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[ 本格/新本格 ]
犯人のいない殺人の夜
東野圭吾 出版月: 1990年07月 平均: 6.76点 書評数: 29件

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光文社
1990年07月

光文社
1994年01月

光文社
2020年02月

No.29 5点 mozart 2023/10/24 14:34
表題作を含む短編集(文庫)を読みました。
かつては(平成20年頃までは)乱歩賞受賞作は欠かさずにリアルタイムで読んでいたので本作者の受賞作「放課後」(昭和60年受賞)も随分昔に読んだことになります。この短編集も特に「小さな故意の物語」などはその頃の(はっきり言って「暗い」)雰囲気を思い出しました。
最近の読者のツボを押さえた作品群とは明らかにベクトルの違った感性で書かれていてちょっと読み辛かったです。

No.28 6点 蟷螂の斧 2022/12/11 08:55
①小さな故意の物語 6点 「マイ・ベスト・ミステリーⅤ」で書評済 事故?殺人?
②闇の中の二人 7点 生後3か月の赤子が殺害された。その夜、母親の浮気相手が部屋を訪れていた・・・動機 
③踊り子 5点 男子中学生は毎週水曜日の夜に体育館で新体操の練習をする女子高生に恋をするが・・・○○の原因 
④エンドレス・ナイト 4点 大阪にブティックを開いた夫が殺害された。妻は大阪が大嫌いで東京に残り別居中・・・動機、刑事の鼻 
⑤白い凶器 5点 社内の人間が2人殺害された。容疑者は女性事務員だが動機が不明であった・・・叙述? 
⑥さよならコーチ 7点 アーチェリーの女子選手が自殺した。その模様をビデオテープに残していた。その目的は?・・・過去と現在 
⑦犯人のいない殺人の夜 7点 岸田家で殺人が起こった。家族4人と家庭教師2人は、死体を山中に遺棄することを決めた。殺人が起きた〈夜〉と〈今〉が交互に描かれるが、〈夜〉の部分には犯人がいないのだ。一体どういうこと?・・・裏にある策略 「こう」さんのご指摘のとおり、アンフェアな部分があります。まあ、初期の作品らしいので致し方ないか?(苦笑)

No.27 7点 あびびび 2019/07/24 13:03
久しぶりに東野圭吾を読んだが、やはり読ませるし、短編でもワクワクする。エンドレス・ナイトは、地方から大阪へ出てきて何十年の自分には、犯人の思いが良く分かる。知り合いに35年間東京に住み、仕事で大阪に移住、わざと下町に住んでいる夫婦がいるが、「意外と住みやすいし、帰りたくないかも…」と言っていた。大阪は合う、合わないのどちらかで、特に関東より北の県の人々は合わない気がする。

No.26 6点 HORNET 2018/05/01 21:50
 ヒューマンドラマ絡みの最近の作品も好きだけど、私は氏の初期のミステリミステリした作品がそれはそれで好き(「仮面山荘」とか「ある閉ざされた…」とか)。だから基本的にこの短編集も好き。
 ただまぁ、「目からウロコ」のような秀逸なひっくり返しが揃った作品集というわけでもない。最後の表題作以外は全て途中で犯人の見当がつく。真相うんぬん以上に着眼点として面白かったのは「白い凶器」。表題作「犯人のいない殺人の夜」はよく考えたものだ、とは思うけど読み返さないとなかなかホントのところが分からない分かりにくさがあった。

No.25 6点 りゅうぐうのつかい 2016/11/01 17:26
東野圭吾公式ガイドでの作者の自作解説を見ると、本短編集は初期のものがほとんどで、短編の書き方がよくわからず、いろいろなことを試しながら書いた時期の作品を集めたものとのことであり、読んでみると確かにそういった感じがした。
「踊り子」と「犯人のいない殺人の夜」が良かった。

「小さな故意の物語」
学校の屋上から転落した友人の死の謎を探る話。最後にひねりがあるものの、やや物足りない真相。事件の背景にある微妙な女心が印象的。

「闇の中の二人」
読み進めていくうちに犯人の見当はつくが、その背景にある事実と動機が意外。
「闇の中の二人」とは誰のことか。最後の一文が印象深い。

「踊り子」
塾の帰りにふと目撃した、新体操を踊る女の子に魅せられた少年の話。
その女の子がやがて姿を見せなくなり、少年の家庭教師がその謎を探ると、もの悲しくも意外な事実が判明する。

