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幻想と怪奇4 吸血鬼の系譜 新紀元社 |
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| 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 出版月: 2020年11月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 新紀元社 2020年11月 |
| No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2026/09/03 13:24 |
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| 伝説の方は歳月社「幻想と怪奇 吸血鬼特集」(1973/7)。こっちは牧原勝志企画編集の新紀元社。共通作品はアレクセイ・K・トルストイの「吸血鬼の一家」でこれは元の「魅入られた家族」の新訳。
トルストイの「吸血鬼の一家」は1839年のもので、吸血鬼小説としては大古典。セルビアの寒村に宿をとった主人公のフランス人外交官が、その一家が順に吸血鬼に取り憑かれて一家全滅・さらにはその村全体も破滅させる結果になるのに遭遇する話。ヴルダラク(Yourdalak)と呼ばれ、愛する家族を順に飲み込んでいくクラシックかつ土俗的な吸血鬼譚。ロマンティックな味わいがしっかり。 でこの新しい「幻想と怪奇」は翻訳小説が10本、2つの新作ショートショート(井上雅彦・安土萌)、エッセイなど4本という構成。目玉はトルストイの「吸血鬼の一家」新訳、それに「ぼくは吸血鬼になりたい」という作文を書く少年を主人公としたマシスンの名作「血の末裔」の新訳。それにウールリッチの珍しい吸血鬼小説「破滅を誘う唇」あたりかな。ウールリッチはウールリッチらしく「呪われた結婚」のモチーフで吸血鬼譚を描いているのが、らしい。吸血鬼に魅了されて新妻を捨てた男が、吸血鬼化しつつ元妻を...という愛憎をうまく絡めた佳作。ウールリッチらしさはまさに全開。 とはいえ文学畑だと吸血鬼は血を吸うよりも、相手から精気を抜き取る「吸精鬼」の形の方が心理主義的な妙味があるのは言うまでもない。メアリ・E・ウィルキンズ=フリーマンの「ルエラ・ミラー」やD・H・ロレンスの「妖しい婦人」はそういう周囲の人々から精気を吸い取っていつまでも若々しく生きる(依存的な)女性像を描いて文学とホラーの中間をうまく攻めてみせる。それに対して「死、またの名を吸血鬼」でロバート・ブロックならば、新聞記者を主人公とした軽ハードボイルド風の語り口で吸血鬼事件を語りきってみせる。これもなかなか剛腕。さらに幽霊船という海洋怪奇と合体させたヒュー・B・ケイヴ「ストラゲラ」も印象的。「ノスフェラトウ」の船のシーンを連想するなあ。 というわけでハイレベルな吸血鬼特集号。 |
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