皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
このミステリーがすごい!2005年版 |
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雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 出版月: 2004年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
宝島社 2004年12月 |
No.2 | 2点 | 江守森江 | 2010/06/09 15:14 |
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最初に、海外翻訳ランキングは毎度の事ながら興味がない。
本来なら年刊雑誌なので一律の3点だが、私的にはミステリーの範疇外な純然たるSF&ファンタジーをランク対象にしながら、ミステリと断言出来る作品も存在するラノベを別雑誌まで刊行して一斉排除する姿勢は(SF&ファンタジーも同様にして一斉排除するなら信念を汲んで支持するが)納得できないので1点減点して2点とし、最低な駄作ミステリー(ダメミス・クズミス)と同評価な扱いとする。 この年から「このミス」のみ(「本ミス」は近場の書店に置かれなかった)立ち読みながら出版時期に接し始めたが、逆に(ネットもお手軽になり)ランキングをネット発表するだけで一般読者には充分だと感じ始めた(所詮、一般人にはコラム・インタビューも含めて読み物はマニアックで興味は低いだろう) それでも儲かるなら発刊し続けるのが商売上手な宝島社だとは思う。 法月の1位は(私的な評価と関係なく世評には納得できた昨年の歌野「葉桜〜」と違い)作者久々の長編に対しての渇望から来た過大評価だと思っている(「このミス」の範疇では未読作品が多数で(私的に)年度によるレベル差を論じられないのが残念) その辺りは「このサイト」での平均点や書評を比べれば歴然としている。 伊坂の高評価は、流行により多数読まれた事の影響で、作品レベル云々ではないと考えれば納得できる。 読まれ(売れ)なければ、後々傑作だと評される作品でも評価すら出来ないのだから! 単行本ではブレイクしなかった乾くるみ「イニシエーション・ラブ」(該当年度作品)が上記の事を如実に示した。 ※年度別ランキングは低レベルな年度ほどネームバリュー(固定人気)や売上(流行)に左右されて信頼度が低下する致命的欠陥を抱えている。 |
No.1 | 10点 | Tetchy | 2010/06/08 21:36 |
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法月綸太郎が1位だったのは意外だったのと、伊坂の3作全てランクインもびっくりした。またサラ・ウォーターズの連続1位も驚いた。自分の評価では中くらいだったトレヴェニアンの久々の新作『ワイオミングの惨劇』がなんと3位にランクインしていたのも予想外。恐らく久々の新作ということから10位以内には入るだろうと思ってはいたがまさか3位とは。
ミステリのランキングもミステリのジャンル自体が肥大し、拡散していきつつあるのを受けて、他のジャンル、特にSFやファンタジーの作品のランクインが目立った。特に海外はランキング作家の顔ぶれが古今混在しているのにも関わらず、他ジャンルの作家が散見されたのが最初残念だった。 国内は昨年の歌野氏の初登場1位を受けて今度も新本格1期生の法月氏が1位と個人的には非常にうれしい結果となった。ただこの後に読む「本格ミステリ・ベスト10」も1位は同じであり、これも前年同様であるのが気になる。 本格ミステリに特化したランキングである後者が全てのミステリを対象にした「このミス」とかなり似通っているのだ。ハードボイルド、冒険小説が衰退してきているというのが憶測ではなく、正に現実として突きつけられてしまった感が強い。 また今回特筆すべき点は、昨年のライトノベルランクインで「このミス」自体の方向性が嫌な方向になるのではないかと思ったが、「このライトノベルがすごい!」というムックを出すことで見事に区分したこと。混乱を避けた編集部の素早い対応は評価に値する。こんなことを行ってはならないのだろうが、聖域は救われたという感じだ。 特集・コラムも例年通り充実しており、特にミステリー相談所が面白かった。まだまだ拡がるミステリムックのアイデア。斬新な着眼点からミステリを解体・解読するコラム・特集も今後も期待する。ともあれ今回も非常に愉しめた。有難う。 |