「エンドレス・ナイト」
刑事の臭覚で事件を解決する話。
主人公の女性の大阪嫌いが印象的であり、隣接県に住む私にはその心情が良くわかる。

「白い凶器」
所々に挿入されている二人の会話が誰と誰の会話なのかと思って読み進めていくと……。
動機が何とも意外であり、この動機に関する事実は初耳だった。
「白い凶器」というタイトルが動機を示しているのが面白い。

「さよならコーチ」
犯人はあるものを利用して殺人を行うが、逆に利用されていることが後でわかる。

「犯人のいない殺人の夜」
この作品は確かにトリッキーだ。理解力に乏しい私は、初読では最後まで読んでも、「あれ?どういうこと?」と理解できず、最後の方を読み返して、ようやく理解できた。<夜>と<今>を交互に描いたり、<夜>の視点となる人物を変えたりして、読者を欺いているところが巧妙。由紀子の写真、ドウダンツツジ、チューインガムといった小道具が、真相解明につながっている点も面白い。

No.24 6点 いいちこ 2015/10/02 18:45
驚くべき真相を演出した表題作を筆頭に、悪意と皮肉に満ちた良質な短編が揃っており、さすがの出来栄えと完成度を誇る。
一方で他の作品と同様に、本格ミステリとしての踏み込みは浅めで、軽量コンパクトな印象が否めない

No.23 7点 斎藤警部 2015/08/26 17:35
著者らしく軽いタッチで深い内容を描いていますが、本短篇集は特に薄暗いムードの人間ドラマが(濃淡はあれど)目立つかな。 「さよならコーチ」の被害者の念の苛烈さ、「闇の中の二人」の救いの無い暗さは心に残る。 「踊り子」の真相も残酷過ぎるね。。物語の大半が明るいムードなだけ最後に落ちるどん底も深い。
しかし最後に来るトリッキーな表題作だけはゲーム性の高い娯楽大作(短篇ですが)の趣強し。

No.22 6点 ボナンザ 2014/04/08 01:47
表題作がいい。この頃の東野には今はない切れ味があった。

No.21 4点 ムラ 2013/03/27 01:15
表題の「犯人のいない殺人の夜」はさすがの上手さだけど、いまだったらもうちょっとわかりやすく誘導出来た気がして、そこのところは残念。良く言うと、上質な謎なのだが、悪く言うと、それに懲りすぎて他が大ざっぱ。
被害者加害者の悪意の固まった騙し合いは、なんとも東野らしい。
小さな故意、闇の中、エンドレス、白い凶器はオチはわかりやすかったけど、動機の悪さは好き。白い陶器の肌をした悪女が多い東野ならではの物語な気がする。
それ以外だと、「さよなら、コーチ」のオチのつけ方は意外性を狙っていて面白かった。踊り子は何とも言えない後味の悪さ。
昔の作品だけど、全体的に良質な短編集だった。

No.20 5点 ボンボン 2012/03/10 23:28
何とも悲しく嫌なことばかり起こる短編集。どれも話がぐるんとひっくり返るような意外な展開でよくできている。しかし、表題作の”名前の件”だけは、何それ・・・と脱力、こんなことでいいのかと納得いかなかった。

No.19 6点 まさむね 2011/11/29 20:52
 ノンシリーズの短編集。駄作がなく,上質な作品が揃っています。一方で,本格色やインパクトは弱め。軽く楽しみたい方にオススメです。
 その中でも記憶に残ったのが表題作。東野氏にしては珍しい仕掛けでしたね。次点が「さよならコーチ」。こちらは,いかにも東野氏らしい作風です。

No.18 9点 saino 2010/06/13 13:14
粒ぞろいの良作です。一つとして劣った作品がありません。
個人的には「小さな故意の物語」の物語の迫真のクライマックスシーンがイチオシです。
あと「エンドレスナイト」の皮肉さが好きです。
「踊り子」「白い凶器」「犯人のいない夜」「さよならコーチ」いずれもミステリとしてもストーリー敵にも面白いです。

