただろう。とにかく、絶対に忘れられない主人公の1人になった。

No.575 7点 プレーグ・コートの殺人- カーター・ディクスン 2026/09/06 18:39
唖然の密室トリック以上に、WhoとHow双方のミスリーディングが物語の核として機能している点が見事。なかでも、白い粉によるWho・Howダブルミスリードが気持ち良すぎるだろ。解決編の前に計画乗っ取り型の犯罪であることを明かしてもなお、誰も真相に到達できないレベルの難易度であり、フェアさを気にしない俺みたいな読者にピッタリ。『三つの棺』の密室講義をスキップしていて本当に良かった。ただ、H・M卿とフェル博士のビジュアルほぼ同じじゃね?

あまり類似性を指摘されていないが、処女作『夜歩く』を発展させた作品という印象を受けた。

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みりんさん
ひとこと
国内の新本格ミステリを中心に読んでいます。
いい大人が未だにトリックのケツばかりを追いかけています。情けない….
優れたトリックや斬新なアイデアを創出していると感じた作品には、小説としての面白さに関...
好きな作家
島田荘司、三浦建太郎、諫山創
採点傾向
平均点: 6.65点   採点数: 594件
採点の多い作家(TOP10)
ジョン・ディクスン・カー(32)
島田荘司(31)
アガサ・クリスティー(25)
夢野久作(23)
連城三紀彦(21)
エドガー・アラン・ポー(21)
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