皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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本格ミステリ・ベスト10 2010 探偵小説研究会編・著 |
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雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 出版月: 2009年12月 | 平均: 3.67点 | 書評数: 3件 |
原書房 2009年12月 |
No.3 | 7点 | Tetchy | 2010/07/14 21:06 |
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今なおその年の本格ミステリを総括するミステリ愛好家の痒いところに手が届く、マニアックな作りを愚直なまでに踏襲しているのが非常に心地よい。
さてランキングに目を移してみると、やはり歌野晶午の『密室殺人ゲーム2.0』が1位というのが正にこのランキングを象徴しているようだ。トリックに特化したこの作品こそ確かに2009年の本格ミステリシーンを代表する1作に違いない。『このミス』でダントツの1位だった東野の『新参者』は5位と、本格ミステリファンにも好評のようだ。その他『このミス』と重複しているのは柳広司の『ダブル・ジョーカー』、綾辻の『Another』、米澤穂信の『追想五断章』と『秋期限定栗きんとん事件』、道尾秀介の『龍神の雨』、北村薫の『鷺と雪』に詠坂雄二の『電氣人閒の虞』と20作品中9作と約半分を占めるが、双方のランキング順位が違うので、それぞれの特色は出ている。 そして個人的に楽しく読んだのが辻真先氏のインタビュー。なんと御齢77歳にして本格ミステリクラブ会長に就任し、更にはまだ出版待ちの新作が5冊もあるというからそのヴァイタリティに畏れ入る。何年も新作を書かない新本格Ⅰ期生の人間に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。 しかしやはり残念なのは今年も海外ミステリの扱いが少なかった事。座談会は充実しているのに国内作品と比べるとそのページの占める割合はかなりの格差を感じる。もうこれはフォーマットとして決まっているのかもしれないが、値段が上がってもいいからもっと海外ミステリにページを割いてほしい。 しかし例年のイベントとしては本家『このミス』よりもこちらの方が愉しみになってきた。後は海外ミステリに関する内容の充実さえあればもう望むものはない。 |
No.2 | 1点 | mini | 2009/12/16 10:27 |
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850円は高ぇ~よ『本ミス』、『早ミス』だって700円に抑えてるし、『このミス』は老舗の強みで500円、『インポケ』なら200円だ
『文春ベスト』も安いけどあれはなぁ、週刊文春の1コーナーだから週刊誌としての値段だからなぁ 『本ミス』がまず腹立たしいのは相変わらず海外編は頁数で1/5程度と海外読みを馬鹿にしている 『本ミス』は読み応えはあるという意見もあるようだが、作家インタビューばかりじゃんよ、私は作家ウォッチャーじゃないから興味ねえよ 他もつまらん記事ばかりだし、肝心のランキング作品解説は無駄に長文だし、第一ランキング自体がつまらん 毎度毎度アルテとディヴァインと、あとはクイーンやカーのラジオドラマ脚本集みたいな落穂拾い もうね作家のネームヴァリューで投票がされてる感じ こう言うと、海外は現代作家に本格が少ないから仕方ないと反論されそうだが、実は必ずしもそうではない 例えばコージー派なんかはかなり翻訳出版されている ところがコージーは殆んどランキングには入らず、投票者が不可能犯罪系じゃなくちゃ投票してはいけないとでも思い込んでるみたいだ 不可能犯罪系だけが本格じゃないだろ! 他のライヴァル誌では本格に限らず全てのミステリー分野が対象だから、なかなかコージーまでは拾い難い事情がある つまり本格に特化した『本ミス』だからこそ本格の窓口を広く取り、コージーまで救わないといけないのだ、コージー派だって本格の一種だから ところが『本ミス』は本格の定義を他誌以上に狭く解釈し、不可能犯罪オタ向けにしておけば受けるだろう的な浅はかさが見て取れる 具体例だと、この作家はコージーじゃないがアンナ・マクリーンあたりは他誌では引っ掛かり難いから『本ミス』こそ採り上げてもいいんじゃないかな 『早ミス』には杉江松恋のコージーコーナーみたいな記事があったりで、この面でも『本ミス』は『早ミス』に負けてる もしブックオフで100円で売ってたとしても、『早ミス』『このミス』なら買ってもいいが、『本ミス』は100円でも要らない いくつかある競合誌の中で『本ミス』が一番どうでもいい |
No.1 | 3点 | 江守森江 | 2009/12/07 12:54 |
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所詮ランキング雑誌なので一律の3点だが、国内本格ミステリに軸足を置く読者には、一番気になるランキングではある。
しかし近年、国内本格ミステリの主流の明らかな変化を痛感し残念な思いを喚起させるランキングでもある。 それ故、この種の本の存在意義はランキングではなく、注目する作家達の今後の予定やインタビューだと考える。 一般販売せず、ランキング本を統一し、各出版社が協力しミステリーの新刊本にランキング投票応募券を付け、投票者に無料配布すれば良いと思う。 自腹を切って新作を読む人間の意見を反映させるのがランキングとして一番信頼出来ると考えるが、如何だろう! ミステリーのランキングも、協会乱立で世界中にゴロゴロいるボクシングの世界チャンピオン同様に全く有り難みがなくなってしまいそうだ! 本格ミステリに明日はあるのだろうか! ※今年度の国内ランキングに対する評価の分岐点が3位・綾辻「Another」にあるのは間違いない。 ※海外ランキングは興味無くスルーしている。 ※年度別書評の意義付け的お遊びで、本年度・私的国内本格ミステリ・ベスト3(単に、このサイトの高得点順)を記す。 1位:古野まほろ「天帝の~」9点 2位:倉阪鬼一郎「三崎黒鳥館~」8点 3位青井夏海「シルバー~」7点(7点同点では一番と判断) |