ただ、個人的には「闇の中の二人」は赤ちゃんが殺されるのが好きではないです。

No.17 7点 白い風 2010/03/07 17:20
七編の短編集だったけど、どれも楽しめました。
トリックの楽しみと言うより、登場人物の心情が楽しめました。
「踊り子」の家庭教師、「エンドレス・ナイト」の大阪の刑事などがいい味出していたと思う。
トリック的にはちょっと分かり難かったけど題名の「犯人のいない殺人の夜」が印象的だったな。

No.16 7点 Tetchy 2009/09/27 00:57
東野氏の短編集はこれまでにも『浪花少年探偵団』、『犯行現場は雲の上』、『探偵倶楽部』などが発表されていたが、それらは全て連作短編集で意外にもノンシリーズの短編集はこれが初である。

統一キャラクターで繰り広げられる連作短編集はキャラクター偏重の趣きが強いが、本作ではそれらを排し、トリックよりもロジック、さらに理論よりも理屈では割り切れない感情、人間の心が生み出す動機について焦点を当てているように感じた。

「小さな故意の物語」では嫉妬心から来る悪戯心と与えられる愛情に対する疲労感を、「闇の中の二人」では思春期にありがちな欲望と嫉妬心を、「踊り子」では淡い恋心を、「エンドレス・ナイト」はトラウマを、「白い凶器」は現実逃避から来る狂気を、「さよならコーチ」は人生を捧げたよすがを失った女性の絶望を描く。
唯一表題作が実にトリッキーな作品で動機も今までの東野ミステリにありがちな天才肌の犯罪者による、利己心だ。

個人的良作は「小さな故意の物語」と「さよならコーチ」。
次点で表題作となるが、後日思い起こして話題に出るほどではない。技巧の冴えが目立つ故に軽く感じてしまう諸刃の剣のような短編集だ。

No.15 7点 ミステリー三昧 2009/06/17 16:01
<光文社文庫>ノンシリーズ(短編/1990)です。
『浪速少年探偵団』や『殺人現場は雲に上』などの短編集に比べれば、どのタイトルも印象深い。光文社出版の東野作品は駄作が多くてオススメできないのですが、この作品だけは別格です。東野作品を読み始めるきっかけには相応しく、軽くて丁度良いです。
毎回のように捻りある結末を用意してくる東野圭吾らしいスタイルの作品を何篇も味わえるという意味では長編を読むよりも効率よく東野圭吾の良さを実感できるはずです。あまり本格色はないですが、その分気構えすることなくすんなり溶け込めて素直に楽しめました。

No.14 6点 こう 2008/08/27 23:38
 決まった探偵役のいない短編集ですが面白かったです。作者はアンソロジーの自選に「小さな故意の物語」を選んでいましたが、個人的には「犯人のいない殺人の夜」が気にいっています。ただ叙述トリックとしてフェアかどうかは少し微妙かもしれません。

No.13 6点 COBRA 2008/06/13 14:44
傑作短編集。

No.12 6点 いけお 2007/10/16 19:36
良くも悪くも質の良い短編集という印象。ずいぶん前に読んだものなのでざっと読み返さないと内容を思い出せなかった。

No.11 6点 シーマスター 2007/06/02 00:55
確かにトータルとしては上質な短編集と言えるだろう。

・「小さな故意の物語」 作者得意の学園もの。ミステリとしては○○の要素が大きすぎてスッキリしない。
・「闇の中の二人」 途中で大体見えてしまうが、こういうドロっとした話も東の真骨頂の1つ。
・「踊り子」 何とも言えず悲しい・・・
・「エンドレス・ナイト」 これは刑事がいい味出してる。
・「白い凶器」 既存のネタの組み合わせという感じ。
・「さよならコーチ」 トリックがまあまあな割にはインパクトに欠ける。 タイトル、雰囲気がどこか「世にも奇妙な物語」を連想させる。
・「犯人のいない殺人の夜」 折原一ばりの叙述ドンデン。凝り過ぎの気がしないでもない。

肩肘張らずに楽しめる佳作集でもあるが、読んだそばから忘れてしまいそうな話が多い印象も拭えない。     

No.10 9点 ギャンブル伯爵 2005/07/31 13:20
東野さんは長編のイメージが強かったんですが、短編も相当お上手ですね。表題作には底の浅い読み手であることを差し引いても奇麗にだまされました。


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